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「びゃ、白夜様ぁ……っ」

 控え目なチャイムに十神が重厚な扉を開けると、こちらを見上げる潤んだ瞳とかち合った。続けて、懇願の声が鼓膜を震わす。
 日常となりつつある見慣れた展開が眼前に広がっていた。
 超高校級の文学少女、腐川冬子――十神同様希望の生き残りであり、未来機関の同僚でもある女。表と裏、共に彼へ盲目的なまでの熱愛を捧ぐ、多重人格者。
 そんな彼女が、寝間着にしている純白のワンピース姿を晒し、ドアの前で何度も身動ぎを繰り返している。それに数瞬遅れて、長いおさげ髪が小さく揺れる。
 学生時代を思わせる長い丈のスカートの中で、肉付きの薄い内腿がもどかしげに擦り合わされ続けていた。
 仄かに上気し少女らしい朱を乗せた顔にはっきりと浮かぶ情欲を見て、十神の口角が僅かばかり持ち上がった。




 一月前。それは単なる思い付きだった。
 腐川、そしてジェノサイダーと流れで関係を持ち、漸く奥手な文学少女の方も性行為に慣れ始めてきた、そんな頃だ。

 十神はたまたま調査に入った廃屋で、珍しいものを見つけた。
 金属で作られた、昔風の貞操帯。アンティークな造りとは裏腹に、光を反射する金属は真新しい。使用されるどころか手に取られた事も少なかったのだろう、
表面には指紋らしい指紋もなく、小さな部品一つ一つにも劣化した様子は見られなかった。
 日々任務の隙を突いては関係を迫ってくるジェノサイダーにも、拙いながら誘惑という行為を披露し出した腐川にも、少々辟易していたところだったのだ。
 予想外の収穫に、十神はそれを拾い上げ荷物の中へと忍ばせた。

 腐川、一ヶ月これを付けて生活しろ。この俺が貴様を管理してやる。

 明くる日、いつものように情けを乞うてきた腐川に対して、十神は有無を言わさぬ口調でそれを突き付けた。
 最初こそ厳めしい器具に戸惑いを見せ不安に瞳を揺らしていた腐川であったが、十神により開かされた被虐性はその命令に酷く甘美な響きを覚えてしまっていた。
何より、最愛の十神に自身を管理され、支配されるという背徳的な魅力にあの腐川が抗えるはずもなかった。
 それが白夜様のお望みとあらば、喜んで。
 陶酔の面持ちで頷き、性を戒める小さな鍵を想い人に託す。こうして腐川の禁欲生活は幕を開けたのだった。

 最初の内こそジェノサイダーに主導権を奪われ、十神に猛烈な抗議と苛烈さを増した誘いを繰り返していた腐川の体。しかし頑としてその要求を突っ撥ね続ける十神に、
ジェノサイダーは自分の関知せぬところで一月が終わる事を望んだらしい。今までの積極性が嘘のように、彼女の出現率は急激に下降した。
 被虐と被支配は、もう一人の自分の領域だと言わんばかりに。
 こうして腐川は、約一月の間「腐川冬子」としての自我を保ったまま、最愛の十神と共に居る事が出来たのだった。
 ……しかし、その代償は、大きいものだった。

 今まで二人分の人格で味わってきた快楽が一度に掻き消えた所為で、腐川の体には急速に疼きが蓄積されていく。その上熱を孕んだ体に追い打ちを掛けるように、
度々十神の自室に呼び付けられては、交わりを伴わない、ただの性欲処理相手として口淫を要求された。

 性的な接触の機会は以前より増えたというのに、性交に及ぶ事は一度としてなかった。彼女の秘部は頑なに冷たい金具によって閉ざされ続けていた。
 唯一鍵が外してもらえる沐浴の時間、腐川は何度も行為を懇願した。初めのうちはぎこちなく、終いには普段絶対に使用しない淫語さえ口にして必死に彼を誘った。
しかし、十神の細く長い指は焦らすように入口を淡々と洗浄するのみで、けして中へと侵入する事はなかった。
 腐川の欲求は発散されぬまま溜まる一方であり、貧相な膨らみを弄り、疼く秘部の上を掻くばかりの自慰にもならぬ自慰を毎夜毎夜繰り返した。恥も外聞も忘れてところ構わず
情けを求め、その度にすげなく断られ続けた。
 そんな地獄の一月が今日、やっと終わろうとしているのだ。

