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霧切さんの後頭部を触れるようにして、枕元に忍ばせておいたコンドームを取り出す。
ビニールの包装を破って取り出し、興奮と緊張によって震える手で自分の隆起するペニスにスキンを被せていく。
――大丈夫、何度も練習したから失敗しないって。
そう自分に言い聞かせながら僕のモノは上手く薄いゴムで全体を包むことができた。

「……お待たせ、んっ」
「んむっ……」

その間、目を瞑って待っていてくれた霧切さんに覆いかぶさる。そして待たせたお詫びのキス。
ベッドサイドにあるライトのぼんやりした灯りを頼りに、腰の角度を変えて霧切さんのアソコに宛がう。

クチュリ、と湿り気の混じった音が聞こえ右手で添えながら挿入の位置を確かめてみる。
ココ、だよね――? 半信半疑で腰を前に進めてみるとヌルリと入り口を滑らせるだけだった。

「あ、あれ……?」

しまった、これじゃあ霧切さんの僕に対する印象が悪くなったみたいだ――。
挿入の失敗から来る動揺で僕の心拍数はさらに上がった。
そんな焦った状態でうまくいくわけもなく、何度も霧切さんの入り口の所を往復するだけだった。

「くっ、この……!」
「……苗木君」

半ばヤケ気味に腰を押し出したところでまた失敗。
そんな中、僕を呼ぶ霧切さんの声がいつものように冷静だったこともあり緊張が走る。

"ヘタね、苗木君――"
"上手くいかないならまた今度にしましょう――?"

そんな風に糾弾されるのではないかと身構えていると霧切さんは僕の両頬に触れて、彼女と見つめ合う形になった。

「そんなに緊張しないで……」
「えっ?」
「私は苗木君を信じてる。苗木君になら痛くされても我慢するわ。だから……」

焦らないで、私は逃げないから――。
そう言って僕の頭を優しく包み込んでくれた。

さすが"超高校級の探偵"と呼ばれた彼女なだけある。
僕が何を考えているのか手にとるようにわかり、的確にフォローしてくれる。
やっぱり、キミには敵わないなぁ――。


「……ごめん、霧切さん」
「いいの。だから仕切り直しをしましょう、いいわね?」

僕らはそっと唇を重ねると、自ずと笑みが浮かんでしまう。
左腕だけで上体を支えると再び右手でペニスの根元を掴み、慎重に腰を寄せた。

「ココ、でいいのかな?」
「……ちょっとだけ下で。そう、そこ……」

霧切さんも腰を曲げて丁度僕を迎え入れる姿勢になる。
腕を僕の首に回して項で組み合わされる。
亀頭がぬらりと濡れた粘膜の窪みに触れると、僕は四つん這いの体勢のまま体を押し進めた。

「んんっ……!」
「んっ! くっ……!」

眉間に皺を寄せて痛みに耐える霧切さんの顔を見て慎重に腰を寄せる。

「っ!? だ、大丈夫!?」
「へ、平気……。だからお願い、躊躇わないで」
「……わかった」
「くっ、んっ、んふっ、はぁ……!」

どんな時でもポーカーフェイスを崩さない彼女の顔が、僕のモノを膣口に埋没させる度に苦悶の声を上げる。
これ以上苦しめないためにも引き抜くべきか、それとも二人で乗り越えるためにも進むべきか――。そんな葛藤が湧き起こる。

「お願い、最後まで……」
「うん、あともう少しだから」

霧切さんの膣内は腑抜けになりそうなほど快適だった。
骨までとろけそうなほど温かくて。
しゃぶりつかれているかのように窮屈で。
油断したら、このまま我を失って彼女を気遣うことを忘れて思うがままに蹂躙してしまいそうだ。


「霧切さん、全部入ったよ……」
「……しばらく、このままでいて。できるだけ動かないで……苗木君のに、慣れるまで……」
「いいよ、そうしよっか……」

霧切さんは僕の首から肩に両手を廻し、すがりつくような勢いで僕を抱き締める。
僕も霧切さんの膣内に入り込んだペニスから右手を離すと左手と同様に上体を支えながら彼女の肩を抱く。
儚げに震える彼女の顔を見ていると無性に愛おしく、思いっきり優しくしてあげたくなった。

