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 ツクモという人物はどちらかといえば冷たいというか怖い印象を与えがちな容姿で、黒い癖毛も力強い眉もジルガルドでは非常に目立っていた。言う事もかなり辛辣で特にバディのセトに対してはよくもまあそこまで立て板に水を流すが如く嫌みを言えるものだと逆に関心するほどである。
 正直言って、別人だと説明された方がよっぽど納得のいく状況だった。
 顰め面の多い顔は上機嫌そうな笑みを浮かべ、いつもきっちりフードにしまってある髪はふわふわと揺れている。しかも、いつも嫌みと拳の応酬をしているセトにべったり張り付いて動かない。見目が悪くない二人だからか関係を知らなければ「非常に仲がよい親友」として映る。爽やかかつ微笑ましくもあり、絵面として悪いものではないのだが如何せん、奴らである。奴らなのだ。ここが問題だ。普段お互いに死ねだの野良猫だの野犬だの言い合っている彼らがそうもべったりだとどうにも違和感がある。というか違和感しかない。
 ちらりと自分の相棒の方を窺えば同じように目の前の光景を疑うような顔をしていた。
 ツクモはだいぶ出来上がっているようで時々うつらうつらとセトの肩に頭を預けている。セトもそれを拒否する事なく奔放な癖っ毛を動物を撫でるように手で押さえつけたり離したりを繰り返す。どう見ても楽しんでいる。
「正直、今までの飲み会でナメてたところあったわ・・・」
「ああ・・・同感」
 今まではこういった事にはならなかったのだが、疲れのせいか今日は皆酔い回りが早い。クーとラグに関して言えば完全に潰れている。ツクモもだいぶ顔が赤くなってきているしセトも顔には出てないが行動を見る限りかなり理性が飛んでいるようだ。
 いや、翌日の事を考えるといっそ酔い潰れて記憶が飛んだ方が方がツクモ本人にとっても幸せなのかもしれない。

 とうとううつらうつらの頻度が増えて来て、しばらくツクモが寄りかかって寝るような体勢に入り始めた。と、セトがツクモの頭を抱き込むような動作をした。
「ん、・・・なんなん?」
 微妙に目を覚ましているのか覚めていないのか微妙な声でツクモが逃げ出そうとする。まあ、それはそうだろう。正直自分から見てもそのままセトがスリーパーホールドでも極めるかと思っていたところだ。
「いや落ちそうだったから」
 つまりそれはあれか。そこで寝ていいということなのか。しかも落ちないように支えておくと、お前らどうした。酔うと人格替わるのか。
 ツクモはセトの言葉を聞くととうとう本格的に目を閉じて眠りはじめた。記憶が飛んでいることを友人としては祈っておこう。


 足をとめ、顔を見てみる。ツクモだ。警戒心の強そうな金の目にきっちりあげられたマスクに髪を撫で付けた上からのフード。顰め面。どう見てもいつも通りのツクモだ。やはり昨日のあれは夢か幻だったのだろうか。そう思うくらいには表情筋の使い方、声の出し方、すべてが違う。
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