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「今からそっちに行ってもいいか?」

夜中の10時、よく知る彼女からかかってきた突然の電話はそんな内容だった。





希望ヶ峰学園寄宿舎の一室。

「一体何の用じゃ?こんな時間に…。」

部屋の主である弐大猫丸は客人――同じ希望ヶ峰学園の生徒の終里赤音を迎えた。

「お前さんっちゅうんはこんな遅くに一人で外出歩いて…全く、危なっかしい奴じゃのぉ!」
「……。」

部屋に入ってから終里は終始無言。普段の快活な面影はなく正に憔悴しきった状態だった。

「おい、何とか言わんか!…だんまりじゃあこっちもどうしようもないぞ?」
「……。」

無言のまま終里から渡されたのは一冊の雑誌。開かれたページには『超高校級の体操部 汚れにまみれた過去』と大きな見出しと共に、彼女の行ったことが誇張気味に記され、希望ヶ峰学園の名に泥を塗るなどと第三者だからこそ書ける好き勝手な文章が書かれていた。

「…家に帰ったらこれと一緒に手紙が置いてあって、姉ちゃんにこんな辛い思いさせてばっかりでごめんってさ。

探したよ。でも全然見つかんねー…あったのは、一番下のチビが履いてた靴だけで…」

「……終里…。」

話せば話すほど、彼女の表情は歪み、自分のスカートを皺が残る程強く握りしめていた。


終里と接することが多かった弐大だが、こんな終里の表情を見たのは初めてのことだった。
普段、他人のことなど殆ど気にも留めないように見える彼女でも、長年一人で守り続けてきた家族に関しては例外だったのだ。

「オレは今まで、食うために何でもしてきた…

そりゃ、人に自慢できるようなことじゃなかったけど…けどよ、そうでもしなくちゃ、オレもチビ達もやっていけなかったんだ…

それが今になってこんなことになって…


もうどうすりゃいいのか全然わかんねーよ…!」

前髪の隙間から覗かせた瞳は潤み、唇を噛んで、今にも泣きそうな顔である。それでも涙を零さないのは彼女の弱肉強食としか言いようのない過去がそうさせるのだろう。

その痛ましい様子に耐えかね、弐大は終里を抱き寄せた。


「マネジメント以外のことで女を慰めることなんぞ滅多にないから、上手い言葉は思い付かんが…辛いなら我慢せんと思いっ切り泣いた方がいいぞ。」


「ッ…嫌だ!」

しかし、その腕を終里は払いのけた。

「泣くのは弱えー奴のすることだろ!…オレは強え……強くなきゃいけねーんだよ!」

睨み付けるようにして顔を上げたが、必死の抵抗も虚しく瞳から抑えきれなかった涙が一滴頬を伝う。

「ワシの胸ならいくらでも貸してやるわ。」
「泣いてなんかねーよ…!」

頭を撫でればまた一滴零れる。

「何も見んかったことにしてやるからな。心配はいらんぞ!」
「だから…っ泣いてなんか…ねーって!」

ボロボロと、一度崩れてしまえばとどまることを知らない。
最終的に終里は涙で顔をぐちゃぐちゃにしながら弐大の両腕に収まっていた。



そうして二、三十分程経っただろうか。
落ち着きを取り戻した様子の終里は今晩はもう遅いため泊まることとなり、着替えのため一旦シャワールームへ籠もっている。弐大は終里の涙やら何やらで前がぐっしょりになってしまった服を脱いだところだ。

シャワールームの戸が開き、終里が出てきた。
着の身着のままでここまで来たため替えの服などない。そのため今の彼女の姿は弐大から借りたタンクトップのみを着た、所謂彼シャツ状態である。
健康的な小麦色の肌に白い布のコントラストが眩しい。弐大が着るとぴったりの服も終里には大きいようで、動く度に色んなところがギリギリ見えそうで見えないのが……



……止めよう、変な気を起こしそうだ。第一、そういうつもりで泊めた訳じゃないだろう!
自らの両頬を両手ではたき、弐大は己を戒めた。

「…よし、今晩は外を出る以外ならお前さんの言うこと何でもしてやるわ!」

悶々と考えていると本当に何かしでかしてしまいそうだったため頭を切り替えることにした。

「…本当か?」
「応!漢(おとこ)に二言はない!」
「じゃあ、さ…。」

終里が弐大の座るベッドの方へ歩み寄り、首もとへキュッと抱き付いた。
先程のことがあったせいか、つい「添い寝でもするか?」なんて幼い少女を相手にするような発言をしてしまう。