「白夜様……、っ、お願いです……あ、あたし……を、だ、抱いて……、下さい……っ!」

 部屋にも入らないうちに、腐川はワンピースの裾をゆっくりと持ち上げた。
 肉感に欠ける腿が、裏人格の刻んだ痛々しいキルマークが、そして彼女を苛む貞操帯が蛍光灯の下に晒され、妖しげな光を返す。股の間からはおびただしい量の愛液が溢れ、
粗相でもしたかのようにじっとりと肌を濡らしていた。ふるふるとわななく太腿が早く早くと紡がれた言葉以上に行為をねだっている。
 分厚いレンズの奥、愛欲を眼窩に灯した瞳が十神を熱烈に貫いた。粘ついた視線が絡み合い、二人の間に流れる空気をじわりと焦がしていく。
 数秒、腐川にとっては永遠とも思える時間が流れた後、腐川に背を向けて視線を引き剥がす。

「……来い」

 哀願の声が上がる前に短い言葉を放ち、寝台へと向かう。覚束ない足取りで付いてきているのを足音と気配で感じ取りながら、一度も振り返る事無く彼は皺一つないシーツの上に
腰を下ろし、その長い足を投げ出した。
 ベッド脇で落ち着きなく体を揺らしている腐川を一瞥してから無言で手招く。惑っていた腐川もどうやら察しがついたらしい、痩せた膝をベッド上に乗せて十神の足の間に座り込み、
顔を股間に近付ける。いつもの性欲処理のスタイルだ。
 白い指がもどかしげにベルトを外し、スラックスの前を寛げてからそっと下着の拘束を解いていく。僅かに熱を帯びている十神の分身が外気に晒されるや否や、腐川はその先端に
恭しく口付けを落とした。瑞々しい唇と熱い吐息のコントラストが十神の欲を煽る。
 しかし、口内へ招き入れようと口を開いた腐川の行動を、三つ編みを乱暴に引く事で無理矢理行為を中断させた。訳も分からずこちらを見上げてくる灰色の瞳に、十神は更なる悪意を
口元に滲ませた。心身共に限界の少女を、一層陥れるように。

「毎回口では芸がないな、今日は胸でしてみせろ」
「……え、あ、あの、ですが……」
「従わないつもりか?」
「そんな……、め、滅相もございません……!」

 困惑を隠しきれぬ表情を晒したまま、腐川はシンプルなワンピースに手を掛け、頭と袖を抜いていく。そのたどたどしい挙動を十神はただただ黙して見つめていた。
 女の香りを放つ熟れた下半身と裏腹に、彼女の上体は女性らしさに欠けている。肋骨の浮いたデコルテに、貧相な胸。十神との交わりの中で多少なり成長したとはいえ、シャーベット
ブルーの愛らしいブラジャーに収められた膨らみはささやかなものであり、到底胸で挟み込める程のボリュームはない。長さも胴回りも平均値以上の十神自身なら、尚の事だ。
 元々下がりがちな眉尻を更に下げながらも後ろ手でホックを外し、胸を解放した。小さな乳房が重力に従い瑞々しくも柔らかに微動する。

「え、と……こ、こう、ですか……?」

 支えを失い一層肉感の失われた胸を無理矢理両手で掻き集め、不安げな面持ちで十神の分身に近付き、たどたどしく柔肌を触れさせる。そうしてゆっくりと体を上下させ、愛しげに幹を
擦り上げ始めた。口淫とも性交とも異なる快楽が十神の腰に走り、ねっとりと纏わり付く。
 痩せぎすで骨っぽい少女の体は、そこばかりが驚く程に柔らかい。浅く出来た谷間に亀頭を押し込めばその形に窪んだ肉が、滑らかな肌が、敏感な皮膚を愛撫する。
 時折裏筋を掠める肋骨の硬さが一層柔肌の感触を十神に意識させ、その全身に刻み付けさせる。
 竿どころか先端さえも完全に包み込めていないものの、小さな胸で必死に十神を高めようとする腐川の従順さは、彼の支配欲と加虐性癖をこの上なく満たした。
 意のままに動く少女に、情欲が急速に込み上げるのを感じる。煮えた血が一ヵ所に集まり、自身をより硬く太く成長させる。窪みから滲み出た先走りが血管の浮いた竿を伝い、にちゅにちゅと
粘度を帯びた水音が二人の間に生まれた。

