第二の島にあるチャンドラビーチに、俺達は海水浴に来ていた。
弐大と終里は沖のほうまで遠泳し、九頭龍と辺古山は砂浜で見える位置でお互い横に並んで歩いていた。罪木は西園寺にいじられ、小泉がやんわりと止めにかかっている。
ソニアは田中と砂の城を作っており、それに左右田が無理やり加わっていた。澪田はいそいそとスイカ割りの用意を。花村は通常運転でみんなの水着を鑑賞中。
十神はビーチチェアでこんがり焼いており、狛枝はそんな皆を遠くから眺めていた。
各々が様々なやり方で海を楽しんでいるを見えるなか、パラソルの下に敷かれたシーツの上で、ぽつんと一人でゲームをしている少女が居た。
「七海、泳がないのか?」
「……泳いでる途中で眠たくなって、溺れちゃうと大変だからね」
それはたしかに大変だが、せっかく水着に着替えているだから楽しめばいいのに。
七海が着ているフリルの付いた白いビキニは、かなり堕落的かつ怠惰な生活を送っているであろうにも関わらず、結構な身体つきの彼女の身体に惜しげもなくフィットしていた。
あんまりじろじろと女の水着姿を見るのはマナー違反だと察し、目を逸らした。その先には誰かが用意したのだろう浮き輪が置いてあった。
「それじゃあ浮き輪をしたらどうだ? それなら溺れないだろうし」
ぴこぴこと軽い電子音を鳴らすゲーム機の画面をじっと食い入るように見ていた七海は、そこで初めて顔を上げる。
「うーん、大丈夫……なのかな? 浮き輪なんて使ったことないや」
「そうなのか? だったら俺が教えてやるから、行こうぜ」
「…………うん、分かった」
ゲーム機の電源を落とし、立ち上がった七海。俺は浮き輪を手に彼女と海に入っていった。
◆
初めて使用する浮き輪の楽しみ方を教え、気が付けば時刻は太陽は大きく傾いていた。
浮き輪の穴に腰を入れ、ぷかぷかと海水の波に小刻みに揺れる七海に訊いた。
「どうだ七海、やっぱり安全だっただろ?」
「うん、これなら安心して海の上でもゲームが出来るね」
「いやゲームはするなよ……」
どこまでもゲーム一筋な彼女に呆れていると、ぽつりと彼女は言ってきた。
「……日向くんは私に色々なことを教えてくれるね」
「お前が知らないだけだろ。こんなの常識だって」
「…………じゃあ、そんな常識も知らない私を不思議に思わない?」
「……確かにちょっと変わってるなとは思うけど、それには何かしらの事情があるんだろう。仕方ないんじゃないか」
「…………」
俺の言葉にすっかり黙り込んでしまう。……何かいけないことを言ってしまったんだろうか。
とりあえず謝ろうかと思った矢先、耳に大きく水をかき分ける音が入ってきた。
なんだ? 何の音だ?
次第に大きくなってくる音のほうを振り向くと、高く飛沫を上げ沖から泳ぎきり、岸まで戻ってくる弐大と終里の姿が見えた。
「うおおおお! 負けねえぞ!」
「がっはっはっは! そんな泳ぎではワシには勝てんぞ! 全身の筋肉をバネのように使うんじゃ!」
どちらが先に岸に着くか競争をしているらしく、泳ぐコース上に俺と七海がいることにまったく気付いていないようだ。
「お、おい! 弐大、終里! 俺達がいるんだ! 泳ぎをやめろ!」
「オレが勝ったらスイカはオレのモンだああああ!」
「その負けん気やよし! ワシも全力でいくとするかのおおお!」
ダメだ、まったく耳に入らっていない。
あんなスピードで突っ込まれたらおそらく大惨事になるだろう。急いで回避しないと!
