「5-669」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

5-669」(2012/08/30 (木) 14:25:31) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

――最近、調子がヘンだ。 ウサミから言われるままに始まったこのサバイバル生活も、残すはあと二日だけになった。 島中の色んな所から資源を拾ってきたり、それを使ってみんなで『課題』を作ったり (宇宙船やロボットなんかも作らされた。メチャクチャにもほどがあるよな)、 一緒に共同生活を送っている連中と話したり遊んだり。 そんな生活を続けていくうちに、オレは自分の中の何かが大きく変わっちまった事に気づいた。 それは、今まで感じたことのない不思議な感覚だった。 その感覚は決まって、日向のヤツが関わってる時に限ってやってきた。 サバイバル生活が始まってから、一番言葉を多く交わしたのはアイツとだった。 平凡なヤツだなーとか、オレとバトれるくらい鍛えてはいねえんだなーとか、最初はそんな程度の印象 しかなかった。でも、何度かアイツと話していくうちに、オレは自分の生い立ちとか弟妹のこととか、 結構踏み込んだところまでアイツに話していた。気づくとオレはアイツに自分の事を知って貰いたいと 思うようになっていた。そう思わせる何かが日向にはあった。不思議なヤツだった。 それから暫くすると、二人で島にあるいくつかのスポットへ遊びに行くようになった。 公園で木登りをしたりゴミを拾ったり、海岸で泳いだり釣りをしたり、他にも色々。 アイツと一緒にいる時間は、それこそ時間を忘れるほど楽しかった。 いつしかオレは、今日は話しかけてこねーかな、遊びに誘ってくれねーかなと期待して、アイツの事を 目で探すようになっていた。 アイツに話しかけられると、自然に笑顔を作っちまう。 アイツに笑顔を向けられると、自然に嬉しくなっちまう。 アイツが他の女と話していると、胸の奥が握りつぶされるように、痛くなる。 これってその、やっぱり、アレなんだろうか。 自分が生きていく為、弟妹を養っていく為、金の為に過ごしてきた今までの殺伐とした生活の中では、 全くといっていいほど芽吹かなかった感情。 これを知ってしまってから、前より精神的に弱くなっちまったような気がする。でも、その弱さを日向に 曝け出したい、支えてもらいたい、あわよくば、甘えたい――自分でも信じられない考えが頭を回っていくのを、 どうしようもなく抑えられない。 まさか、オレが男に対してこんな事を想うようになるなんてな…。 嘘みてーだけど、やっぱオレ、日向の事が―― 朝の十時15分前。ジャバウォック公園の彫像前。 日向創は台座に背を預けて、『待ち合わせ相手』が来るのを待っていた。 「それにしても、初めてかもな。時間を決めて待ち合わせてから一緒に出掛けるのって。まるで――」 デートみたいだ。そう考えると、どうにもそわそわして落ち着かなくなってくる。 昨日のお昼。 修学旅行の最後の『課題』を皆で完成させ、一息ついた所でいつものように『彼女』を遊びに誘おうと 思った矢先、珍しい事にその『彼女』――『超高校級の体操部』こと、終里赤音の方から話し掛けてきた。 「おっす、日向」 「あ、終里。珍しいな、終里の方から話しかけてくるなんて」 「ま、まーな」 「それで、どうかしたのか? 良かったらまた今日もどこか行くか?」 「や、えっと、その事なんだ、けどよ」 「?」 「その…なんだ、明日、さ」 「うん」 「ちょっと行きてートコが、色々あってさ。だ、だからっ、明日、ちょっと付き合ってくり…く、くれよ」 「…? いや、構わないけど、今日だとダメなのか?」 「だ、ダメだっ! 今日はやらなきゃいけねー事が出来たんだよっ」 「そっか。じゃあ、今日はとりあえずこのままコテージに戻るかな」 「…それじゃ、明日、十時に真ん中の公園で待ってるからなっ!」 「おう、それじゃな」 「あとっ! 今日はあんまり島をウロウロすんなよ! スーパーとか絶対に来んなよな!」 「?? わ、わかったよ……って、もう行っちゃったな。一体何だったんだろう…」 と、こんな感じで日向はいくつか疑問を残しつつも、言われた通りジャバウォック公園にやってきたのだった。 ともあれ、今回は初めて終里の方から誘ってくれた『お出かけ』だ。 