ロックマンXセイヴァー第弐章~突入~

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第一話 Z-Y13地点 蒼い閃光と共に降り立ったセイア。 その身体には、燃えるような真っ赤なア-マ-が搭載されている。 そう・・烈火を思わせる赤い紅いア-マ-。 「ここ・・か・・。」 そう呟き、辺りを見回す。 辺り一面森林地帯だ。 木々の間から見える太陽が、暖かい輝きを放っている。 「・・・・!」 セイアの眼に、一際異様なモノが映った。 なんと、目の前の岩場に、いかにも人工的な洞窟が掘られているのだ。 恐らく・・敵は中にいるのだろう。 そう判断したセイアは、走り出そうとしたが・・。 「ガ・・カガ・・イア・・?セイア聞える?」 突然、ヘルメットに搭載されている通信機から、女性オペレ-タの声が響いた。 「こちらロックマン・セイヴァ-。エイリアさんですか?」 「ガ・・ふぅ~・・やっと繋がったわ。電波障害が酷くて。 それより大変。エックスが・・。」 「さらわれてしまったの」その台詞は、セイアの言葉によって遮られた。 「分かっています。今・・敵の本拠地と思われる場所の前にいます。」 「目の前?でも・・あなた一人じゃ・・。」 「いえ・・ここは僕一人で行きます。」 セイアは言い切った。 何故か分からないが、”ここは一人で行かなくてはいけない”と言う感覚があったのだ。 エイリアは知っているのだ。 そう言った、エックス、ゼロ・・そしてセイアは、絶対にその意見を曲げないことを。 その様子に、エイリアはとうとう折れた。 「・・・・わかったわ。でも・・これだけは持って行って頂戴。」 「えっ?」 パァァァァ セイアの身体を、蒼い光が包む。 そして・・光が晴れると共に、姿を現したのは、 純白の鎧。 「これは・・?」 見慣れない鎧に、疑問の声を上げる。 すると 「それはね、エックスがナイトメア事件の時に使った”ブレ-ド・アーマー”よ。 セイア・・あなたが寝ている間に、転送チップを取りつけておいたの。」 心なしか、自慢げに聞えてくるエイリアの声。 ユ-ラシア事件の際には考えられないことだった。 必要最低限のこと以外は話さない・・夢を見ることを知らない・・。 しかし、そんな彼女の心を溶かしたのは、紛れもない・・エックスとゼロだった。 「ブレ-ド・・ア-マ-・・か。エイリアさん、ありがとうございます。 でも・・僕もう行きますので・・切ります・・!」 「わかったわ。頑張ってね。」 エイリアは、そう言うと、静かに通信を切った。 第二話 「良し・・行くか。」 セイアは、そう決意を固めると、ゆっくりと・・慎重に洞窟に足を進めていった。 「暗い・・。」 歩くこと五分。既に光は見えなくなっている。 それでも、セイアの高性能アイ・カメラは、 辛うじて半径二m程度なら把握することが出来た。 そして、イザとなった場合、照明代わりになる特種武器又はラ-ニング技を発動すれば良い事なのだ。 そんな事を考えている間に、 一瞬にして辺りが照らされた。 敵の攻撃? ちがう・・。 松明だ。 いつの間にか四角い部屋に入っていたのだろう、 四隅に、赤い炎を灯した松明が備わっている。 そして・・セイアは、自分の真っ正面から感じられる、 凄まじいまでの殺気を認識した。 左腕をバスタ-にチェンジし、右手を肩のサ-ベルにかける。 立っていたのは・・真紅のモノアイ・・紫色のア-マ-。 そう、セイアをここに呼び出した張本人。 「ククク・・そう焦るな。 待っていたぞ?ロックマン・セイヴァ-。」 地獄の底から響くような低い声。 レプリロイドのモノアイがギョロリと動いた。 「貴様・・・兄さんはどこだ!」 セイアは、自らかけられた殺気を振りほどくかのように怒鳴ってみせるが、 レプリロイドは、怯む様子は無い。 それどころか、殺気は更にその鋭さを増していく。 「知りたければ・・オレを倒してみるんだ・・なっ!!」 !? レプリロイドは、声と共に素早く突進してきた。 その余りのスピ-ドに、セイアの反応速度は、ついていくことが出来なかった。 ドガァと言う衝撃が、セイアの身体を走る。 「ぐっ・・・。」 だが、それでもなんとか右手で受け止めることが出来た。 「ほぉ・・少しは出来るようだな・・。」 拳を離し、再び間合を取ったレプリロイド。 「・・何者だ・・!!」 痺れる右腕をプラプラと振り、 セイアは言った。 第三話 セイアは、右手を肩のサ-ベルにかけ・・。 ヴァイン 一気に引き抜いた。 エネルギ-収束時の独特の音と共に、 手にしたサ-ベルの柄に、蛍光色の光が宿る。 「クックック・・いい目だ・・。 いいだろう。教えてやる。