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その日、腐川冬子は実に真面目に、ある男を呼び出していた。
しかもわざわざ、監視カメラのない大浴場の更衣室と言うところに。

理由はたったひとつ。

「恋の経験がない自分を、何とかして恋愛上手にして欲しい。」

腐川は、恋愛小説家のくせに全く恋愛をした事がない、まさに偏愛小説家だった。
勿論こんな事が世間に知られてしまえば稚作が嘘だとーーー所詮ただの夢物語だとバレてしまう。
リアリティの無い恋愛は女子にウケないし、そんな女子が好まないものをわざわざ手に取るような男子はいない。
よって、バレてしまえば彼女の地位は容易く崩れてしまうのだが、それはとある青年の暴走によって世間に出る事は無かった。
…それはまた、別の話だが。

ともかくそんな腐川は、恋の経験が全くと言ってない。
では何故、男性を呼び出したのか?


間もなくその人物はやってきた。
「やれやれだべ…、今何時だと思ってんだ?いや、俺も知らんけどよ」
その男は普段と変わらない口振りで、ふらりとやってきた。

「…腐川っちじゃねーか」

その男…葉隠康比呂と言うのだが、彼はまるで誰に呼ばれたか知らない、と言わんばかりの口振りでそこに現れた。
腐川が葉隠を呼び出した方法は、実際手紙(まさに古風なラブレターと言わんばかりの手紙)で、しかも名前も書いていないので、葉隠だって相手に気付かないものである。

「ま、アンタなら…名前書いても気付きそうにない…わ、よね」

胸に思った事がいつの間にか口に出ていたが、腐川は大して悪びれるつもりはない。
言った通りだからだ。
この葉隠がどれだけバカかは、わずかな時間でたくさん感じさせられた。

しかしバカだからこそ使える。
バカと鋏は使いよう、と昔から言うのだし。
(山田は『犬と鋏は使いよう』などと言っていたが、それがラノベのタイトルと知るのはもっと後の事だ)

「………ね、ねぇ、葉隠」

腐川は、意を決した様子で言葉を出した。


「わ、…たしを、………私を、白夜様に相応しい女にしなさい……!」

「………は?」

だから言ってるじゃないの。
私を、白夜様に相応しい女にしなさいと。


腐川冬子は、実に真面目で、とても真剣で、驚くほどの熱意で言う。

「…いい?アンタじゃなくてもいいのよ、ホントは……で、でも、アンタなら何でも知ってそう…じゃない?べ、勉強とは関係の無い、事を…」

腐川がそんな事を言ったのは、確かに葉隠が何でも知っていそうな感じだからだろう。
感じ、と言うのは、葉隠の過去を詳しく知る者がここにいないためにふわっとした言い方しか出来ないのである。
そう言えばこの男、あの苗木にもほとんど自らの略歴を語っていない。
あらゆるクラスメイトが全ての罪を、あるいはその歴史を語ってきた男に対してすら、己を隠してきた葉隠。
人は彼を、時に「風雲児」だとか「ミステリアス」だとか、そして「自由人」だとか言う。

その葉隠がどんな人生を送ったのか、腐川には全てを知る事は出来ない。
それでも。

それでも葉隠は、自分よりも色々な経験をしているはずなのだ。


「あ…の、アンタなら何でも知ってそう…じゃない……、あ、……私の知らない事をッ…」


不器用な言葉で表現するとつまりそう言う事で、しかし相手は

「知らん事?何だそれ、UFOの事か?UFOどこだべ?」

などとどこかの芸人のようなセリフを供述しており。

「そんなのどうだっていいのよ!私は………」

言い掛けた腐川が、くしゃみをした。
瞬間、葉隠もゲッと顔をゆがませる。
理由は他でもない。

「………っつーかまどろっこしーんだっつんだよ、読者はエロ以外求めてねーんだよさっさと脱いて模擬刀見せなさーい!ゲラゲラゲラゲラ!」

……そう。
腐川冬子は、二重人格。
しかもその裏の人格は、今世間を賑わせる【超高校級の殺人鬼】こと、ジェノサイダー翔なのだ。

ちなみに、このジェノサイダーは確か男同士の絡みが好きと言う、言わば貴腐人まっしぐらの腐女子だったはずなのだが。

「アンタバカぁ?腐女子っつーのは、結局のところ男同士のイチャコラで自分の体を弄ぶ変態共なんだよ!え?アタシ?」
「ななななな…じ、ジェノサイダー翔?!」
「アタシはアンタみたいな占いバカじゃ萌ねーっつーんだよ!このダメ人間!」
「んじゃ何で呼んだんだよ?!」
「んー?………さて、なぜでしょーか?」
「オメーなぁ…」
「アタシは知りませーん!なぜならぁ、アタシは「腐川冬子」とは記憶を共有してないのデース」
「あー、はいはいジェノサイダーの勝ちです。…で、俺は帰るぞ」
「待てぃ!」

