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「ねぇ、響子さん。気持ちいい?」 「……え、えぇ」 そう彼女に尋ねてから僕は再び左の乳首に顔を近づける。 歯を立てないよう甘く噛んで母乳を飲むような真似をして吸い付く。 「ん、んんっ……!」 一方で右の乳房は手でリズムよく捏ね回していく。 でも――。 「く、ふぅ……んっ!」 響子さんの感じ方はどこか苦しそうな様子だったりする。 さっきから反応もワンテンポ遅れる感じだし、もしやと思って愛撫を再び中断する。 「……響子さん、ちょっといいかな?」 「あっ、誠くん……」 四つん這いでベッドを這うようにして押し倒した彼女と目線を合わせる。 そして額同士をくっつけて直に体温を調べてみることにした。 「……やっぱり。少し熱があるね?」 「き、気のせいよ。あなたの思い過ごしじゃないかしら?」 「……響子さん」 首をユルユルと振って彼女の反論に聞く耳を持たないようにする。 「僕を甘く見ないでほしいな。響子さん直伝の観察眼だもん、間違いないよ」 「大丈夫だから誠くん、続けて」 「……怒らないからさ、正直に教えて? どうして僕に体の調子が悪いことを黙ってたの?」 「…………」 本当は僕に隠し事をするなんて――って悲しい気持ちだけど、ここはその気持ちを我慢して諭すように聞き出す。 すると響子さんは僕の視線に耐えられなかったのか、目を逸らしながらも口を開くのだった。 「……あなたのガッカリする顔を見たくなかったの」 「そっか……。でも、僕ばっかり気持ち良くなって響子さんが辛そうなのはちょっと嫌かな」 「……ごめんなさい。嫌いになった?」 「そんなことない。仮にエッチを拒まれても響子さんのこと、嫌いになるわけないじゃないか……」 本当のことを打ち明けてくれてありがとう、その意味を込めて彼女の顔にキスの雨を降らせる。 「んっ……んっ、んふっ、んっ、んんっ」 「んっ……んぁ、んっ……んっ、んむっ」 最後は額にキスをして、ゆっくりと響子さんの身体から離れる。 そしてベッドの脇に脱ぎ捨てるように置いてあった部屋着のTシャツを彼女に渡す。 「今日はもう休もっか?」 「あなたはそれでいいの……?」 「うん。エッチは次の機会までのお楽しみとしてとっておくよ」 「そう……。その時は今日のお詫びを兼ねてうんと気持ちよくさせてあげるわ」 「ありがとう。期待しているよ……」 タオルケットを引き寄せ、胸元の高さまで掛けてから横になる。 「……おやすみ。しっかり寝て、少しでも早く体調を整えてね」 「えぇ、おやすみなさい……」 耳元で囁くように"誠くん、ありがとう――"と聞こえた。 彼女の安らぎに満ちた声に頬を緩めながら僕は眠るのであった。 ――――― 「どう? 誠くん、気持ちいい?」 「んぁ……ん、気持ち、いいよ……」 僕の悶える声に満足したのか、響子さんは頭を起こして僕のペニスを真っ直ぐに咥えてくる。 「すふ、すふ……んむ、んっ、んっ……」 そして僕の分泌したカウパーと彼女の唾液に塗れたペニスがねっとりと再びしゃぶられるのであった。 前回の一件から"お詫び"を兼ねた響子さんのご奉仕的なエッチ。 僕は先ほどから成す術もなく蕩けてばかりだった。 このように先に口で迸らせて落ち着いたと思ったけれど、僕の上に跨った彼女に翻弄されっぱなしだった。 僕が響子さんの気持ちいいところを知っているのと同様に、彼女も僕が弱いところを知っていて的確に攻めてくるのであった。 そのまま魂まで抜かれるんじゃないかと思うほどの絶頂を迎えさせられた。 インターバルを挟んで再び響子さんのお口で気持ちよくなっているところだった――。 「響子さん、そろそろ……」 「んっ、待って……。私が付けてあげる」 そう言って響子さんは枕元に忍ばせていたコンドームを一つ取り出し、ビニールの包装を破る。 口にスキンを含ませたら僕の先端に口付け、そのまま―― 「うっ、あぁ……」 「ん……んっ……んぅ……ぷぁ、ふぅ」 喉まで飲み込むように咥えこみ、スキンの巻かれた皮膜がなくなるとゆっくりと顔を離した。 そして指先でつついてうまく装着できたか確認する。 「……苦しくない?」 「うん、大丈夫だよ。ありがと、響子さん。とっても気持ちよかったよ」 「そう……」 「だから、僕の方からお返しで」 やられたら倍返し、もちろん良い意味で。 僕は響子さんに覆いかぶさり正面正常位の体勢となる。 片手でペニスを触り腰の位置を確かめる。 亀頭がぬらりと濡れた粘膜の窪みに触れると、響子さんも腰を曲げて迎え入れる姿勢になった。 「いくよ、響子さん……」 「きて、誠くん……ん、んんっ!」 