「七海ここは危ない! 早く逃げるぞ!」
浮き輪に乗った七海を引き、なんとか足を動かそうとするが、今俺がいるのは肩まで浸かった水の中。陸とは違い、思うように身体がスムーズに動けない。
なんとか避けよと必死になるがまったく間に合わず、身体はぶつかりはしなかったが、通常の人間では絶対に出来ない大きさの波に押され、俺達はバランスを崩した。
「うわっ!」
「わっ」
転び海中に頭まで浸かり、上下の感覚も分からなかった。必死にもがき起死回生、頭を海面に出すことに成功し、大きく息を吸い込んだ。
「おい! 危ないだろ!」
大声で注意したが、見ればもう二人は砂浜まで到着していて、聞こえてはいなかった。
ため息を吐き出した俺はふと、七海がいないことに気付いた。
「七海! どこにいるんだ! 七海!」
「おーい日向くん、こっちだよー」
声がするほうを向くと、大して離れていない距離に、七海が立っていた。
「大丈夫だったか、七海?」
「うん、怪我はないよ。でもすごかったね二人の泳ぎ」
「んなこと言ってる場合かよ……。早く陸に上がるぞ」
あいつらに文句の一つ言わなきゃ気がすまない。急ぎ足で岸まで歩く俺に、七海が声をかけた。
「あ、待って日向くん、ちょっとこっちきて」
「? どうかしたのか?」
「……うーん、結構大変なことになってはいるかな」
やはりどこか身体を痛めたのか。七海の元に行くと、彼女がおかしな態勢をしているのに気付いた。
腰を屈め、肩まで浸かった態勢はなにを隠そうとしてる風にも見えた。浮き輪も無い。
表情も微妙に焦っているように感じ取れ、何事かと俺は訊いた。
「どうしたんだ? 身を屈ませて」
「あのね、水着が無くなっちゃったんだ」
「…………は?」
透明度の高い海の中、よく見れば七海が片手で胸を隠しているのが見えた。
「多分、さっきの勢いで水着が外れたみたいなんだ」
「だ、だったら早く探さないと……」
海面の上に浮かんでいないか探してみるも、そんな物はまったく無かった。
「無い…みたいだね。いつまでもこのままじゃ皆にバレちゃうし、大事にはしたくないし」
「じゃあどうするんだ…?」
「私にちょっと考えがあるんだ。……日向くん、後ろ向いててくれる?」
七海に言われるとおり、後ろを向く。いったい彼女が何をしようとしているのか、さっぱり分からなかったが、じゃぶじゃぶと何やら動く音がし、猛烈に振り向きたい衝動が湧き上がる。
今俺の後ろには上を裸にした七海がいる。
そんなシチュエーションが閃き、次々と浮かび上がってくる邪な考えを一心不乱に振り払う。
「えい」
状況に釣り合わない暢気で可愛らしい声と共に、俺の背中に柔らかい感触がした。
「!? !!?」
人間、本当に驚くとまともに声さえも出来ないのかと、俺は知った。
「な、ななな七海!?」
振り向いて彼女がなにをしているのかを確認したいが、今の七海はほとんど裸に近いので、首を動かすのはとっさに止めた。
なので言葉だけで説明を要求することにした。
「な、何してんだよ!?」
「何って……日向くんの身体で私の裸を隠してるんだ」
裸を隠す……! 俺の身体で……!。
水着一枚の俺と、水着が流され上には何も着ていない七海。そんな格好でおんぶなどされたら、ダイレクトな感触と体温が俺の背中に駆け巡ってくる。
「ごめんね、こんなことしちゃって。でも日向くんしか頼れる人がいないからさ」
近い距離で耳元から言って来る言葉は、まったく脳に届いていない。
背中の触感の正体を脳の片隅に無理やり押し込め、足を動かすことに集中することにした。
◆
とりあえず今の状態の七海を放ってはおけず、みんなが遊び夢中になっている隙に、ビーチハウスに二人で入ることにした。
チャンドラビーチに建てられたビーチハウスは、クローゼットが設置され、備え付けの冷蔵庫の中にはただ水から着色料で飲みすぎの際、人体に影響がありそうな飲み物が大量に入っている。
基本このビーチハウス内での着替えは、覗き防止のため禁止されている。
そんな部屋の内に作られたシャワールームに俺は七海をおんぶから下ろした。
あまり七海を視界にいれると変な気持ちが出てくるので、視線から逸らしたまま話すことにする。
「と、とりあえずここで待っててくれ、タオルを持ってくるから。そのあと俺が失くした水着を探してくるよ」
これ以上二人きりでいると理性が危ないので、まくし立てシャワールームから出ようとするが
「待って」
海パンの裾を摘まれ、静止の声が掛けられた。
「そのままでみんなの前に出るのは不味い……と思うよ?」
そのまま?