すると首に腕を回していただけだった終里が前方へ体重をかけた。
向かい合う状態でいた弐大は背中からベッドに倒れ込み、そして終里が上に乗ってきた。



「添い寝じゃなくてさ…――」

そう言って鎖骨を舐め、厚い胸板に指を、なぞるように這わせる。
受け手側の弐大は余りに突然の展開に状況が呑み込みきれずにいた。
しかし手が更に下りてきた。

これは、まずい。

下へ伸びる彼女の手を右手で掴み逆の手で体を引き剥がした。

「ちょっと待たんかい!お前さん、自分のしとることわかって…」



制止の声を上げかけるも、途中で言葉を呑み込んでしまった。

自分の腕の中で泣きじゃくる"少女"の姿はどこへ行ったのだろうか、今弐大の目の前にいたのは立派な"女"だった。
唇は唾液で濡れて部屋の光を鈍く反射させ、サイズの大きすぎるタンクトップがずり落ちて、乳輪が僅かに顔を覗かせている。

「何でもしてくれるんじゃなかったのかよ。」
「確かにそうは言ったが…」


あくまでも自分達は選手とマネージャーでしかない、と返すべきなのに、喉の奥でつっかえてしまう。

はっきり言って、終里を素晴らしい素材を持った選手としか思っていないようなら今ここまで頭を悩ませることなどないのだ。
本当にそういう意識のない相手ならそもそも最初の話を聞いた時点で今こそ頑張りどころじゃないかと激励している。断じて抱き寄せるなんて甘えさせるようなことなどしない。

つまり弐大は表向きにはマネージャーとして接しているものの、本心では終里を一人の女として守ってやりたいと考えているのだ。


彼女に対して確かな好意を持つため、求められることが嬉しくない訳がない。
しかし一方で彼女を大切に思う気持ちや自身のマネージャーとしての誇りが彼女への想いを妨げる。


二つの気持ちがせめぎ合うなか、弐大は頭を抱えるしかなかった。

「――いいや。」

長い沈黙を破ったのは終里の方だった。

「人肌恋しいっていうのか?そういうだけだからさ。無理に弐大のオッサンに頼むことねーよな!」

ベッドから降り、何事もなかったかのようにいつものあっけらかんとした調子で喋り出す。

「…やっぱオレ、今日帰るわ。」



…このまま終里を行かせたなら、彼女はどこかで知らない誰かと温かさを求めて体を重ねるのだろうか。

その考えが脳裏をよぎったとき、弐大から迷いはなくなっていた。


終里の腕を掴み、引き寄せて、その勢いのままベッドへ倒し、その上に覆い被さる。

「…弐大?」

終里は小さな驚きの表情を浮かべていた。
どんな経歴と肩書きを持とうが彼女はまだ20にもなっていない少女だ。それを意識すると尚更庇護欲が強まった。

どこの誰かもわからない、彼女の体以外求めないような奴に触らせるくらいなら…自分が。

「本当に、後悔はないな?」
「…今更ナシなんて言わねーって。」

弐大の首の後ろへ終里の腕が回される。
ゆっくりと顔を近づけ、互いの唇を重ねた。

チュッ、チュ…

角度を変え、何度もキスする。

「んむ…っふ、ぅ…んん…っ」

意外にも終里はキスは不慣れらしい。緊張しているのか、後ろに回された腕に入る力が増した。

親指で唇に触れれば、ぎこちないながらも口を開け、舌を差し出した。それを捉え、更に深く口付ける。

チュプ、れろ、チュ

「ふぁ…は、ン…ぷはぁッ」

部屋に乱れた息遣いと水の音だけが響く。その状況に情欲が更に燃え上がった。


絡めた舌は離さぬまま女性らしさを象徴する二つの膨らみの片方へ、ぶかぶかの服の上から手を添え、形を確かめるようにやわやわと揉む。
大柄な弐大の手でやっと収まる程の乳房、力を入れる度にむにゅ、と形を変え手の中で弄ばれる様がたまらない。この大きさと柔らかさでよく垂れないものだ。

「ッふ…はぁ…ン…っ」

指が布越しに胸の突起を掠めるとくすぐったそうに身をよじる。

「終里…」
「んっ、弐大…」

ようやく唇を離して終里を見れば、息を切らし、唾液が口から伝い、目は潤み、頬は赤みを帯びて、何ともしおらしい表情でこちらを見つめ返してきた。

「ッ…ああ全く…!」
「うわっ、ちょッ何だよ…ひゃあんっ!」

一度タガが緩むと案外抑えが効かなくなるものだ。
夢中で終里の着ているタンクトップの襟を一気に下ろし、ポロン、なんて擬音でもつきそうな風に零れ出た乳房へしゃぶりつくと、普段のがさつな素振りからは想像できないような可愛い声を上げてのけぞった。
片方の胸の先端を舌で転がす、甘噛みする、吸い付く。余ったもう片方は指で摘む、弾く、押し潰す。

