新月渚は舞い上がっていた。何故なら先ほど、彼が密かに――と言っても、秘密に出来ていると思っているのは彼だけなのだが――恋をしているモナカと二人きりになったとき、部屋に招待されたからだった。
モナカ以外の希望の戦士たち4人は互いの部屋の場所を知っていたが、モナカの部屋がどこにあるのかは誰も知らず、自然とそれに関する話題はタブーになっていた。
そんな事だから、モナカに部屋への行き方を書いたメモを手渡され

「みんなには内緒だよー?今日この時間に、モナカの部屋に来てね。新月くんにだけ、トクベツにいいものを見せてあげるのじゃー!」

と、可愛らしい笑顔で言われた時には、過去最高潮にドキドキしてしまい、約束の時間まで何も手に付かなかった。

「こ、ここだよな。モナカちゃんの部屋って、随分変わった場所にあるんだな……」

長い梯子の先にある扉を見上げる。車椅子を使っているはずのモナカの部屋が梯子を使わなければいけない場所にあるという矛盾に、普段の冷静な彼ならば気付いたのだろう。
しかしこの時の新月は、女の子の部屋ってどうなっているのだろうかとか、見せてあげるって新しい洋服だとかそういうのだろうかとか
町で拾いこっそり部屋に持ち帰ったマモノ用の雑誌に「女の子に部屋に招待されたらオッケーのサイン」と書いてあったこととか、そんなことで頭がいっぱいで違和感を覚える余裕すら無かった。
そうして新月は梯子を上がりノックをしたのだが、何度ノックをしても返事が返ってこない。耳を扉に押し当てると、微かに音が聞こえるので中に居ることは間違いない筈なのだが――。

「あれ、約束の時間あってるよな……は、入ってもいいのかな?」

そうして、新月が恐る恐るドアノブに手をかけ、ゆっくりと開いた先にあったのは、全く予想していなかった光景だった。

「んむっ、ちゅ……ふぁ……んうっ……」

「………………え?」

真っ先に新月の目に飛び込んできたのは、ベッドの上で互いの身体を密着させながらキスをする二人の男女だった。それもただのキスではなく、舌を絡め、唾液を滴らせ、卑猥な音を立てながら”オトナのキス”をしていた。

二人のうち、男の方は召使いだ。町をフラフラしていたところを捕まえたオトナで、本当は殺す予定だったのだがみっともなく命乞いをするし、何よりモナカが助けてあげようと言ったから、召使いになることを条件に助けてやったオトナだ。
けれどヘラヘラ笑ってるだけで希望の戦士のオモチャにされる位しか役に立たない奴で、新月も見下していた。
そして――

「……な、何やってるの、モナカちゃん」

肌着姿で、召使いと舌を絡ませているのは間違いなく、新月が密かに思いを寄せる少女だった。

新月の声でモナカはやっと新月の存在に気付き、糸を引きながら唇を離す。

「……ぷはっ!あ、新月くんだー!もう、来てたなら言ってくれればいいのにー。新月くん、モナカの部屋にいらっしゃーい!」
「そ、それより何やって……何でそんな奴と、き、き、キスなんかするんだよ!」

狼狽し問い詰める新月に、モナカは小首を傾げて少し考え込むような動作をした後

「えっとー、あ、そうだ。新月くんは、モナカでよくエッチな妄想をしてるんでしょ?でも新月くんの持ってるエロ本って刺激が少なくて、思春期の多感なオトコノコが妄想を膨らませるには物足りないんじゃないかなーて思って」
「な、何でそんなこと知って……」
「そんなわけでー、エッチなモナカを見せてあげて、新月くんのオナニーのお手伝いをしてあげよう計画なのじゃー!えへへ、喜んでくれたかにゃー?」

口の周りを唾液で光らせながら、無邪気にモナカは言う。
その笑顔が新月の見慣れた、大好きな少女の笑顔そのままだからこそ、彼には少女の話す内容と先ほどまでの光景が信じられなかった。

「な、何言ってるのモナカちゃん……意味分からないよ……」

涙目になりながら頭を抱える新月を、召使いが横目で一瞥し溜め息を付く。

「まあ、分からないのも無理はないよね。正直、同じ男としてご愁傷様としか言いようが無いけど、これもご主人様の命令だし。あまり恨まないでくれると嬉しいな」

そう言いながら召使いがモナカの肌着を脱がし始めるのを見て、新月はかっと頭に血が上るのを感じた。

「お、お前、召使いの分際で何してんだよ!モナカちゃんに気安く触るな!!」

拳を握り締めベッドに駆け寄ろうとするが

「もー、新月くんたら大きな声ださないでよー」

というモナカの間延びした声に止められてしまう。

「それに、キスしたくらいでそんなに怒ってたら大変だよ?モナカはー、召使いさんとこれからもっとエッチなこといっぱいするんだからー」
「え……」
「だから新月くん、モナカのエッチな姿、見ててね?」

