「……全く、おにぃみたいなバカな猿なんてさっさと死ねばみんな喜んでくれるのにねー?」
ある日、最近恒例になりつつある西園寺との自由行動中、彼女はふとそんなことを言い出した。
西園寺の悪態はいつもの事だが、今日は少し声のトーンが違う。
一緒に過ごさないかと誘った時、頷きはしたものの妙に膨れた顔をしていたのが気になっていたのだが、何か理由があるらしい。
「あのなぁ西園寺……もう少し人と口きく時はやんわりと話したらどうだ?」
「はぁ?そんな事おにぃにはカンケー無いじゃん!」
こちらも恒例になりつつある忠告も、間髪入れない言葉に遮られる。
どうやら相当に機嫌が悪いらしい。
「……大体、元はと言えばおにぃがあのクソブスビッチに鼻の下伸ばしてるからじゃん」
(クソブ……って、もしかして罪木のことか?)
確かに西園寺のコテージに来る前の時間、俺は小用で罪木の所へ顔を出していた。
西園寺の不機嫌もそれが原因なのだろうか?
「しかも……あんな……ヤらしい物まであげちゃってさぁー!最低!外道!ヤリ◯ン!人間のクズ!」
(そ、そこまで見てたのか)
しかし、受け渡しは罪木のコテージだったし、誰にも見られなかったはずなのだが……。
「いやあのな、アレは前から頼まれていたんだ。整体マッサージに試してみたいから、もしマシーンから出たらくれないか、ってな」
「…………ふーん」
西園寺は憮然としながらも、一応は俺の言葉に納得してくれたのか、それ以上責めはしなかった。
少し思案顔になった後、何か思いついた様に顔を上げ、西園寺は独特の悪戯っぽい笑みを浮かべる。
「ならさぁ……一つ言う事聞いてくれたら、おにぃの事許してあげるよ?」
そもそも許すも何も無いと思うのだが、言った所で聞くとも思えない。
その顔つきからして、要求しようとしている事はお菓子とかそんな単純な物ではあるまい。
「……なんだ?」
正直嫌な予感しかないが、続きを促す。
その予想通り、返ってきた言葉はロクでもないものだった。
「舐めてよ、私の足」
断られるなどと欠片も思っていない、子供の稚気と傲慢さを混ぜ合わせた声。
言うが早いか、西園寺は既に此方へ足を差し出す様に伸ばしている。
(舐める……って、舐めろって言うのか、これを?)
着物を捲りあげから伸ばされた足は細く、透き通る様に白い。
これが西園寺でなければ色気もあったのだろうが、これでは背徳感の方が勝ってしまう。
「どうしたの?出来ないの?――それとも、したく、ないの……?」
みるみる内に涙を溜める西園寺に、俺は慌てて首を振った。
「わ、わかった!でも、本当にいいんだな?」
「わたしがやれって言ってるんだからいいの!ほら!」
ずい、と更に伸ばされた西園寺の足に、恐る恐る手を沿える。
女性らしい肉感には程遠いものの、柔らかく、絹のような手触りのするそれに、意を決して顔を寄せる。
そして遂に、小ぢんまりとした足の甲に舌が触れた。
「ひゃっ……!?」
西園寺の足が少し跳ねる。
顔を寄せたまま西園寺を見上げると、顔を真っ赤にして恥ずかしそうに俯いていた。
しかし、そんなしおらしい態度を見せたのも束の間、こちらと目が合った途端、ハッとした様に表情を変え、憎まれ口を叩く。
「……くすくす。本当に舐めるなんてへーんたぁーい。やっぱりおにぃって、そんな趣味だったんだねー?」
「…………」
なんだかカチンと来た。
