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「決めた! 家出してやる」  また、始まった。  野比のび太はいつもこんな事を言っている。  けれど、家出が続いたためしはない。 「ドラえもん、家出のために必要な道具を出して」 「どうせ続かないよ」  ドラえもんの否定は極めて常識的なもの。  小学生の子供が、家出をするなんて出来るはずもない。 「今度こそ続けてやる。僕は気付いたんだ、家出をするために必要なものに。  それは衣食住の三つだ! 人間が生きていくうえで、必要最低限のもの。  それだけあれば家出が出来る!」 「なんと安直な……」  確かに衣食住の三つがあれば、暮らしていく事が出来る。  けれど、その三つを手に入れるために苦労している人たちもいるわけだ。  家を出れば、のび太もその苦労を知る事になる。 「どうせ、続きっこないんだ。すぐに僕を頼るに決まってる」 「今回の家出は、ドラえもんの力なんか使わないよ」 「……」  酷く浅知恵の予感がする。  のび太が、ドラえもんの力に頼らず家出をする?  いや、小学生の子供ならのび太と言わず誰だって出来ないはずだ。 「ドラえもんの力は借りない。だから、もしもボックスだけ貸してくれ」 「僕の力は借りないと言ったばっかじゃないか!」  言ったそばからこれだ。 「全く……もしもボックスだけだよ」  どうせ、馬鹿知恵が無駄だと分かったら、すぐに家出を諦めるだろう。  だったら、もしもボックスだけなら貸してやろうじゃないか。  そう思って、ドラえもんはもしもボックスを取り出す。  一体、のび太は何に使うのやら……  取り出されたもしもボックスの中に、のび太とドラえもんが入り込む。 「いいかい、ドラえもん。僕は考えたんだ、衣食住の三つを手に入れるためにはお金が必要だ。  だけど、僕のお小遣いはとてもじゃないが足りない」 「君にしては、よく考えてる……」 「だから、もしもボックスを使って……願えばいい、お金がなくても僕が家出できる世界。  衣食住の三つを簡単に手に入れられる世界」 「それはどんな世界なんだい?」 「僕にも分からないさ。でも、もしもボックスにはそれを考えて実現する力がある」  こう言って、野比のび太はもしもボックスにお願いをする。 「もしも、お金がなくても衣食住が手に入り、僕が簡単に家出できる世界だったら!」     し~~~~~~~~~~~~ん  何も起こらない。 「どうやら、君が家出できる世界なんて、この世のどこにも無いみたいだね」  もしもボックスですら、のび太の駄目っぷりを解決する事は出来ないらしい。  家出は無理だ、諦めろ。ドラえもんはそう付け足して、もしもボックスをしまう。 「そんな馬鹿な、どうして何も変わらないんだよ」 「そんな事、僕に言われたって知るもんか」 「全く、ドラえもんの道具はいつもいつも肝心なところで役に立たない」 「ふんだ、君が変なお願いをするからじゃないか」 「こっちこそ、ふんだ。もうドラえもんなんかと口利いてやらないからな」  暫くして……  のび太は一階でテレビを見ていた。時間は遅くなり、とっくに夕飯の時刻を過ぎている。 「ママァ、ご飯は?」 「何言ってるの、うちにご飯なんかある訳ないでしょ」 「どうして無いのさ?」  ママの言ってる事がおかしい。 「ちゃんとニュースも見なさい。きちんと安部総理が説明してたわよ」  のび太には何を言ってるかサッパリだ。  そう思っていると、突然テレビ画面が切り替わり、特別番組がスタートした。 「番組の途中ですが、ニュースをお伝えします。  安倍内閣が今国会の最重要法案と位置づけているバトルロワイアル法案が賛成多数で可決しました。  本法案は……」  バトルロワイアル法案?  のび太の耳に、聞きなれない言葉が入ってくる。  この法案を要約すると次のようになる。  元々は高齢化社会問題解決のため、安部内閣が打ち出した法案である。  日本における貨幣の価値を法的に無効化し、衣食住等の生活に必要なものを殺し合いによって奪い合う事を促進する法案だ。  これにより、体力的に有利な若者たちがお年寄りたちを殺して生活必需品を奪う事が予測され高齢化問題の解決に繋がるという。  さらに安部内閣は、殺し合いを促進させるため、国内での食糧生産を法的に禁止し、国外からの輸入も禁止した。  また、現在スーパーマーケット等に流通している食料全てを焼却させ、家庭に残っている食料のみで生活するように指示も出した。  以上により、意図的に国内での深刻な食糧不足を引き起こし、60歳以上のお年寄りを大幅に削減する事が狙いだ。  それだけではなく、安部内閣は国民一人一人に首輪をつけ法案に反対するものたちを殺すとさえ伝えてきた。  もしも、殺し合いを否定したりバトルロワイアル法を撤廃するような動きを見せれば、即座に殺されるらしい。  また、この他にも殺し合いを促進させるために様々なことが行われるようだ。 「これどういうこと?」  突然成立した法律に驚きを隠せないのび太。  自分の首を触ってみると、確かにつけたことの無い首輪がついている。  恐らく、もしもボックスを使ったときに付けられたものだろう。 「困ったわ……お隣は食料持ってるかしら……」  ママは本当に困った、と言う表情をして隣の家へと向かう。  その手には、錆びた鉈が握られている。 「ねぇママ。その鉈はどこにあったの?」 「支給品よ、安部内閣が全国民に支給したじゃない。のび太、そんな事も知らないの?  アナタの支給品はドラえもんよ」  もう、全くもって意味が分からない。 「待っててね、もうすぐお夕飯を作ってあげるから」  そういい残し、野比玉子は家を出て行った。  こうして、安部内閣のバトルロワイアル法案が可決された。  野比のび太の馬鹿な願いにより、日本全土でアホな殺し合いが開催される事となったのである。 【バトルロワイアルが開催されました】 【東京都野比家 1日目:19時】 【野比のび太@ドラえもん】 [状態]:健康 [装備]:なし [道具]:ドラえもん [思考] 1.現状を把握できていない。 【東京都野比家 1日目:19時】 【野比玉子@ドラえもん】 [状態]:健康 [装備]:錆びた鉈 [道具]:なし [思考] 1.お隣の家から晩御飯をもらう(奪う) 【東京都国会議事堂 1日目:19時】 【安部晋三】 [状態]:健康(?) [装備]:不明 [道具]:不明 [思考] 1.不明 ---- |前|0話|[[次>第一話]]| |―|野比のび太|[[4話>4]]| |―|野比玉子|[[1話>第一話]]| |―|安部晋三|[[87話>超空の覇者と幻想殺し The_Elegant_State.]]| |―|ドラえもん|[[4話>4]]| ----

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