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埃と黴と古いインクの匂いが混じり合った独特の香りが漂う薄ら暗い図書室。
そこで二人の男女が荒々しい呼吸を繰り返しながら激しく交わっている。
シンプルなデザインのセーラー服を着た女は一つの机に手を付き、長い丈のスカートをめくり上げることで白い尻と己の恥部を露にしていた。
対して、ジャケットを脱いだワイシャツ姿の男はズボンのファスナーから取り出した剛直な肉刺で女を後ろからずんずんと責め立てるように貫いている。


「あ、は、やぁあっ! もっとぉ……もっとしてぇ!」


雄々しく反り立った男の肉棒が娼婦のそれのように熱く湿った女の女陰をがつがつと責め立てると、女の細い喉からはきゃんきゃんと甲高い仔犬の叫び声のような嬌声が淫靡な響きを持って静かな図書室の中を木霊する。
男が腰を柔らかい尻に打ち付ける度に女の肉壷からねっとりとした愛液が溢れ出ては太股を伝ってしたたり落ち、赤いカーペットに染みを作っていく。


「くっ……ははっ! 雌犬の貴様にはお似合いの格好だ!」


「んっ、んっ! そんっ、なことぉ……言わないで、下さひっ!」


男がサディスティックな笑みを口元に浮かべながら罵倒すると、女は羞恥に顔を赤く染めながらも、興奮と快感によってマゾヒスティックなだらし無い笑顔を浮かべていた。
そんな彼女の後頭部から伸びる二房の三編みを男の手綱のようにむんずと掴み、自らの方へと引き寄せる。
がくんと強制的に上を向かされた彼女の白い頬は自身の唇から零れた唾がてらてらといやらしく濡らしていた。


「こんなにされて感じるとは……とんだ淫婦だ、な!」


「あぁっ、ぉ、はぁぁっ!」


気合いの声と共に女の膣内へと、より一層深くまで叩き込まれた肉棒の感触に女は目の淵から涙を流しながら獣のような声を漏らす。
男の言葉通り、女性としての尊厳を踏みにじられているというのに女の体は乱暴にされればされるほど快感に震え、生娘のように男の肉刺をぐいぐいと締め付けて止まない。
その反応に男は蔑むような笑みを口元に浮かべながら腰を振る速度を上げて、ラストスパートと言わんばかりの加速を見せる。


「ハッ、ハハハ! そろそろ、俺の子種を飲ませてやろう! せいぜい俺のような卓越した人間に抱かれることをありがたがって絶頂しろ!」


「は、はひぃ! いきましゅ、びゃくやしゃまの、しぇいえきでいきましゅうう!」


そして、充血した男の分身から白濁した液体が女の女陰へと大量に


.....


...


.


「なんなんだ……コレはッ!?」


図書室の隅で十神白夜は心底、不愉快そうな表情でびっしりと文字が書き込まれた原稿用紙から視線を引きはがすようにしながらギリギリと奥歯が削れそうな勢いで歯噛みする。
十神が手にし、つい先程まで一心不乱に読み耽ってしまったものは何の変哲もない数枚の原稿用紙の束。
これは彼が朝食に誘われたものの、脳天気で無能な(少なくとも彼よりは)連中と仲良しごっこをするつもりには到底なれず、図書室で蔵書を漁りながら適当に時間を潰そうとしていた所、テーブルの隅にポツンと取り残されていたものだ。
そして、その内容は


「……官能小説、だと……?」


二人の男女が濃密な性交を交わしている情景を描写している小説だった。


普段の彼ならば、下劣極まりないと一蹴し、手に持った原稿用紙を一瞬の内にびりびりに破り捨て、無数の紙片にしていただろう。
しかし、十神は未だに紙面から目を離す事もできなかった。


「…………」


まるで原稿用紙に引力が働いているかのように彼の目線は升目に刻まれたインク達へと吸い寄せられる。
描写、台詞、文体など全ての要素が彼の脳裏で文字から彼が持つ想像力に寄って、質量と熱量すら感じられそうなほどにリアルで生々しい映像へと変換された。


「……くそッ!」


その想像で男性が自分に、女性が腐川冬子になっていることに不快感と微かな動揺を抱き、思わず噛み締めた奥歯の隙間から悪態が飛び出る。
人物の描写や女が喘ぎ声の中に織り交ぜるように口にする男の名前など、この男女のモデルは十神と腐川であることは明らかであった。
作者もそれを読者に隠そうともしていない、いや、むしろ十神と腐川の二人がモデルであることを感じ取って貰おうという意図すらありありと伝わってくる。
そんな作者の意図を理解してはいるものの、抵抗できずに読み進めてしまうこと。それから、下劣極まりない官能小説で胸の中に微かな興奮を覚えていることに十神は苛立ちと怒りを禁じ得ない。


「…………」


自らの脳裏に蘇る腐川の肉の滑らかな感触、馨しい匂い、ほんのりと伝わった温度を以前とは違い、この小説のように蹂躙する想像。
それは十神が遺伝子レベルでの王者であり、絶対的な勝者であり、そして何よりも生粋のサディストであることを鑑みれば、このいかにもサディスティックな香りのする小説に劣情を覚えることは無理もないことではあろう。
それ故にプライドの高い彼は作者の想像通りに興奮を覚えてしまった己と、何よりもこんなものを書いた作者自身に沸々と沸く怒りを抑え切れない。
そこでふとした疑問が十神の脳裏に生じた。
この小説を書いた人間が誰かということだ。
紙の状態から見るに、それほど昔に書かれたものではない。せいぜい二、三日ほど前に書かれたものだろう。
外部から持ち込まれたものではない。鼠一匹通す隙間もないこの密閉された学園に何者かが侵入してくるとは考えられない。
だとするならば、この小説を書いた作者は学園内部に居る者ということになる。


彼の常人とは比べ物にならないほどに聡明な頭脳が高速で回転し、犯人の推理を始める。
『超高校級の幸運』や『超高校級の占い師』など、希望ヶ峰学園に在籍する生徒の顔が浮かぶが、彼らがこれほどのものを作ることができるとは些か考えにくい。
そもそも、こんなものを作る動機すら彼らにありはしないだろう。よって容疑者からは外される。
次に『希望ヶ峰学園の学園長』であるモノクマ。あの性悪なふざけたぬいぐるみならば、以前の十神と腐川の情事を監視カメラを用いて覗き見、それをネタに十神か腐川のどちらかに何かしらのアクションを、
例えば『殺人』を起こさせる為のきっかけとして、この小説を書き起こし、十神と腐川の目に留まり易い図書室へ、まるで罠のように設置したのではないか?


「……いや」


頭を横に振るようにして十神は浮かんだ考えを否定する。
彼にはモノクマごときに十神の視線を奪い取って離さないような小説を書ける筆力があるとは思えない。また仮にモノクマが小説を書いたとしたならば、あの性悪な学園長のことだ。
以前、十神がジェノサイダーに無理矢理犯されたように、できる限り彼の高いプライドを存分に踏みにじり、神経を逆撫でするような作品を書く筈であろう。
つまりモノクマも容疑者からは外される。


「…………」


だとするならば、このいかがわしい官能小説を書いた犯人は誰なのか?
十神の視線を奪い取るほどの筆力を持ち、その小説を書く動機のある人間。それに思い当たる人間を十神は唯一人しか知らなかった。


「…………」


彼は図書室の扉へつかつかと足音高く歩み寄ると、ドアノブを握り、勢い良く扉を手前に引く。


「んぎゃっ!?」


素っ頓狂な声をあげながら、蹴つまずくように一人の少女が室内へと転がり混んできた。


「びゃびゃびゃ、っびゃ白夜さま……」


その少女、『超高校級の文学少女』こと腐川冬子はずり下がった縁なしの丸眼鏡を元の位置に直しながら恐る恐るといった様子で傍らに立つ十神を見上げ、彼の手に握られた原稿用紙に目をやった途端に、さっと顔色を青に変える。


「そ、それはその、ちち、違うんですよ!? それは、その、何て言うか」


「……ふん」


そんな腐川に対して、十神は不遜な態度を崩さず、床に這いつくばった状態の彼女へと手に持った原稿用紙の束を割と勢い良く投げ付けた。
ばらばらと己の身に振り掛かる自らが書き上げた紙の数々に彼女は怯んだように身を竦ませる。


「ひっ!」


うっすらと涙を浮かべる目。頭を庇うように掲げられた細い腕。身を竦ませた際に捲れたスカートから覗く白い太股。みっともない程に震える全身。
それらが十神の気管をじりじりと焦がすような劣情と嗜虐心に火を付けた。
彼は唐突に手を伸ばし、腐川の胸倉を掴んだかと思うと、グイと引き寄せ、半ば強制的に立ち上がらせる。


「何故、こんなものを書いた?」


「あ、あの……ご、ごめ……」


「黙れ。お前の臭い口から発せられる謝罪の言葉を俺は求めていない」


顔色が既に青を通り越し死人のような蒼白になった腐川が発する言葉を十神は険しい顔で遮り、更に責め立てるように彼女を問い詰めていく。


「肉欲に縛られた愚民らしいじゃないか。妄想の中とは言え、勝手に俺を相手に性交だと? 恐れ多いとは思わなかったのか。この恥知らずめ」


「あ、あうぅ……」


彼に罵倒される度に先程までは蒼白だった腐川の顔色が見る見る内に紅潮していく。
それはまるで、今現在足元に散らばる彼女自身が書き上げた官能小説の中で、なじられながらも快感を感じ続けている少女の姿そのものだった。
胸倉を捕まれているというのに、もじもじと怪しい身動きを始めた腐川に十神は冷徹な視線を向けながら口角を笑うように吊り上げる。


「とことん変態だな。胸倉を捕まれて罵倒されていると言うのに、まさか感じているとは」


「そ、そんなことは……!」


「なんだ? 違うとでも言うつもりか?」


「…………」


否定できずに思わず視線を床に這わせた彼女に対し、十神は最高にサディスティックな笑みを浮かべながら、ようやく、彼女の本心を突いた。


「お前はこの小説のように俺に犯されたいのだろう?」


「…………」



十神の問い掛けに、胸倉を捕まれたままの腐川は真っ赤な顔で戸惑うように視線をさ迷わせた後に、犬が主人の顔色を窺うように恐る恐る彼の目を覗き見つつ、ゆっくりと首を縦に振る。
彼の目には激しい嗜虐と劣情の炎が、彼女の目には妖しい被虐と期待の炎が揺らめくように燈っていた。
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