俺の名は”VAVA”。」 VAVA・・一度だけエックスから聞いた名前。 伝説のROCKMANに対して、異常なまでの執着心があるという。 「過去・・貴様の兄・・エックスに二度・・二度葬られたことがある。 だが・・今のオレは違う。とある人物に復活してもらったのさ! オレは喜びに打ち震えたね・・。」 両手を広げ、見えない何かを掴むように、 空気中で両手を絡ませる。 「っ・・!」 「さぁな・・。だが・・オレはロックマン・セイヴァ-・・ 貴様に興味がある・・エックス以上にな!!」 先手を斬ったのは、VAVAの方だった。 肩のキャノンがセイアを狙う。 「くっ!」 避けられない。 右手で握りしめているサ-ベルで、 エネルギ-弾を斬り裂いた。 そして、予めチャ-ジしておいた左手のバスタ-を、 VAVAに向かって解放する。 ドッと、軽い衝撃と共に、蒼い閃光が、 一片の狂いも無くVAVAに向かう。 だが、本当ならば回避できるはずのVAVAは、一向に避けようとはしない。 ・・? 「甘いな・・。」 呟き、直進してくる閃光に向かい、右手の人指し指を突き出した。 そして・・弾いた。 「!?」 セイアは驚愕を覚えた。 自分の兄・・エックスでさえ、フルチャ-ジ・ショットならば、 避けることしか出来ない。 それを、エネルギ-で強化すらしていない人指し指で弾き返すなど・・。 「くそっ・・。」 これならどうだ!と言わんばかりに、大量にバスタ-を放つ。 大量に弾を散蒔いて、命中力・翻弄性を高めようというわけだ。 第四話 VAVAのモノアイが怪しい光る。 目の前には大量のエネルギ-弾が飛来しているのにも関わらず、 その眼は笑っているようにも見えた。 そしてバッと右手を突きだし、 キンキンキンキンキン その全てを弾き返した。 しかし、VAVAはいささか驚いた様にも見えた。 そして、セイアも少々の笑みを浮かべている。 「ほぉ・・。弾ききれなかったか・・。」 そう言うVAVAの左肩には、一発被弾した形跡が残っていた。 通常弾と言えど、威力が高かったのだろう、 肩ア-マ-は多少溶解してしまっている。 「だが・・今度はこっちから行くぞ!!」 VAVAの叫びと共に、セイアの視界から彼の姿が掻き消えた。 「なにっ?・・うぁぁぁ!」 対応しようとしたが既に遅かった。 背中に激痛が走り、前につんのめる形でバランスを崩してしまった。 だが、なんとか受け身を取り、直ぐ様突き出した左腕を軸に回転し、 後方へ向かってバスタ-を放った。 当てるつもりは無い、あくまで追撃を防ぐためだ。 案の定追撃は防ぎきった。 VAVAと言えど、途轍も無い速度で繰り出されるセイアのバスタ-を切り抜けながら、 更に攻撃を加えるというのは無理な話しだ。 そして、その間にバック転で直立の体制を整えたセイア。 準備は・・万全だ。 一瞬の沈黙・・そして。 「っ・・うぉぉぉ!!」 先に動いたのはセイア。 サ-ベルを引き抜き、凄まじい速度で突撃していった。 そして、大きく振りかぶる、一気に振り下ろす。 ・・外れた。 しかしセイアは諦めていない。 そのままの状態で更に横斬りを繰り出した。 VAVAは後方に跳躍し、それを躱したが、 サ-ベルの先端がVAVAのア-マ-を少々だが削り取った。 ドォォン 至近距離からの発砲。 VAVAが肩のキャノンを発射したのだ。 「っ!」 サ-ベルで叩き落とそうと試みたが、いかんせん速度が凄まじいため、 ヘルメットに掠り、その部分が溶解してしまった。 第五話 サ-ベルの柄を放り捨て、右手の拳を握った。 セイア得意の肉弾戦・・だ。 ドガガガガガ 途轍も無いスピ-ドで繰り出されるセイアのラッシュ。 それを残像すら残しながら回避していくVAVA。 「どうした!?貴様エックスと同等・・いやそれ以上だと思っていたがな! エックスならば、後三発は多く入れているぞ!」 ドガァ 回し蹴り。 見事にクリ-ンヒットし、セイアの身体は後方へ押し戻された。 「ハァ・・ハァ・・くそぉ・・。」 荒い息を整えながら、近くに落ちているサ-ベルを拾い上げる。 そしてエネルギ-を収束させ、構える。 「ふん・・そんな実力でエックスを助けられると思っているのか?」  ドクッ 「今のお前はエックスにもゼロにもなれない。」  ドクン 「所詮お前は紛い物だ!」 「・・けるな・・。」 「ぬ・・?」 「ふざけるなぁぁ!!」 セイアはサ-ベルを掲げ、猛スピ-ドで突進していった。 違う・・! 自分はコピ-なんかじゃない! それは・・自分が生まれてまだ一週間の時だった・・。 ズバァ トレ-ニング兼ハンタ-ランク測定マシンのホログラフを、 いとも簡単に真っ二つにしたセイア。 ビ- ハンタ-ランク・・SA 「ふぅ・・疲れた・・。」 