「ひァ、あン!…ッやぁ、にだいィ、ぁあッ…!」

シーツを両手できつく握り締め、愛撫に応じて体を震わせる目の前の女にどうしようもなく惚れていることを弐大は改めて自覚した。

もどかしそうに摺り合わせる太腿の間に手を入れ、筋肉の引き締まった感触と適度についた脂肪の柔らかさを併せ持つ足の手触りを味わい、徐々に付け根へと辿る。
焦るな、焦るなと衝動を抑えても徐々に息が荒くなる。

「…ハァ…っ…随分、濡れとるな…」

湿った下着を脱がして姿を現すのは愛液を滴らせて艶めかしく照らされた恥部。指でなぞれば陰唇がきゅう、と指を挟むように閉じ、切なげな声が小さく漏れた。
入り口に指を突き立てるとすんなりと呑み込まれてしまった。

ぐぷ、ズッ、ぐちゅ

「んっ、ぁ…はァッ…!」

中は熱くとろけるようで、内壁が指に絡み付いて離さない。
膣内を探るようにかき回すと一層反応の良い箇所を見つけた。

「ぁあんン!っはぁ、そこォ…ッ!」
「ここが、イイのか?」

そう問いかけすれば、コクコクと頷いた。
それを確認すると弐大は指を二本、三本と増やし、そこを責め立てた。動かせば動かす程に零れる蜜は留まることを知らず、ぐちゅっぐちゅっと淫猥な音を響かせる。
終里は快感を受け止めきれないのか、いやいやと首を振って、四肢は落ち着きをなくし、シーツを皺だらけにしていく。

「ふぁアッ!やぁ!っも、だめぇ、イク、ぁ…ッ~~~~!!」

声にならない叫びと共に、中に入ってた指が食いちぎられそうな程に膣をきつく締め、体を大きく痙攣させたかと思えば一気に全身を脱力させてベッドに身を預けた。
どうやら絶頂を迎えたらしい。
汗で額に貼りついた前髪を退かすと惚けた顔がよく見えて、何とも可愛らしかった。
ベッドのすぐ近くにある引き出しに手を伸ばし、そこからビニールで小分けされた袋がいくつか入った箱を取り出した。

「……ナマでもいいぞ?」
「何を言っとんじゃ馬鹿モンが!」

終里を叱咤しつつ服を全て脱ぎすっかり固く反り上がった己のモノに避妊具を付ける。
子供が欲しい目的でないのに避妊をせず行為に至るのは相手をぞんざいに扱っている、というのが弐大の言い分だ。

互いの性器をこすりつけると、濡れそぼったそこから聞こえるにちゃにちゃという音が聴覚を刺激し、二人を煽った。

「終里…入れるぞ…」
「…ん。」
「痛ければすぐに言うんじゃぞ。」
「…初めてじゃねーんだから、そんな気ィ遣わないでいいっての。」

そっぽを向いた終里の頭を軽く撫でると「早くしろよ」と足を絡めてきた。



膣口へモノをあてがい、中をこじ開け、徐々に侵入していく。

「ア"ッ…ふ、はぁ…あ、ぁあ"っ…!」
「く、ッ…!」

腰を押し進めるほどに増す圧迫感。苦しむ終里を挿入の痛みから気を紛らわせようと胸や耳を軽く弄ってやれば、幾分か声が甘いものになっていった。

全てを収めたときには、互いに浅い息を吐いていた。繋がってるそこは、合成ゴムの膜を隔てても熱さを感じ取れた。

気持ちいい。

「ハァ…ッハァ…!やっぱ、でっけーのな…めっちゃ、苦しい…ハァ…ッ」
「ハ…ハァ…痛くは、ないか…?」

終里の表情は柔らかい。大丈夫なようだ。

「もう…動いても、平気だぜ…」
「応…ッ」

余計な脂肪のないくびれた腰を両手でしっかりと掴み律動を始める。

ズル、ズッ、ズプッ
「ひぐッ!ふ、ぁっう、あ"あァッ!」

ベッドのスプリングが軋む音がする。
緩やかな動きを徐々に大きく、単調なものから変化をつけていく。
完全に抜ける手前まで引き一気に奥まで貫くと高い喘ぎ声が上がり、きつい締まりに達しそうになるがギリギリのところで堪える。まだまだこの快楽を味わっていたい。