とにかくややこしいふたりが揃ってしまったもんだ。

「あーのさぁー?アンタホントにバカなの?何なの?死ぬの?殺されたいの?」

ジェノサイダー翔が遂に痺れを切らした。
勿論メタ的な意味でだ。
そして語り部もさっさとエロに入りたいのだ。

「何であの根暗人格に呼び出されたか分かってんでしょ、占いバカちんは?」
「その呼び方止めてくれ」
「わっかりました、やっすー」
「それはそれで何か落ち着かんのだけど…」
「いーから!やっすー!話聞くならいつよ?今でしょ?ゲラゲラゲラゲラ!!」


ああもう、こちらから見ていても話が進まない。どうしたらいいやら。
と、思っていると、ジェノサイダー翔は再びくしゃみをする。

腐川とジェノサイダー翔が入れ替わるのは、くしゃみをした時と気絶した時のどちらか。


「………はっ!?」
「よーやく戻って来たな?腐川っち……」

葉隠がさすがの安堵の色を出した。
人殺しと陰気のどちらかの女を選ぶとするなら、陰気な女なだけである。

「………」

腐川は先程までの記憶がないので押し黙った。

「んで、オメーを女にするっつーのは…その、どっちの気持ちなんだ?」

多少の困惑の中で葉隠は問いた。
多重人格になった事など一度としてない。だから、彼女の気持ちは分かってやれない。
故に。
故にこんなバカな問いをする他になかった。

腐川が本気なのか、ちゃんと聞いておかなければいけないから。

「……も、」

しばらくして口を開いた腐川は、白い頬を限界まで紅潮させて、彼女の出せる限りの大声で叫ぶ。

「勿論、私の気持ちに決まってるでしょ!」


その決意と表情に、思わず葉隠も気圧されており。
遂に腐川が「予行練習させなさい」と言うのをふたつ返事で快諾したのである。

「つうか、予行練習ってなんだ?」

葉隠がバカとしか思えない疑問をぶつけてきたのが、快諾のおおよそ10秒後である。

「……よこう、演習って言うのは」
腐川は多少言いよどんだが、それでも自分のために言うしかない。
その為にこの男を、わざわざ、そう…わざわざ呼んだのだ。
「わ………私が、白夜様と夜を共にする予行演習よ」

つまり
「オメーは2番手だけどわざわざ使ってやるよ」
と言うかなりな上から目線である。
放った腐川にはそのつもりはない。
そして受け取った葉隠もそんなつもりはない。

「………」
「…な、によ…て」
「ふーん」
「………なによ」
「あれだろ?オメー、十神っちに処女っつーのばれたくな」
「そそそそそそんなわけないじゃないのおおお!!」

いい加減進まない。

しかしそんな膠着を崩したのが、他ならぬ腐川である。

「びゃ、白夜様は、きっととんでもない数の女を抱いたはずなのよ…だから…わ、たしみたいな…
ただ経験も無く知識だけをひけらかしているただの木偶の坊なんかは恋愛の対象にならないんだわ
さらには処女ならいいと言うただのプレミア好きなバカ共とは違って才能のある女なら誰でも抱いてくれるに違いないわ」
「オメーを選ばないのはそれ以外にも理由はあると思うんだが」
「…っさいわね葉隠のくせに…」
「なんだっつーんだべ?俺が何したってんだべ!」
「いいから!私を女にしなさいよ!」

