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モノクマの夜の放送が終わって少し経った頃。コテージの扉を叩く音。
狛枝凪斗はベッドから身を起こした。

「はい、今開けるよ」
(こんな時間に誰だろう? もしかして、誰かがクロになる決意をして、僕を頼ってきてくれたのかな!?)

わずかな期待を胸に、戸を開ける。とそこには、ざんばらとした長い黒髪の、おどおどした少女。
超高校級の保健委員・罪木蜜柑が立っていた。

「あれ? 罪木さん、病院で九頭竜君に付き添ってたんじゃなかったの?」

疑問を投げかけると、白いエプロンの前でわたわたと手を動かしながら、焦ったような答えが返ってくる。

「あのですね、私、そのぉ……九頭竜さんが、ちょっと独りで考え事がしたいとのことだったので……
 状態も安定しているようでしたし、お言葉に甘えてその間に所用をすませてしまおうと……」
 要するにちょっと病院を抜け出してきたらしい。

「私のことなんてどうでもいいですよね。す、すみませええん」
「いいよ。僕が訊いたんだし」
「はいぃっ! そうでした、ごめんなさいぃっ!」

いつものごとく勝手に泣きそうになる少女を前に、笑顔を崩さず狛枝は更に問いかける。

「それで罪木さん、僕なんかに何の用かな?」
「えーっと……狛枝さん、学級裁判の前に縛られてましたよね? その間、簡単なご飯しか食べていない
 ようだったので、そのぉ、健康状態はどうかなあって」

罪木が腕に下げていた鞄からビンに入った錠剤を取り出す。ビタミンなど、数種類のサプリメントを
持ってきたらしい。

「うわあ、さすがは超高校級の保健委員の罪木さんだね! 僕なんかの身体を心配してくれるなんて感激
だよ!」

 大げさに両手を広げて見せると、罪木はあたふたと手を振り否定する。

「そ、そんなことないですぅ! 私なんて、これくらいのことしかできませんし……ここに来る途中も
 西園寺さんに栄養が偏ると新陳代謝や免疫機能が悪化すると話したんですけれど、……ま、またゲロブタ
 ウザいと言われてしまって……ふゆぅ……」

話が進むと罪木は、再びうるうると眼に涙を溜める。どういう方向に話を持っていっても同じ流れに
なりそうだ。
少し思案して、狛枝は強制的に話を終わらせることにした。

「僕はこのとおりピンピンしてるよ。罪木さんもあまり長く病院を空けてるわけにもいかないんでしょ?
 キミの時間をムダに消費するのも悪いしさ、他に用事がないなら少し休んだら?」
「わ、私なんかの時間なんて気にしないでくださいぃ! もう大体用事は済ませましたし、寝れないのも
 休めないのも慣れてますからぁ!」

誤算があったとすれば、狛枝の希望に対する過信。

「こ、狛枝さん、私なんかのために、気を使わせてしまってすみません! あ、ひょっとしてこれから
 寝るところでしたか? お邪魔してしまって、ご、ごめんなさいぃ! 何でもするので許してくださいぃ!」

掃除や監禁で交流する時間が短かったことも手伝い、彼は罪木蜜柑という人間を多少見誤っていた。
超高校級の希望にふさわしい人間が、ここまで自分を卑下してくるとは思っていなかったのだ。

「って言っても私、ウミガメの産卵のモノマネぐらいしかできませんけれどぉ……あっ! で、でも、
 蹴られるサッカーボールの真似もいい線いってるって、以前褒められたんですぅ! ほらぁ、いくらでも
 蹴っていいんですよぉ?!」
(うーん……ここまでくるとさすがにウザいなあ)

タイプは違うが、彼女の自己肯定感の低さは自分自身を見ているようで、微かに苛立ちを覚える。
それと同時に、何が彼女のような人間に、ここまで自信を失わせているのか興味が湧いた。