「あんッ、にだいぃ、ひぁ、っはあ"ァン!」
「終里…終里…ッ!」

手を腰から背へ移動させる。終里も背中に手を回した。
そろそろ限界が近い。
いいと言っていた箇所を抉るように突く、それに反応し雄芯を仕留めんばかりにきつく締める。

「ぃぎッ?!や、あはアぁっ!」

弐大は快楽に我を忘れて終里の首へ歯を立てた。その痛みすら、今の終里には快感の助長となった。

「あ"、あぁあッ、ひぃんんンぅぅううッ!!」
「ぐ…うッ!」

相手を掻き抱いて、二人は絶頂を迎えた。



その後何回かの行為を致してから抱き合って眠った二人。

翌朝、終里が目を覚ました頃にはもうきっちり服を着た弐大が片付けを済ませた後で、終里の体もきれいになっていた。

「んー…。」
「起きたか、おはよう。」
「…おはよ…。」
「どうじゃ、体調は?」
「……う"ぅ…。」
「無ッ?」


「体中メチャクチャ痛ぇ……。」
「…そりゃ、そうだわな。」

終里の声はすっかりガラガラにしわがれていた。
最中に回数は数えていなかったが、何となくで枕元に残されたコンドームの箱を覗いたら最初見たときはほぼ満タンだったのが半分程にまで減っていた。体が悲鳴を上げても不思議はない。
幸い今日は土曜日だったのでゆっくり休めとの提案に従うことにした。

因みにあれ以降の最中にまた噛まれたのだが、どれもそう酷くないようで、すぐに治りそうだった。弐大に何度も謝られたが、終里本人は殆ど気にしていなかった。
そんなに旨そうだったのか?とは思ったが。



「のぉ、終里。」

弐大がベッド近くに座り込み、終里の手を握った。


「弟たちがいなくなってお前さんがこれからの支えをなくしたっちゅうんじゃったら、ワシが支えてやる。


遠慮はいらん、好きなだけ甘えてこい!全力で受け止めてやるわ。」


真剣そのものの表情で語りかける弐大。その言葉一つ一つが、握った手を通して体に染み込んでいくような気がした。

昨晩弐大の元へ転がり込んだのに特に理由はなかった。「何でもしてやる」と言われてあんなことをしでかしたのも、己の勘のせいか嫌な考えが頭から離れず、いっそぐちゃぐちゃになって何も考えられなくしたかったからだ。
でも今は、その相手が彼で良かったと思える。

温かくて、妙にくすぐったくて、どことなく懐かしく、それでいて心地よい。

上手く言葉にできないけど、誰かに守られるとか、愛されるというのは、こういうことなのかもしれない。
彼の手から伝わる熱がそう感じさせた。

「サンキューな、弐大。」

終里はゆっくりとベッドから起き上がり、弐大に抱き付いた。

弟たちが戻ってくれば、自分の守るものがまたできたなら、元の強い自分に…強さを求める自分に戻ろう。
でも、それまではちょっとだけ、もうちょっとだけこの感覚に浸っていたい。




「あたしの天才的センスが光るカーテンも!見えないオシャレにこだわったクローゼットも!ギラギラにデコったミラーも!」

昼の14時。希望ヶ峰学園寄宿舎の別の一室にて。

「全ッ部飽きた!」

一人の少女が自室のレイアウトに飽きていた。


「でも模様替えするのも飽きたなー。

引越するのもとっくに飽きちまってるし、オイラの飽きっぽさって本当に絶望的だぜ!

あぁそうだ…お姉ちゃんに模様替えを任せるのも…アリかもしれませんね…。

ですが残念なお姉ちゃんのことですので、間違いなく残念になるのが目に見えています。

けどよぉ!残念な姉に改装されちまった残念な部屋で過ごすとか絶望的じゃねぇ!?」


自他共に認める"絶望的に飽き性"な彼女はコロコロと口調を変えつつ独り言を漏らす。

「あらら?」

窓から見えた外に、どこかで見覚えのある一組の男女の後ろ姿。
両手の親指と人差し指で枠を作り、その中に二人を映す。

癖のついた茶髪の女と、ガタイのいい男。女の方は希望ヶ峰学園の制服を着ている。同じ学園の生徒だ。
仲睦まじそうに横並びで、男は女を気遣いながらゆっくり歩を進めている。


「おやおや、あれは…


…絶望の種の予感がしますねぇ。」


その姿を見つめ、少女――江ノ島盾子の唇は、ニンマリと弧を描いた。


「うぷぷ、うぷぷぷぷぷぷ…。」
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