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「よ、よろしく……」
「こ、こちらこそよろしくお願いします……」

「「………………………」」

「こ、こうやって、いざ色々しようと思うと恥ずかしいね」
「そ、そうですね……」

 苗木と舞園はベッドの上に裸で座っていた。
 互いに向き合った状態であり、間にテーブルでも置けばお見合いでも始まるのではないかという空気だ。
 2人の頬は赤く、視線は伏し目がちに相手の身体とベッドの間を往復している。
 両者ともに、もっとよく見たいという気持ちと気恥ずかしい気持ちが拮抗しているようだ。

(舞園さんの身体綺麗だな……)

 だが、ふとした拍子に、揺れる苗木の視界に舞園の身体が映り込んだ。
 そして、そのまま苗木の目の動きが一度止まる。

 舞園は両足の間にお尻を落とす座り方(いわゆる女の子座り)をしたうえで、
 両手を股の辺りに置いて秘部を隠し、恥ずかしそうに腿を擦り合わせていた。

 しかし、両手が股の間に置かれているせいで胸は隠されていない。
 だからこそ、苗木の視線もまた舞園の柔らかそうな双房に引き寄せられる。
 瑞々しい肌と張りをした艶めかしい房の上には桜色の乳頭があり、苗木はそれを見て唾を飲む。

 そうなると、苗木の目の動きは欲望に踊らされて止まらない。

 苗木は視線を胸から臍の辺りまで落とす。
 舞園の腹部には無駄な脂肪など一切なく、まるで新品のゴムのようにきゅっと引き締まり、それでいて張りもありそうだった。

 さらに、苗木は視線を下へと落とす。
 ほっそりとしており華奢だが健康的な肌色をした腰には柔らかそうな太腿がつながっている。
 そして、舞園は隠しているが、太腿の間には苗木が見た事のないものがあるはずだった。

 飲み込む唾さえ切れたかのように、苗木は口をわずかに開く。
 そして、ボーっと今度は舞園の身体全体を見た。

 苗木の視界の中が舞園だけで埋まっていく。
 苗木は長い間、舞園のことだけを見続けた。
 舞園の身体はどこを見ても、人形のように華奢であり可憐であり美しかった。

(それに……すごい良い匂いがする……嗅いだこともない良い匂いだ……)

 舞園の身体のどんな部分からも、苗木の鼻孔をくすぐる匂いが漂っているように、苗木は感じた。
 その匂いが苗木の思考と視界をぼんやりとしたものへと変えていく。
 苗木はこのままずっと舞園を眺めていても良い気分になりつつあった。

「な、苗木君…、そ、そんなに見ないでください…。恥ずかしいです」
「う、うわ、ごめん……」

 しかし、いつの間にか、食い入るように見ていた苗木に対して、舞園が蚊の鳴くような声で非難する。
 そして、舞園は自分の声が小さくなっていることに自分で驚き、羞恥心によって、さらに小さな声で言った。

「……その、大丈夫だと思うんですけど、もしかして、変なとこありますか?」
「そんなことないよ!」

 自分の身体におかしいところはない……と舞園は信じていたが、不思議なことに、
 この土壇場で自信がなくなっていく。緊張と不安で頭が茹り始めている。
 これがライブイベントなどであれば、リハーサルやイメージトレーニングでそれらを自分なりに消化しつつ、
 本番に臨むのだが、いかんせんこればかりは舞園1人であらかじめどうにか出来る問題ではなかった。
 そのため、自分の身体に苗木に不快な印象を与えるような部分があるのではないかと、
 普段なら考えもしないような心配を抱え、舞園は落ち着かなかった。

「……本当ですか?」

 舞園は両手をゆっくりと後ろへと持っていく。
 そして、膝で立ち、すっと背を伸ばす。すると、胸が張られ、隠されていた部分が苗木にも見えるようになる。 
 太腿の間にはうっすらと柔らかそうな毛が生えていた。
 整えられているのか、それとも元々薄いのかまでは苗木には分からなかったが、特に不格好ということもなく、
 まるで赤ん坊の産毛のように慎ましい。
 その慎ましい草原の中には、咲き掛けの蘭のような女性器があった。
 まだ蕾のようにほとんどぴったりと閉まっているが、その隙間から桜色の花弁も見え隠れする。
 苗木はそれを見てやはり唾を飲む。そして、感慨深げに呟く。