「それはさすがに遠慮させてもらうけど……もしよければちょっと座って話そうよ。あ、でも僕みたいな
 ゴミクズと一緒の空気なんて吸いたくないよね?」
「いいいいいええぇ! ご、ご一緒させていただきますうぅぅ!!」

一脚しかない椅子は罪木にすすめて、自分はベッドに座って話を聞くうち、狛枝は彼女の性格を
大体把握していた。虐げられ続けた過去の経験から来る自信のなさ、それでも無視されるよりはマシと
人と関わり続けた結果の被虐傾向。

(そんな環境の中でも希望を見失わず、むしろ保健委員としての才能を磨き続けた結果、
 希望ヶ峰学園に入学できたんだね。すごいなあ)

油断すると脱線しそうになる会話の流れを修正して話を聞き出しつつ感心する。

「あのぉ……そろそろ私、病院に戻らないとぉ……いいえっ、決して狛枝さんとお話するのが嫌な
 わけではなくてですねっ」
「うん、僕も色々と話が聞けて楽しかったよ。引き止めちゃってごめんね」

 狛枝はコテージの戸を空けようと立ち上がる。扉の前まで歩いてきたところで、

「きゃああっ!?」

何もないところで転んだらしい罪木に押されるようにして、扉に額をこっぴどく打ちつけた。

「すみませえええん!」

呻きながら身を起こそうとして気づく。背中に罪木がもたれかかって、中々立ち上がれないでいるようだ。
しかも、二つの豊満なふくらみが、腰の少し上あたりにしっかり当たっている。

「……罪木さん、どいてくれないかな?」
「ふええええぇん! ごめんなさああああぁぁい!」

とにかく立ち上がろうとしてあんなところやこんなところをうっかり触ってしまったりしながら、二人は
体勢を立て直した……が。

「大変、血が出てますぅ! 手当てするのでとりあえずその辺に座って……きゃあああぁっ!?」

ズキズキする額を押さえてふらつきながらベッドへ歩いていった狛枝は、再度転んだ罪木に押し倒された。
今度はベッドの上に倒れたのでどこもぶつけずにすんだが、やわらかな罪木の身体と弾力のあるマットに
挟まれて窒息しかけた。

「すみませええええええぇぇん!!」
(……まさかこんなところで不運が発動するなんてね。いや、幸運なのかな、一応)

どうにか助け起こされて、額の傷の応急処置を受ける。

「ふゆぅ……狛枝さん、本当にごめんなさぁい……」
「平気だよ、僕も多少のことなら慣れてるしね」
「お、重かったですよね? 私、いつもデブって言われるから」
「そんなことないよ。むしろ、男子にとっては罪木さんぐらいの体型の方が魅力的なんじゃないかな?」

その言葉に、はっと怯えたような顔を見せる罪木。狛枝も失言に気づいて、内心で舌打ちする。
扉に頭をぶつけたとき、打ち所が悪かったのかもしれない。

「も、もしかして狛枝さん……私を部屋に連れ込んだのは、あんなことやこんなことをするためだったん
 ですかああぁ?!」

「まさか! 僕みたいな虫ケラが罪木さんに何かするなんて」
「じゃあ、私の体型が魅力的だっていうのは嘘ですよねぇ!? ちょ、調子にのってすみませえええん!!」
「いやあ、そういうわけじゃなくて……」

罪木はベッドに腰掛けている狛枝の足元にひざまずき、上目遣いに見上げてくる。

「じゃあ狛枝さんは、私の身体で……その、いやらしいことがしたいんですかぁ……?」
「そういうわけでもなくて」
「そうですよねぇ、私なんて道端の雑巾みたいにどうでもいい存在ですよねぇ……それなのに思い上がったり
 して、気持ち悪いですよねぇ……」

何を言っても堂々巡りだ。額の傷は熱をもってじくじく痛むし、彼は考えるのが面倒になってきていた。

(この状況は幸運と不運、どっちに転ぶのかな?)

