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「ぱんぱかぱーん♪さあて、クロが決定されました。お・し・お・き・をはじめま~す」 最早見慣れた採決の図と、聞き慣れた絶望の断末魔。 ボクにも、隣の彼女にとっても。 そして、最後の処刑が終わった。 「あーおもしろかった。え~と、これで残るはキミ達二人だけだねえ。あっ、てことは、後は殺す人と殺される人しかいないんだね~」 何がおかしいのか、モノクマはぴょんぴょんと飛び跳ねながら笑う。 「うぷぷぷぷ……さあていよいよ切羽詰まって来ました。この恐ろしい惨劇の幕引きとはいったい?次回『絶望の果てで愛を叫んだケダモノ』乞うご期待~♪」 言うだけ言って、モノクマはさっさと引っ込んで行く。 その姿を、特に感慨も無く見送っていた。 「苗木君、行きましょう」 傍らの舞園さんが声をかけてくる。 その顔には、今しがた起こった惨劇など無かったかのように、朗らかな微笑みが浮かべられていた。 「そうだね」 エレベーターに乗り、地下裁判所を後にする。もう此処へ来ることもないだろう。 「今日はどちらにします?」 「昨日はボクの部屋だったし、今日は舞園さんの部屋がいいかな」 「ふふ。わかりました。それじゃあ食堂に寄ったら戻ろっか」 恋人がそうするように、差し出された手に指を絡める。 もう誰に憚ることもない。 この学園に残った生徒は、ボク――苗木誠と、舞園さやか。二人だけなのだから。 舞園さやかEND【euthanasia】 誰かを殺さなければ出られない。 殺した誰かを殺さなければ殺される。 この狂ったルールが支配する学園の中で、ボク達が選んだのは――穏やかな退廃だった。 次々と誰かが殺され、そして殺した人間が裁かれていく中、ボク達は捜査をすることもせず、ただ二人寄り添い続け、お互いを貪り続けた。 共に閉じ込められた仲間達――いや、元仲間だった皆は、そんなボク達に批難と嘲笑を浴びせた。 それでも事件が起これば、十神君や霧切さんが解決する。ボク達はただ皆の決定に乗るだけで良かった。 しかし、そんな彼らも――生きようともがき続けていた彼らも、一人、また一人とこの学園の絶望に飲み込まれていった。 セレスさん…… 今はもう居ない、彼女と交わした最後の言葉が思い浮かぶ。 『そう、ですか』 『私はこの環境に順応する、と嘘をつき続けていましたけど』 『貴方がたは、本当に順応してしまったのですね』 『貴方がたが何処まで辿りつくのか見られないのは名残惜しいですけど』 『地獄で、見守らせて頂きますわ』 「んっ……また、別の女の子の事考えてますね?」 ベッドで仰向けに寝そべるボクに跨り、裸体を躍らせる舞園さんが、整った眉をしかめる。 彼女に嘘はつけない。 「うん」 「全く……そういうのは、私にもその子にもしつれ――ッんはぁっ!」 非礼を詫びる代わりに、腰を跳ね上げて彼女の奥を突く。 「も、もう……!んんっ!いつもそうやって誤魔化そうと……はぁっ!あんっ、あぁっ……!」 食堂で軽い夕食をとった後、いつものように日課となった性交に勤しむ。 基本的に舞園さんは行為の際の声を抑えることができない。 以前真夜中にこっそりと大浴場で交わっていた時などは、叫び声を聞きつけて飛び込んで来た朝日奈さんが顔を真っ赤にしたり真っ青にしたり、挙句に気絶するなどして大騒ぎになったものだ。 でも、今はもうそんな心配は要らない。 この学園には、もうボク達の行為を咎める人はいないのだから。 ……そう。残るはボク達二人だけ。 今彼女を**せば、ボクは晴れてこの絶望の檻から"卒業"できる。 ボクの上で身体をくねらせる舞園さん。 暗闇にも鮮やかな、その白い喉が視界に映り―― 「……そうですね。んっ……もう、残ったのは私達だけですから」 ――伸ばした腕で、彼女の胸を愛撫した。 頭に浮かんだ妙な考えを振り払うように、豊かな乳房の感触を堪能する。 ……何を考えてるんだ、ボクは。 「っふ、ふふ……」 そんな思考さえも見通すかのように、腰を前後に揺らしながら、彼女の透き通った瞳が見つめてくる。 ボクはいつもの通り、彼女が「エスパーですから」と微笑むと思っていた。 「違いますよ。――私も、同じ事を考えてましたから」 舞園さんはボクと繋がったまま、仰け反るようにベッドの脇へ腕を伸ばす。 そこから引き戻した腕にあったのは――包丁。 「――――」 「ここで苗木君を殺せば、もう学級裁判で私を裁く人はいない」 「私は晴れてここを出れる」 「大好きな仲間の、大切な家族の待つ所へ帰れる」 「ここを、"卒業"できる」 歌うように、彼女が言葉を紡ぐ。 祈るように、両手で握りしめられた包丁が、ボクの胸に添えられる。 「でも」 でも。 彼女の語尾は、震えていた。 「今更……そんな事に、なんの意味があるんですか……?」 包丁を投げ捨てる。 繋がった姿勢のまま、上半身を預けるように倒れこんでくる。 