「すごい綺麗だよ、舞園さん……! 生きてて良かった……!」
「えっと、その……それは良かったです!」

 舞園はそう言うと少しだけ安心したのか微笑んだ。
 そして、照れ隠しのようにこう告げる。

「私も苗木君が生まれてきてくれて良かったーって思ってますよ。今、とっても幸せです」
「舞園さん……」
「……えっと、うふふ、いざ、こんなこと言うと照れちゃいますね」
「あのね、舞園さん……」
「……苗木君?」
「これからも幸せにするからね……!」
「……はい!」

 苗木はゆっくりと近づいていく。

 舞園はその様子を見る。苗木の小柄な身体は想像していたよりも固そうだった。
 別に女性の体つきを想像していたわけではないが、もっと少年然とした体つきを想像していた。
 それが男性と称するのが相応しいくらいにはがっしりとした骨と筋肉を持っていたのである。
 肌も女性のものとは違いざらっとしており、痩せているというのに精悍な印象を与えた。
 そして、その当たり前の事実が舞園の心臓を速めた。

 ボーっとしつつある頭のまま、舞園は視線を下げる。そして、そこにあるものの存在に気づき、ビクンと体を震わす。
 そこには、屹立した苗木の男性器があった。
 血管が浮き出ており、ときおり脈動するその物体は苗木のものとは思えないくらい生々しかった。

「……けど、苗木君のものなら」
「え、なに? 舞園さん?」
「ううん、なんでもないですよ、苗木君」

 ただし、驚きはするものの、それが苗木のものだと思えば不思議と恐怖はなかった。
 不安と怖さ以上に、安心感と期待感が舞園の身体を包んでいる。
 自分の身体が苗木に不快感を与えない以上、舞園にとっての最悪はもう存在しておらず、
 あとは、もう……安心して苗木に身を任せるだけだった。

「舞園さん……」
「苗木君……」

 いつの間にか、眼前に迫っていた苗木の顔を見て、舞園は思わず熱い息を吐く。
 苗木の息も少し荒くなっており、互いの吐息が相手の顔をくすぐる。
 そのこそばゆさによって、さらに2人の体温は上がる。顔が赤くなる。
 知らず知らずのうちに互いの両手が伸び、指と指がゆるゆると絡まり始める。

「舞園さん……大好きだよ……」
「はい、私も大好きです……」
「ん……ふっ……」
「……っ。……はぁ…」

 苗木の唇が舞園の唇を塞ぎ、柔らかい感触と温かい湿り気が2人の間を行き来した。
 2人は、砂糖が解けたお湯を啄んだかのような不思議な錯覚を覚える。
 そして、唇が離れても、その感触は残り続け、2人の仕草も艶めかしいものへと変わっていく。

 そして、知らず知らずのうちに舞園の瞳は潤む。
 その瞳を見て、苗木もまた衝動的に唇を再び舞園へと近づけていく。

「舞園さん……。ちゅ……じゅる………ぅ……」
「んん……。ちゅぅ……ぴちゅ……ん…ぁぁ……」
「……ちゅぱ……れろ……んちゅじゅ…じゅる…」
「…ん……ぁぁ……ふっ……ふぁ…はぅ…あぁ…」

 相手の舌先から根元までなぞるようにして、互いの舌は動き、そのまま絡まり合う。
 唾液は段々と熱くなり、息もまた温かさを増す。
 粘り気が特にあったわけではないのに、何度も絡み合う事で、舌は湿り気を増し、相手の舌にぴったりと張りついていく。
 そうすると、2人は、段々と自分の舌と相手の舌の境目を見失っていった。