頭の片隅でそんなことを考えながら、狛枝はこめかみの血管が切れる音を聞いたような気がした。

「……ねえ、わかってるの? キミは“希望”と呼ぶにふさわしい人間なんだよ?」

狛枝は罪木の前にかがみこんで、目を合わせる。少女の細められた瞳は、きょときょと左右に揺れる。

「もっと堂々としていいんだよ。キミはそれが許されるだけの才能を持って生まれてきたんだから」
「無理ですよぉ! そんな風にできっこありませんよぉ……これ以上どうしろっていうんですかぁ?」

――どうしてわからないんだろう。馬鹿じゃないの?
それは、希望への醜悪な嫉妬心。希望になれる資格を持ちながら自己を否定する人間への、身勝手な苛立ち。
肩を掴む手に力が入る。

「あ、もしかしてエッチなことすれば許してくれますか? え、エヘヘ、好きにしていいんですよぉ?
 私も頑張ってご奉仕しますからぁ。そうすれば私みたいなのでも嫌わないでくれますよねぇ? ね!?」

「それをやめろって言ってるんだ!!」

声を荒げると、ひう、と罪木が息を詰まらせた。かまわずまくしたてる。

「キミはボク達凡人を踏み台にして、どんな絶望も打ち砕く真の希望になれる人間なんだ!
 そうでなくちゃ困るんだよ! ねえ、超高校級の保健委員である罪木さん自身に胸を張ってよ!
 希望を掴み取れると証明してみせろよ、ほら!!!」

罪木はガタガタと身を震わせて頭を押さえながら泣いている。泣きながらも、蚊の鳴くようなか細い声が
反論する。

「……ふえぇ……ひっく、だってだって、ちょっとでも偉そうにしたら殴られちゃうんですよぉ……ううぅ、
 私はそこに存在するだけでみんなを不快にさせる存在なんですぅ。だから、せめて役にたたなくちゃ、
 許されないんです、見てもらえないんです、愛してもらえないんですぅ……お願いですから、
 もう、ゆ、許してくださいよぉ……」

力ない言葉を聞くうち、狛枝は冷静さを取り戻していた。
(らしくないなあ。やっぱり頭の打ち所が悪かったかもしれない)

「そっか、それがキミの希望の形なんだね。怒鳴ったりしてごめんね」

優しく語りかけると、罪木はしゃくりあげながら小さな声で訊いてくる。

「うぅ……狛枝さん、許してくれるんですかぁ? ……私のこと嫌わないでくれますかぁ?」
「ボクが罪木さんのこと嫌いになるわけないじゃないか。だからさ」

彼女の身体を、床の上に押し倒す。長さの不ぞろいな黒髪が、フローリングに広がった。

「……もっとキミの希望を見せてよ」

――――――――――

エプロンを外し、ついでに自分のジャケットも脱いで、一緒にその辺に放る。
ブラウスのボタンを外し、胸をはだけてスカートをたくし上げても、一切抵抗はない。
それをGoサインと受け取りそのまま服を脱がしていく。
罪木は羞恥からか、ぎゅっと目を閉じ固まっている。

ブラジャーを外すと、豊満なバストがたぷりと揺れ、重力に引かれて胸骨の上で形を崩す。
手の平に余る大きな胸も圧巻だが、それ以上に目を引くものがあった。腰、腹、胸と上半身の服に隠れる
あらゆるところに広がる、青や赤や紫の冗談みたいにカラフルな痣。創傷や火傷のようなものも
ちらほら見られる。

「…………」
「あ、あの! これはですね、わたしドジなのでよく転んだりあちこちにぶつけたりして、生傷が
 耐えないんですよ! 自分で処置してるんですけど次から次に新しくできてしまって――」
「ふーん……」

丸わかりな嘘をあえてつく心理はよくわからなかったが、あまりに必死に否定してくるので敢えて追求しない。
ふくよかな胸の谷間に舌を這わせ、外側から両手でもみしだきながら、徐々に山の上の方へ刺激を与えていく。
柔らかな肌はとろけるように柔らかく、触り心地がよい。