七海がなんのことを指しているのか理解出来ずにいると、ずいと俺の前に出てきて目を合わした。
ぼんやりとして何を考えているか常に分かりにくい表情に、澄ました無垢な瞳にどきりと心臓の鼓動が跳ね上がった気がした。
上目遣いで覗き込んでくる七海は、絡まる視線を離さず、人差し指を立て俺の下を指差した。
「日向くん、反応してるよね?」
「はんの……っ!?」
全身が熱くなった気がした。七海にそんなことを言われるなんて想像だにしていなかった。
「そ、そんなわけないだろ! 俺は別に……!」
「嘘。私気付いてるよ。おんぶされたとき足にぶつかったもの」
まさかそんな。七海の胸の感触に気を取られていたので、当たった意識なんてまったく無い。
でも本人がそう言うなら本当なのだろうか。
「う…え、あ……その」
「…………あは。どうやら当たったみたいだね」
「え?」
「ごめんね、ほんとはぶつかってないんだ。カマかけてみた」
「な、七海……っ!」
このまま死んでしまいたいくらい恥ずかしい。
今この場で消えてしまってもいいほどだ。
「……うん。でもほんとに反応してるんだ。うん」
俯きわずかに弾んだような口調でなにやら呟いている。俺はどうすればいいのかまったく分からないのに対し、至って平静の七海はもう一度目を合わせた。
「私のせいで、日向くんはそうなってるんだよね?」
「い、いや、別に七海のせいじゃ……」
「でも私が日向くんを困らせちゃったわけだしさ、そんなことになってる中、みんなの前には出て行けないんじゃないの?」
「そ、それは……」
「……だから私が責任をとって、日向くんをスッキリさせようと思うんだよね」
「責任!? スッキリ!?」
一体全体七海がどうしたいのか、一瞬想像してしまい振り払った。年頃の女の子にそんなことをさせてしまったら、俺は一生七海と顔を合わせられない。
いくら本人が言っていてもだ。
「そんなこと、お前は気にしなくていいんだよ! 少ししたら落ち着くから気にしないでくれ!」
「……でもあんまり時間が経っちゃうと、私達がいないことみんな気づいちゃうんじゃないかな。多分そうなったらここもすぐに見つかっちゃう……と思うよ」
それはたしかにかなり困るが、それで七海に手伝ってもらうなんて……。
「それにね」
目と鼻の位置にまで顔を近寄らせてくる七海の表情はいつもとは違い、どこか真剣だった。
「私自身、ちょっと興味あるんだ。ダメ……かな?」
◇
シャワールームの壁に背を持たれかけた俺は、床に膝をついて海パンに手をかける七海を黙って見ていることしかできなかった。
本来なら七海は何一つ悪くないのに。ここは今からでも断り、七海の行おうとしていることを止めるのが筋ではないだろうか。
心ではそう考えているのにそれが口に出ない。行動に移せない。はやり俺はこの状況に喜びを感じているのか?
そう考えたら俺は猛烈に死にたくなる。
そんな俺の断腸の思いなんて気付いておらず、七海は海パンをズリ下ろし、そそり立った俺のモノをまじまじと見てみた。
「男の人のを生で見るなんて初めてかも。知識や資料では知ってるけど。……えっとそれでここからどうすればいいのかな、日向くん?」
「は!? 俺に聞くのか! そんなこと!」
七海が適当にやってくれるのかと思っていたらまったく違うのか。
「だって私、あんまりそういった知識ないから。日向くんはどうされたい? 私はどうしたらいいのか教えてほしいな」
七海に今俺がしてほしいことを口にして言うなんて……なんだよその羞恥プレイは。
「ほら、早く言ってくれないとみんなが来ちゃうよ」
その台詞はほとんど脅迫染みてないか……。
急かす七海に俺はやけくそ気味に要求した。
「む、胸で……してくれ……」
「……おっぱいを使うの? どうやって?」
「……俺のを……挟んでくれ……」
顔が熱い。頭から湯気が出てきてもおかしくないほどに、俺の体温は急上昇中だ。
「……分かった。やってみる」
自分の両乳房を持ち上げ、左右に広げモノを包みこんだ。
柔らかく、それでいて張りのある七海の胸に包まれた。夢にも思ってない状況だ。
「ん……日向くんの熱い、それに硬い」
「い、いちいち実況しないでくれ……! 早く終わらせようぜ……!」
「そうだね。それでここからどうするの?」
それすら知らないのか。もしかしたら全部俺から言わないといけないのだろうか。それはなんて拷問だ。
「上下に動かしてくれ……」
胸での扱き方を教えると、七海は俺の言うとおり、胸を押さえ込み上下に動かし始める。
しゅりしゅりと肌が擦りあう音が、密室のシャワールームに響きいやらしさを増幅させていく。
「くっ……七海……」
胸のほどよい力加減で揉まれ、味わったこと無い気持ちよさに声を漏らしてしまう。
「……日向くん、気持ちいい?」
俺の反応を気にし、胸を動かしながら問いかけてくる。
どんどんと崩壊していく理性の隙間から、本音が出てしまった。
「ああ……気持ち、いいぞ……」
「……そっか。じゃあもっとしてあげる」
やり方を学習して覚えたのか、さっきよりも少し早めに動かし始めた。次第に動きは上下のみならず、左右別々に動かしたり、様々な方法を試し、その度に俺の反応を確かめに来る。
「っ……ふぅっ……! かっ……っう……!」
「……気持ちいいのなら我慢しなくていいのに。聞いてる人は私以外いないから素直に出していい……と思うよ」
お前に聞かれてる時点で恥ずかしいんだよ!