「ん…ちゅぅっ…じゅっ…ぅぅあぁ…れろ…ふぁぁ…れろ…ぅぁ」
「ふぁぁ…ぅ…ふぁ…ちゅ…ぁ……ちゅぅ…う…あぁ…っ…ぁぁ」

 漏れる息が荒くなり、唇と唇の隙間から涎がこぼれていく。
 その涎を恥ずかしいと思う余裕もないまま、舞園の身体から力が抜けていく。
 そして、苗木はそんな舞園の身体を後ろへと押し倒す。
 舞園の足は投げ出され、綺麗にそろえられた。
 苗木はそんな舞園の身体にまたがるように股を広げ、彼女の脇腹の横に膝を突く。
 その間も、2人の唇は離れず、2人の両手も離れず、2人の視線も離れなかった。
 まるでそれが世界の全てだとでも言うように、2人は相手の口内を味わい続けていたのだ。
 長い長い間、2人の舌の絡まる音が静かに鳴り続ける。

「……ぷはぁっ……はぁはぁ…………」
「……ふぁぁ………はぁ……ん………」

 やがて、息が続かなくなり、2人の唇は離れた。
 苗木の顔は火照り、その額からは汗が滲んでいる。
 それに対して、舞園の瞳はとろんと潤み、その口元には涎の跡が残っていた。

「……ぺろ」
「……ん」
 苗木はその涎を綺麗に舐め取った。
 舞園が目をつぶり、切なげに息を切らす。

「舞園さん……。手を離していいかな…………?」
「……はい。だけど、まだ片手だけは握ってていいですか?」
「……うん。いいよ、それで舞園さんが安心してくれるなら……」

 苗木は右手だけを舞園の左手から離す。
 そして、その右手を舞園の首の下へと近づけていき、そっと心臓の鼓動が鳴る場所へと押し当てる。
 張りのある弾力が苗木の右手を押し返す。そのさわり心地は果実のように瑞々しく絹のように滑らかだった。
 苗木は撫でるようにしてやさしく揉みほぐしながら、口元を乳頭へと近づけていく。

「ん……ちゅぅ……」
「あぁ……はぁ……苗木君……」

 舞園は左手で苗木の背中をゆっくりと撫ではじめる。
 自分の胸を弄ぶ苗木の様子を舞園は愛おしそうに眺めていた。

(良かった……。舞園さん、気持ちよさそうだ……。よしっ……頑張ろう……!)

 すると、舞園の手の動きと目の動きは苗木に安心感を与え、彼は彼女の胸に心から熱中することが出来た。
 苗木の指先の動きの沿って、舞園の乳房は動く。
 餅や砂糖菓子でもこねるようにして、苗木は舞園の胸の根元から乳首まで揉み解していく。
 そうしているうちに、自分の右手の中で舞園の胸が熱くなり、張っていくのを苗木は確認する。
 そして、ツンと張った胸の頂点に舌で舐めた後、口でふくむ。そして、吸う。
 口と鼻の中に広がる芳香に苗木は夢中になるが、右手を動かすのは止めなかった。
 吸っている間も、右手で、まるで母乳でも絞ろうとするかのように、舞園の乳房をしごいた。

「あぁ……苗木君……ん……ふあぁ……」

 いつの間にか、苗木の背中を撫でていた舞園の左手は止まっていた。
 ぴくぴくと小刻みに動いているが、動かすという動作を忘れてしまったかのようだ。

 舞園の身体からさらに力が抜けていくのが、苗木にも分かる。
 苗木の左手を握っていた舞園の右手からも力は抜けていく。
 そして、その右手はそのままベッドへと落ちていった。

 やがて、舞園は恍惚とした表情のまま、うわ言のように何かを口にし始める。
 だが、その言葉は要領を得ない。
 のど元まで出かかっている言葉があるのだが、羞恥心で中々外に出すことが出来なかったのである。

「……もう、大丈夫……です……。あの、だから……。その……」
「分かったよ……! きっと、こういうことだよね……?」
「……はい。ん……ふぁあ……ん……」

 しかし、その視線は先ほどからあまり触れられていない自らの右胸へチラチラと向けられていたため、
 苗木は舞園の言いたいことを理解することが出来た。
 その分かりやすいメッセージを受けて、苗木は自由になった左手を空いているもう1つの乳房へと持っていったのだ

