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小泉真昼は悶々としていた。
真夜中、自室でシャワーを浴びながら、只管に悶々としていた。
「はぁ…なんで、あんなことしちゃったのかな、アタシ」
理由はただ一つ。
「どうして、日向に…あげちゃったんだろ、パンツ」

事は数日前。
切欠は偶然で、その後、本当によく解らない流れの中で。
小泉真昼は、日向創に自分のパンツをプレゼントしてしまったのだ。
その後、色々あって、普段の彼女からは考えられないような事もして、まぁ本当に色々あったのだが、ここでは省略する。
とにかく。
小泉真昼は、日向創に自分のパンツをプレゼントしてしまったのだ。
その事が、寝ても覚めても、頭から全く離れない。

あれから日向とは一度も会話していない。
会話しようとしても、真っ赤になって、何を喋ればいいのかわからなくなって、逃げてしまう。
それは日向も同じようで、お互いに会話を、会うことも避けているのが現状だった。
「まったく、バカじゃないの…」
その言葉は誰に向けたものなのか。彼女自身もわからなかった。

気になる。
渡した自分の下着もだが、それ以上に日向の事が。

アタシのパンツを見て、どんな事をしてるんだろう?
ひょっとして、匂いを嗅いだりとか、いやらしい事をしてるのかな?
日向も思春期の男子なんだし、きっと――
「って、何考えてるのよ、アタシ…!」
普段の彼女だったら軽蔑するような、ふしだらな行動。
しかしどういう訳か、日向が自分自身でそのような事をしていると考えても、不思議と嫌悪感は沸いてこなかった。
むしろ――考えれば考えるほど、心臓が高鳴り、身体が火照っていく。

この時、小泉は忘れていたことだが。
日向創が思春期の男子なら、小泉真昼も同様に、思春期の女子だった。

そして。
不意に、無意識に――小泉は自らの性器へと手を伸ばした。

「は、ぁんっ…!」

自分のものとは思えない声が漏れ、小泉は我に帰って伸ばした手を引っ込める。
ぶんぶんと首を振り周囲を見渡すが、当然ながら他人がいる筈もなく、監視カメラもシャワールームまでは見られない。
つまり、今の自分の行動は、誰にも知られない。
その事実が、再び彼女の手を動かす。
自らの決して大きいとは言えない胸を揉み、もう片方は秘部へと伸びる。
「ひゃ…んっ」
指先が秘部に触れた途端、電気のような刺激が走り、ビクンと身体が波打つ。
駄目だと思っているはずなのに、手が止まらない。
なんでだろう。どうにかなっちゃったのかな、アタシ。
今まで、こんな事はなかったのに。
やっぱり、あいつのせいなのかな。
「あっ、ひなた…っ!」
「小泉…」
いつの間にか、彼の名前が漏れる。
この手が日向のものだったら。日向がこの姿を見ているのだったら。
考えて、さらに身体が熱を持つ。

「こっ、小泉…?」

もっと、名前を呼んでよ。
もっと、アタシを見てよ。
もっと――え?あれ?

声が、本当に、聞こえて――

「小泉…?い、いるのか…?」
「はひゃああぁぁぁぁあああっ!?」

小泉は一気に真っ青になり、素っ頓狂な叫び声を上げた。
日向創が部屋へと侵入していた事に気付いたのは、今更過ぎた。

「ばっばばばばばばばか日向!!
 何でノックしなかったのよ!この変態っ!!」
「いや、ノックしたぞ!しかも鍵も開いてたし…」
「えっ、あっ、そうなんだ…」
シャワー中に鍵を忘れるなど、普段の小泉なら考えられないが、
逆にその事が今の彼女の不安定さを証明していた。
「わ、悪かったよ…」
「あ、謝らないでよ…鍵忘れてたのは、アタシだしさ…」
「いや、でも、シャワー浴びてるとこ、入っちゃったっぽいし…」
「言わないでよ!は、恥ずかしいでしょ!
 あんたが…急に来たもんだから、その、こんな格好だし…」