柔らかな彼女の感触と体温、そして胸を濡らす涙の熱さ。 「舞、園さん……」 嗚咽を漏らす彼女の頭を、そっと抱く。 ああ、そうなのか。 彼女もまた、ボクと同じ答えに至ってしまったのか。 『殺すとか、殺されるとか……そんなの……もう堪えられないッ!!』 かつて彼女はそう言った。 ボクが彼女をここから出してみせると誓った時。 そして、ボクを殺し、ここから一人、"卒業"しようとしたあの夜。 あの時ボクらは同時に悟ってしまったのだ。 ボク達に、『人は殺せない』と。 『殺すことも、殺されることも、どちらも選べない』と。 だからこそ真犯人探しも、それが偽善だとわかっていながら積極的に関わろうとはしなかった。 そして―― 恐らく、必死に捜索を続けていた皆には――生きようともがき続けていた人には気づけなかったことだろう。 皮肉なことだ。ここでこうして、愛欲と肉欲に溺れていただけのボク達が気づいてしまったというのは。 モノクマの言葉。黒幕の真意。この学校に残された微かな手掛かりと、学級裁判で導き出されてきた事実。 つまりはパンドラの箱。 この学校を"卒業"した時、ボク達が目にする事になるもの。それが、決して空けてはならない、真実という名の絶望だということに。 「それでもいいんです」 「ここには希望は無いけれど、苗木君がいる。だから――」 そう、希望も絶望もないこの世界で、ただ互いの温もりだけがある。 「それ、だけで……」 涙に濡れたまま、彼女は腰を揺らし始める。 包丁を胸に突きつけられた時も、彼女の膣に入った性器は、熱く滾り続けたままだった。 「苗木君……なえ、ぎくんっ……!」 彼女の顔を濡らす涙を拭うと、ねだるように伸ばされた舌を吸う。 「ン……ふぁ……ああ……っ!ンぅ、ふっ……!」 互いの舌を互いの口中で交互に愛撫しながら、何かに急かされるように腰の動きが早まっていく。 「ん……ふぅ……あんっ!や……ぁ……っ」 上半身を逃がさないよう抱きとめたまま、彼女の最奥を乱暴に突き上げる。 「や、いやッ、ン……んっ、あ、ンぁっ!」 彼女の身体から――いや、舞園さやかという女の子全てから与えられる快楽に抗えなくなっている。 彼女も痙攣するように身体を震わせ、膣内も吐精をねだるように収縮を繰り返している。 「出す、よ……!舞園さん!」 「はいっ!はいっ!出して!出しっ――あ……ああああああぁぁっっっ……!!!」 彼女の全身が震えると共に、限界まで高められた性感が精液を吐き出し、彼女の膣内を満たす。 毎日出してるというのに、凄い量だった。 「あ……あ、ぁ……なえ、ぎ、く……」 絶頂に達した彼女が崩れ落ちるようにベッドに倒れこむ。 荒い息をつく彼女の額にそっとキスを落とすと、並ぶようにベッドに横になった。 行為の後の気だるさに身を任せ、ボク達はベッドの中で穏やかな時間をすごしていた。 時折ボクが彼女の髪に触れたり、彼女がボクの胸に口付けたりと、そんな甘やかなやり取りをしながら、ボクはふと思いついた事を話し始める。 「子供、何人ぐらい作ろうか」 「そう、ですね……14人ぐらい……」 「……それは」 「ふふ……冗談です」 いつものように彼女が微笑む。 それだけでボクの心を満たす、彼女の笑顔だった。 「でも、男の子と女の子、せめて一人ずつはいないとダメですよね」 「そうだね。どっちかだけじゃ、次の子供達が出来ないし」 ボク達の子供同士が子供を産み、その子供達がまた子供を産む。 かつては嫌悪さえ催しただろう考えも、今ではごくごく当然の事だと認められるようになっていた。 「そうですね。……でも、そうだ。女の子が産まれたら、最初だけは苗木君にお願いしちゃいましょうか。初めて同士だとなにかと大変だし……私達みたいに」 「……その節は、どうもご迷惑を」 有り得るかどうかすら定かでない、寝物語に語られる未来予想図。 ここを支配する黒幕の胸先三寸だけで生かされている、そんなボク達の言葉の、どれほど空虚なことか。 「舞園さん似の子だったら、精一杯優しくするよ」 「まあ。ふふ、浮気しちゃダメですよ?」 彼女の手がシーツの中に伸び、ボクのモノを優しくを撫で上げる。 「この子には、頑張って貰わないとね」 細くしなやかな手で刺激される。 あれだけ放出したというのに、また彼女を求めて昂ぶってくるのを感じた。 「舞園さん……」 「はい」 全てを心得ている彼女が、うつ伏せの姿勢のまま腰を高く上げる。 先ほど放出した精液が溢れてきている秘所はひくひくと誘うように蠢き、眩暈がするほど淫靡だった。 もう準備の必要は無いと判断し、一息に挿入する。 「あ――!っは、ぁ……」 「出すよ……!何度も、何度も!」 「あぁっ、いい、です……なえ、ぎく……ん、ひゃあぁっ!何度でも……なんど、でもっ……!」 嬌声が響く。 希望も無く。 絶望も無く。 二人の安寧に満ちた、この小さな楽園に。

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