「大丈夫? 僕の体、重くない?」
「……大丈夫。出来ればもっとくっついて抱きしめてほしいかも」
「うん、そうしよっか。はぁ……霧切さんのナカ、あったかくて柔らかくて、こうしているだけでも気持ちいい……」
「ちょっと、恥ずかしいこと言わないでよ……!」

ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ、と優しく吸い付くように霧切さんの右頬に小さなキスを連発する。
頬だけでは満足出来ず唇同士を何度も合わせて愛欲のままにキスを重ねる僕たちだった。

「ん、んぅう……ん、んんっ、ぷぁっ。苗木君……そろそろ、動いても大丈夫だから……」
「はぁ、はぁ、はぁ……うん、いくよ……」

霧切さんのお願いにコクンとうなずいて、それに応じる。
過去、モザイク越しに映ったアダルトビデオに出演する男優の腰使いを思い出しながら見よう見まねで体を動かしてみる。

ぐっ、ぐっ、ぐっ――。

「あ、あれ……? えっと……?」

見よう見まねで動かした筈なのに、なぜだか上手くピストン運動ができない。
腰を押し進めることも、逆に引き戻すことすらも出来ずに困惑してしまう。

霧切さんのアソコが強烈に締め付けているわけじゃない。腰がイメージ通りに動いてくれないだけだ。
――なんだか腹筋も苦しいかも。明日はもしかして筋肉痛だったりして。

「……難しいの?」
「うん、思ったより……。エッチなDVDみたいな動きをしようと思ったんだけど中々うまくいかなくて」
「苗木君……」
「ごめん、カッコ悪いよね。情けない……」

自嘲的な笑みを浮かべたら霧切さんは僕の髪を撫で回してきた。
手袋の感触がちょっと気持ちいい。

「だったら苗木君……。私の中に入ってる感じを確かめるつもりで動いてみたら?」
「入ってる感じを、確かめる……?」
「ポルノ映像に出演する男性の動きが必ず模範的とは限らないんじゃない? まずは少しずつ腰の動き方を練習してみて」

そう言って彼女は気丈に微笑んで、僕を勇気付けてくれるのだった。
これから僕自身がさらに痛い思いをさせてしまうにも関わらず。

僕は改めて体勢を整え、霧切さんの奥深くまで挿入しているペニスに感覚を研ぎ澄ませてみた。
うん、霧切さんの奥まで僕のが入っている感じ――。
まずは膣内の感触をまさぐるように。
そして、ぐいっ――と腰を突き出してみる。

ヌ、グッ――

「あんっ!」
「ん、くっ……」

これで、いいのかな――?
包み込まれるような弾力を亀頭で感じるのと同時に霧切さんの口からは上擦った声が漏れ出た。

膣内の感触と霧切さんの声に反応して疼きにも似た射精欲が込み上げてくる――。
そこは歯を食い縛って我慢。

ヌッ、グッ――ヌグッ、ヌグッ、ヌグッ――。

その感覚を忘れない内に僕は間をおくことなく繰り返して腰を突き入れていった。
丁寧に丁寧に膣の深奥へとペニスを送り込んで一秒でも早くピストン運動のコツを感じ取ってゆく。


「んぁ、んっ……うん、これなら、んっ……んぁ、んぅ、んっ、んぅ……ん、んぅう……」
「……気持ち、いいの、なえぎっ、く、んっ……?」
「うん……ああっ! すごいっ、んふっ……き、気持ちいいっ……!」

何ともバカ正直な感想だった。
それくらい彼女のナカは気持ちよく、恥も外聞もかなぐり捨てて思ったままに感想を口にする。

「あなただけ、ずるいかもっ。わたしっ、まだちょっと、痛いのに……」

その言葉が僕のブレーキとなった。
ピストン運動を中断し、じっと霧切さんを見つめてみる。
頬を赤らめながらどこか不満そうで口を尖らせているような拗ねた感じだ。

ひょっとして僕の独りよがりになっているんじゃないのか――?
そんな風に推理すると湧き上がる衝動。
せめてもの気持ちで、霧切さんにも気持ちよくなってほしい衝動がこみ上げてくるのだった。

「霧切さん。身体、起こすから掴まってくれる?」
「こう、かしら……?」

霧切さんの肩を抱いていた両手を背中に回してゆっくりと持ち上げる。
腹筋に力を込めているだけにスムーズと僕らの体は垂直になり寝転がった体勢から真向かいに座る体勢に移行した。
確か、対面座位って言うんだっけ――?
僕らはそのままの状態でしばし見つめ合った。