「ひうっ、……んっく」

乳頭を口に含みころころと舌で転がすと、罪木の口から声が漏れ出る。反対側の乳首も甘噛みし、
唾液の音を立てて吸い上げる。一端顔を離すと、白い肌に点々と赤い斑点が残っていた。
新たに痣を増やしてしまったように思えて、奇妙な罪悪感が湧く。

「えーと、こっちもだね」

妙に窮屈でゴムの食い込んでいるパンツを引き剥がす。タバコの火を押し付けたらしき跡を避けながら、
むっちりと肉付きのよい太腿の内側を撫で上げ、そっと陰部に触れた途端、両足がびくりと震えた。
そこは触る前から既に湿っていて、軽く人差し指の先を出し入れするとチュプリといやらしい音を立てる。
中指と親指も使ってクチュクチュかき回しながら陰唇をいじると、それに合わせて淫猥な嬌声が上がる。

「ふあぁん、あぁっ、んんぁんっ……」
「うわあ、どんどん溢れてくるよ」
「ひゃうぅっ、う、……言わないでくらさぁい……」

恥ずかしさをごまかそうとするかのように、罪木が起き上がる。おどおどしながらしばらく視線を
彷徨わせていたが、覚悟を決めたらしく狛枝のズボンに手を伸ばしてきた。

「わわわわ私も! 狛枝さんのココ……気持ちよくしてあげますね?」

ズボンとパンツを下ろすと、罪木は狛枝の男性器を恐る恐る手に取り、ゆっくりしごき始めた。
遠慮たっぷりの拙い手つきがくすぐったかったが、素手の右手と包帯の左手、異なる感触の緩急で、
若い盛りのそれはすぐに硬く反り返った。
続いて彼女は身体を折り曲げ、手の中のものに顔を近づけ――ぴたりと動きを止める。見ると、
最初のようにぎゅっと目を閉じ歯を食いしばって、ぷるぷると震えている。目の端には涙が滲んでいた。

「罪木さん?」
「は、はいぃっ?!」
「ボクの汚らしいモノなんて、無理して舐めなくていいんだよ?」
「ふえぇ、ごめんなさいごめんなさい! そのぉ、思ったより大きくなっちゃって、怖いんですぅ……」

そのままの姿勢で謝ったあと、罪木はふと何かを思いついたらしく狛枝を見上げてきた。

「代わりといってはなんですが……ベッドに腰掛けてもらえますか?」

そう言われて初めて気づく。なぜわざわざ床でこんなことをしているのか。
近くにベッドがあるのだから、素直にベッドを使えばいいのだ。とりあえず罪木の言うとおりベッドに座る。

「これでいい?」
「もう少し足を広げてもらえますか? ……はい、そのままで」

罪木は狛枝の足の間で膝立ちになると、大きな胸を両手で持ち上げ、深い谷間に竿を挟み込む。そして
胸をゆするように動かしパイズリを始めた。

「どうですか……?」
「んっ……気持ちいいよ」

やわやわと与えられる刺激は思ったほど気持ちのいいものではなかったが、必死な罪木を見ると
そのまま言う気にはなれなかった。
しばらくパイズリは続いて、それなりに快感は昂まったが射精には至らない。それに気づいたのか、
罪木の表情がどんどん暗くなっていく。

「やっぱり口でした方が気持ちいいですよね」
「うーん……まあ、否定はしないけど」
「し、下の方で、しますか?」

自らの股間をおずおずと指差す罪木。いつのまにか、床に愛液が垂れていた。

「わかった。確か浴室にコンドームが」

最初に花村が発見した後、各自確認しに行ったが、少なくとも男子の分のコテージには最初から
備え付けられていた。モノミとモノクマどっちだか知らないが、変なところに気を回しすぎだと
思ったものだが、まさか役に立つ時がくるとは。
取りに行こうとした狛枝だったが、罪木に腕を掴まれる。