「はぁ……っ、ぁ、白夜様の、あ、熱いです……ッ。それに、んん、ぁ、カウパーも、いっぱい……っ」
「……っ、飲みたい、か……?」
「は、はい……! 白夜様の先走りも、精液も……っ、みんな、ぁ……ん、冬子に、注いで下さい……! 掛けて……っ、いっぱい飲ませ、てぇ……!」

 ――これが稀代の文筆家の言葉か。
 嘲笑とそれに勝る劣情が奥底から込み上げてくるのを感じる。
 性依存の女共と何ら変わらぬ下品な言葉の羅列。知性の欠片もない懇願が、女の溜め込んだ欲を如実に表している。
 唾液に潤んだ唇が淫らな音を形作る度に十神の理性を削ぎ、容易く限界へと押し上げていく。

「は……、っ、くぅ……!」
「きゃ、ぁ……っ! ん、ンン……」

 腰部に甘い痺れが走ると同時に竿が大きく脈打ち、次の瞬間には先端から大量の精液が勢い良く吐き出された。射出された白濁は腐川の胸に限らず、顔や眼鏡、髪にまで飛び散った。

「あ……白夜様の……んんっ、む、ぅ……っは、ぁ……ぁあ……ッ」

 驚きの表情は、直ぐに恍惚のそれへと変わっていく。付着した精液を拭うどころか、自ら口を開いてより多くの子種を求める。長く断続的な排出が止まっても彼女の欲は
一向に収まらず、残滓を啜るべく自身を喉奥まで咥え込む。窄めた唇で根元から搾り取るようにして先端へ。尿道に残る僅かな精子さえ逃さぬとばかりに何度も何度も
性器を咥えては扱き上げる。時折口を外し横から舌の腹で竿を舐め上げ、また毛色の異なった刺激を与えていく。

「んぅ……っ、ぁあ……! おいひ……れす……、びゃくや、様……ぁ」
「っ、く……」

 腐川の熱心な掃除は射精後で敏感になった自身には充分な程の快楽だった。腐川が満足して口を離す頃には再び硬く勃起し、腹に付きそうな程に反り立っていた。
 その剛直がただでさえ高まっている腐川の欲求を加速させる。彼女のか細い右手は、先程から繰り返し自らの股間を引っ掻き続けていた。
 たおやかな指がふやける程に、閉ざされた密壺からは愛液が滔々と湧き出している。彼が欲しいのだと、その全身が言葉もなく物語っていた。

「っふ、ぁ……びゃくや、さま、ぁ……あ、あたし、もう……んんっ、ふ、ぁア……おかしくなりそう、で……!」
「どうされたいんだ、言ってみろ」
「ひ、ぁ……っお願いです、これを、は、外して下さい……! それから……白夜様の、太くて立派な、に、肉棒で……んんっ! はしたない、あ、あたしを、
めちゃくちゃに……っ犯して下さい……ッ!」