ただ、この島の中で出来る事といったら限られている。 多分、いつもと同じように島のどこかへ遊びに行って、夕方まで時間を潰すだけで終わるだろう。 それなのに、日向は無性に楽しみで仕方がなかった。 (でも、この共同生活もあと、二日で終わっちゃうんだよな…) そう。この島でみんなと――終里と過ごせる時間は残り僅かだ。 突然この島に連れてこられて、戸惑いながら始めたこの生活も、気づけばあっという間に残り二日となっていた。 一緒に過ごしてきた仲間達は、どいつも少しアクが強いけど気のいい奴らばかりで、時間を共にしていく程、 目に見えない繋がりを結ぶ事が出来たような気がした。 中でも、特に日向が心を惹かれたのは、終里だった。 ――『超高校級の体操部』、終里赤音。 いつも食い意地を張ってるし、暇さえあれば弐大と格闘してるしで、初めはヘンな奴だという印象しかなかった。 でも…いや、だからこそ、彼女の動向が気になってしまっていたのだろうか。気づいたら俺は、彼女に話しかけていた。 彼女自身の話、弟妹の話、体操部の話。彼女の事を一つ一つ知っていく度に、比例するように彼女への興味も 一つ一つ、大きくなっていくのを日向は感じた。 何度か話をしていく内に、二人で公園や遊園地、海岸へ遊びに行くようになった。 その頃にはもう、俺は終里の事が好きになっていた。 食べ物を口いっぱいに頬張って、幸せそうに顔を綻ばせる姿も。 笑ったり怒ったり、凄んだり焦ったりとコロコロ変わる表情も。 泳いだり走ったりしている時に見せる、アスリートとしての凛々しい姿も。 滅多に見せないけど、弟妹の事を話す時に覗かせる、照れたような表情も。 終里の何もかもが彼女を魅力的に見せ、俺を惹きつけて止まなかった。 終里の方は俺の事をどう思っているんだろうか。もしかしたら、『会う度に食べ物をプレゼントしてくれる何かいいヤツ』 程度にしか思われていないかも知れない。ただ、俺はそれでも良かった。 終里が、俺のプレゼントで喜んでくれるなら。その笑顔を俺に向けてくれるなら、それでも。 ただ、その島での生活は残りたったの二日だ。 このまま共同生活が終り、なんとなく会ったり話したりする機会が減っていくのは、嫌だ。 それならば、俺は―― 「おーい! 日向ぁ!」 と、そこで自分を呼ぶ声が耳に届き、日向は現実へ引き戻された。 公園の入り口から、背の高めなシルエットがこっちに駆けてくるのが見えた。終里だ。 「おー、終里。おはよ……ぅ…」 「わ、わりぃ。待たせちまったみたいだな。って、おい、日向? どうかしたか?」 目の前まで駆けてきた彼女の姿を目にした瞬間、日向の思考は一時停止し、釘付けになった。 終里の服装が。 いつもの制服のシャツにミニスカート、白のローファーではなく。 胸元からふくらはぎまでを覆い隠す、眩しい位に真っ白なワンピースだった。 「…あー。やっぱヘンだよな? このカッコ。ソニアのヤツ、『バッチグーです! 終里さん、これなら彼もイチコロです!』 なんて、適当な事言いやがって…」 両脇の横から肩を通じて背中に伸びる肩紐には、薄い生地のフリルがあつらえられている。 トップスとスカートの部分には、よく見てみると細やかなレース模様が施してあるようだった。 それほど派手な装飾ではないが、そのシンプルさが終里の長身とスタイルの良さによく映え、彼女の魅力を一層際立たせていた。 「ははっ、おだてられて舞い上がってバカみたいだな、オレ……恥ずかしくなってきたぜ」 足元はワンピースの色に合わせた、踵の低いパンプス。頭にはこれも真っ白なつばの大きな帽子(カプリーヌというらしい) が乗り、彼女の癖毛っぽい乱髪を少しだけおとなしく佇ませている。 上から下まで全身白でまとめたその装いは、褐色がかった彼女の肌とのコントラストも相まって、非常よく似合っていた。 少なくとも日向はそう感じた。 「わりぃ、やっぱ着替えてくるわ。待たせてばっかですまねぇけど、ちょっと待って――」 普段肌の露出が多い服装を好む終里の純朴なワンピース姿に、日向は驚きと共にがっちりと心を奪われ、 しばらく固まったままだったが、きびすを返そうとした終里の様子にようやく思考が動き出し、慌てて呼び止めた。 「ま、待てって! 終里! 全然変じゃないって!」 「…そ、そうか? でも、オレのカッコ見た時に、ドン引きして固まってたじゃねぇか…」 いつもの勝気な彼女は何処へやら、フォローする日向と目も合わせようともせず、口を尖らせていじけた態度を見せる終里。 