「……ん。あぁ……苗木君……。私の胸、気持ちいいですか……?」
「うん……! すごいよ……! ずっと触っていたい……! 舞園さんは……どう? 気持ちいい?」
「……はい。もちろんです……。大好きな苗木君の手ですもん……。気持ちよくないわけないじゃないですか……!」
「良かったっ。ボクも大好きだよ………ん……ちゅ……」
「うふふ……。嬉しい……ん……ぁ……んん……ふぁあぁ……」

 苗木は両手で舞園の双房をこねくり回し始める。
 ときに両手で片房を責め、ときに両房を責めた。
 そして、両方の乳房を交互に舌先で舐めまわす。そして、しゃぶっていく。

 そんな苗木の動きを受けて、舞園の足元から頭まで痺れのようなものが登り始める。
 その感じたことのない痺れに、舞園はびっくりして、思わず大きく身体を動かしそうになった。
 しかし、その身体には力が入らない。

 それどころが、さらに大きくなる痺れに舞園の身体は翻弄されていく。

「あぁぁぁぁぁ……ん……あ…ぁ……」

 やがて、舞園は一度大きくのけぞる。
 快感が一気に身体を突き抜けたのだ。

「舞園さん……?」
「あ、ごめん……なさい……だいじょうぶ……です……」
「ホッ……よかった……」

 息も絶え絶えに舞園が返事するのを見て、苗木は安堵の息を吐く。
 舞園の身体全体を使った反応に思わず、一度、苗木は口と手を離したのだ。
 舞園が拒絶を示したのかと焦ったのである。
 しかし、そうでないと分かり、今、苗木は充実感と幸福感に満たされていた。

「舞園さん……かわいいよ……」

 勢いに乗った苗木は舞園の首筋にキスを一度して、髪の毛を撫でる。
 そして、口元を今度は下へ下へと下げていく。
 臍に口と鼻を押し付け、その味と匂いを楽しんだ。
 舞園が恥ずかしげに身体を震わすが、もはや苗木は気にしなかった。
 苗木は気にする代わりに、手を舞園の陰部へ当てる。そして、その縁の部分を丁寧になぞっていく。

「ん……ぁ………ふぁ…………」

 舞園は弛緩した身体を必死に動かそうと身悶えた。
 しかし、やはり身体は動かない。安心感と高揚感の中で体を動かした気分になるだけだ。

 夢心地の中で、舞園は自分でも分からない何かを求め続けた。
 身体が激しく反応し、頭がくらくらして、肌が焼けるように熱く、
 ゆっくりゆっくりと体中を何かが循環していく感覚に息を弾ませながらも、まだ何かが足りなかった。
 しかし、自分でも何が足りないのか分からず、舞園はただ喘ぎ声を漏らすだけだ。

「ん……苗木君……好き……ぁ……」
「ボクもだよ……舞園さん…………」

 そんな舞園に対して、苗木は手の平で包むようにして舞園の陰核を押した。
 まるで手の平全体で舞園の陰核を温めるように何度も何度もさすり、こすり、撫でまわした。

「ぁ……苗木君を感じます…………」

 自らの身体の中でも最も敏感な箇所で、舞園は苗木の手の暖かさを感じる。
 その暖かさによって、舞園はこれまで以上に熱い息を吐いた。
 足りないものが満たされていき、舞園の感覚はどんどん溶けていく。

 そんな舞園の様子を見ながら、苗木は自身の体をゆっくりと後ろへ下げていく。
 そして、舞園の股を両手で広げ、陰部に顔を近づけて、おそるおそると言った具合に舌を出す。