響子さんの腰の奥深くに自分の体を埋め込む。 身体の芯までとろけてしまいそうなぬくもりに、ココロもカラダも溶けてしまいそうだ――。 「はあっ、はあっ……あ、くっ、んんっ……!」 「あぁ、はぁ……あんっ、あぁ、あ、あっ……!」 響子さん、好きだよ。 大好きだ――。 愛してる――! 独りよがりにならないよう、そんな言葉を言おうと思ったけど口から出るのは言葉ではなく只の快楽に浸る声。 ココロとカラダを満たす目的で響子さんとエッチをしているのに僕は貪るように腰を動かすだけだった。 そこに彼女を悦ばせる技巧はない――。 そこに蕩けさせる睦言もない――。 いつも二人で気持ちよくなろう――なんて言っておきながら、自分勝手にしてゴメンね。 心の中で詫びていると響子さんの両手が僕の背中に廻り、両足が腰を抱え込む。 その体勢で僕の動きに合わせるようにして下側から跳ねるように腰を振り上げてきた。 瞬間、目と目が合った。 「すふ、すふ、んむ……。んっ、んっ……!」 「ん、んむ、んっ……んふ、んふ、んふ」 磁石に引き寄せられるように僕らは唇に吸い付きながら腰を振ると、途端に蜜壷の締め付けが強くなる。 言弾がなくても意思が疎通できるような関係――。 見つめ合うだけで相手のことが手に取るようにわかるエスパーみたいに、僕らはお互いが何を考えているかわかるような気がした。 髪を撫でてほしい――。 おっぱいを揉みながら動いてほしい――。 思いっきりギューって抱きしめてほしい――。 響子さんの瞳を見つめてはそのようなおねだりが浮かび、リクエストに応えていった。 その度に響子さんは嬉しそうに頬摺りをし、嬌声を上げて反応してくれた。 「ああっ! あああああああっ……!!」 「くううっ……!! うっ! あぁっ……!」 そして最後は全身に電撃が走ったかのように、おとがいからつま先まで弓なりに仰け反らせて僕を包んでいた柔肉が収縮する。 包み込む動きから搾り上げるような粘膜の蠢動に耐えきれず、たちまち僕は絶頂を迎えるのであった。 搾り取られてもなお、柔肉が絡みついてくる快感に頭が真っ白になりそう。 「はあっ、はあっ……あ、くっ、んんっ……はぁっ」 「ん、んんっ……!」 全身を強張らせていた響子さんが溜め息を吐きながら身体を弛緩させると粘膜の収縮が緩む。 ようやく僕も全身の力を抜いて、ほっと一息吐くことが出来た。 響子さんの隣に倒れこむようにして横になる。 真上から体重を掛けないようにしたつもりだったけど、実際は押し倒したような格好だった。 「……はぁ、はぁ。……誠くん、ちょっといい?」 「ん……? どうしたの、響子さん……?」 汗で額に貼りつくような前髪を梳きながら余韻に浸っていると、響子さんが徐に尋ねてくる。 でも瞳を覗けば何を聞きたいのかっていうのがわかる気がしたので、当てずっぽうで聞いてみることにした。 「どうして自分のしてほしいことがわかったのってことでしょ?」 「えっ? ……よくわかったわね」 「…………エスパーだから?」 「えっ、やっぱり本当だったの?」 「冗談、ただの勘だって……。響子さんの目を見ていたらそんなイメージが湧いてきたんだよ」 「失礼ね……。私まで誠くんみたいにバカ正直な人じゃないわ」 プイっと僕の方を見ないように顔を背けて拗ねる仕草がどこか子供っぽく見えてしまう。 下手に笑ってしまったら悪化の一途を辿ってしまうので、父親が子供を諭すような気持ちで接するようにした。 「そんなに怒らないで……。大好きな人の気持ちが手に取るようにわかるってこんなに嬉しいことだったんだね」 「……どういう意味?」 「響子さんの喜ぶ顔がたくさん見られてすっごく幸せなんだよ? そう考えると響子さんって、ずっと僕の考えていることを筒抜けにしているからずるいと思わない?」  「それは……あなたがバカ正直じゃなければいい話じゃない。……でも、それって私の好きな誠くんじゃないかも」 「そうかも。だからエッチの時だけでもいいからさ、響子さんもバカ正直になってみてよ? もっと響子さんを気持ちよくさせるために僕も頑張るから!」 「でも、私だけ気持ちよくなっていいことなの……?」 「あ、ごめん……。僕もいつも以上に素直になって、二人でもっとココロとカラダを満たしていこう。ね?」 スキンの後片付けをしたらどちらともなく身を摺り寄せる。 響子さんを抱き寄せ、言葉もなくただ抱き合ってみる。 言葉がなくても今の僕らは何でも分かり合える気がしたのだった。 ――響子さん限定でエスパーになれた気がした。 END

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