そんな姿すら、日向には愛らしく映ってしまうのだった。 「ドン引きなんてしてないって。その格好があんまり似合ってたから、その…み、見惚れてたんだよっ」 あんまり歯の浮くようなセリフもどうかと思ったが、ここではっきり言わないと終里も察してくれなさそうなので、 顔が熱くなるのを自覚しながらも、日向は何とか終里に顔を向けたまま言い切った。 「え…あ…っと、そ、そう、なのか。あははっ、やっぱどっちにしろ恥ずかしいなっ」 終里は指で頬をポリポリと掻きながら、いかにも恥ずかしそうにそう返してくる。よく見ると、顔が真っ赤だった。 暫く無言の時間が続いたが、ぎこちない空気になりかけていたのを嫌ってか、唐突に終里の方から切り出した。 「と、とりあえず出掛けようぜ。ここでこうしててもしょうがねぇしさっ」 「そ、そうだな」 それを受けて日向は頷くと、二人で並んで公園の出口へ歩き始めた。 今日は終里は島中を回りたいということで、とりあえず第二の島へ向かうことになった。 まだパンプスに慣れないらしい終里に歩く速さを合わせながら、日向は彼女と言葉を交わしていく。 さっきまでのやり取りもあって始めは探り探りだった会話も、第二の島への連絡橋を渡り始める頃にはいつもの調子に戻りつつあった。 「――じゃあ、その服はソニアに見繕って貰ったのか」 「ああ。オレはもうちょい動きやすい服がいいって言ったんだけどさ。アイツときたら、せっかくのデー…っ、いや、やっぱ何でもない」 「? ソニアが何か言ってたのか?」 「何でもないって。この服はアレだ、アイツの趣味だよ」 「確かに、ソニアもこういう服は似合いそうだよな。でも、終里もすごく似合ってるよ」 一度こういうセリフを吐いてしまうと、慣れてしまうものなのかあまり羞恥せずにすんなりと口から言葉がでてしまうのが不思議だった。 「ば、バカ! あんまりそういうこと言うな!」 ただ、言われる方はそうでもないらしい。また顔を赤くして慌てふためいている。 普段あまり見られない終里の姿に、日向はつい笑みをこぼしてしまう。 ――ああ。だめだ。やっぱり俺、どうしようもなく終里の事が好きだ―― こうして、二人で並んで話をしているだけでも、何ともいえないもどかしい気持ちが湧き上がってくるのを日向は感じる。 『幸せを感じる』っていうのは、こういうことなのだろうか。 でも、こんな風に終里と時間を過ごせるのも、あと、たったの二日だ。 「…ったく。……ありがとな、日向。その、褒めてくれてさ」 自分に向けられたお礼の言葉に、日向は終里に視線を向けた。 慌てても更にからかわれるだけだと悟ったのか、終里は賛辞を素直に受け止めて、はにかんだ笑顔を日向に向けていた。 その笑顔は、自分にだけ向けられたその笑顔はとても綺麗で、優しくて。 (……決めた。俺は今日、終里に――) 日向は一つの決心を、胸に決めた。 それからの時間は、いつも通りあっという間に過ぎていった。 チャンドラービーチのダイナーで軽く昼食を摂って。 遊園地でジェットコースターに乗って。 図書館で休憩がてら少し昼寝をして。 楽しくて仕方がなかった。今日がずっと終わらなければいいのにと、心の底から思った。 いつまでも終里と一緒に居たい。 日向はゆっくりと傾き始めた太陽を眺めながら強く、そう願った。 島中を回って遊び倒した二人は最後に、第一の島にあるビーチへと足を運んでいた。 時刻はもう黄昏時。 雲一つない空と、浮かぶ物一つない海の境界線上に沈んでいく太陽が作り出す夕映えは あまりに幻想的で、二人は暫く無言でその風景を眺めていた。 日向は自分の隣に佇んで海を眺めている終里を横目で見つめる。 今日一日を過ごした満足感の中に、どこか寂しげな雰囲気を覗かせているような、気がした。 日向の心が揺れる。 言葉は、自然と出てきた。 「終里」 「…ん?」 「今日はありがとな。一日付き合ってくれて」 「な、何言ってんだよ。礼を言うのはこっちの方だぜ。オレの方から付き合って貰ったんだからさ」 「まあな。でも、もし終里の方から言ってこなかったら、俺から誘おうと思ってたから」 「…そっか。でもよ、今日だけはオレの方からオメーを誘いたかったんだ」 「…?」 「――それに、ソニアに頼んで慣れない服着てきたのも、その、なんだ……意識して欲しかったからなんだよ」 「……」 「オ……あ、あたしがその、一応、『女』だって事にさ」 「……!」 (終里……まさか) 「……すぅー、はぁーっ、やべーなっ、なんでオレ、こんな緊張してんだろ……」 「終里……」 「日向っ、オメーにとってあ、あたしは、単なる遊び友達かも知れねえけどなっ」 「……っ」 (終里! 俺も――) 「「お前の事、ずっと好きだったんだっ!!」」 穏やかな波音だけが鳴り続ける海岸に、二人のユニゾンが響いた。 終里は右手を胸元に当てて、とても驚いたような表情を浮かべている 無理もなかった。勇気を出して告白したら、相手からも同じ事を告白されたのだから。 「……そんな。日向が、オレの事を……?」 「俺は、終里を女の子だって意識しなかった事なんて今まで、一度もなかったよ。逆に、終里の方が 俺の事を、ただの遊び仲間だと思ってるんだろうなって考えてたくらいだ」 「オ、あ、あたしだって、日向と同じだぜ! 遊びに誘ってくれるのも、すげー気軽に声掛けてくるもんだから、 てっきりそうだと…」 日向は終里の言葉を聞くと苦笑しながら返す。 「終里を誘う時は、いつも緊張してたよ。だってそうだろ? 好きな女の子をデートに誘う時、緊張しない男 なんていないって」 「――日向。あたしは、今も緊張してるよ」 終里が、日向の方へ一歩、近づく。 「終里?」 「日向。ありがとな。こんな男みてえな女の事、好きって言ってくれて」 また、一歩。 「でも、言葉だけじゃ、不安なんだ。今まで、口約束だけで何度も裏切られてきたから」 「終里……」 「……日向の事は信頼してるぜ。オメーはあたしの事、裏切ったりしないって、頭では分かってんだ」 日向のすぐ目の前に立ち、真っ直ぐに日向の目を見つめる。 「でも、理屈じゃねえんだ。どうしてもオメーがあたしと同じ気持ちだっていう、証が欲しいんだよ」 日向の胸板に両手を添えて、ほんの少しだけかかとを浮かせる。 「日向――」 そのまま、終里は日向へと自分の顔を寄せ、唇同士を―― ぐぅ~~、ぐぐぅ~~~っ、ぐるるるるぅ~~~~っ ――重ね合わせようとした瞬間、終里の腹部が、盛大に鳴り響いた。 「………………」 「………………」 至近距離で二人は目をテンにして、時間が止まったかのように固まった。 「……………………」 「…………………………」 「………………………………ぷっ」 「ぷっ、くくくっ」 「あっはっはっはっはっ!」 堪えきれずに、今度は二人でお腹を抱えて笑い出した。 「あっはっはっ! …お、終里っ、今のタイミングでお腹鳴らすって、は、反則っ…くっくっ」 「くくっ…、っ、しょ、しょーがねえだろっ、鳴らしたくて、ふふっ、鳴らしたんじゃ、ねえんだからっ」 暫く二人は笑い合って、ようやく落ち着くと日向の方から切り出した。 「…はぁ、ふぅ…、ふふっ、でも、確かに腹減ったな」 「だろ? 今日は島中を回ったからな。腹がなってもしょうがねえんだよっ」 「ふふっ、そうだな。時間もいい頃合だし、ホテルのレストランで夕食にするか」 「ああ。いこーぜ。……な、なあ、日向」 「ん?」 「手、つ、繋いでもいいか?」 少しだけ日向の前に出て、後ろにいる日向に顔を見せず、手を差し出してくる終里。 顔は見えないが、よく見ると耳が真っ赤になっていた。 そんな些細な事にも了承を得てくる終里の可愛らしさに思わず小さな笑いを漏らすと、日向は答える代わりに 差し出された終里の手をぎゅっと握って、ホテルへと歩き出した。 それから。 二人でホテルに戻ると、終里は一旦自分のコテージに戻っていつもの服に着替え(日向以外には見られたくないから と、また可愛い事を言っていた)、いつものようにレストランでみんなと一緒に食事を摂った。 途中、手を繋いでいる所を澪田に見つかって散々冷やかされたり、ソニアに捕まって今日のデートについてあれこれ 聞かれたり(それでも去り際に終里はソニアにも礼を言っていた)、他にも色々と大変だったが何とか凌いで、 二人は日向のコテージで休憩することにした。 日向のコテージの中。 二人は日向のベッドに並んで座り、今までの共同生活について、話に花を咲かせていた。 二人とも心底から会話を楽しんでいるように見えた。だが会話の最中、終里がそわそわと落ち着かない様子で いた事に、日向は全く気づいていなかった。 話が一区切りし、少し間が生まれた。 そこでさっきから話を切り出す機会を伺っていたらしい終里は、少し早口に口を開いた。 「な、なあ日向」 「ん、どうした?」 「あたしは、日向の事が、好きだ。オメーも、その…あたしの事、好き、なんだよな…?」 