実際はそれより数段凄い事をしていたのだが、日向はそれに気付かなかった。
しかし、慌てて身支度をしたので髪は濡れたままで、靴下も履かず、着たのもワイシャツとスカートだけで、ブラジャーすら付けていない。
…流石にパンツは着用していたが、それでも小泉の姿は、普段の彼女とは違う、女の色気を醸し出していた。
――もっと、見ていたい。でも駄目だ。
そんな彼女の姿を直視できず、日向はちらちらと不審者のように視線を送る事しかできなかった。
何よ。
――もっと、見てもいいのに。

暫しの沈黙の後、口を開いたのは小泉だった。
「何の用なのよ、それで…」
「あぁ、えっと、だな…」
もにょもにょと口ごもる。
…自分から来たんだから、早く言いなさいよ。
そう思って、つい声が出る。
「全く、これだから日向は…」
「うぐっ…わ、悪かった…。小泉、その、貰っといて、悪いと思うけど…」
謝りつつ日向は懐を探り、そして、何かを取り出しつつ言った。

「返すよ、これ…」
「え…?」

その物体に、見覚えがあった。
黒を基調とした、水玉模様の、両端に紐のついた薄い布。
それは、小泉が日向にプレゼントした、自らの肌着だった。

…なんで、返すのよ?
せっかく、あんなに勇気出して、あんたに、あげたのに。
胸が、締め付けられた気がした。
「…いらないの?」
「いや、その、何というか…」
日向はごにょごにょと口ごもり、視線を真下に向けた。
…まぁ、普通に考えれば異性の下着なんか持っていても何の価値もないし、
ましてや誰かに発見されれば、日向創は晴れて『超高校級の下着泥棒』と認識され、色々な意味でオシオキされるだろう。
価値など無いくせに、発見されれば致命傷。
さながらそれはいつ爆発するか解らない不発弾のような危険物である事に間違いはない。
だから、日向がそんなものを持ちたくないと思う事に、何の疑問も無い。
それなのに。
小泉は、そのことが――ひどく悲しかった。

ひょっとして。
女として、魅力足りなかったのかな。アタシ。

「………」
「こ、小泉?どうした…?」
「…どうしたって、何がよ」
「いや、お前…なんか、今にも泣きそうだし…」
言われて初めて、小泉は自分が泣きそうな事に気付く。
「え、うそ、やだ…」
本当に、何やってんのよ、アタシ。
自分から、あんな面倒なもの渡しといて。
挙句に、返されて、泣きそうになるし。
ばかじゃないの。
だから、日向に――

「………」

あぁ、そうか。
届かなかったんだ、アタシの想い。

「こ、小泉…?」
「…な、なんでも…ないわよ。ちょっと、変なこと考えただけ…」

アタシ、本気だったのにな。
こう見えて髪とか服とか下着とか、細かいところに気を使って、頑張って可愛くなってたつもりだったけど。
世話焼きだし、口だって悪いし、胸だって、大きくないし。
やっぱり、負けちゃったか。他のみんなに。

ふぅ、と大きく息を吐く。
空気と共に、力も、嫌なものも抜けた、気がした。
「もっと、女子力高めないと駄目だったね…」
「…じょしりょく?」
「何でもない。こっちの話。
 ごめんね。こんなもの渡しちゃってさ」
小泉は顔を上げる。涙の跡こそ残っていたが、彼女は笑顔に戻っていた。
しかし、その笑顔はいつも日向が見ていたようなものとは違う――そんな気がした。
「だから、ほら、返して」
そう言って、小泉は手を伸ばし。
プレゼントした、自分の下着を受け取ろうとして――

「ちょ、ちょっと待った!!」
「はぁ!?」

日向に、それを拒絶された。

先程まで下着を返そうとしていた日向の、唐突過ぎる拒否。
顎に手を当てて何かを考え込む日向と対照的に、小泉は全てが理解できず、混乱していた。

「…ど、どういう、事よ……?」
何とか、声を絞り出す。
「何でよ…さっきまで、返すって言ってたじゃないの!」
声に怒気が交じる小泉だったが、日向はまるで心の奥に潜るように、さらに考えを続けている。

何で?
どうしていきなり待てだなんて。
せっかく――アタシは。
辛いのも、苦しいのも、我慢して。
あんたのこと、諦める決心、つけたのに!

「何でいきなりそんな事言うのよ!」
感情が、悲しみから怒りに切り替わる。
「日向、どうしてよ!言わないと、本気で怒るわよ!?」
もう既に小泉は怒っていたが、日向はまだ、難しい顔で何かを考えていて。そして――
「…もっと、いい場面で言いたかったのに……」
そんな事をぼやきつつ、真っ直ぐに、正面から、小泉を見つめた。
「小泉」
「何よ」
「お前、勘違いしてるぞ」
「はぁ?何がよ?」
そこで、日向は、何かを覚悟するように、一旦目を閉じて、深呼吸する。
「俺は、これを返す、つもりだけどさ…。
 お前の事、受け入れたくないとか、嫌いとか、そういう訳じゃなくて、だな…」
「…え?」
「お前が好きだから――コレは、持てないんだ」

え?
今、ひなた、何て――

「小泉」

どくん。
心臓が跳ね上がった。


「俺は、お前が好きだ!」


「クソッ…!もっと、いいムードの時に言おうと思ってたのに…!
 なんで、パンツ持ちながらこんな事言ってんだ、オレ…!」
日向は頭を抑えつつ、そんな事をぼやいていたが。
小泉にその言葉は届いていない。

え?
えっと、ちょっと待ってよ。
好きって、言ったよね?
今――好きって。日向が、アタシに。
これって、まるで、

「なに、それ――こ、告白…みたい、じゃない」
「告白だよ!俺はお前が大好きだって言ってるんだ!」
ぼっ。と。
再び身体に火がともる。
恋の埋火は、いともたやすく復燃した。
「お前の、顔とか、声とか、髪とか、身体とか――
 世話焼きな所とか、家事が得意なところとか、優しいところとか、見えないところに気を使ってる所とか――
 胸が小さい事を少し気にしてる事とか、男に強く出ちゃうこととか――
 …言い表せないくらい、ぜんぶ、お前のぜんぶが、大好きだって、言ってるんだよ…!」
青くなったり、赤くなったり。
目まぐるしく顔色を変えていた二人だったが。
今、この瞬間。
今日一番、いや、この島に来てから一番、真っ赤な顔になった。

アタシのぜんぶ、好きって。
だけど、アタシは、女として、魅力が無かったんじゃ――?
だから、それ、返すんじゃ――

「考えてもみろよ。俺、男なんだぞ!?
 好きな女の、こんなもの持ってたら、どうなるか、わかるだろ?」
「わ、わかんない…わよ」
「止まらなくなるだろ…お前と、いやらしい事する妄想が…!」

あれ?
アタシで、いやらしい事?
ひょっとして――

「はっきり言って、今も考えてる…」

魅力、足りてた?
アタシ達、両思いだった?

「…これも、小泉がいけないんだぞ……!
 まさかパンツ返そうとしたら、そんな悲しそうな顔されるなんて…
 うぅ…本当、何言ってんだ、俺…!」

言いつつ、日向はばつの悪そうな表情を浮かべる。
彼は存外モードやシチュエーションに拘る男だったのだが、
まさか、こんな形で自分の思いを告白するとは夢にも思わなかったのだろう。
好きな女に、自分の思いを伝える大勝負。
それを、ムードも何もない部屋で、しかも惚れた女のパンツを持ちながら行ったのだ。
顔を赤くしながら青くなり冷や汗を流すという超高校級の器用さで、日向は猛烈に後悔していた。
しかし、小泉はそんな彼の狼狽など、全く気にしていなかった。
なぜなら彼女は、かつてないほど、興奮していたから。


「とにかく、そういう訳だから、これは返す…。
 …言っとくけど、嫌いだから返すんじゃないぞ?
 お前が好きだから、持ってられないから、だから、返すんだぞ…」
「…じゃあ、日向は――」
「ああ、小泉が好きだよ。コレ返したくらいで、変わるかよ、そんな大切な事…」

自分の事を、好きと言ってくれるその言葉が。
好きと言ってくれるその人が。

愛しい。
恋しい。
――嬉しい。

そう思った、瞬間。
小泉は、日向に抱きついていた。

「こっ…こいずみ…!?」
「アタシも、大好きだよ…」
「…っ!」

どくん。どくん。
お互いがお互いの心臓の音を聞けるほど、二人は密着し、そして興奮していた。

「小泉…ありがとう」

日向が、小泉を強く抱きしめ返す。
腕に込めた力が強すぎて痛いほどだったが、むしろ小泉にはそれが心地よかった。

「…でも、ごめん」
「…え?」
「俺、もう、ガマンできそうに、ない…」
「…日向」

顔を上げて、潤んだ目で、日向を見る。

「アタシだって、もうガマンできないよ…」

二人は見つめ合う。
燃え上がる。
心が。身体が。情欲が。

「…小泉、言ってる意味、わかってるよな?」

だいじょうぶ。
だって私も、日向に――されたい。
日向が好きで、好きすぎて。
この身体の炎が、消えてくれそうにない。

「うん。わかってる」

だから――

「すきにして、いいよ?」

その言葉を言った瞬間、小泉の唇は塞がれた。
お互い初めてで、テクニックなど何もない、無骨なくちづけ。
しかしその未熟さなど、もはや二人には関係なかった。

「んっ…!」
「ぷは…っ。小泉っ…!」

唇が開放されると、小泉は強引に、強い力でベッドに押し倒された。
「ひゃっ…んっ!」
思わず声が出そうになったが、再び唇が塞がれる。
二度目のキスは、最初のものよりもっと深く、激しいものだった。
唾液に塗れた舌を侵入させ、小泉の口内を隅から隅まで味わう。
それに応えて、小泉も舌を絡ませる。
じゅるじゅると淫猥な音が響き、その事がさらに二人を興奮させる。
「んっ、んんんっ、ちゅ、じゅる、んっ、ちゅっ…!」
長い長い口づけの果てに、肺の中の空気が尽きかけて、ようやく二人は唇を離す。
唇の端から唾液の糸が伸び、それが二人を繋いでいた。

「はぁっ…!小泉…っ!」

ワイシャツのボタンを外すのももどかしく、強引に小泉の服を開き、スカートを下ろす。
ぶちぶちと音がしてボタンが弾け飛び、小泉は、凝ったデザインの、紐の付いた下着だけの姿になった。
その美しい裸体に、下着に、目を奪われる。

「小泉…可愛い…!」
「や…ぁっ…!」

決して大きいとは言えないサイズだったが、綺麗なお椀のような形の小泉の胸は、
美しいピンク色の先端部と合わさって、日向の理性を弾き飛ばした。
手で揉むことすらせずに、その先端部にむしゃぶりつく。

「きゃっ、あぁんっ!?」

ビクンと身体が痙攣し、甘い、可愛い声が漏れる。
普段の強気な彼女からは考えられない、か細く可愛らしい、声。

――そんな、可愛らしい声を出すから。
俺が、止まれなく、なるんだろ――っ!

欲望の赴くまま、ずるずると舌でねぶり、吸い、歯を立てる。
空いた手で、もう片方の胸を、強く掴む。
むにゅ、と音がしそうなほどの柔らかさは、今まで女性経験のない男にとって、感動的ですらあった。
「やっ、あっ、あぁんっ!ふあっ、あっ、やぁんっ!」
その感触に溺れるように、さらに強く胸を掴み、さらに強く乳首を吸う。
「やああぁぁんっ!きゃっ、吸っちゃ、やあぁぁっ…!」
吸い、舐め、噛む。
ひとしきり小泉の胸を堪能した後、ようやく日向は顔を離し――そして、そのまま下着を外す事も忘れて、秘部に顔を埋めた。

「きゃ、ふぁああっ!そこっ、やぁぁっ!」

一番の弱い部分に不意に押し当てられたその感覚に、一際大きい喘ぎ声を上げる。
すでにパンツは生暖かく湿った、濡れた感覚が顔に当たる。
すぅ、と鼻から大きく息を吸い込むと、小泉の匂いが全身を満たした、気がした。
「…いやらしい匂いがする……」
「なっ、何、言って…ひゃうんっ!」
その匂いに欲情し、そのまま布の上から性器を舐める。
「や、ひんっ!やめっ、汚い、からっ…ふうぅんっ!やあぁっ!」
拒もうとするが、布越しに自分の一番恥ずかしい場所をねぶられている、という羞恥と快楽で、思うように声が出せない。
その扇情的な声が日向を刺激し、いっそう激しく責め立てる。
じゅるじゅると淫蕩な音を立て、ケダモノのように布全体を、秘部を、クリトリスを舐め回す。
羞恥から逃れようと小泉が必死で足を閉じようとするが、力が入らず、日向の手を押し返すことすら出来なかった。

「あぁんっ!だめ、ひなたっ、やめっ!んやぁっ、くるっ、なんかっ、きちゃうからぁっ!」

既に愛液は下着から溢れ出し、日向の顔面のほとんどを汚していた。
それでも日向は止まらない。それどころか更に強く、激しく舌を動かす。
既に限界は近かった。
「ひっ、アタシっ、もぅ、だめっ、きちゃうっ!いっ、イっちゃうううっ!」
トドメとばかりに、思い切り性器に顔を埋めて、全力で、布ごと、吸い上げた。

「やっ、ああああああああああぁぁぁぁっ!」

叫ぶような声と共に全身をビクビクと痙攣させ、小泉は絶頂を迎えた。


全身の力が抜け切った小泉は、肩で息をしながらその身体をベッドに横たえていた。
やがて、ガチャガチャという音に反応して、蕩けた表情のまま焦点の合わない目を日向に向ける。
その音は、日向が乱雑にズボンのベルトを外している音だった。
そのままズボンを、シャツを、着ているもの全てを、脱ぎ捨てる。
全裸になった日向の下半身には、信じられないほど固く大きくなったペニスが屹立していた。
「はぁっ、はぁっ…小泉っ…!」
パンツの紐に手をかけ、それを解く。
ついに最後の一枚が外され、小泉は全裸になった。
日向はもう一度小泉の足を開かせ、性器を露にして、びしょびしょになった陰唇に自分のペニスを添えた。
「小泉…!行くぞ…っ!」
そのまま日向は小泉を見つめる。
小泉は、今度はしっかりとした目で日向を見つめ――無言で、こくりと肯いた。
その瞬間。
「うっ…!あ…っうぅっ!」
小泉の膣へと、男性器をねじこんだ。
「くっ…!ぐうっ…!」
十分に濡れていた筈だったが、小泉の膣内はとても狭く、きつい。
その自慰とは全く違う快楽に耐え、奥へ、奥へとペニスを侵入させていく。
そして。
「~~~~~~~~~!!」
ぶち、と何かが破れる感触がして、遂に日向は最奥に辿り着いた。

「う、ぐうううううううううううぅぅぅぅっ!!」
最初で最後の破瓜の痛み。
今までの人生で経験したことのない激痛に、小泉は思わず声を上げた。
シーツを握りしめ、歯を食いしばって、それでも声を押し殺せずに、悲鳴が漏れる。
痛い。
苦しい。
もう、駄目。
息を吸うことすら出来ず、小泉はひたすら耐えていた。
耐えて。堪えて。
これから始まる、激しい動きに、覚悟を決めた。
しかし。

「小泉っ…、お前…?こんな、血も、出て…本当に、大丈夫か…?」
予想していたような激しい動きは全く無く。
代わりに、心配そうな日向の声が聞こえてきた。

…なによ。
すきにしていい、って言ったのは、アタシなのに。
ガマンできないとか言ったのは、日向なのに。
結局あんたは、アタシの事、こんなに大事に、してくれてるじゃない。
だから、アタシは。
あんたに、こんなに惚れちゃうのよ――

「だっ、だいじょうぶ…だから…っ」
「…本当か?無理…してないか?」
「無理くらい、させてよっ…!じゃないと、嫌だよ…!
 こんなに、好きなのに…ここで、終わりなんて、いやぁっ…!」
「我慢出来なくなったら…言えよ?」
「うん…ありがと、ひなたぁ…っ」

痛い。
苦しい。
だけど、もっと。

「「もっと、ずっと――繋がっていたい。」」

小泉だけだなく、日向も。
二人は、全く同じ事を思っていた。

小泉の手を強く握り、ゆっくりと腰を振り始める。
時折キスを交えながら、軽い愛撫を交わしながら、出来るだけ、優しく。

「っ…ふっ……」
「ひ、あ、くぅ…っ…はぁっ…!」
「はっ…ぐうっ…!」
「はぁっ…あ、んうっ!…あっ…!」

しかし、初めて体験する女の膣は、自慰とは比べ物にならない暴力的な快感で、腰を動かさずにはいられない。
気を抜いたら一瞬で射精してしまいそうな快楽の中、それでも、出来る限りゆっくり腰を振る。
しかしそれも限界で、腰を打ち付ける動きはどんどん大きくなっていく。

「あっ、ああっ!はっ、やっ、あんっ!」

強く、強く、日向の手を握る。
苦痛と快楽に溺れながら、それでも小泉は手を離さない。
日向を、拒まない。
その事があまりに愛しすぎて、上体を倒して小泉にキスをする。
「ん、ちゅ、はっ…ちゅぱ、ちゅるっ…!」
いつの間にか、ゆっくりとしたストロークは、叩きつけるような動きに変わっている。
快楽が高まる。射精を堪えるのも、もう限界だ。

「あんっ!ああっ!やぁぁっ!ふっ、はあぁぁんっ!」
「こっ、こいずみっ…!もう、俺、限界だッ…!」

快楽の嵐の中、もう一度小泉を見る。
愛しい女は、日向を見て、無言で、肯いた。

「あっ、あああぁあぁぁああああぁぁぁっ!!」

欲望が吐き出される。
自分でも信じられないような精液が、小泉の身体に飛び散る。
下腹部から胸までもを汚し、ようやく射精が終わる。
全てを与え、受け止めた。
こうして、二人の初めての性行為は終わった。
心地よい、幸せの中で。

「はーっ、はーっ…小泉、大丈夫か…」
ベッドにどさりと倒れこみながら、日向が最初に言ったのは、相変わらず小泉の身を案じる言葉だった。
「はっ、はぁっ…はーっ、はーっ…」
肩で息をしながら、行為を思い返す。

思えば。
最初こそちょっと乱暴にされた気がするけど。
繋がる前も。
繋がる瞬間も。
繋がった、その後も。
日向の口から出た言葉は、アタシの事を想ってた。
「痛かったし、苦しかったし…今もあそこが、ズキズキしてる…」
でも、その痛みすら。

「でも、嬉しい――。アタシ、幸せだよ…」

そう言いつつ、小泉はゆっくりと眼を閉じる。
直後に、唇に唇が触れる感覚。
あぁ、暖かい。この人に抱かれて、アタシは本当に、幸せだ。

「日向」
「どうした?」
「名前で、呼んでほしいな」
「…え?」
「アタシたち、他人じゃなくて、恋人なんだからさ…」
「あぁ…そうだな。こ、じゃなくて、真昼…」
「うん…サンキューね。創」
安らかに微笑みながら、名前を呼び合う。
それだけで、心が温かくなる。
「真昼」
「…なに?」
「俺、真昼が好きだ。ずっと一緒にいてくれ」
「……それ、さっき言わなかった?」
「あの時は気が動転してたし、何よりパンツ持ちながらだったから…」
「………」
「だから、もう一回、ちゃんと言おうと、思ってさ」
「…ばか。ありがとう。…嬉しい」
「………」
「アタシもさ、創のこと…スキ…大好きだよ」

小泉は、日向に深く寄り添う。
その身体は思っていたよりずっと大きく、厚かった。

「最初は、頼りないって思ってたのにね…」
「はは…そういえば、いきなりそんな事言われたっけか」
男を見る目、なかったな。アタシ。
「………」
日向が、小泉の頭に触れた。
そのまま、小さな子供をあやすように、優しく、ゆっくりと撫でる。
その感覚が、この上なく幸せだった。
「…何してるの?」
「あ、いや…真昼が、可愛かったから、つい…。嫌だったか?」
「ううん。もっと、撫でて…」
「…ああ。本当、可愛すぎだろ…お前…」
「えへへ。柄じゃないかな…?」
そんな事を言いあいながら、何にも変え難い温もりを感じあいながら。
二人は、まどろみに落ちていった――。


翌日。探索を終えて部屋でくつろいでいると、小泉が尋ねてきた。
「ほら。昨日のコレ、洗っといたから」
そう言って小泉が差し出したのは、日向のワイシャツだった。
綺麗に洗濯されたそれは皺一つ無く、取れた筈のボタンも付け直されていた。
その素晴らしい手腕に、ただただ感服するした。
「真昼。超高校級のお嫁さんになれるよ、お前」
「だったら創も、超高校級の旦那になれるように頑張りなさいよ」
「うぐっ…!」
「あ。あと、昨日みたいな事するなら、今度からちゃんと避妊具付けてよね。
 アタシも創もまだ学生なんだからさ、万が一って事があったら困るでしょ?」
「お、おう…」
「ちなみに、ボタンを弾き飛ばすのも禁止ね?」
「………」

昨日のしおらしい様子が嘘のように、いつもの様子でまくし立てる小泉。
何回も繰り返されたやりとりだったが、違うのはお互いを、名前で呼び合っている事だった。
「…わかった、創?」
「あぁ。わかった」
「…本当にわかってるんだか………ま、いっか」
そう言って腰に手を当てて、ため息を一つ吐く。

「そういえば」
「ん?」
「結局、返してなかったわよね?アタシのパンツ」
「あっ…そういえば」
「できれば、返してほしいんだけど」
「………」
名残惜しい気もするが、仕方ない。
良く考えたら、これがあったから、真昼とこんな関係になれた。
ならばよし、だ。そう考えて、ベッドの下から魅惑の薄布を取り出し、小泉に差し出した。
「…アタシの弟もだけどさ、なんでベッドの下にいやらしいもの隠すのかな?
 普通に考えても、あんまり良い隠し場所じゃないと思うんだけど…」
「そっ、それはどうでもいいだろ!とにかく、ほら!」
「ん。サンキューね。…それじゃ、返してくれたお礼に…いいモノ、あげる」
「へッ?」
予想外の言葉に、滑稽な声が出た。
その声を聞いて小泉は少し笑って――両手をスカートの中に潜り込ませた。
そして。

「はい。プレゼント」
「~~~~~~!」

またしても。
俺は彼女の肌着を手に入れてしまった。

「ちょ、えっと、なんで…」
「アタシの、一番の勝負下着だから。それ」
言われて見れば。
確かにそのパンツは、前のものとはデザインが違っていた。
というか、その過激さで日向の理性を奪った以前のものよりも――さらに過激なデザインだった。
「それに、もう我慢する必要ないでしょ?」
「え、それって、どういう…」
「わかんないかな…もう…」
言いつつ、小泉は日向に近づき、耳元に口を寄せる。

「我慢できなくなったら…アタシの部屋、来ていいよ…?」

耳元で囁かれたその言葉に、一瞬で日向は赤くなった。
「そっ、それって…」
「ちゃんと、避妊はしなさいよね?」
少し赤くなりながら小泉はそう言って、立ち上がり。
「それじゃあ、またね!」
部屋には日向だけが残された。

「………」

小泉が去って数分が経ったが、日向の顔は未だに赤いままだった。
手元に残された布を見て、昨日の彼女を思い出し、また赤くなる。
「…はぁ。かなわないなぁ、真昼には……」
そんな事をぼやきつつ、この後、真昼の部屋に行ったら、どんな反応をされるんだろうか、と想像する。
日向を迎え入れ、昨日のような情熱的な愛を交わすんだろうか。
昨日の今日って…ほんと、男はケダモノね、と拒まれるんだろうか。
「でも、どんな反応されても、幸せなんだよなぁ、俺…。真昼、可愛すぎるし…」
そんな日向のぼやきは、誰にも知られずに消えた。
やがて日向は、自分の興奮を収める事を諦め、部屋を出た。
これからまた会うであろう、愛しい彼女の事を想いながら。

「真昼。お前を――見つけられて、良かった――」
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