「そのままでいいですよ」
「……でも」
「大丈夫ですっ! 私、生理が重いので低容量ピルを服用してますし、性病もオールクリアですし……
 それに、付けない方が気持ちいいですよねぇ?」

人差し指で頬を掻きながらえへへと笑う彼女に向かって、確認する。

「本当にいいの?」
「いいんです。お願いします。必要とされたいんです。私のこと、必要としてください。私のこと、
 見てください。そのままの私を感じてください」

希望に縋りつく、淀みながらも強い視線に射抜かれて。否定の言葉は吐けなかった。

「じゃあベッドに上がって」
「はい。あのぉ……私が上でもいいですかぁ?」
「え?」

予想外の発言に、罪木をまじまじと見つめる。

「人にのしかかられると、ど、どうしても怖くって」

最初に目を瞑っていたのは、羞恥ではなく恐怖からだったらしい。

「でも、それだと罪木さんだけが腰を動かすことになるけど、大丈夫?」
「あ、あううぅ」
「じゃあこうしよう」

向かい合って座り、罪木の足の下に膝を滑り込ませ、痣だらけの腰に腕を回して引き寄せる。

「どう?」
「はいっ、大丈夫ですぅ」
「じゃあ、入れるよ」

亀頭を濡れそぼった秘所に押し当て、慎重に挿入していく。膣内は暖かく内壁がぬるぬると絡みつき、
腰をゆっくり進めるだけで、さきほどまでとは比べ物にならない快感に襲われた。

「はあ、……はあぁ、っん」
「これで全部入ったよ。なんとなく予想はしてたけど、初めてじゃないんだね」
「い、一ダースの鉛筆で喪失済みですぅ……やっぱり初めての方がいいですよね? ごめんなさいぃ」
「……動くよ」

物騒な発言があった気がしたがスルーして、腰に意識を集中させる。そろそろと動かし始めるが、途中から
我慢がきかなくなり、抽挿のスピードをどんどん上げていく。

「ああぅっ、そんな、そこは……だ、だめぇえっ、ひゃあぁああんっ、あ、すごっ、」

罪木も感じているようで、嬌声を上げながら狛枝の背中に爪を立てて縋りついてくる。
接合点からヌチャヌチャと、卑猥な音が部屋中に響く。

「狛枝さぁんっ! 私、もう、もうぅっ!」
「はあ、はあ……ボクも、イきそうだ……」
「中にぃっ、狛枝さんのを中に出してええぇっ!! あ、ぁぁぁあああああああああああああっ!!!」

がくがくと腰をゆすりながら、二人同時に絶頂に達する。狛枝自身が吐き出した精を、罪木の最奥が
余さず受け止めた。
脳神経が焼ききれるような快感の余韻、そしてその後にくる寒々しい虚脱感に浸る。
罪木も宙をぼんやりと見つめている。
狛枝は、彼女の虚ろな目の中に、さらに虚ろな自分が映っているのを見て、密かにぞっとした。

――――――――――

「じゃあ、私、病院に戻りますね」

気まずくなったのか、罪木は手早く身支度を整え、狛枝と目を合わせずに出て行った。
狛枝は独りコテージに残される。ふいに先程までのできごとがおかしくなって、彼は乾いた笑い声を上げた。

「あはは、あははははっははははははははは」

身を捩って笑い転げる。狛枝なんかに縋った少女も、それに流された彼自身も、あまりに滑稽で。

「はははははあはははははははははははっ、は」

人は一カケラの愛さえなくてもこんな簡単に――それこそ一ダースの鉛筆が相手でも――身体は繋がることが
できる。繋がることができてしまう。
生きてる実感を求めたところで、自分の存在意義を求めたところで、何一つ確かなことなんてない。

だからこそ、希望が必要なのだ。
何ものにも負けない、何よりも強い、何にも動じない、真の希望が。

――――――――――

数日後、入院した狛枝をあっさり病院着に着替えさせて、一部の人間をヤキモキさせた
罪木蜜柑の姿があったとか。
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