じわじわと襲い掛かってくる快楽をなんとか抑え、声を出すのを我慢する。
「うーん、なんだか滑ってちょっとやりにくいなあ」
胸と俺のモノの摩擦が会わず、擦りにくいのだろう。少し悩んでいた。
「……唾液をかけるといいんじゃないか?」
「あ、そっかなるほど」
七海にそうアドバイスをして、ふと気付いた。なんで俺は七海に助言しているんだ。俺はこんな行為は反対だったのに。
「唾、かけるよ」
もごもごと口に唾液を溜め、舌を出してモノに垂らした。
生暖かい液体が付けられ、またもや嬌声を漏らしてしまった。
「ん……もうちょっとかけようかな……」
モノが七海の唾液を程よく浴び、動きを再開させた。
音が粘ついたものに変わり、扱き方もすばやくなっていた。
「やりやすくなった」
「はっあぁ……! 七海……っ!」
「あはっ、日向くんも気持ちよさそう」
気持ちいいというよりも、七海に胸でされていることと、唾液を塗布されたという事実に興奮さを加速させていた。
ぬちぬちと七海が胸を上下左右様々な動きをするたびに、言い表せない快感が波のように攻めてくる。
「ん……日向くんの、さきっぽから透明なのが出てる……あむ」
「!? な、七海……!?」
モノの先を七海は信じられないことに、唇をくっつけて来た。
それに俺は激しく動揺した。
「おまっ! なにやってるんだ!」
「んむ……らって、こうひはほうがはやくひなはふんをほっとひもちよくできるとおもほっへ」
(だって、こうしたほうが早く日向くんをもっと気持ちよくできると思って)
俺を気持ちよくさせることが本来の目的では無いはずだ。これは七海をおんぶした際に、不覚にも勃起してしまった俺に責任を感じ、七海がそれの処理をすることが目的だったはず。
どうして七海はあの手この手で、俺の欲求を満たそうとするのだろう。
「んむんむ……ぷはっ、ちゅう…ちゅぱ、はむ……」
谷間から出てきたモノの先を舌先で舐め、口に含んだりと本格的な性行為の一部を行っていた。
生涯生まれて感じたことのな快感に、喉から搾り出すような声が漏れてしまう。
「うっ……くぅ…ふぅっ……!」
「…………」
見れば俺のモノを舐めながら、じっと俺の顔を見つめている七海と目が合った。
女の子がそんな事をしている状態を眺めるのに、恥ずかしさで耐え切れず目を離そうとすると、七海が舌でモノの裏筋をぺろりと上舐めしてきた。
「うあっ……!」
「…………」
背中に電気が流されたように甘い声を出してしまった。そんな俺の表情を見ながら、次に七海は尿道を舌先で軽く突いてきた。
「~~~っ!」
手を変え品を変え、様々なテクニックを使い口舌を使い分けていく。続いてモノの先端をぱくりと咥え、丹念に舌全体で先をしゃぶりあげる。
その際も一切俺から視線を逸らさない七海。
これは恐らく、俺の反応を確かめ色んなやり方を独自で研究しているのだろう。
俺が一番気持ちのいいポイントを探っている。
「ん……ちゅぱっ……分かった。日向くんは、ココを攻められると一番反応するみたいだね」
そう言い、裏筋を執拗に攻め立てた。
挟まれた胸を動かすことを忘れずに、舌先で、胸の間で、モノを全体的に加減無く弄られる。
瞬間、爆発的に射精感がこみ上げてくる。
「や、やばいっ……! 七海、マズいから……顔っ、離せ……っ!」
「え……?」
「あ……! あああぁぁぁ……っ!!」
俺は射精した。
どんどんと流れるように出てくる白濁の精液を、七海の前で出してしまった。
射精を止めたくても、一切止まることを知らないように、自重をせずかなりの量をぶちまけてしまう。
長く、永遠に感じる快感に真っ白な頭と視界に、腰が砕けた。
「はあ……はあ……」
俺はまったく何もしていないのに、身体がだるい。息も苦しかった。
このまま眠ってしまおうかと考える中、七海はどうしたのかとはっと目を開けると、
「…………」
顔を精液まみれにした七海がいるのだった。
目も髪も鼻も口も、ほとんどが精液で塗り潰され、目も開けられない彼女の姿があった。
「ご、ごめんっ、七海! 顔に出してしまった!」
「…………大丈夫だよ」
慌てる俺に対し、七海はこんな時もマイペース加減を崩さない。
まぶたにとろりと垂れた精液を指で救い上げ、そのまま口に入れてしまった。