つまるところ腐川には、目的以外は見えていないのである。


「んで結局俺は何したらいいんだよ」
じれる葉隠。
「だから私を女にしなさいよ」
苛立つ腐川。
まさに水と油のように相性が悪いふたり。

「ちょっと何言ってるか分かんねーべ…」

困惑を割ったのは、腐川の行動だった。

「そう…アンタ、わ、私が本気じゃないとか思ってバカに…バカにしてんでしょ…?」
「は?オメー何言って」
「いいわよ」

苛立ちの隠せない腐川が実力行使に出た。

要は自分の服を脱いだのだ。
しかも葉隠が呆気にとられている間に、全部脱いだ。
かあああっと赤くなったのは腐川ではなく葉隠のほうだ。

「ど、どうよ、これで分かったでしょ?わ、私が本気で言ってるって事…私は、本気で白夜様に愛される女になりたいの」


本気だ。
葉隠でなくとも分かった。
そしてメタ的に言うと、そろそろエロに入りたいのに話が纏まらなかった。

小振りな両胸が、浴室から流れ出る湿気を含んだ風に煽られる。
そのたびに乳首はつんと立ち、まるで葉隠に見られているのを恥じているかのように堅くなる。
いや、そりゃ他人に見られるのは恥ずかしいのだが。

「…な…、腐川っち……」
「………いいから、」

先に動いたのは腐川だった。

「私に!女の作法を教えなさい!」

ぐいっ。

強引に距離を縮めた腐川が、葉隠の股間をこれまた強引に鷲掴みにした。
布の上からさわりさわり、若干弱めに揉んでいる。
さすがは処女。
経験も浅いのか、やはり揉み方が荒い。ちょっと痛いべ。

それでもその痛みすら、この訳の分からない現状では快感の一部なのか。
意思とは、あるいは意識とは関係なく、股間に血液が集まるのを感じた。

「…?!」
「なによぉ、あ、あんた…こんなんで堅くなる…ものなの?男ってそうなの?」
「や、ちょ、そんなん知らんべ!」
「何なのよおお!アンタ、変態じゃないのよお!!」
「俺は変態じゃねーって!」

不毛な会話が繰り広げられる。
何とも答えにくい。
なぜなら、先に仕掛けたのは間違いなく腐川で、それに反応しているのは葉隠なのだから。

葉隠の股間は、腐川の弱い攻めにじれて堅さを増している。

「んな…?お、い、オメーの中途半端なしごきで興奮してんのか、俺っ…?!」
「……るさい」
「なんなんだべ、さっきっから…」
「う、うるさいのよ!黙って感じてればいいじゃない!」
「……何言ってんだ、オメーは!」
「黙りなさい!」
「あああああそこはきつく握りしめんなってええええ」
「うるさいのよ!アンタは黙ってアタシの実験台になりなさい」


しばらくして。


「……出しなさいよ、そろそろ」
「…ん、ふ……ぅ」
「耐えないで、早く…」
「ん………んぐっ」

腐川はこの場の支配に性行…間違えた……成功した。

葉隠は唇をきつく噛みしめて耐えているようだ。
腐川がやっていたのは、ただ単に服の上から堅い部分を触るだけと言う、まさに地獄のような拷問に近い攻めのみである。
刺激が弱すぎるが、しかし鋭敏すぎる触覚はそれだけでも興奮してびくりとうごめいたのである。
それをいったい何回したのだろうか。
葉隠の額には脂汗がにじんでおり、この痛ぶりを耐えた証が残っている。
対した腐川は何故か全裸なので、違和感はあるのだが。
それでも葉隠は男のはしくれとして、自らの股間を女性に揉まれている快楽におぼれかけていた。

「んぎぃ…!」
「いいのよ、アンタは…あ、私は…これで白夜様が落とせる、か…実験してるんだから…」
「ちょ、もう止め」
「うるさい!」
「っ」

怒りと恥ずかしさで、ぎゅむ、と葉隠の急所は一番の力で握られた。
堅くたぎり、そしてじらされ続けた場所への、急所への、痛恨の一撃。
同時に葉隠は、その痛みでびくりと全身を震わせた直後に、喉の奥から声にもならない声を上げて天井を仰いだ。

「ーーーーーーーーッッッ!??!」


腐川の手のひらに、じんわりと暖かい何かを感じる。
よく見ると、手のひらが触っていた中心からじわりとシミがこぼれ落ち、それは腐川の手のひらにもいくばくかの湿気を感じさせた。
射精した。
明らかに、葉隠はイった。

びくびく、と葉隠の体と、そしてズボンの下の一カ所は震え上がっている。
腐川は直感した。
この男のロマンさえ乗り越えてしまえば。
十神のシンボルを手にするのも、夢ではないのではないか。

しかし、現実は甘くない。

脂汗を額に垂らして、腰遣いは確かにけいれんに似たひくつきをしていたものの、それでも葉隠は諦めずにその場に立ち止まった。

「っめ……いい加減に、しろ」

体重を生かして、葉隠は腐川を倒した。
ちょうど覆い被さるような状態で、上から葉隠が腐川を見下ろした。
今度は逆だろう。
重力に負けた腐川の胸はたらりと平らになっており、眼鏡はずり落ち掛けていた。
そんな状態の腐川の下半身はどうなっているでしょうか?