「は、恥ずかしいです……苗木君……」
「……愛してるよ、舞園さん」
「そ、そんな、誤魔化し……ん………ぅ……ぁぁ……ふぁ……」

 ぺろりぺろりと苗木は犬のように舌を動かし始めた。

「れろ……ぺろ……ちゅ……じゅる…………」
「ん……ゅ……あ……ふぅ………んん………」

 苗木は段々と口全体を使って、丹念に舞園の陰部に唾を付けていく。
 すでに舞園の陰部は愛液によって濡れていたが、そこに自分の唾液を混ぜていく。
 苗木は舞園の愛液を舐め続ける。その味はヨーグルトのような味がした。しょっぱさの中に確かな甘みがあった。
 強い幸福感によってフェロモンが調整された影響かもしれないし、苗木の味覚の問題かもしれない。
 はたまた、2人の相性が良いのかもしれない。

 しかし、どれであろうと苗木には関係なかった。
 それが苗木にとっての媚薬だということには変わりないからだ。

 苗木はペニスを痛みではちきれんばかりに膨張させながら、狂ったように舞園の陰部を舐め続けている。
 安心と陶酔によって舞園の体はしとどに愛液を流しており、舐めても舐めても終わりがなく、苗木はひたする舌を動かし続けた。
 苗木は熱に浮かされるようにして、唇と舌を使って舞園の陰部を広げていく。
 蘭の蕾のようだった陰部はいつの間にか、蘭の花のように膨らんでおり、苗木はそこに顔を押し付けた。

「んちゅ…じゅる…れろぺろ…じゅるぅ…ぺろ……」
「ふぁぁ…あぁあ…ん…うぅ……ふぁぅ…あふ……あっ……ああああああ…………ふぅ……はぁはぁ……」

 舞園は噛み殺し切れなかった声を漏らし、再び身体全体を脈打たせた。
 そんな舞園の震えを感じながら、苗木は顔を離した。
 そして、一度息を吐くと、身体を起こして、自分の腰を舞園の腰へと近づける。

「舞園さん……」
「ぁ……なえぎくん?」
「好き……だよ……」
「はい……わたしもです……」

 舞園は呂律が回らないくらい息も絶え絶えだった。
 しかし、苗木の様子が変わったのを見て、それでも舞園は身体を必死に動かした。
 シーツを掴んでいた手を離し、その両の手を苗木の背中に回し、自分の体を支え起こす。
 苗木に抱きつくようにして舞園は自分の体を密着させ、その背中の意外な固さに内心でドギマギしつつ、耳元で囁く。
 何度も言葉を区切り、舞園は必死に呂律を回していた。

「……そろそろ……ですよね? もう……大丈夫……だと思います。遠慮なく……やっちゃって……ください。私も……頑張りますから……」
「……痛かったら、無理せず言ってね?」
「うふふ……。きっと……大丈夫ですよ……。だって、私、分かります……」
「……エスパーだから?」
「もうっ……言わないでくださいよー」
「あはは、ごめん……」
「うふふ……」
「…………………」
「…………………」
「……行くよ!」
「はい!」

 勢いよく返事をした後、舞園は苗木の首筋に強く唇を押し付けた。
 そして、キスマークを残した後、力を使い果たしのか、後ろへとゆっくり倒れ込む。
 苗木の脇腹を、舞園の柔らかな手がまるで滑らかな筆のようになぞっていった。

 舞園は潤んだ目を伏し目がちに苗木へと向けていた。
 まるで小動物のような瞳をしていた。
 そんな表情をした舞園の瞳を、苗木はまだ一度も見た事がなかった。
 だから、苗木は胸に大きな高鳴りを抱きながら、こう言った。

「舞園さん……何度でも言うよ……好きだよ! かわいいよ! 素敵だよ……!」

 舞園が痛みを出来る限り覚えないように、苗木は両手を舞園のお尻の下へと持っていった。
 挿入に際して、苗木は舞園の腰を支えるつもりだった。

「ん……」

 しかし、舞園が艶めかしい息を漏らしたのを聞き、苗木の動きが一瞬止まる。

(あ……そういえば……。まだお尻には触れてなかった……。こっちも撫でたりした方が良かったのかな……?)