少し痛い目を見せてやろうと、俺は無言のまま這わせた舌を太股の方まで滑らせる。
「この辺は凄い汗ばんでるな。やっぱ炎天下の中で着物は暑いんじゃないか?」
「ひゃっ!……ぅ、う、うるさい!誰がそんなところまで舐めろって言ったの!?」
「ここも脚だろ?命令されたからにはキチンと舐めないとな」
惚ける様にそう言い、舌で太股を舐め回し、手でほっそりとしたふくらはぎを撫でる。
手と舌が触れる度、西園寺はくふっ…と堪える様に吐息を漏らす。
静かな室内で行われる倒錯した行為と、押し殺した西園寺の吐息に、俺も次第に興奮が高まってきた。
たっぷり五分は続いただろうその行為を一旦止めると、気付けば太股には汗と唾液以外の液体が滴り始めていた。
「西園寺、これもしかして……」
「う……」
雫を指で掬い取り、西園寺に見せ付けるように口に含む。
「舐められて興奮してるのか?」
「ち、違……だって、おにぃがド変態だから……」
西園寺は羞恥に顔を染めながらも、まだそんな口を叩く。
まだオシオキが足りないようだなと、俺はどこか熱に浮かされたような頭で考えた。
「下着、汚れちゃうと大変だぞ」
「あっ……!」
脚を舐め回している内に、何度も視界に入っていた可愛らしい下着に手を伸ばすと、有無を言わさず一気に引き降ろす。
抜き取った下着と股間の間に、愛液が糸を引いたのが見えた。
「や、やだぁ!やめて!見ないでよぉ!」
まだ割れ目としか呼べない西園寺のそこを、指で撫でる。
「ひっ……やめ……触らないでってば!」
「ほら、やっぱり濡れてる」
「……っ!」
「自分で足を舐めさせて興奮するなんて、西園寺も人のこと言えない変態なんじゃないか?」
「…………」
見事に意趣返ししてやったと、俺は満足して顔を挙げ――
「……う……うぅ……ひっく……」
「……あ」
そこで目にしたのは、顔を真っ赤にしたまま嗚咽を漏らす、爆発までほんの数秒という西園寺の姿だった。
「うわああああああああああああん!!おにぃのばかぁあああああああ!!」



その後、泣きじゃくる西園寺をどうにか落ち着かせるまでに30分を要した。
「ごめん。悪かったって」
「ひっく……こんなの……嘘泣きだし……ぐすん」
俺も流石に途中から度が過ぎていた事を反省した。
なんだかんだで、西園寺の痴態に冷静さを失っていたらしい。
「ぐす……ねえ」
「うん?」
「おにぃもやっぱり、ク――罪木みたいに、ばーんとしてだらしない身体じゃないとダメなの?」
今度は突然何を言い出すのだろうこいつは。
「それとも――」
西園寺が髪留めをしゅるりと抜き取り、長い髪が広がる。
いつもよりほんの少しだけ大人びて見えるその姿に、思わず胸がドキリと高鳴った。
「ちょっとくらい、わたしでも興奮してくれたから、あんなことしたの?」
「――――」
西園寺は真っ直ぐな瞳でこちらを見つめてくる。
嘘をつくことを許さない、強い光がそこにはあった。
「――正直に言う。西園寺にあんな事して、興奮してた」
「……それって、えっちな事したいとか、そーゆー意味でいいんだよね?」
あまりに直接的すぎる問いかけに躊躇いながらも、最終的には頷いた。
それが俺の偽らざる本心だったからだ。
「それなら……ちょっとでもわたしとそういう事したいって思ったんなら……してよ」
西園寺の口から出たのは、そんな驚愕の言葉だった。
「して、ってお前……」
「嫌だもん。おにぃを誰かに取られるなんて」
取られる?俺を?