 羞恥心をかなぐり捨ててまで必死に行為をねだる少女の熱が十神の欲にも飛び火し、身体中が沸き立つ。
 小さく喉を鳴らすと共にジャケットの内ポケットをまさぐり、小さな鍵を取り出す。シーツに座ったまま両膝を開く腐川にその存在を見せつけてから、金属音を立てて
今まで少女を苛んでいた貞操帯をそっと外す。十神の眼前に、熟し切った女陰がさらけ出された。
 開かれた太腿、夥しい数のキルマークの先、物欲しげなひくつきを繰り返す陰唇は既に準備万端とばかりに愛液を垂れ流し、控えめな栗色の下生えをぐっしょりと濡らしている。
陰核はすっかり肥大して一際敏感な肉色の新芽を覗かせ、今か今かと刺激を待ちわびていた。立ち上る濃厚な雌の匂いが十神の鼻腔を焼く。
 華奢な肢体から放たれる凄艶なまでの色香に、堪らず生唾を飲み込みながらベッドへと押し倒す。彼の骨ばった指が彼女の中心へと伸びるのは、必然だった。
一月後の性交を待ち望んでいたのは、何も腐川やジェノサイダーばかりではなかったのだから。
 淫らな泉から溢れる分泌液を掬い取り、中指を慎重に埋める。たったそれだけの刺激でも腐川の痩躯は大袈裟な程に跳ね、あられもない嬌声が室内に反響する。
 これだけの情欲を、腐川は十神の命令一つで蓄えていたのだ。
 一月ぶりの彼女の体内は、酷くきつい。元より小ぶりな膣は優しい侵入者を食い千切らんばかりに締め付け、襞という襞でぎちぎちと圧迫する。
 生娘のような締まりに、十神の柳眉が寄った。慣らさねばならぬという義務感と、早く少女の中を味わいたいという二律背反の思考が混ざり合い、彼の理性を激しく揺すぶる。
 それ故に、彼は手首へと伸びた指の存在に気付くのがほんの少し遅れた。

「っあ、ぁ……やぁ、びゃくや、さまぁ……っ!」
「っ、腐川……?」
「だめ、っん……く、ぁあア……お願いっ、抜い、て……下さ……ッ」

白魚の指が彼の手首を掴み、弱々しく腕を引く。殆ど力の入っていない、あまりにも脆弱な抵抗であった。しかし、それ故に十神の苛立ちを加速させる。
 ただでさえ込み上げる情欲を宥め透かすだけで手一杯なのだ、限界間近の少女を気遣うだけのキャパシティなどあるはずもない。
 ――懇願したのはお前だというのに。何を今更。
 何より、従順と思っていた腐川からの拒絶が、無意識の内に彼の不機嫌を底上げしていた。己の意に沿わない言動に顔をしかめたまま指の動きを乱暴にしていく。
 水音が激しくなるにつれ、腐川の体の震えが大きくなる。甲高くなる嬌声と不規則な締め付けに限界の近さを感じ取る。しかし、尚も手首を掴む指は外れない。
 未だに微弱な力が十神の右手に纏わり付いていた。

「やぁあ、……っひぁ、あぁん!!  らめ……ぇ、い、っちゃ、イく、ぅ……ッ!!」
「さっさとイけ……、っ!?」

 唐突な刺激に息が詰まった。
 腐川の左手が十神自身をやんわりと握り、ぎこちなく扱き出していたのだ。想定外の動きに、意地悪く蠢いていた責めの手が緩む。
 その僅かな間隙に、腐川が荒い息を抑えつつ言弾をねじ込んできた。

「は、ぁ……ッ、指じゃ、やぁ……! ん、白夜様の、で、イきたい、の……っ、早く、下さい……っ、白夜様で、イかせてぇ……ッ!」
「っ……!!」

 予想を上回る本心に十神は完全に言葉を失い、そして直後に身を焼く程の情欲が湧いてくるのを感じた。こんなねだり方をされても尚踏み止まれるだけの理性など、
最早持ち合わせていなかった。
 指を乱暴に引き抜き、左腕を腿の裏へと移動させ、思い切り持ち上げる。あられもない体位に赤面する間も与えず、十神はいきり立った分身を蜜壺へとあてがい、
そのまま強引に亀頭をねじ込んだ。それでも、大量の愛液と口淫による唾液で十分な程の潤みを湛えていたお陰か、双方に痛みはない。ただただ、焦燥と快楽に対する渇望が
互いの頭を埋め尽くし、腰を進ませていく。そして、竿の中頃まで埋め込んだところで限界だとばかりに華奢な腰を両手で鷲掴み、一息に奥まで挿入した。

「ひぁああ……っ、ぁああああああん!!」

 直後、腐川の体が折れんばかりに撓り、大量の潮を吹くと共に絶頂へと達した。それから一瞬遅れてぎちぎちと食い千切らんばかりの締め付けが十神を襲い、反射的に眉根を寄せる。
 しかし、もう律動は止まらない。自身に吸い付きねっとりと絡む内壁を無理矢理引き剥がし、潮に濡れそぼった秘部に再び叩き付ける。
 湿った肌がぶつかり合う音と、体液の泡立つ音が溢れ、部屋の空気を淫靡に震わせた。