 ここまで比較的とんとん拍子で来ていたのだが、ここに来てかつてないほどの迷いを苗木は覚えた。
 冷静に考えれば、もうそのまま挿入で良いに決まっているのに、その手に感じた柔らかさに押され、思考が流され始めたのである。
 わずかにぼやけた思考の中、モニュモニュと苗木は両手を動かした。

「ん……んん……な、苗木君?」
「あ、ごごごごめん……えっと……」

 苗木は焦る。手を動かすのも止めてしまい、彼はただ息をするだけのオブジェと化した。
 その額から汗が零れ落ちる。

「うふふ、安心できるまでずっと触ってていいですよ……」

 その様子を見て、舞園はにっこりと安心させるようにして微笑んだ。
 まだ瞳は潤んでいたが、目じりが下がったことで、柔和で穏やかな印象を苗木に与えた。
 だからこそ、苗木は冷静さを取り戻す。

「そ、そうだね! ちょっとそうさせてもらうよ……!」
「ん………あはは、くすぐったいー」
「ご、ごめん……舞園さん。ちょっと落ち着いたよ」
「えへへ……。それは良かったです……」

 冷静さを取り戻した苗木はゆっくりと手を腰の方へと持っていく。
 そして、ベッドと腰の間に手を差し入れ、舞園の腰を僅かに浮かせた。

(良かった……。失敗したけど、変なことにならなくて良かった……)

 水を差されたことで、舞園の身体が冷めて固くなったのではないか? と苗木は一瞬心配したが、それは杞憂だった。
 苗木の硬直した先端が舞園の入口へと触れたが、そこはまだ濡れて温かみにあふれていた。
 舞園の濡れた瞳の中には、まだ陶酔と不安と期待と安心感が入り乱れている。
 そして、それらの感情が、舞園の身体から力を抜いており、同時に、彼女の身体をどこまでも柔らかいものにしていた。
 その柔らかさに苗木は安堵した。そして、安堵の後、一度息を吸い込む。
 そして、苗木は意を決して、固く、熱くなった自らの先端をゆっくりと舞園の中へと突き入れる。

「……っ」

 舞園は小さくうめき声を漏らした。
 苗木の先端も入り口の震えによってそれ以上の侵入を一度阻まれる。

 しかし、舞園の発した痛みも震えも、両者が想定していたものよりは小さかった。
 だから、舞園はそれ以上のうめき声を出さなかったし、苗木の侵入はそれ以上強くは拒まれなかった。

「舞園さん……痛かったら、言ってね……」
「大丈夫です……。そのまま……お願いします……」
「分かった。このままいくよ。……愛してるよ、舞園さん」
「はい、私もです。苗木君……愛してます」

 2人は成就に向けて突き進んだ。
 苗木は舞園の腰を支えたまま挿入しやすい角度を必死に探り、それに対して、舞園も出来る限り身体を動かして協力する。
 ダンスで慣らした舞園の身体は柔らかく、苗木の望んだ形に伸び曲がりし、必要な態勢を維持した。

(やっぱり、ここまでスムーズに来れたのは、舞園さんのおかげだよなぁ……)

 舞園が主導権を握っていたというわけではないのだが、
 彼女が安心して身体をゆだね、こちらの行動ひとつひとつに対して理想的な反応を返してくれたことが、
 未経験同士の性交であるにも関わらず、ここまで上手く進んだ理由だと、苗木は気づいていた。

 そして、そのことに気づいていたからこそ、苗木は深く舞園に感謝した。

「舞園さん……ありがとう……」
「……苗木君?」
「キミのこと、絶対、幸せにするからっ……!」

 苗木は腰を前へ前へと動かし始める。
 ビロードのようなひだに苗木の分身は埋まっていく。
 そして、一度、動きを止め、一呼吸を置くと、苗木は一気に最後まで突き入れた。

「……っ。ぅあぁぁ……」

 舞園が苦痛でうめく。
 苗木は奥深くまで自らのものを差し込むと、一度腰を止める。

 そして、そのまま、苗木は舞園が痛みに慣れるのを待とうとした。
 ……だが、その前に苗木の頭はどうにかなりそうだった。

「うぅ……舞園さん……ごめん、我慢できないかも……」

 舞園が身体が震え、苗木のペニスを固く包み込んだのだ。
 今にも全ての精液が零れ落ちそうなほどの強い快楽が苗木を襲い、気を抜けば、暴発しそうだった。
 そして、精を放出するのを抑えようとすればするほど、それ以上に、もっと腰を振りたいという欲求が沸き上がってくる。
 しかし、苗木は必死にその欲求を抑えた。
 だが、我慢しようと思えば思うほど、段々とその欲求は大きくなり、自制心を破壊していく。