トレ-ニング室から出、ア-マ-を外す。 すると、十七部隊の隊員の一人が走り寄ってきた。 「あの・・エックス隊長の弟さんの・・セイヴァ-さんですよね?」 「えっ?・・あっ・・うん。」 突然尋ねられ、しどろもどろになりながらもそう返した。 「凄いですね!生まれて一週間なのに、ランクSAだなんて。」 少々興奮気味に話す隊員。 セイアはポリポリと鼻の頭を掻いている。 すると、もう一人身体の大きいレプリロイドが歩み寄ってきた。 戦闘スタイルは恐らく接近型だろう。 強化のため大型化された両腕と、防御力の強さを物語る鎧。 「やめとけやめとけ!ソイツはエックス隊長とゼロ隊長のDNAで創られたんだ。 強くて当たり前だろ?」 「っ!?」 「良いよな?何の苦労もしないで最初から強いヤ・ツ・は。 まっ・・所詮エックス隊長とゼロ隊長のコピ-なんだから、 せいぜい平和を護ってくれや!」 そう言い残し、レプリロイドは去って行ってしまった。 そう・・セイアは一部のハンタ-達から、 異様なまでに忌み嫌われている。 エックスとゼロのDNAを持っているから・・。 強くて当たり前・・。 コピ-・・。 「あの・・セイヴァ-さん?・・あんなの気にしない方がいいですよ?」 「・・。」 「幾らエックス隊長とゼロ隊長のDNAを持っているからと言って、 それイコール強いとは限りませんよ。 それに・・セイヴァーさんはコピ-なんかじゃありませんよ。 エックス隊長・・ゼロ隊長よりも良い所は、セイヴァ-さん・・ 一杯持っている筈ですよ?」 「・・ありがとう・・。」 セイアはそう言い・・笑った。 そうか・・自分はコピ-なんかじゃないんだ・・。 自分は・・”自分”なんだ。 第六話 セイアの剣撃は、虚しくも空を裂いた。 VAVAは瞬間的に跳躍し、回避していたからだ。 しかし・・セイアの勢いは止まっていない。 突進の勢いをそのまま利用し、サ-ベルを上に向かって斬り上げ、 大きく跳躍する。 すると・・セイアのサ-ベルを灼熱の焔が包み込んだ。 「龍炎刃!!」 「なに!?」 空中では方向回避することが出来ない。 当然のごとく、VAVAの身体をサ-ベルの刃と、 灼熱の焔が襲った。 「ぐっ・・!」 怯み、落下していくVAVA。 セイアはその隙を逃さなかった。 「落綱刃!!」 サ-ベルをそのまま下に向かって構える。 一瞬の発光。 そして、セイアのサ-ベルは、鋼鉄の刃へと姿を変えた。 「ふん!」 しかし、着地すると同時に、VAVAは咄嗟に身体を横にそらした。 これでサ-ベルを突き立てられることは無い。 しかし・・甘かった。 「!?」 セイアの剣撃は、地面に突き立てられた。 その筈だ・・。 しかし、突然、VAVAの目の前に、鋼鉄のイカリが出現したのだ。 突然の出来事に、回避が間に合わず、 イカリによって、VAVAのア-マ-は削り取られた。 「メタル・アンカ-・・。」 サ-ベルを構え、セイアは呟いた。 VAVAは、削り取られた箇所を抑えながらも・・ 「ふっ・・フハハハハ!待ってたぜROCKMAN!!」 そう叫び、歓喜の笑い声を上げた。 ROCKMAN・・? セイアは何を言っているのか理解できなかった。 ROCKMAN? 自分の名前であるあの「ロックマン」の事だろうか・・? それとも・・? 「フハハハハ!!」 更に笑い声を強め、VAVAは肩のキャノンの乱射し始めた。 「うぁ!!」 激しい轟音と共に、辺り一面が煙で満たされていく。 「フ・・ハハ・・伝説も砕けちまったか・・?」 ピタリ・・と乱射を止め、静かに呟くVAVA。 しかし・・VAVAのアイカメラは、 何者かの途轍も無いエネルギ-を感知していた。 「うぉぉぉぉ!!」 一気に煙が晴れた。 それと同時に、右手に蒼い光を宿したセイアが、大きく飛びかかってきた。 「滅閃光!!」 第七話 セイアは、エネルギ-を帯びた右腕で、VAVAを殴り飛ばした。 本来、滅閃光は地面にエネルギ-を叩き付け、噴出させる技だが、 直接相手の身体に拳ごと叩き込むことにより、 より巨大なダメ-ジを与えることが出来るのだ。 「ハァ・・ハァ・・。」 先程から、ラ-ニング技を連発しているため、 当然疲労はある。 必然的に息は荒い。 しかし、それに反するかのように、VAVAはユラリと立ち上がった。 「ふっ・・なかなかの戦闘力だ。 前言撤回だセイヴァ-。だが・・まだオレには勝てない。」 身体にかかった埃を払い落としながら、VAVAは言った。 「まぁいい・・そろそろ殺すか・・。」 ヴァイン VAVAは、肩部から一本の筒を取り出した。 セイバ-の柄だ。 血のような真紅のエネルギ-が収束していく。 「ハァ・・ハァ・・疾風牙!!」 