「これ、いいかも……」
「……僕もそう思った。でも僕の汗とかで不快に感じたりしない?」
「そんなことないわ。苗木君との一体感が増したようで嬉しいの」

霧切さんのおっぱいが僕の胸板に密着したままたわむ感触が気持ちいい。
心臓の鼓動まで一緒にリンクしているんじゃないかと思うくらいだ。
肌の触れ合いがくすぐったくて、温もりが心地よくて、それなのに不思議と落ち着く感じ。
色んな思いが押し寄せてくるけど、何ともいえない居心地の良さだけは実感できた。

「んぅ、んぅ、んぅ、んぅ……んっ、んんっ! ん、んぅ、んふっ……」
「んっ、んっ、んっ……ん、んぅ、んぅう……ん、んふっ、んぅ……」

僕らは小首を傾げてぴったりと唇を重ねていく。
ちゅぱっ、ちゅぱっ、と水音を立てながら何度も何度も小刻みに唇を奪って――。
舌を絡めて、ざらつく表側どうしを念入りに擦り合わせ――。
代わりばんこで上唇や下唇をめくりあったり――。

繋がったまま腰を動かさず、ただ一心不乱にキスを堪能して思う存分悦に浸っていた。

「……ぷはっ。いい、かな?」
「大丈夫。きて、苗木君……んっ!」

背中から腰、腰からお尻へと撫でるように持ち手を移動させる。
ペッティングの時に存分に撫で回したお尻へ両手の五指に力を込める。
正常位とは異なり霧切さんの体重がプラスされている分、腰を動かしたところでピクリとも動かせない。
だったら――。

「んぁ、はあんっ……! ん、んっ、んっ……!」

ベッドのスプリングを利用して重力で身体全体を揺らしてみた。
シングルベッドの悲鳴が霧切さんの声と共鳴する。

目と鼻の先の距離で見つめる彼女の表情。
僕の耳元で堪えるような声。
霧切さんの体温に包まれるような温かさ。
僕の身体を拘束する両手足。
体温の上昇によるお互いの汗の匂い。

身体の五感全てで霧切さんと繋がる。
大好きな人と身も心も一つになるのってこんなに気持ちいいんだ――!



「ああっ! あっ、あぁ……!」

そんな風に蕩けていたことで油断していた。
ビクリ、ビクリ、ビクリ――と、三回脈打つ自分のペニス。

腰から脳へ身震いするような電気信号が送られるような快感。
自分の手で果てた時と同じ感覚――。

「……っ? なえぎ、くん……?」
「はぁ、はぁ……。ご、ごめん霧切さん。僕、イっちゃった……」


呆気ない幕切れだった。


―――――


めくるめく官能を体験した後は、現実に戻るように後片付けが待っている。
ベッドの縁に腰掛け、霧切さんに背中を向けるようにペニスに装着していたスキンをゆっくりと外す。
自分の出したモノを零さないよう慎重に根元を縛ったらサイドボードの脇にあるごみ箱へ隠すように処分した。
後は亀頭に付着した自分の残滓をティッシュペーパーで適当に拭うと同じようにごみ箱へ放り投げる。

――気まずい。
前戯のキスやペッティングはお互い顔を真っ赤にしながらも素直に愛撫を受け入れてうまく行った方だと思う。
けれど、いざ本番っていう時から失敗を重ねては霧切さんにフォローされてばかりだった。
せめて、こういう場面の時は男性の僕がリード出来たらよかったのに。
理想と現実の違いを文字通り味わった僕は思わず――


「「ごめんなさい」」


謝罪の言葉を出すと同時に背中越しからも同じ言葉が聞こえた。
なぜ、霧切さんが謝るんだろう――?
振り返ると霧切さんもキョトンとした表情で横寝になっている。

「えっと、その、どうして霧切さんが謝るのかな……?」
「あなたの方こそ謝罪の言葉を口にする理由がわからないんだけど……?」

僕も彼女の横に並び、お互い裸の状態は寒いと思うので掛け布団を胸の辺りまで掛ける。

「だって、僕ばっかり気持ちよくなって、霧切さんを気持ちよくさせられないまま勝手にイっちゃったんだし……」
「私の方こそあなたに余計な気遣いをさせてばかりで申し訳なかったの。私の方に非があるわ」
「そんなことない。途中、僕ばっかり気持ち良くなって実は霧切さんの身体を使ってオナニーをしているだけじゃないかって錯覚しちゃっていたし」
「その……苗木君は気持ちよかったの?」
「当然じゃないか。……けど、ごめんね霧切さん。いっぱい痛くしちゃったでしょ?」
「そんなことないわ。本当に痛かったのは初めだけだったし……。それに痛くても苗木くんが……その、普段よりずっと優しかったおかげもあるわ……」
「そっか……。ありがとう」

せめてものお詫びと軽く唇にチュッ、とキスをする。
霧切さんは拒まず素直に受け入れてくれた辺り、僕に失望していることはないんだと知って安堵した。

「それでも苗木君が射精してくれて嬉しかった。自分で受け入れると言って耐えていたのに、痛さに我慢できなくて途中でやめさせたら負い目を感じてしまうじゃない?」
「うっ、そうかも……」
「引きずりやすいあなたのことだから、それが原因でインポテンツになったりする可能性だってあるわ」
「イ、インポテンツって……まだ僕は若いんだから大丈夫だと思うよ?」
「知っている? EDの大半は年齢的なものではなく精神的なものから発症するって。だから私、あなたにトラウマを植え付けるなんてことは絶対にしたくなかったの……」

彼女の独白を聞いていて、自分がこんなにも大切にされているんだって実感できた。
僕もその想いに応えなきゃって思った。
霧切さんのココロをロンパしなきゃ――って。

「霧切さん、僕はキミと繋がってすごく嬉しかったよ。……霧切さんはどうなの?」
「もちろん私も嬉しかった。あなたにバージンを捧げたことに後悔はないわ」

そういって霧切さんはシーツに紅い跡が色濃く残っている場所を一瞥した。
僕はそっと右手を差し出し霧切さんの左手を握り、指と指を絡ませて繋がる。

「僕らは結局、今の今まで相手のことを第一に考えていたんだね。……けど、その考えはもうやめにしよう?」
「えっ、どうして……?」
「僕ら一緒に気持ちよくなろうって考えでいこうよ。それで探していこう? 見つけていこう? 僕はキミとの絆をもっと深めていきたいんだ……!」
「……私もその意見に賛成ね。これからもあなたとの関係をより良くするためにも、二人で一緒に気持ちよくなれるよう模索していきましょう?」
「ありがとう、同意してくれて。こうして霧切さんとおしゃべりしたり、いっぱいキスしたり、裸になって一つになったりしてドキドキしっぱなしだった。それと同時に霧切さんのことがもっともっと好きになったよ」
「あら、あなたは過去形なの?」
「うぅん……現在進行形だよ」
「……私も」

手と手、指と指、ココロとココロが繋がった僕らは飽き足らず、唇同士でも繋がることにした。

「んっ、んっ、んっ、んっ……」
「んんっ……ん、んぅ、んふっ」

繋がる前も、繋がっている時も、そして繋がった後も。
今夜は何度もキスしたにも関わらず全然飽きが来ない。
むしろもっと欲しがって、こんなにもキミが愛しくてたまらないんだ――。

たっぷりとキスを堪能して唇を離すと程よい高揚感。
霧切さんはクスクスと微笑みながらおもむろに提案をしてきたのだった。

「……さて、私たちの関係もこれで一線を越えたわね。お互い苗字で呼び合うのはどこか余所余所しくないかしら?」
「そうだね。これからは名前で呼び合おうよ、二人っきりの時は」
「そうしましょう。私たちだけの約束事にまた一つ追加ね」

空いた左腕を彼女の背中に回して抱きしめる。
僕の肩には右手が添えられた。


「響子さん」
「誠くん」


そして今日何度目かわからないキスを重ねる。
時にお互いの名前を確認するかのように何度も呼び合い、抱き締める腕の力をさらに強め、思い出したように唇を重ねることに没頭する。

響子さんと初めて結ばれた日の夜。
次はもっとお互い気持ちよくなろうと、ココロもカラダも裸になろうと誓い合った夜。


――響子さんの体温に包まれながら一晩過ごした。


END
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