「あぁ……苗木君………我慢しないでいいですよ……。私、もう大丈夫です……」

 しかし、苗木にとって幸いなことに、舞園の身体から震えとこわばりがゆっくりと消えていく。
 まだ痛みは残っているのかもしれないが、大分落ち着いたらしく、
 舞園は震える息を吐き出しながら、上半身を起こし、苗木の肩へとしがみついた。

「ああああああああああああああああ! 舞園さん舞園さん舞園さん……!」

 苗木を抑えていた物がなくなり、彼の腰は再び動き始める。
 そして、段々と速くなっていく。

「苗木君、苗木君、苗木君……! 一緒に……! 一緒にいきましょう……!」

 すでに舞園の中にあった異物感はやわらいでおり、苗木の腰の動きによって、わずかに残っていた緊張感や違和感も薄れていく。
 そして、薄れたものに代わって、満たされていく感覚が舞園の中で広がっていった。

 2人のリズムは段々と大きくなり、高みへと導かれていく。
 未踏の山を登るように、2人の意識もまた頂きへと駆け上がっていく。

 いつの間にか、最初の頃のように、2人の顔は近づいており、唇は触れ合っていた。
 互いに舌を相手の口内へと突き入れ、腰のリズムに合わせるかのように動かした。
 そして、2人の舌が、一際深く、相手の奥で絡まったとき、ついに2人の身体は爆発した。

「―――――――――――――」
「―――――――――――――]

2人は声にならない声を上げ、自分たちの身体の中を白い嵐が渦巻きながら駆け抜けて行ったのを、事が終わった後に気づいた。

 いつの間にか、苗木のペニスは萎え、精子を舞園の中に放っていた。
 そして、舞園もまた苗木の射精を膣内で受け止めていた。

 だが、いつの間に、それが終わったのかは分からない。
 ただ、真っ白になって、意識が飛んだと思ったら、全てが終わっていたのだ。

「はぁはぁ……舞園さん……」
「ぁ…ぁ……苗木君、苗木君……」

 相手の背中に腕を回したまま、2人はパタリとそのまま倒れた。
 2人はギュッと相手の身体を抱き寄せ、そのまま絶頂の余韻を味わい始める。


 ふと、ここに至るまでのことを思い出して、舞園が静かに呟いた。

「苗木君……。ごめんなさい……待たせちゃって……」

「仕方ないよ、舞園さんはアイドルだし、優先すべきことがいっぱいあったんだよね?」

「だからって、苗木君がずっと待ってくれるなんて……思わなくて……だから、私、今、本当に嬉しくて……」

「舞園さん……」

「好きです、苗木君……。ずっと好きでした……。そして、これからもずっと好きです……」

「うん……。ボクもだよ……舞園さん」

「これからは待たせた分だけ、私も頑張りますから……」

「ボクも頑張るよ。舞園さんの身体も大事にする……」

「はい、お願いします……!」

「……じゃあ、ちょっと休んだら、続きしようか? もちろん、無理ならこのまま寝ちゃおう」

「いいえ! 今度は私が苗木君に色々してあげる番ですよ……。だから、寝るなんてもったいないですよ」

「そっか……。じゃあ、お願いしようかな?」

「はい……! 任してください。あ、ただ……」

「ただ……?」

「もう少しだけ、このままでいさせてください」

「……うん」

 2人はさらに強く相手の身体を抱きしめた。
 このまま寝てしまってもそれはそれで構わない。
 夜はまだ深く、明日もある。2人にはまだ時間がたくさんあった。
 だから、2人は相手の暖かさを身体全体で味わいながら、ベッドのうえでひと時のまどろみに身をゆだねた。
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