と、モナカは新月の見慣れた、無邪気な笑顔で言った。

「ふぁ……やっそこ、きもちいいよぉっ……」

乳首を舐められながら性器を掻き回され、モナカが嬌声を上げる。肌を汗でしっとりと濡らし、召使いの指の動きに合わせて腰をくねらせるモナカの妖艶な仕草は、とてもではないが幼い少女のものには見えなかった。

「えへへ、召使いさんのも気持ちよくしてあげるね?」

モナカは微笑みながら召使いのズボンのファスナーを下ろすと、硬くなったモノを取り出し亀頭をちろちろと舐める。

「んちゅ……れる……触ってないのにおっきくしちゃうなんて、召使いさんはロリコンの変態さんなのかにゃー?」
「はは……こう何度もキミと交わっていれば、嫌でも反応するようになるよ」
「むー、素直にモナカに興奮したって言えばいいのにー」

頬を膨らませそう言うと、モナカは召使いのペニスを口に含み、そのまま喉奥まで一気に飲み込んだ。

「んっ、んむっ、んくっ」

苦しげな、しかし上気した顔でモナカが頭を上下に動かすと、卑猥な音が部屋に響く。少女の小さな口と喉を余すことなく全て使った刺激に、召使いのそれはモナカの口の中で更に大きさを増していった。

「はっ、あ、喉がヌルヌルして、すごい気持ちいいよ……っ!もう、我慢できないから、このまま出すね……っ」
「ん、んぐっ、んんんんっ」

召使いはモナカの顔を掴みペニスを更に喉奥まで突き入れ、そのまま勢い良く射精した。どろりとした濃い精液が喉に大量に流れ込む。堪らずにモナカが顔を離すと、その勢いで白濁が口から溢れ、少女の可憐な顔を汚した。

「げほっげほっ……うー、また中でせーえき出されたー!苦しいしニガイから口の中で出さないでって言ってるのにー!」
「ごめんごめん、あとで口直しにミルクセーキでも作ってあげるから許してよ」

頬を膨らませながら上目遣いで起こるモナカと、それを苦笑しながら宥める召使い。その光景だけ切り取れば、微笑ましい兄妹のようにも見える。

「嘘だ……嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ」

 そのすぐ傍で、新月渚は壁に寄りかかり、目を瞑り耳を塞いで現実を受け入れることを拒否していた。
あの、大好きなモナカちゃんがあんなことするはずがない。新月の大好きなモナカちゃんは、あんな風にキスしたりしないし、男のモノを咥えたりしない。
きっとこれは悪い夢なんだ。もう少しで目が覚める筈なんだ、と自分に言い聞かせるが、いくら待っても悪夢は終わってくれなかった。

「あれ、新月くん?モナカのこと見てくれないの?ちゃんとモナカのこと見てよー」

 切なげな声で名前を呼ばれついベッドの方を見ると、白濁塗れの顔で頬を上気させ、新月に熱っぽい視線を向けるモナカと目が合った。

「み、見たくないよ……だって、だって……」
「何で?新月くんはモナカのことが好きなんでしょ?モナカのエッチなところ見たくないの?」

心底不思議そうに首を傾げるモナカを見て、新月にある考えが浮かんだ。

そうだ。モナカちゃんは騙されているんだ。きっと召使いにいいように言いくるめられて何か勘違いをして、だからこんなことをするんだ。だってそうでもしないとこの光景に説明が付かない。
だったら、自分が早く彼女の目を覚ましてあげないと。

「も、もう止めてよ、モナカちゃんがそんなことする必要ないんだ!だって、お、おかしいだろ……なんで、モナカちゃんがボクの、その、え、エッチな妄想の為に見せたいからって、そんな奴とそんなことしなきゃいけないんだよ……っ!
モナカちゃんは、ソイツに騙されてるんだ!」
「あはははははっ!都合の悪いことは全部ボクのせい、ねぇ。うん、いいんじゃないかな、とてもコドモっぽくて!」
「う、うるさい!黙れ!僕はお前じゃなくてモナカちゃんに言ってるんだ!お前みたいな弱い魔物、モナカちゃんがその気になればすぐにでも狩ってやれるんだからな!」