「!?」
「もぐもぐ……うん、想像してたよりも苦いかも。これは弱アルカリ性だね」
口内に収めた精液を味わっていた。
そんな光景に、俺は見ていることしかできなかった。
「臭いも汗臭い……。確かに海産物を思わせる塩のような臭いかも……ぺっ」
口に入れた精液を吐き出した。
「……まずい」
「あ、当たり前だろ! なんで食べたりなんかするんだよ!」
「……日向くんから出たから、どんな味がするのかと思って」
相変わらずの好奇心旺盛な行動に、もう唖然とするほかなかった。
「と、取りあえず……もう色々と満足したろ? 早く口を濯げよ」
このシャワールームは当初、工事中で水が出なかったらしい。
しかし今はその工事も終わり、泳いだ後身体についた海水を洗い落とすための水が出るようになっていた。
「ついでに……その……顔についたのも洗え。ごめんな、いきなり出して」
「ううん、問題無いよ。突然で驚いたけど、日向くんが十分だったら私も安心したよ」
「お、俺、水着探してくるから、その間にシャワー使え。俺のことはもういいから」
尻餅をついた身体になんとか力を入れ、立ち上がる。
まだわずかに残った快楽感に、腰がむずむずし足も不安定で支えにくい。
シャワールームを出る俺に、七海は最後に質問を訊いていた。
「日向くん」
「な、何だ?」
「私の口……気持ちよかった?」
「っ!? ば、ばかっ! なんだそんな事訊くんだよ!」
「だって、気になるから……。で、どうだった? 初めてだから日向くんを満足させられたか自信は無いけど……」
それは俺もされたのは初めてだ。
でも、七海も初めてだったのか……。
それを聞くと、なんだか妙に嬉しく感じてしまった。
「…………き、気持ち……良かった、ぞ」
俺は正直に言った。
気持ちよかったのは本当で、生きてて多分味わったこと無い感覚だったと思えるほど、七海の胸と口はすごかった。
「……そっか」
それだけ聞けてもう済んだのか、ガラス張りの部屋に入り、シャワーを浴びる。
俺もそれに後を追うように、シャワールームから出た。
◆
七海との事情のあった海水浴から数日が経った。
俺は自分のコテージのベッドで、ぼんやりと天井を眺めていた。
脳内でいつまでも取れない、七海との事情の内容に、四六時中悩んでいた。
七海の胸や口、射精した後のあいつの白濁まみれになった顔が、全然離れやしない。
目を閉じても思い浮かぶ光景に、何をやっても手付かずだ。
一体どうすればいいんだ……。
そう悩んで困った俺の部屋に、チャイムが鳴り響いた。
驚いて変な声を出してしまったが、気持ちを切り替え出入り口に向かう。
そして扉を開けて見た、訪問者はといえば──七海だった。
「な、七海」
「……日向くん、今暇かな?」
七海はあんなことをしたというのに、一切変わった様子を見せない。
いつも通りに居眠りをしたりゲームをしたりと、まるでこの間のことが、俺だけにしか訪れなかった夢だったのではないかと思えるほどに。
「暇だけど……なにか用事か?」
「うん、ちょっと……これを、ね」
背負った猫型のリュックから取り出したのは、一つのゲームだった。
パッケージを見ると、ただのゲームではない。女の子があられもない姿で、あられもない格好した物で埋め尽くされていた。
俗にいうエロゲーだ。
それを持って俺の部屋に来る理由とは……。
「あのね、日向くんとこの間シャワールームでやったこと……憶えてる?」
憶えてるなんてレベルじゃない。あれは一生取れない記憶となるだろう。
現在進行形で唸っていたところなのだから。
「お、憶えてるけど……それがどうしたんだよ」
「……シャワールームで日向くんに私がしたこと、あれってフェラチオって言うんだね」
「!?」
「それでこのゲームをしたんだけど、私がしたのと同じ事を、このゲームに出るキャラがやってたんだ」
「…………」
「それでね、フェラチオって色んなやり方があるみたいだから、日向くんにさせてもらおうかなって、お願いしにきたんだ……」
「!!?」
「ダメ……かな?」
エロゲーで知ったフェラチオの技術を俺に頼んでやらしてもらおうと、頬を薄らと染め上目遣いで可愛く頼む七海。
それに俺は──。
最終更新:2014年01月14日 10:43