セイアはダッシュで突進し、サ-ベルを振った。 しかし、先程までのスピ-ドは無い。 剣撃は、いとも簡単に受け止められていた。 「くっ・・ぅぅ・・。」 思いきり押し込む・・が、 腕力ではあちらの方が上の様だ。 「ハァ!」 「うぁ!」 VAVAがサ-ベルを翻し、セイアを宙に放った。 そして自らも宙に飛び、蹴りを叩き込み、落下させた。 受け身はとったものの、今のダメ-ジは見た目以上に大きい。 「くっ・・・そぉ・・。」 (駄目だ・・バスタ-じゃ当たらない・・サ-ベルも無理だ・・。 なんとかして・・なんとかしてアイツの防御を崩さないと・・。 例えば・・アイツよりも出力の大きいサ-ベルでも作らないと・・。 ん?・・そうか!) 激痛が走っているというのに、セイアは冷静に思考を巡らしていた。 「いいのか?集中切らして・・隙だらけだぜ?」 見下すように歩み寄り、再び蹴りを打ち込む。 その威力に、数メートル吹き飛ばされたセイアだったが、 後方の壁に張りつき、受け身を取った。 ダメ-ジは・・浅い。 「ハァ・・ハァ・・うぉぉぉ!!」 地面に降り立ち、バスターを乱射する。 「そうだ!立ち上がってこい!!俺を満足させろ!!」 バスタ-の雨を余裕で躱し続けながら、VAVAは声を上げる。 そう・・まるで・・鬼。 「フハハハ!!」 サ-ベルを構え、突進してくるVAVA。 だが、セイアはこの時を待っていた。 相手から接近戦をしかけてくるこの時を・・。 「っ!!」 バスタ-を解除し、右手を前に突き出す。 その手には、しっかりとサ-ベルの筒が握られている。 ガシュ 再びセイアの右腕がバスタ-に変形した。 そして、握られていたサ-ベルの柄が、 バスタ-の銃口内に収納された。 「死ねぇぇぇ!!」 VAVAはサ-ベルを大きく振りかぶった。 「勝つのは・・僕だぁぁぁぁ!!」 その瞬間・・二つの影が交差した。 第八話 次の瞬間・・その場に立っていたのは、 純白のア-マ-に身を包んだ少年・・ロックマン・セイヴァ-だった。 そして、対するVAVAは・・。 「バ・・カ・・な・・。」 上半身と下半身は無残に生き別れになり、地面に散まかれていた。 VAVAを斬り裂いたものは・・。 ヴゥゥゥンと、独特のエネルギ-収束音を響かせながら、 セイアの銃口から発生している蒼い閃光・・。 レ-ザ-・ブレ-ドだった。 元々、ブレ-ド・ア-マ-はナイトメア事件時に、 ゼット・セイバ-を使用していたエックスに合わせ、 謎の老人が開発したものだ。 ビ-ム・サ-ベル自体をバスタ-と同化させ、 出力自体を共同体にする事により、より出力の高い光剣を作り出せるのだ。 「RO・・CKMA・・Nは・・オレ・・が・・。」 VAVAは先程から同じことを繰り返し呟いていた。 まるで何かに取り憑かれた様に・・。 「死ぬ前に言え!!兄さんはどこだ!!」 ブレ-ドを消し去ったバスタ-を向け、叫ぶ。 「クッ・・クク・・オレを倒しても・・もう・・遅い・・。 貴様も・・エックスも・・。」 しかし、その最後の言葉を口にする前に、 VAVAのモノアイの光は消えうせていた。 「っ・・くそ・・。」 小さく舌打ちをし、立ち上がると、あることに気がついた。 先程まで、戦闘に夢中で気がつかなかったが、 セイアの目の前には、巨大な扉があった。 扉には、掠れた文字で”W”とペイントされていた。 W・・なぜかはわからないが嫌な感じがする。 「まさか・・。」 この先だ。 妙な確信感を抱いたセイアは、ゆっくりと扉に歩み寄った。 軽く手で押してみる。 当然ながら開くことはない。 ある意味、この扉は最強の門番だろう。 知恵や勇気だけでは絶対に潜り抜けられない。 特殊合金製と思われるこの扉。 しかしセイアには、知恵と勇気・・そして、 この扉を開くだけの力がある。 ズバァ 瞬間的にレ-ザ-・ブレ-ドを発生させ、 左から右に掛けて、真っ二つに斬り裂いた。 パカァァンと乾いた音がした。 「よしっ!」 セイアは、フッと笑みを浮かべると、 ゆっくりと足を進めていった。 第九話 真っ暗な空間に、カツカツと足音だけが響き渡る。 あの扉を潜ってから、どれだけ時間が経ったのだろうか? 数時間? 数日? ひょっとしたら、まだ数分も経っていないのかもしれない。 それだけ、目の前の闇は、セイアに多大なプレッシャ-をかけている。 「ん?」 セイアは足に違和感を覚えた。 まるで金属を蹴り飛ばした様な、堅い感触がする。 「なんだろ?んっ!?」 疑問符を浮かべると、辺り一面がライトに照らされた。 暗闇に慣れた目ではキツイ。 反射的に目を伏せてしまった。 「・・・・?」 程なくして目が慣れたのか、セイアは顔を上げた。 すると、目の前には・・ 「セ・・イア・・?」 「・・兄さん・・!!」 目の前には、色取り取りのコ-ドで雁字搦めにされた、 セイアの兄、エックスの姿があった。 恐らく、エックスを縛りつけているコ-ドは、 レプリロイドのア-マ-の運動プログラムに侵入し、 本人の意思では動くことすらままならなくされる、 特殊型のコ-ドだろう。 「良かった・・今助けるから!」 「待てセイア・・来ちゃ・・駄目だ・・!」 エックスの言葉を尻目に、セイアは小走りでエックスに走り寄った。 しかし、ガシャと言う音がし、 セイアの足元から、トラップと思われる柱が出現した。 「なに?うぁぁぁぁ!!」 高圧電流だ。 しかも、あのセイアを動けなくさせるほどの電流・・ 300万Vは下らないだろう。 「セ・・イア・・!!」 目の前で悲鳴を上げる弟を助けようと、エックスは必死になってもがくが、 特殊型コ-ドの前では、あのエックスですらただのレプリロイドに過ぎなかった。 「うぁぁぁぁぁ!!」 VAVAとの闘いで、かなり体力が落ちているセイアにとって、 この電流は途轍も無い強敵だった。 第十話 「くそぉ・・セイアぁ・・。」 「ぁぁぁぁ!!」 どうすればいいんだ・・。 エックスはそう思い・・俯いた。 ヒュンと言う、ワ-プ装置の音が聞こえた。 顔を上げると、目の前には、黒い閃光が差し込んでいた。 そして、それと共に現れたのは、 漆黒のア-マ-に、沈んだ金長髪の青年型レプリロイド。 「・・ゼ・・・ロ・・?」 そう、エックスには見覚えがあった。 色彩などは大幅に変わっているが、 その怖いくらいの美貌、肩に刺さったビ-ム・セイバ-は、 間違いなくユ-ラシア墜落事件時に行方不明となった、 彼の親友”ゼロ”のものだった。 「・・・・・。」 ゼロと呼ばれた青年は、ゆっくりと肩のセイバ-を抜いた。 そして、小さくだが口を開いた。 「貴様か・・ロックマン・エックス・・貴様を・・殺す!」 静かな圧力。 その台詞は、エックスの心に衝撃を与えには充分すぎるほどだった。 「ゼロ・・どうして・・?」 ゼロはセイバ-を振りかぶった。 そして・・蛍光色の刃が振り下ろされた。 ・・・・・? 反射的に目を瞑ってしまったのだろうか? エックスの視界は闇しか映していない。 それとも・・頭部を一撃でやられたから・・? もう自分は死んでいるのだろうか? エックスは、生きていようがいまいが、 とりあえずだが、眼を開いてみた。 辺り一面白い金属の戦闘室。 そこは、天国や地獄などと言う、飾られた場所ではなかった。 そして、目の前には、純白の鎧を来た少年が、 荒い息遣いで、黒い鎧を着た青年と対峙していた。 自力で抜け出したのだろうか? 先程までセイアが捕まっていたトラップは、粉々に粉砕されていた。 「ハァ・・ハァ・・あなたが・・ゼロ・・兄さん? どうして・・?どうして兄さんを殺そうとするんですか!!」 ブレ-ドに力を込め、強引にゼロを後方へ押し戻した。 「ふっ・・まぁいい。ロックマン・セイヴァ-。 まずは貴様からだ・・!!」 ゼロはそう叫び、猛スピ-ドで突進してきた。 「疾風!!」 第十一話 辺り一面にビ-ム同士が擦れ合うイオン臭が漂う。 なんとか疾風を天空覇で受け止める事が出来た。 しかし、今のセイアにはそれが精一杯だった。 「く・・くぅ・・。」 バッと、ブレ-ドを横に流し、体制を整えるが、 「ちっ!雷神撃!!」 ゼロはすかさず電気の突きを放ってきた。 素早く屈み、突きを躱す。 そして、そのままブレ-ドを押し上げ、バックステップで間合を取った。 「うぉぉ!!」 ドドドドと、バスタ-を乱射していく。 遠距離なら分がある。 「なかなかやるな。だがっ!!」 ゼロは、バスタ-の雨を潜り抜けつつ、セイバ-を上から下に掛けて大きく振った。 すると、セイバ-の刃から、蛍光色のエネルギ-波が放たれた。 そう”電刃零” 「うぁ!!」 正面から受け止めてしまったセイアのア-マ-に、 無残な傷跡が残った。 なんとかエネルギ-の余波を地面に叩きつけ、消滅させたが。 もう一度あれを受けるようなことがあれば、ただでは済まないだろう。 「くそ・・喰らえぇ!!」 瞬間的チャ-ジし、放った。 「電刃零!」 再びエネルギ-波が放たれた。 蒼い閃光と、蛍光色のエネルギ-波が空中で激突した。 ギリギリと押し合う二つのエネルギ-。 しかし、数秒後、電刃零がバスタ-を突き破り、再びセイアにその牙を剥いた。 出力的には同等だったであろうが、 鋭利に収束された電刃零と、ただのエネルギ-の塊のバスタ-では、 出力が同じだろうと、実戦では差がでてしまうのだ。 「っ!!」 素早く躱したつもりだったが、 左肩ア-マ-に掠ってしまい、カラァンと言う乾いた音と共に、 ア-マ-の一部が斬り裂かれた。 「ふっ・・もう終わりか?」 セイバ-を構え、一つ鼻を鳴らすゼロ。 「くそ・・。」 (どうすればいい?電刃零に打ち勝つには・・。 バスタ-じゃ押し合っても勝てないし・・きっとブレ-ドも届かない。 なんか電刃零にそっくりな技でも出せれば・・!) 「来ないのか?ならば喰らえ!!」 三撃目の電刃零が放たれた。 どうする? バスタ-で迎撃する事は不可能だ。 ブレ-ドで受け止めたとしても追撃が来る。 ならばどうする? 答えは簡単・・自分も電刃零を撃てばいい。 しかし出来るのか? 「ちっくしょぉぉぉ!!」 セイアは半ばヤケになりながらも、 レ-ザ-・ブレ-ドを左から右へ掛けて大きく振った。 第十二話 同時刻 ハンタ-ベ-ス ベ-スの総司令室では、総監であるシグナス、 オペレ-タのエイリア、そしてゲイトが集まっていた。 「・・・と言うわけ・・。セイアはたった一人でエックスの救出に向かったわ。」 エイリアは、今までの全ての報告をシグナスに伝えていた。 数時間前のイレギュラ-との戦闘。 その直後のエックスの捕獲。 フロンティア学園への謎の敵の襲来。 たった一人で救出に向かったセイア。 「うむ・・。で?セイヴァ-からの報告は?」 「無いわ。・・ねぇゲイト?セイア・・たった一人で大丈夫かしら?」 エイリアは、心配そうな眼差しをゲイトに送った。 大丈夫かしら? それは、ユ-ラシア墜落事件時の彼女からは考えられない台詞だった。 考えは全てデ-タで割りきり、”夢”と言う感情を知らなかった彼女。 しかし、彼女が変わり始めたのはナイトメア事件の時からだ。 最終決戦を終え、ボロボロになったエックス。 彼は、この事件の元凶であり、シグマを蘇らせた張本人であるゲイトを、 その持ち前の優しさで許し、連れ帰った。 その行動がなぜだか嬉しかった気がした。 ゲイトの創ったレプリロイド達を、命令のまま処理し、命を絶った。 その報告を聞いたときのゲイトの顔が忘れられなかった。 それと同時に、彼に対する罪悪感も・・。 だが、エックスがゲイトを連れて帰ってきてくれた事によって、 彼に対する罪が許された気がした。 だから・・今まで必死に封じ込めていた感情を、 表に出すことが出来るようにもなっていた、 「はは。大丈夫だよ。セイヴァ-・・いやセイアはそんなに弱い奴じゃない。 なんせ・・あのエックスとゼロの弟だよ? それに・・。」 「それに?」 自身ありげに話す彼に、エイリアは問いかけた。 「あの子には、あの子も知らない能力《ちから》がある。」 「・・ゲイト君・・それはなんだ?」 シグナスは問う。 「・・”X・ラ-ニングシステム”だよ。」 「「X・ラ-ニングシステム?」」 エイリアとシグナスの声が重なった。 「そう・・ゼロが持ってる、ゼロ・ラ-ニングシステムを知ってるだろう? それにエックス君の特種武器システムを上乗せしたんだ。 その理論は研究員時代から必死になって解析して、 完璧とまでは行かないけど、解析することが出来たんだ。」 「それで・・その能力って?」 「うん・・ゼロは闘った相手の技を修得して使用する。 エックス君は倒した相手の武器ユニットチップを使って、特種武器を使う。 それを上乗せしてみたら、 どう言う効果が働いたのかは知らないけど、 一目見た相手の技を即座に修得する事が出来るようになったんだ。」 第十三話 ゼロは信じられない・・と言った表情を作った。 先程自分が放った電刃零。 それに対する回避手段が無いセイアは、成す術もなく斬り裂かれたと思っていた。 しかし・・違った。 セイアは、半ばヤケになりながら、ブレ-ドを横に振った。 するとどうだ? レ-ザ-・ブレ-ドから、電刃零そっくりのエネルギ-波が放たれ、 自分が放った電刃零を掻き消し、自分のメットを吹き飛ばしたのだ。 そう・・これこそ、ゲイトが開発した”Ⅹ・ラ-ニングシステム”だ。 「ハァ・・ハァ・・出来た・・!!」 ブレ-ドを構えたまま、セイアは呟いた。 どうやったかなんて覚えていない。 ただなんとなくやったら出来てしまったのだ。 しかも、まぐれではない。 まぐれで出たと言うよりも、自分で出した感覚がしっかりとあったからだ。 「セイ・・ア・・ゼロ・・どうして・・?」 朦朧とする意識のなか、エックスは二人の闘いを見守っていた。 なぜ、弟と親友が闘わなくてはならないのだろうか? 目からはいつの間にか涙が流れていた。 「電刃Ⅹ!!」 叫び、再びエネルバ-波を放つ。 「調子に乗るなよ?真月輪!!」 ゼロの声は怒気を孕んでいる。 構えた左腕のバスタ-から、月型のエネルギ-波が三発。 そのエネルギ-波は、いつも簡単に電刃Ⅹを掻き消した。 「うぉぉぉ!!」 打ち消そうと、バスタ-を連続的に打ち込むが、 やはり全て弾かれてしまう。 完全に間合に入ってしまった真月輪を、なんとかレ-ザ-・ブレ-ドで斬り裂き、 消滅させた。 しかし、ゼロがこの隙を逃すわけなど無かった。 「真・滅閃光!!」 「なっ!?うぁぁぁぁ!!」 ゼロは、エネルギ-を帯びた拳を、思いきり地面に叩きつけた。 それと同時に、セイアの足元から、強力なエネルギ-波が噴出し、 セイアを包み込んだ。 「ふっ・・終わった・・。」 セイアが”呑み込まれた”事を確認し、ニヤリと笑ったゼロ。 しかし・・ヴィィィンと言うエネルギ-充填時独特の音が響いた。 ドォォン 「わけがないか・・。」 後方から放たれたバスタ-を躱し、ゼロは笑った。 「ハァ・・まだ勝負は・・終わっちゃいない!!」 セイアのア-マ-は大破していた。 所々に斬り裂かれた跡があり、 今の攻撃によって、ほぼ全てが溶解してしまっている。 もはやブレ-ド・ア-マ-は、レ-ザ-・ブレ-ドを発生させることしか出来ない、 鉄クズと化していた。 第十四話 「ハァ・・ハァ・・喰らえぇ!!」 ヴァィン セイアのバスタ-から、蒼い閃光が剣状に発生した。 思いきり地面を蹴り、ゼロに斬り掛かっていく。 しかし、ゼロはこんな単調な技を受けるほど甘くはなかった。 上から押さえつける形のレ-ザ-・ブレ-ドと、下から斬り上げる形のゼット・セイバ-が、 ギリギリと音を立てて押し合っている。 「っ・・・ぅぅ・・。っ!!」 「ちっ!!」 これ以上押し合っても無駄。 そう悟った二人は、同時に後方へ跳んだ。 「電刃零!!」 「電刃Ⅹ!!」 ドォォン 同時に放たれたエネルギ-波。 空中で激突したそれは、全くの同威力だった。 凄まじい余波を残しながら、その場で砕け散った。 「お次はコイツだ!真月輪!!」 ゼロが吠えた。 セイアに向けたバスタ-から、月型のエネルギ-波が数発発射された。 これではバスタ-で迎撃することも、電刃Ⅹで打ち消すことも出来ない。 しかし、セイアの目は決心を抱いていた。 「はぁぁ!!フルム-ンⅩ!!」 叫びと共に、既にチャ-ジしていたバスタ-を、 ゼロに向けて発射した。 だが、発射されたのは、いつものエネルギ-の塊では無かった。 そう・・放たれたのは、真月輪を思わせる月型のエネルギ-だったのだ。 相殺・・相殺・・フルム-ンⅩが真月輪を突き破った。 「うぉぉぉ!!」 間髪入れずにバスタ-を乱射する。 完全に互角だ。 このまま戦い続ければ、恐らく共倒れになるのが落ちだろう。 なんとかして、必殺の一撃を打ち込まなければ、 お互いに勝ち目は無い。 第十五話 「ハァ・・ハァ・・くっ・・。」 「はぁ・・はぁ・・。」 お互いに息が荒い。 どうすればいい? セイアは必死に思考を巡らせた。 どうする? チャ-ジ・ショットでも到底威力が足りない。 だからと言い、レ-ザ-・ブレ-ドでの接近戦は、 ゼロの思う壺だ。 どうする? どうすればいい? 「フッ・・ハッハッハッハ!!」 ゼロは笑い声を上げながらセイバ-を頭上に掲げた。 ヴィィン すると、ゼロのセイバ-が、その出力を大幅に上げ始めた。 「幻夢零・改・・受け止められるかな?セイヴァ-・・。」 「っ!!」 幻夢零・・一度だけエックスから聞いたことのある技。 ゼロの総てのエネルギ-を込めた最大奥義だと聞く。 そして、それを受ければ、例えアルティメット・ア-マ-装備時の自分でも、 ただでは済まないと・・。 「喰らえ!!」 セイバ-は振り下ろされた。 と、同時に電刃零の数十倍の出力を誇るであろう、 巨大なエネルギ-波が放たれた。 逃げ道は・・無い。 (頼む・・残ってる総ての力・・出しきらせてくれ!) 「っ・・おぉぉぉぉぉ!!」 セイアは叫んだ。 まるで総ての力を絞りきるかのように。 すると、セイアの身体を蒼いオ-ラが包み込んだ。 そう・・セイアは、知らず知らずの内に、ブレ-ド・ア-マ-のリミッタ-を解除し、 真の力を引き出したのだ。 「くぅぅぅぅ!!」 燃え上がるオ-ラを携え、 セイアはレ-ザ-・ブレ-ドを発生させた。 「なに!?」 スバァ そして、自身に向けて放たれた巨大なエネルギ-波を、 左から右へ掛けて斬り裂いた。 「ゼロ兄さん・・いや・・ゼロ!! 兄さんを殺そうとするなんて・・貴様なんか・・ゼロじゃない!! 許さねぇぇぇぇ!!」 そして、そのまま最大出力の電刃Ⅹを放った。 「なにぃぃぃ!!?」 そして、その凄まじい弾速に反応すら出来ず、 ゼロは電刃Ⅹによって、真っ二つに斬り裂かれた。 「おぉぉぉぉぉ!!」 だが、セイアはこのままでは済まさなかった。 予めチャ-ジしておいた左腕のバスタ-を向け、 思いきり解放した。 