線量とがん発生の関係はおよそ100 mSv以上では、ほぼ直線的に線量とともにリスクが上昇することが明らかである。しかし、100 mSv より低い線量では、直線的にリスクが上昇するかどうかは明らかでない。また原爆のように短い時間に高い線量を受ける場合に対して、低い線量を長時間にわたって受ける場合(低線量率の被ばく)の方が、被ばくした総線量が同じでも影響のリスクは低くなるような傾向が、実験動物や培養細胞の実験研究で明らかになっている。低線量や低線量率で効果が低くなる程度を示す値として線量・線量率効果係数(DDREF)が用いられる。ICRPは、リスク管理の実用的な目的のために、DDREFの判断した値とLNTモデルを組み合わせて採用し、DDREFを2と定めている(線量率が0.1 Gy/h以下で線量が0.2 Gy 以下の時。ICRP, Pub. 60,1991)。 この場合、低線量・低線量率のリスク係数(単位線量当たりのリスク)が高線量での値の2分の1であることを表している。
最終更新:2012年02月03日 18:29