「お、おう」 唐突な話の切り出し方に少し戸惑いつつも、日向ははっきりと意思を伝える。 終里は少し安心したように軽く息をつくと、太ももの置いた両手をぐっと握り締めながら続けた。 「い、いやな、日向も、や、やっぱり興味あんのかなって思ってよっ…その、えっちぃコト、とか」 「いっ!? ど、どうして」 「…前さ、体操始める前は、色んなバイトで弟妹達を食わせてたって話したの、覚えてるか?」 「あ、ああ。それが……あ」 確かに、色々なバイトで生計を立てていたと言っていた。その中には、口にするのを憚られるような事もしていたと。 「…稼ぎのいいバイトは、どうしても『女だってこと』を売り物にするのが多くてな。金持ったスケベオヤジ達に、 …身体をまさぐられたりしてさ」 「終里……」 「ま、金を稼ぐためだ、って割り切ってたつもりだったんだけどよ、それからってものの、『そういうコト』に嫌悪感 みたいなものを感じるようになっちまった」 「…………」 無理もないだろうと日向は思う。過酷な境遇の中で生きてきたといっても、まだ十代の女の子なんだから。 「…でも、でもな。あたしはオメーになら、そ、『そういうコト』をされてもいいって、思ってんだ」 終里の身体が、微かに震えていた。 そこにいるのは確かに『超高校級の体操部』終里赤音なのに、日向の目にはひどく弱々しい、儚げな女の子が映っていた。 ――嫌悪している筈の行為であるのに、その終里がここまで積極的になってくれている。 終里はさっき海岸で、『自分と同じ気持ちだという証が欲しい』とそう言っていた。 そこまでして、彼女は自分との繋がりが欲しいと思っているんだ。 俺の事が好きだから―― 終里のいじらしい姿に、日向は胸中が彼女への想いで一杯に占められていくのを感じた。 そして。 「終里っ」 「…えっ、ひな、んぅっ」 日向は気付くと、終里の唇に自分の唇を重ね合わせていた。 「んー! んっ、…んんっ、んんぅ」 終里は始めこそ驚いて目を見開いていたが、すぐに瞼を閉じて両手を日向の胸板に添えると、日向に身を預けた。 お互い息を止めながらのただ重ねるだけの接吻は、二人の息が続くまで続いた。 「…ん、ぷはっ、はぁ…はぁ……日向…」 終里はゆっくりと日向から顔を離し、荒い息を付きながら日向を真っ直ぐに見つめる。 日向の瞳に自分の姿が映っているのが見える。 息を荒げ、頬を赤らめ、潤んだ目で日向を見つめる終里赤音の姿は、思った以上に『女』だった。 「はぁ、……終里」 「………」 「俺は、終里が好きだ。だから、お前を抱きたい。お前が、欲しい」 気持ちを確かめ合った彼女の気持ちに応えるのに、今更長い口説き文句はいらない。ただ実直に、自分の感情を口にした。 「……っ、ああ、あたしも、日向が好きだっ、だから――んっ」 日向は終里の言葉を待たずに彼女の唇を奪うと、ベッドへと押し倒した。 「んっ、はぁ、ちゅっ、んぅ、んちゅっ」 日向は終里をベッドへ優しく押し倒しながら、彼女の唇に吸い付く。 無造作に投げ出された終里の両手に自分の手を重ねて、指を絡ませて恋人つなぎを作ると、唇を吸う力を少しだけ強めた。 「んはっ、ちゅぱっ、ひなたぁっ、すきだ、ちゅっ、んちゅっ、すきだぁ、んんぅっ」 終里が日向のキスに応えながら、自分の想いを囁いてくる。 その一言一言が矢となって日向の心に突き刺さり、そこから終里への気持ちが瞬く間に化膿していく。 「んぅ、ちゅぅ、はっ、ちゅっちゅっ、ひなたぁ…っ」 「………っ」 普段は勝気だとか、男勝りを絵に描いたように活発的な終里が、自分の落とす接吻に酔いしれ、甘えてくる。 そのギャップに、日向の情欲は燃え盛る炎のように大きく猛っていった。 ――――にゅるんっ 「んっ!? ちゅるるっ、はぁっ、んっ、ちゅばっ、んはっ、ちゅ、ちゅぶぶっ」 突然口の中に進入してきた物体に、終里は驚き自身の舌で口内から押し出そうと力を入れる。 しかし、それ――日向の舌は真っ直ぐ伸ばされた終里の舌を横に逸れてかわすと、蛇がとぐろを巻くかのように たちまち終里の舌へと絡み付いていった。 「んんぅ!? ちゅっ、んっ! じゅるっ、はあっ、んっちゅっ、ちゅばっ、ちゅばばっ」 あまりに激しい口づけに、終里は思考能力がどんどんと蕩かされていくのを感じていた。 上顎を舐められると、背中にピリッとした刺激を感じ思わず腰が浮いて。 引っ張り出された舌を日向に甘く噛まれると、股の間が発熱して『何か』が零れていく。 