「…オメー、他人イかせてオメーは大洪水だけで終わると思ってるんか」

葉隠がいつになく低い声でささやいた。
ズボンに射精しているくせによくもまあ出来たものである。
しかもそのズボンのまま、腐川の白すぎるほどの太股に股間をすり付けてきた。

べちょべちょしている。
下着が。

それに耐えかねて、
葉隠は一旦、床に倒した腐川から離れた。

瞬間、葉隠のズボンをはぎ取ったのは腐川だった。
腐川、と言うよりはジェノサイダー翔だ。

葉隠がイった事に耐えかねた腐川が、自制としてジェノサイダー翔を発動したのだ。

呆気に取られる葉隠。

「ゲラゲラゲラゲラ!エロ本でもあるまいし、何で服の中で精子出したんだっつーの!」
「……あ、すかすかすんべ」
「当たり前田のクラッカーだよ!」
「っぎゃあああああ!」
「ダイレクトアタック!」

ジェノサイダー翔が、葉隠の股間を素手、もしくは素で掴んだ。
悲しいかな、この痛みでも勃起してしまう葉隠。
男はみんなドMなんだと、どこかのラジオが言っていたのを思い出す。
そうかもしんねーべ。俺もMかんなんかもな…。

描写もためらうほどのスピードプレイだった。

ナマで触られたその暖かさと、刺激の強さで葉隠は一気に達した。
暖かな手のひらに、さらに暖かな子種を一発、どころか何発も吐き出される羽目になった。
その上、出したばかりの弱った男根を、今度は腐川がガブリと口に含む。

「……び、白夜様が喜ぶように、練習したいんだから」

本格的なフェラを始める前に腐川は言った。

その舌遣いはどこで学んだのか、葉隠も…恐らく、十神も落ちるだろう起用さだった。
射出口を何度も何度も、気が狂いそうになるほど、舌の先でねぶられる。
止めて欲しい、と言葉にしても、止める事など絶対ない。
その都度、葉隠は、望まぬ快感にひぐっと息を飲み込んで、同時に立ち上がる自身の股間に嫌気を覚えた。
それでも最終的には、

腐川の喉元まで男根を差し込む。
「腐川っち…腐川っち!俺の…」
「ん…ぉおおおおお!」
「俺の飲んでくれ!もう、耐えられんべ…!」

いったい、この夜何度目なのか分からない絶頂だった。

女性の中で達せない事実。
彼女が己の体を許してくれない現実。
そしてその彼女から、自らを何度も責め立てる状況。


これら全てが葉隠をがんじがらめに捉えた。

さあ、次は一体何度目の射精だろうか。
と、言うより、もはや葉隠に意識は残っているのだろうか。
もしかすると、腐川も本来の目的を忘れ、ただ男をイかせるだけに特化したのかもしれない。

今宵の、実に二桁にも及ぶ叫び声が聞こえる。

「腐川っち…腐川っちぃ…たの、む、…オメーの中で…イかせ……て……」
「ダメよ…アンタは、私の手のひらで十分なの…、私が白夜様に誉められる女になるために」
「んがああああ!止めてくれぇ、腐川っち!俺、も……う……!」
「白夜様に見初められるために…わ、わたしは、私は……」
「ああああああっ!!」
「あの人が幸せになれる!技術を学びたい!」
「や、めろ…っああああああ!!!」


大浴場の手前で繰り広げられる宴に、恐らくアルターエゴも震え上がっていただろう。
しばらく終わる気配がない宴は、その後、数時間続いた。







「オンリーは落としましたが今回は落としませんぞ」
「しかし山田君、エロ描写が足りませんこと?」
「いやいやこれは本番まで行かないところがそそられるのであっt………ってセレス殿?!」
「私が気に入りません。よって焼却致しますわ」
「や、やめろおおおおおお」
「うるせぇんだよ、クソ豚ああああああ!!!」
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