「今朝、見かけたの。おにぃが罪木とコテージに入っていくとこ」
「あ、ああ、見てたのか」
「それで――どうしても気になって、悪いとは思ったけど中、覗いて……」
だから、罪木のコテージで何をしていたのか詳細までわかったのか。
「自分でもなんでそんなことしたのかわからなかったけど、楽しそうに喋って、プレゼント渡してるおにぃ達の姿を見たら、どうしようもなく不安になっちゃって……」
西園寺が何を不安に思っているのか、正確にはわからない。
それでも、その不安を少しでも取り除いてやれたらと首を振る。
「罪木とはそんなんじゃない」
「…………」
「信用できないか?」
「ううん、違う。けど……」
胸にとんと頭を当て、すがり付くように腕を伸ばしてくる。
「証拠、欲しい」
「――それがどういう意味か、わかるよな?」
「わたしだって、子供じゃないもん。どういうことかくらい……わかるよ」
そして西園寺は、耳元に唇を寄せると、そっと魔性の言葉を囁いた。
「わたしを、おにぃの物にしてよ」



西園寺を布団に横たえ、帯を解く。
橙色の着物の前面をはだけると、下から西園寺の白い裸体が露になった。
同年代の女子達とは比ぶべくもないものの、確かな膨らみのある胸。
そして快楽の証の愛液で濡れたヴァギナ。
全体的なサイズはともかく、それらは西園寺の身体がもう大人であることを示していた。
「…………」
その事実に、妙に興奮してしまう。
こんな幼児体型でも、もう男を迎える準備はできているのだ。
「ど、どうかした……?やっぱり、何かヘン……?」
「いや、そうじゃない。ただ、西園寺の身体が綺麗だと思って……」
俺の言葉に、西園寺は起伏の少ない自分の身体を訝しげに見回す。
「――やっぱおにぃって、ロリペド性犯罪者予備軍の素質があるかも……」
「酷い言われ様だな」
「……だって、そうでもなきゃ、わたしなんかに手を出したりしないもん……」
拗ねたように言う西園寺の顔に手を添えると、こちらに真正面に向けながらその言葉を切る。
「それは違うぞ。西園寺だから、西園寺が好きだから、したいんだ」
「おにぃ……」
西園寺が不安だと言うのなら、いくらでも取り除いてやる。
証が欲しいというのなら、いくらでもくれてやる。
ああ、自分で言ってしまった後で気付いた。
俺も、この生意気で口が悪くて発育不良な女の子のことが好きなんだ。
「……行くぞ」
既に勃起したペニスを、割れ目としか呼べないそこに添える。
「い、挿れちゃう、の……?ホントに……?」
「ああ、挿れる。……嫌か?」
「べ、別に。こんなの……全然大したことじゃないし」
明らかに強がりと見て取れる言葉を吐きながら、しかしその瞳が一瞬不安で揺れる。
「けど……ホントのホントにするんだったら……わたしのこと、ずっと守ってくれなきゃヤだよ。お父さんみたいに……」
西園寺のお父さん。
複雑な西園寺家の中で、ただ一人娘を守り続けた人。
西園寺にそこまで言ってもらえる人を、顔すら知らないその人の事を、俺は尊敬した。
「約束する。今度は俺が、いつだって西園寺の傍にいる」
「……そ。じゃあ、好きにすれば」
眼を逸らしながらぶっきらぼうに言う西園寺の頭を撫でると、膣内へと侵入を開始した。
「いっ――!い、た……!」
「少し、我慢してくれよ……!」
わかってはいた事だが、西園寺の膣内は恐ろしく狭い。
本当に入るのか不安になりながら、腰を動かしペニスを少しずつ進めていく。
「あっ!くあっ、あ……ぁ、ひぐぅッ!」
「さ、西園寺……!身体は……」
「い、いいから……ひとおもいに……やっちゃって……!」
「くっ――!」
西園寺の言葉に、俺は息を大きく吸い込むと、一気にペニスを埋没させた。
「うああああぁぁぁ……!!」
ペニスの先端が、ついに西園寺の最奥まで辿り着く。
勿論全部が入りきる訳もなく、ペニスは七割ほどが西園寺の中に埋まったところだった。
「い、痛い、よぉ……ぐす……!」
荒い息をつきながら涙を流す西園寺の頬をそっと撫でる。
「ぐす……えっく……」
「ごめんな。痛かっただろ」
「ひっく……いい……別に、痛いだけで泣いてるわけじゃないから……」