「んっ、ちゅぱっ、はぁ、へはっ、んっ、ちゅぶっ、んんっ」 貪るような長い長い口付けは、二人の唇と舌が疲れて思うように動かなくなるまで、延々と続いていった。 「んぅ、ふっ、ちゅ、ん、ぷあっ! はぁっ、はぁっ、ひ、日向…っ」 「はぁ、はぁ、終里……服、脱がすよ」 「はっ、はっ……っ、ああ、いいぜ……」 長いキスが終り、荒い息遣いを残したまま、日向は終里のシャツのボタンを外していく。 一つ、また一つと外される度に、服の中に窮屈そうにしまわれていた終里の胸が暴かれていく。 やがて全てのボタンを外してシャツをはだけさせ、スカートのファスナーを下ろしてつま先から抜き去ると、 ショーツ一枚を残した、終里のありのままの姿が日向の前にさらけ出された。 「………っ」 「こ、こらっ、あんままじまじと見つめんじゃねえよっ、は、恥ずかしいだろっ……」 恥ずかしそうに顔を逸らしながらベッドに身体を横たえている終里の姿。 意外に小さな肩の下には、シャツの拘束から開放された圧倒的な豊乳が、重力に逆らってツンと真上を向いていた。 身体の動きに併せてふるんっと揺れる二つの頂は、まるで日向を誘っているかのように蟲惑的な存在感を醸し出している。 豊かに膨らんだ上半身とは対照的に、腰周りはさすがアスリートと言うべきか、無駄な脂肪は一切なく、かと言って 目に見えるほど筋肉がついている訳でもない、奇跡としか思えない程均整の取れたウェストだ。 演技と共に外見も重要な体操競技を行う上でこれ以上ないプロポーションだろう。 そこから更に下ると、飾り気のないショーツに隠された、やや大きめだが形の整った柔らかそうなヒップ。 そこから伸びる、スラリと伸びた長く、しなやかな脚。 芸術的とも言える、高校生離れした彼女の美しさに、日向は思わず音を立てて息を呑んだ。 「終里……綺麗だ」 「そ、そうかよっ、ありがとな。でも……不思議なもんだな。他のどの男共から言われても鬱陶しいだけの言葉が、 日向に言われるとすっげー嬉しいぜ」 「…俺も、終里のその言葉が何より嬉しいよ」 言いながら、日向は終里の上に覆いかぶさり、彼女の乳房をやわやわと摩りながら、首筋に唇を落とした。 「んっ、はあっ、ふっ、あんっ!」 「ふふ、カワイイ声を出すんだな? 終里」 下から上へ掬い上げるように終里の胸を揉みしだき、連続して首筋にキスを振らせていく。 「そ、そんなの知るかっ、勝手に出ちまうんだよっ、あっ、ふぁっ」 「可愛いよ、終里」 「あ、あんま、かわいいかわいいって連呼すんなっ、殴んぞっ、んっ、やぁんっ」 普段の凄みのある表情で言われるとかなり圧倒されてしまうが、今の彼女に何を言われても、 日向には全く通用しなかった。 むしろ強がる終里の姿が愛らしくて、尚更イジワルをしたくなってしまう。 日向は胸を愛撫する手はそのままに、顔を首筋から耳元に移動させ、優しく息を吹きかけた。 「ふーーーっ……」 「ひゃあっ!? んっ、ひ、ひなたっ、耳に息、かけんなぁ!」 すると、終里は一際大きく反応し、身体を軽く仰け反らせた。 「終里。耳が弱いのか……?」 日向は格好の標的を見つけたと言わんばかりに、わざと終里の耳に息がかかるようなウィスパーで囁きながら、 彼女を責め立てていった。 「べ、別にっ、んっあっ! そんな、ことっ、んんっ! ねぇっ、ひゃんっ!」 「……だったら、……別にこうしてても、いいだろ……?」 胸を責める手の動きも、段々と激しくしていく。 「んっ、ああぁっ、んやっ、ひなたっ、あたしっ、んぅっ! なんかヘンだっ、ヘンだよぅ、んあぁっ!」 「変じゃないよ。我慢しないで、そのままでいいんだ、終里……っ」 終里の痴態に、日向も感情の昂ぶりを抑えられなくなってきていた。 自然に息が荒くなり、その変化にも終里は敏感に反応した。 「ひなたぁっ、あたしっ、もぉ、だめだっ、なんか、くるっ、ああぁっ!」 「いいよっ、終里、気持ちよくなるんだっ―――はむっ」 とどめとばかりに日向は、終里の耳を唇で甘く挟み、手の中で転がる突起を指で摘み上げた。 「ひっ!? やあっ、あっ、あっ、ああぁあぁあっ!」 その瞬間。 終里はブリッジの姿勢で全身をビクンビクンと痙攣させて、ぐったりと崩れ落ちた。 「はぁーっ、はぁーっ、ひな、たぁ…」 日向の手で上り詰められた終里は、初めての絶頂の余韻に浸っていた。 無防備に肢体を日向の前に晒して、とろんとした表情で日向を見つめる終里の姿は、 日向の理性を大きく揺さぶった。 