「あっ、アぁ……ああん! らめ……っ、イっちゃ……ぁ、ふ、ぁあああアッ!! ゃあ……、ら……めなの……はぁ、あ、止まら、な、っひ、ぅう……んン!」
「っ、は……知るか、勝手にイけ」
「ひぅ……っあぁあ、ぁ……びゃくや、さま……ぁ!! ふぁ、ア、きもちぃの……ンンっ、ふ、ぁああっ!」

 絶頂を迎えたばかりの膣内を掻き回された腐川の肢体は、全身がほんのりと朱を差し、びくびくと痙攣にも似た震えを繰り返している。
 絶え間ないオーガズムに口は開きっぱなしとなり、溢れた唾液が口許の黒子を妖しげに濡らす。そんな様子が堪らなく淫猥で、震える体を抱き締めるように覆い被さりながら、
十神の脈打つ剛直は執拗に彼女の最奥を抉っていく。お互いに余裕なく、ひたすらに襲い来る劣情に体を任せ、悦楽を貪っていた。
 ピストンの度に不規則な締まりと甲高い嬌声が十神を刺激し、じくじくと昂らせる。込み上げてきた射精欲に合わせ、ラストスパートとばかりに荒々しく腰を叩き付ける。
 重く深い突き上げに十神の限界を悟ったのだろうか、腐川も手足を十神に絡ませ、思い切り強く抱き返してきた。
 薄らと汗をかいた首筋に口を付けながら、十神も痩身を掻き抱く腕に力を籠める。密着を深めたまま、快楽の渦へと二人で飲まれていく。

「はぁ……っは、そろそろ、出すぞ……」

 睾丸の競り上がってくる感覚にいよいよ絶頂を意識する。腰部に走る痺れに応えるかのように、回された足が腰をぐっと引き付ける。中に出して欲しい、と言外に求められていた。
 そのいじらしい態度にほんの少しだけ口角を擡げ――しかし直ぐ様唇を引き結ぶと一際深いストロークで貫く。
 窮屈な体内で全長が激しく脈動した。

「っ……く、ぁ、冬子……っ!」
「っぁ、ア、びゃくや、さま……っぁああああああん!!」

滅多に呼ばぬ名前と共に、十神は腐川の奥へと欲望を吐き出した。子宮口をぱたぱたと打つ体液の感覚に、腐川も全身を跳ねさせて今日最大の絶頂へと至った。
熱く荒い呼吸が二人の耳を掠める。それが落ち着いてきても尚、互いに絡ませた四肢は離れようとしなかった。近い距離を保ったまま、静かに快感の余韻に浸っていた。
やがてどちらからともなくそっと唇が重なり、優しく食む。柔らかな感触を音もなく確かめ合う。先程までの激しい性交とは対局にあるような、それでいて本質は同じであるような。
長く、慈しみさえ感じる口付けだった。互いの呼吸を気遣いながら、それでもより深く触れていたいと求め合う。絡んだ視線は、普段よりもずっとずっとあたたかい。

「びゃくやさま……」

は、と小さな呼吸に紛れた音。
永遠に続くかに思われた優しい沈黙をほどいたのは、腐川であった。キスの甘さを引き摺っているのか、蕩けた飴のような声がするりと十神の耳へと入っていく。
その心地好い響きに、瞳の動きのみで続きを促す。恥じらいに揺れていたグレーが、真っ直ぐに十神を捉えた。

「もっと、下さい……」

蜜味の言の葉に、艶が溶け込み、混ざる。
甘さだけではない、色香を含んだ誘いで再び女の顔を覗かせてくる腐川に、十神は平素の冷たい眼差しを取り戻す。恋人らしい空気は霧散し、それでも、互いの体はじりじりと
微熱を孕んでいく。今一度重なった唇は、はたしてどちらから触れていただろうか。

まだまだ二人の夜は終わりそうになかった。
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