「え……?」
「う、嬉しいって、言ってんの……!言わせんな恥ずかしい!」
「……そっか」
腕を伸ばし、痛みに震える身体を抱き締める。
「あっ……」
「俺も嬉しいよ。ありがとうな、西園寺」
「っ……!いいからっ、さっさと動いて気持ちよくなって……どぱーって、出しちゃってよ」
確かにこのままでいるよりも、早く終わらせてしまった方が西園寺のためか。
そう判断した俺は、西園寺の身体を気遣いながら、少しずつ律動を開始した。
「はっ、はぁっ、あ、あぁっ……!」
せめて気が紛れるようにと、西園寺のささやかな胸を揉み、鎖骨を舌でなぞり、脚の付け根を愛撫する。
「はひゃっ!?そ、そこ……いぁあッ!」
「ぐ、うぅっ……!」
ただでさえ狭い西園寺の膣内が、愛撫に反応しさらにギチギチと締め付けてくる。
身体も少しずつ行為に慣れ始めているのか、内部の愛液の量も次第に増してくる。
「ご、ごりごりっ、して……なか、擦れてる……おにぃ、の……」
「ああっ……!ごりごりしてるぞ!西園寺のちっちゃいおまんこ……!」
「はああぁうっ、くはっ……はっ、う、くぅん……あうっ!んぅっ!?」
西園寺の上気した顔を見つめ、衝動のままに桜色の唇を奪う。
思えば、これが俺達のファーストキスだった。
「んんぅっ!?ぷはっ……!ひゃ、あぅぐっ!んちゅ……!」
「はっ、ふ……!ちゅく……」
「はぁっ……!ぴちゃ、じゅるっ……!んんっ!んんんぅッ!」
やがて、俺も西園寺の身体を気遣う余裕が無くなり、暴力的なまでの快楽に抗えなくなってきた。
「ふっ!ふっ!くっは……!」
「あひゅっ、ふぁ、あっ、う、うっう、ひはぁっ!?」
腕の中にいる西園寺のか細い吐息と、朱に染まった切なげな顔と、膣内が与えてくる快楽。
全てが一つになり、そして遂に、俺の衝動も限界を迎えた。
「西園寺……!もうッ……!」
「ぎゅって、ぎゅってして……おにひぃ……さいごまで……ぎゅって……!」
「はっ、はっ!ぐぅっ……!」
西園寺の願いを叶えるべく、両腕で彼女の小柄な身体を抱き締め、その一瞬に向けて腰を振りまくる。
「あんっ、あ……ぁ、あっあっあっ!ひっ、あッ!?」
そして、最後の一突きを彼女の最奥に叩き込むと、限界まで高まった射精衝動を解放した。
「ひ――っああああぁ!?あ……あ……は、ぁ……!」
どくん、どくんと、いつまでも続くかと思われた射精も、やがて全てを放出し終えた。
「ぁ……あった……かい……」
西園寺の呟きと共に、こぽ、とこぼれた精液溜まりが、どこまでも淫靡だった。



行為を終え、俺たちは並んで布団に横たわっていた。
西園寺は裸のままうつ伏せになり、足をぱたぱたとさせながら頬杖をついてこちらを見つめている。
「あ~あ、いくら誘われたからとはいえ、はじめてなのにハッスルしすぎじゃない?」
「……面目ない」
「こんなんじゃ、もうちょっと成長しないとおにぃの欲望には耐えられないかもねー。そ・れ・と・もぉ~。変態ロリペド野郎のおにぃは小さいままの方がいいかな~?」
「…………」
俺は犯罪者では断じて無い。
たまたま好きになった奴が少し小さいだけだ。
断じて、そう思いたい。
「……ねえ、おにぃ。さっき言ったこと、一つだけ訂正するね」
「ん?」
「ずっと守って、なんて言ったけど、違う。わたしがおにぃを守ってあげる」
「…………」
「だって、奴隷を守るのはご主人さまの役目だからね」
全く、こいつは……。
「だから、約束……破ったら、ただじゃおかないから……」
「ああ……わかってるよ。どうせ俺はお前の奴隷だからな」
「そーだよ?一生わたしから離れちゃダメなんだからねっ!」
西園寺は少し身体を起こすと、軽く触れるだけのキスを落としてくる。
そのまま俺の上に圧し掛かると、頬を染めたまま、にししと笑みを浮かべる。
この笑顔を守り続けたい。
彼女の隣で。
互いが互いの希望となれる、そんな二人でいられるように。

「大好きだよ。おにぃ」

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最終更新:2012年08月21日 15:03