「……っ、ごめん、終里、俺っ、もう我慢出来そうにない…!」 日向は言うが早いかカチャカチャとベルトを緩めてズボンとパンツを脱ぎ捨て、自身のペニスを終里の前に 曝け出した。 「はぁ、はぁ、終里、下、脱がせるからな」 終里のショーツに手をかけ、ゆっくりと下ろしていく。股間部から離れる瞬間、終里の愛液が糸を引いたのが、 日向の興奮をより一層高まらせた。 他人の下着を脱がせるという慣れない作業に焦れ、日向は終里のショーツを片足だけ脱がせるとそれをそのままに、 終里の膝裏を持ち上げて秘処を開かせると、今までの行為でガチガチに硬くなったそれを、 終里の入り口へとあてがった。 「はぁ、ふぅ……な、なぁ、日向、その…するんだよな?」 「ああ、ごめん、俺、抑えが効かないかも知れない」 「そっか。でも、一つだけ、聞いてくれねぇか…?」 「………」 「……確かにあたしは、口じゃ言えないようなバイトをしてたし、身体を触られた事もあった」 「………」 「でも、男に抱かれた事は、一回もない。日向が、初めてなんだ」 「――終里」 「その、こんな事言うガラじゃねえけどさ。嬉しいぜ、初めて惚れた男に、あたしの初めてをやれてさ」 「終里……」 「そんだけだよ。後は、好きなようにしてく――」 「――ごめん、終里。そこまで想ってくれたんだな。すごく嬉しいよ。俺、自分の事しか考えてなかった。 取って付けたみたいになっちゃうけど、終里みたいないい女の初めてを貰えるなんて、俺も光栄だよ」 「……………う、うるせー。恥ずいコト言うな……」 「ふふっ、そうだな。……終里。なるべく優しくするから」 「………ん」 終里は小さく返事をして日向の背中に腕を回すと、自分の方へと引き寄せた。 それに併せて、日向はゆっくりと、自身を終里のナカへと挿入した。 「――んっ、あぁっ、ん、あんっ! ふ、ぅん、んあっ」 日向が腰を進める程に、甘く蕩けるような声を上げる終里。 女の子の初めては痛みを感じるものだと聞いていた日向は、思わず彼女に問い掛けていた。 「終里。痛く、ないのか?」 「んんっ…全く痛くないわけじゃ、ねーけどっ、ぅんっ! はぁっ、それより、腹の奥がピリピリするっ、 ヘンなかんじだぜっ……んっ、んあっ」 「それじゃ、このまま、奥までいくよっ……!」 「んっ、あ、ああっ、きてっ、日向っ………んっ、ふああぁあぁっ!」 終里の言葉を合図に、日向はそれまでゆっくりと推し進めていた腰を、一気に突き入れた。 終里が一際大きな声を上げると、堪りかねた様に両手両足を使って、日向にしがみ付く。 「はぁ、はぁ、終里……全部、入ったよ……」 「はーっ、はーっ、ああ、あたしのナカに、日向がいるの、感じるぜっ、んっ、あっ」 「…ごめん、終里のエッチな声聞いてたら、やっぱり我慢できそうに、ないかも……っ」 「……っ、ああ、いいぜっ、……あたしを、日向の好きに、してくれ」 「――――」 そこで日向の理性の糸は、完全に焼き切れた。 「あぁっ、んっやぁ、ひなたぁっ、あっ、んあぁあっ!」 終里を組み敷いて、日向は一心不乱に腰を打ち付けていく。 終里のナカに自身を突き入れるたびに、彼女がそれに反応して嬌声を上げるのが、日向を堪らなく興奮させていく。 「あっ! ひなたのっ、んあっ、また、あたしのナカでっ、おっきくっ、あっあっ!」 ――ずっと好きだった終里。今日気持ちを確かめ合ったばかりの終里が。 自分の腕の中で、自分の腰使いで、気持ち良いと喘いで、身を躍らせている。 今、間違いなく。 彼女は、終里赤音は、俺のものだ――。 日向は腰の動きはそのままで終里に覆いかぶさり、両手で終里の頭を捕まえると、その艶やかな喘ぎ声を漏らす唇へ、 思い切り吸い付いた。 「んぅぶぅ!? んっ、はっ、ぶちゅっ、んぅっ、じゅるるっ、ん、ぷはっ、ふぅんっ、ちゅばばっ」 終里の口中に舌をねじ込んでかき回すと、終里も日向の背中と後頭部に腕を回して、日向の舌に自分のそれを絡ませてきた。 「はっ、はっ、んっ、ちゅ、ちゅるっ、はぁ、おわりっ、おわりぃっ…!」 「……ちゅぱっ、ん、ああぁっ! ひなたっ、なまえっ、なまえで、よんでくれっ…あんっ、あたしもっ……」 「ああ、ああっ……ちゅ、んっ…あかねっ…!」 「んっああぁっ! うれしいっ……はじめぇ、もっと、もっとつよくぅ……あっ、ふああぁあぁあっ!」 終里に促されるまま、日向は彼女を強く抱き締め、どんどんとストロークを強く、激しくしていく。 