嘲るように笑う召使いをにらみ付け、精一杯相手を怖がらせようと脅すが、召使いは笑みを残したままわざとらしく溜め息を付く。

「全く……ほら、キミが提案したことなんだからちゃんと新月クンに説明してあげてよ。ボクが何言っても彼、聞いてくれなさそうだし」
「むーしょーがないなー……」

召使いに促され、モナカは渋々と言った具合に新月の方に向き直る。その顔からは先ほどまでの少女の仮面が剥がれ落ちていた。

「新月くん、モナカが最初に言ったこと本気で信じてたの?あんなの、普通ただのタテマエだって分かるのに。やっぱり新月くんてコドモなんだねー」
「えっ……建前?何それ、どういうこと?」
「モナカが新月くんの前でセックスしたいのは、別に新月くんの為でも何でもなくてー、単に普通のプレイは飽きたから、誰かに見られながらセックスしたほうが気持ちよくなれるかなーって試しただけだよ」
「は……プレイ?」
「そうだよ。それでー、新月くんが一番モナカの言うことをヒミツにして一人で来てくれそうだなって思ったから新月くんを選んだだけで、別に誰でもよかったのじゃ」
「……誰でも……よかった……」

新月は頭がズキズキと痛むのを感じた。
大好きで、ずっとずっと恋をしていた新月が知っていたはずのモナカと、目の前でよくわからないことを喋るモナカが全く結びつかない。
訳も分からずに自分で自分の頭を殴るが、頭痛が酷くなっただけで状況は何も変わらなかった。

「う……ウソだ……こんなの何かの間違いだよ……もう嫌だ……」
「あれ、新月くん嫌なの?でもー、だったら何で新月くんのおちんちんは大きくなってるのかにゃー?」
「え……」

新月が自分の下半身に目をやると、一度も触っていないのに半ズボンの上からでも分かるほどに自身が勃起していた。

「新月くん、モナカが自分以外の男の人とセックスしてるの見て、興奮しちゃったんだね?」
「ち、違う、そんなこと……」
「またまたー、そんなにおちんちん大きくして言っても説得力無いですぞ?あ、でも」

そう言うとモナカは声のトーンを落とし

「新月くんがいくらおちんちんおっきくしても、モナカが新月くんとセックスしたりはしないんだけど」

と、口を三日月形に歪め呟いた。

「……ッ!」
「だって、新月くんはコドモだからモナカのこと気持ちよくなんてできないでしょ?だからね、新月くんは何もしなくていいんだよ。
だってモナカは、新月くんには何も期待していないんだもん」
「ひっ……や、やだ、やめてよぉ……」

 期待、という言葉に新月はビクっと身体を震わせ、その場にへたりこむ。それをモナカは心底楽しそうに眺めて微笑んだ。

「だから、新月くんは見てるだけでいいんだよ。モナカ達が勝手に気持ちよくなるから……ね?」
「う、うう、ううううう」

 優しい声で新月を追い詰めるモナカ。そこに

「よし、無事誤解は解けたみたいだね。良かった良かった」

それまで二人のやり取りをニヤニヤしながら眺めていた眺めていた召使いが、笑顔で割り込んできた。

「ちょっとー、邪魔しないでよー」
「いや、これ以上追い詰めたら、彼、完全に壊れちゃってプレイどころじゃ無くなると思うんだよね」
「……んー、それもそっかー。モナカ、新月くんが可愛くってやりすぎちゃったみたい。ごめんね、新月くん。モナカ、新月くんが大好きだから、つい虐めたくなっちゃうんだにゃー」

あっさり引き下がり、上目遣いで新月に向かって謝るモナカ。無理のある謝罪だったが、それでも俯き頭を抱えていた新月の目に少し光が戻った。

「よし、それじゃあ折角だし、もっと彼に良く見て貰える場所に移動しようか」

そう言うと召使いは、モナカの身体を片腕でひょいと抱え、そのまま新月の居る壁際まで運んできた。

「にゃっ、な、何?」
「ほら、ここに手ついて。そうしたら、新月クンに良く見えるでしょ?」

 モナカがされるがままに新月が背にしている壁に手をつき体を支えると、新月の目の前にモナカの裸体が晒された。
モナカのじっとりと濡れた肌や、ツンと立った乳首や、濡れそぼりひくひくと痙攣する性器……それら全てが新月の目に映り、自身が更に大きくなるのを感じる。

「あ……モナカの恥ずかしいところ全部見られちゃってるね……ねえ新月くん、モナカの裸見て興奮してる?」
「えっ、ご、ごめんモナカちゃん……」

恥ずかしそうにそう言われ、つい先ほど、今まで少女に抱いていた幻想が壊されたばかりなのに興奮と羞恥心で顔が赤くなり、反射的に謝ってしまう。

「えへへ、いいよ。新月くんには、モナカの恥ずかしいところ、いっぱい見せ……ぁっひあああぁぁっ!?」

 喋っている途中で、いきなり召使いに後ろから挿入され、モナカの身体がびくびくと痙攣する。

「っやぁっ、いきなり、なにしてっ」
「え?もう十分濡れてるし大丈夫かなって」
「そ、じゃなくて、ひっ、あ、いきなり、入れるなんてっ、んああっ」

 モナカの抗議の声に構わず、召使いは後ろから容赦なく突く。モナカの悲鳴もやがて快楽に濡れた嬌声に変わっていった。

「あっ、にゃあっ、いいっ、モナカの奥におちんちんが、当たってごりごりしてるっ、もっといっぱい、ほしいっ、はあっ!」

新月の頭上でモナカの甲高い声が響く。快楽に耐え切れないのか、先ほどより更にモナカが壁に体重をかけ身体を寄せているため、新月のすぐ目の前でモナカの未発達な性器にペニスが出し入れされ、その度に薄い腹が歪むのが見えた。
じゅぽじゅぽという派手な水音と共に、新月の足に愛液とカウパーの混ざった液体が垂れてくる。

「あ……うあぁ……」

それを、新月は呻き声とも泣き声とも取れない声を上げながら眺めていた。
新月はもう何も考えたくなかったし何も見たくなかった。自分の大好きなはずの少女が他の男に蹂躙され喘いでいる様を近距離で見せ付けられる苦痛で、頭痛と吐き気は増すばかりだった。
しかし、それと同時に、モナカが召使いに突かれ、喘ぐたびに、自身が硬くなっていくのを感じていた。

「うっ……モナカちゃん、モナカちゃん……」

気付くと新月は、泣きながら自分のペニスを扱いていた。

「あっ……やぁ、んああああああっ!」

一度ペニスを限界まで引き抜いた後奥まで一気に挿し込まれると、少女の身体が一際大きくびくびくと跳ねた。

「あれ、もうイっちゃったの?いつもより感じやすくなってるね」
「んっ……だって新月くんに、恥ずかしいとこぜんぶ見られながらセックスするの、すっごく気持ちよくって……あ、う、動かないでっ、またきちゃ……あああああッ」

絶頂したばかりで敏感になっているところを執拗に責められ、再び絶頂し身体を震わせるモナカを見て、新月は自身を慰める手が早くなる。

「あはっ、彼もキミの淫乱な姿が気に入ったみたいだよ?」

召使いの声で、モナカは新月の方に視線を向ける。

「あっ……、新月くん、モナカがセックスしてるの見てオナニーしてるんだね」

新月の頭上で艶っぽい少女の声が聞こえる。顔を上げると、快感で蕩けたモナカの顔があった。

「新月くん、モナカが大好きなのにモナカが召使いさんとセックスしてるの見て興奮しちゃうなんて……情けないね?でも、そんな風に泣きながらオナニーしてる新月くんの情けない顔、すっごくすっごく可愛いよ」

その言葉で手の中の自身が更に大きくなるのを新月は感じた。この期に及んでそんな言葉で嬉しくなってしまう自分が本当に情けなくなるが、手は止まらない。

「はっ……あ、ボクももう、イきそうっ……!」
「あ、んあっ、いいよっ、モナカの中で出してっ、召使いさんのせーえきでいっぱいにしてっ!」

 叫び声と共に召使いはモナカの中で精液を放出し、同時にモナカも三度目の絶頂を迎えた。大量の精液が少女の小さな膣内に注がれ、子宮を満たしていく。

「ぅあっ……はぁ、あっ……モナカちゃんッ……!」

そして同時に、哀れな少年も、大好きな少女の名前を叫びながら射精した。

「あ……いっぱい注がれてる……モナカのなかでびくびくしてる……こんなに出されちゃって、モナカ、子供なのに赤ちゃんできちゃうよぉ……」

快楽の余韻に浸る少女の熱っぽい声を聞きながら、新月はゆっくりと意識を手放した





新月が目を開けると、モナカが自分の顔を覗き込んでいるのが目に映った。

「あ、新月くん気付いた!よかったー、全然動かないから心配してたんだよー」

自分の顔を見ながら嬉しそうに微笑むモナカの顔を見て一瞬、さっきまでのことが全て夢だったのではないかと思ったが、少女の股から垂れる精液がそんな甘い願望を残酷に否定した。

「……」 

無言でフラフラと立ち上がり、ズボンを上げる。

「新月くん、顔真っ青だけど大丈夫かにゃ?ちゃんと歩ける?召使いさんに部屋まで送ってもらおっか?」
「……大丈夫、一人で帰れるよ」

新月は掠れた声で精一杯それだけを言うと、ふらつく足取りで扉に向かった。

「この状況でボクに送らせようとするって、キミ本当えげつないよね」
「えー、何のことか全然わかんないなー?それより召使いさん、モナカ、身体べとべとだからお風呂に入れて?そこでもっかいしよ?」

モナカの甘える声を背に、新月は部屋を後にした。

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最終更新:2014年10月26日 23:11