第十六話 「ハァ・・ハァ・・勝った・・!!」 ガクッと膝を突く。 すると、今までセイアを包んでいたオ-ラと共に、 レ-ザ-・ブレ-ドはその姿を消した。 だが、休んでなどいられないことは、 セイア自身がよく分かっている。 ヨロヨロと立ち上がり、 未だコ-ドに捕らわれているエックスに歩み寄っていく。 「兄さ・・今・・助け・・。」 「セイア・・すまない・・。」 セイアは、多少乱暴にコ-ドを素手で引きちぎった。 転げ落ちたエックスは、ハァハァと息を整えながら、 ゆっくりと立ち上がった。 「ハァ・・ハァ・・セイア・・すまない。ありがとう。 ・・・・助かった。」 エックスはそう言ってニッコリと笑った。 「う・・ん・・ぅ・・。」 エックスの笑みを見て、何故だか涙が溢れてしまう。 そして、流れる涙を拭おうともせず、 エックスの胸に顔を埋めた。 「う・・兄さ・・僕・・。」 涙のせいで声が掠れ、うまく喋ることが出来ない。 「あぁ・・わかった・・。怖かったろ? ごめんな・・。」 エックスは、泣きじゃくる弟をただただ抱き締めるだけだった。 数分後 ようやくセイアは落ち着きを取り戻した。 エックスにVAVAとの戦闘の一部始終を話すと、 「そうか・・やっぱりVAVAだったか・・。 そして黒いゼロ・・やっぱり何かあるな・・。」 「うん・・。」 「セイア。お前は帰れ・・俺は全てのケリをつけてから帰る。」 そう言い、部屋の隅にある扉を指さしたエックス。 その扉には、先程のモノと同じ、 ”W”の文字が無造作にペイントされている。 「なっ・・また兄さん一人で行くって言うの? 嫌だ!そんなの・・。嫌だよ・・ また・・一人になるなんて・・。」 そう言ってセイアは俯いた。 やはり寂しかったのだろうか? それを見たエックスの表情は、一瞬だけ緩んだ。 しかし、 「ありがとな?セイア。 けど駄目だ。さっきまでの闘いで随分ダメ-ジがあるだろう? そんな身体で何が出来る?おとなしく帰るんだ。」 困ったような表情で、セイアの肩に手を置くエックス。 これ以上弟を巻き込むわけにはいかない。 エックスの目は、そう言っているような気がした。 「ガ・・カガ・・・セイア?聞える・・?」 「えっ?」 突然のノイズ混じりの通信。 そりれは紛れなく、エイリアからの通信だった。 セイアは、通信機が搭載されているメットの耳部を、 軽く手で抑えた。 「あっ・・はい。こちらロックマン・セイヴァ-。 エイリアさんですか?」 「ガ・・良かった。通信繋げるの苦労したのよ? それで?エックスは救出出来たの?」 「こちらエックス。エイリアか? 大丈夫。俺は無事だ。セイアのお蔭でな。」 大分焦っているエイリアの様子に、苦笑しながらエックスは答えた。 「良かった・・さ、早く帰還して?みんな心配してるわよ?」 それを聞いたエックスは、フッと寂しそうな笑みを浮かべた。 「エイリア・・すまない。俺にはまだ任務が残ってる。 先らセイアを還すから・・。こいつ、大分ダメ-ジが大きい。」 「まだ闘うつもりなの?」 「あぁ。」 「だったら、セイアの連れていけばいいじゃない。 この子、あなたが思っている以上に強い子だから。」 それを聞いたセイアは、エックスに「してやったり」と言ったような笑みを向けた。 「でも・・ダメ-ジがデカい。」 「あら?それなら心配無いわよ。」 笑ったようなエイリアの声。 それと同時に、セイアの身体を蒼い光が包み込んだ。 そして、光が晴れると、そこには大破したブレ-ド・ア-マ-に代わって、 新たに純白のア-マ-が搭載されていた。 「フォ-ス・ア-マ-・・?」 「そう。壊れたなら換えればいいでしょ? 感じはどう?セイア。」 「わぁ・・なんだか凄くしっくりきてます。」 見慣れないア-マ-に、目を輝かせながら、 セイアは笑顔でそう返した。 「そう?これでも駄目かしら?エックス。」 「う・・ん・・仕方ないな・・。」 「・・クスッv。だって、セイア。」 「うん!」 エックスはやれやれと両手を上げた。 この頑固さは・・どっちに似たんだろう? 「よし!行くぞ、セイア・・ いや・・第十七精鋭部隊隊員、ロックマン・セイヴァ-!」 「了解!隊長!!」 エイリアは、その会話をきき、 再びクスリと笑うと、ゆっくり通信を切断した。 次回予告 ついに兄さんを助けることに成功した。 でも・・本当の闘いはこれからだ! 一体、この先で、何が僕達を待ってるんだろう? いや・・何が待ってたって、僕達は負けないぞ! 次回「ロックマンXセイヴァ-第参章~過去~」 「必ず・・帰ってくるさ・・。」

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