絶対に彼女を手放さないと言わんばかりに、強く、激しく。 「んあっ! ひぐっ、ん、ああぁっ! はじめぇっ、あたし、もう、もうっ……!」 「あかねっ……ぅくっ! 俺もっ、もう、限界だ……!」 「ああぁっ、んっあぁっ! やっ、ああぁっ! たのむっ、このまま、いっしょにっ、あっ、あっ!」 「で、でも、いいのかっ、ナカで、出したらっ」 「いいからっ、このままっ、あぁっ! はじめのっ、あたしのナカにっ、んっあぁっ! だしてぇっ!」 「……うぐっ、もう、だめだっ、射精るっ…!」 「んあぁっ! ひっ! あっあっあっ! いやっ、イクっ! イクぅっ! んっあっ! あぁあぁああぁあぁああぁっ!!」 びゅぐっ!! びゅぐるるっ!! びゅるるるっ!! 「はぁーっ、はぁーっ……はっ、好きだ、赤音っ……」 「はぁー、ひぐっ、あ、ああぁあっ……あ、あたしも、すきだっ、はじめぇ……んぅっ」 二人は心の底からの相手への気持ちを吐露すると、互いの気持ちを交わし合わせるかのように、 深い深い口付けを交わした。 翌朝。 窓から差し込む朝日の眩しさに、終里は目を覚ました。 「…ん、も、朝かぁ…」 「おはよう、赤音」 やや重い瞼を開くと、柔らかな笑みを浮かべた日向が自分の顔を覗いていた。 「んっ、ああ、おはよぅ……創、起きてたのかよ。起こしてくれても…ふぁ~っ……よかったんだぜ…」 まだ眠そうに眼を擦る終里に、日向は少し意地悪そうに笑いながら、 「いや、赤音の寝顔があんまり可愛かったから、ついに見惚れちゃってたんだよ」 すっかり板についた『歯の浮くセリフ』を自然に口に出した。 「……うっせーな。あたしに抱きついて好きだ好きだと連呼してた昨日の創の方が、よっぽど可愛かったぜ?」 終里は頬を赤く染めて若干たじろぐも、すぐに平然と切り替えした。さすがに何度も言われると慣れてくるらしかった。 「ははっ。それはお互い様だろ? 赤音だって――」 「わーったよ。不毛だから止めようぜ。……ったく」 議論だとか言い争いでは日向には全く勝てる気がしない終里は、早々に話しを切り上げると、日向の肩に自分の身体を預ける。 「今日で終りだな、修学旅行……」 「ああ、そうだな……」 そう、今日は修学旅行五十一日目。修学旅行最後の日。 後は、ウサミからの合否を受けて、この島を後にするだけだった。 「…『希望のカケラ』か…。結局、この島で資源を集めてモノを作って、みんなと遊んだだけだったけど、ほんとにこれで 良かったのかな」 難しい顔で考え込もうとする日向に、終里はこてんと日向の肩に頭を乗せながら、 「…少なくても、あたしはこれでよかったと思ってるぜ。この島でのみんなとの……特に、オメーとの思い出と絆は、 あたしにとっての『希望』そのものなんだって、そう思えるよ」 幸せそうな笑顔で、日向を上目遣いで見つめた。 「赤音……」 「だからあたしは―――ひゃあっ!?」 と。 終里が突然、素っ頓狂な声を上げる。 終里にとって、昨日の夜イヤと言うほど経験した感覚が――日向が、彼女の乳房を揉みしだいていた。 「お、おいっ、なにやって――んあっ」 「ごめんごめん。赤音が可愛すぎるから、また、その気になっちゃった」 口では謝りながらもまったく悪びれた様子もなく、日向は右手で胸を愛撫しながら、左手を終里の秘処へと移動させ、 指の腹で割れ目を擦り上げていく。 「んっ! きのうっ、さんざんヤッたじゃねぇかっ、あんっ! それにっ、もう、すぐっ、あっ! 出なきゃいけなっ、ああぁっ!」 「うん。だから、もう一回だけ。……いいだろ?」 「ひゃんっ!? わ、分かったっ、分かったからぁ、耳は、やめっ、んっ、はっ、ちゅっ、んんっ――!」 そうして二人はまた、二人だけの世界へと溺れていった。 ――彼らはまだ知らない。この修学旅行の後に、数々の苦境と絶望が待ち受けていることを。 だが、彼らはこの共同生活で、それに勝るとも劣らない程強い『希望』を手に入れた。 彼らが『希望』を――仲間達と強い絆で結ばれている事を忘れない限り、もう決して、絶望に屈したりはしないだろう。 そう、これは。 彼らの『絶望』のおわり。そして、彼らの『未来』のはじまりの、ものがたり――                                               END

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: