書き漏らしがあるかも知れないので順次追加するかも。


合わせてどうぞ


立法の過程からしておかしい

アップロードコントロールという正道を無視

権利者にとって最も効率よく利益を守れるのはアップロードの取り締まり(改正前から罰則付き)である。
捜査機関も権利者側の対応人員も限られている中で、こうした違法コンテンツの
不均衡(アップロード一つに対して数千数万のダウンロードが行われる)を考えるならアップロードを取り締まるべきで、
ネットの萎縮を起こす上に、発信側を規制するという著作権の原理を曲げたダウンロードコントロールは筋が悪い。
ダウンロードを罰するというのは単なる「割れ許すまじ」という感情論か、もしくは
ネットの仕組みをよく理解していないために起こる議論と言える。
少なくとも副作用を無視して強行するだけのメリットはない。

レコ協以外が音楽に関わることを考えていない「Lマークで見分けろ」論

  • 社団法人日本レコード協会(RIAJ)が認定した正規の音楽・映像配信サービスを行う事業者に与えられるマーク
じゃあレコ協と関係無しに音楽を出してる人は? 音楽や動画の二次創作は?
付帯決議でもQ&Aでも「Lマークでなんとかしろ」的なことが述べられていますが、そもそもLマークは一団体の商標に過ぎず音楽の正当性を保証する統一規格なんかではない
立法の側も、推進したレコ協(余談ながら悪名高き音楽ヤクザJASRACは関わっていない。CDが売れなくても動画投稿サイトとの契約なんかで喰っていけるので)も、レコ協とそのパートナー以外が音楽文化(≠産業)に関わることを全く考えずに「見分ける指標があれば大丈夫!」なんてお花畑論で行ってしまったわけだ。

もっともそれはLマークに限った話ではなく、違法コンテンツの流通で受け手側を取り締まろうという法律そのものが、草の根的な音楽文化や新しいビジネスモデルを認めず(そこらを曖昧にしたまま、違法ユーザーからも金をむしれる音楽配信サービスが広まっている某国を見習って欲しいものだ)、「レコ協が元締めになって販売する音楽と海賊版以外、この日本に音楽は存在しない」という誤解の上でなければ、存在し得ないものではある。
これが法律の私物化でなくて何だろう。

罰則重すぎねえ?

355 名前:無記名投票[] 投稿日:2012/06/19(火) 15:49:19.27 ID:BYCtiZyx [7/11]
  • 酒酔い運転 5年以下の懲役又は100万円以下の罰金
  • 酒気帯び運転 3年以下の懲役又は50万円以下の罰金
  • 政治資金規正法違反(収支報告書の不記載、虚偽記載等)5年以下の禁錮、100万円以下の罰金


  • リッピング、違法ダウンロード 2年以下の懲役又は200万以下の罰金


政治資金規正法違反並みの罪の重さとかワロタwwww ワロタ・・・

偶然にも◯◯bot ‏@Guzen_nimo_bot
偶然にも違法DLより直接CDを盗んだ方が罪が軽い事を知った俺達は…
※注:窃盗罪は10年以下の懲役又は50万円以下の罰金だが、万引きに対しては基本的に罰金の方なので
(そういう軽微な窃盗に懲役刑を科してられないから運用されない、という課題に対して近年、罰金刑が付け加えられた)
 その点比較すると四倍と言える。

そう言えば違法ダウンロードをネット万引きだという論もありましたが、
万引きは小売店が損失丸かぶりするのでレコード会社は損しないんですよね。
万引きが問題視されるのは、「一つ盗まれると五本分の利益が飛ぶ」みたいな、小売りの切実な事情もあるんですが
違法ダウンロードは直接の損失ではなく「得られたかも知れない利益」を見てるわけで、少なくとも比較対象としては適切ではないと。

線引きは全て警察次第

まず、この件に関して、ネットに繋がってさえいれば捜査できるようなもので、捜査権の濫用が……という指摘はよくありますが、もう一つの側面として、曲がりなりにも知財立法の専門家が集まった文化庁や、本来なら自分の著作物をどう使うか決める権利を持っているはずの著作者ではなく、警察が著作物利用の範囲を決める事になりかねないという問題があります。
それが良いとか悪いとかではなく、警察の仕事は、法律違反者を捕まえる事です。文化の発展がうんたらと考える事ではありません。だからこそ法律は条文が全てであり、そこらの斟酌を警察に求めるのは酷という物です。(ちなみに文化庁の見解は警察や司法への影響力はそうそうあるもんじゃなさげです。例:まねきTV裁判・)
著作権侵害事件は基本的に親告罪ですが、警察が捜査してから権利者に起訴を持ちかけるという事例が多々あります。
仮に後から権利者が不起訴の意向を示したとしても、捜査があった段階で萎縮が出るのはほぼ確実で。
つまり、グレーの部分をどうするか、どこに線を引くかほぼ完全に警察にかかっているという事に。
まあ多分告訴が来るとは思う(後述)のですが、そういうグレーで放置されてた部分が全部黒になる危険があります。

例えばゲームサントラ(私の頭ではこれくらいしか例が出てこない……)なんかがニコ動やようつべに上がってたり
それを素材に使った動画が作られていたりしますけど、基本的にそういう音楽は何処かに著作権管理委託すると
自社ですら自由に使えなくなったりするので、権利は大抵自前で管理してるんです。
管理団体通して契約結んでみかじめ料取ってるその他大勢の楽曲と違って、動画サイトに上がってても金にはならないんですよね。
なのにどうして消されず残ってるかと言えば、その対処に人員を回してもコストパフォーマンスが吊り合わないとか
サントラという物自体がコアなファン向けで曲を違法うpされたところで大して痛手にならないとか
そもそも音楽で儲けるのが主題じゃないとか、営利利用じゃないからとか理由はいくつか思いつきます
(反例もありますが全体としては)

だからこそ、そういう物を素材に使った素晴らしー二次創作作品が出て来たりもしてるんだと思いますけど、
もしそういう作品や、あるいは音楽そのものを保存したユーザーを警察が見つけて
「証拠揃えて権利者の所へ持って行こう」となれば、これはほぼ告訴が来ると思っていいんじゃないでしょうか。
それでも告訴しない、と言ってしまったら、権利者側からしたらもうユーザー側の利用に歯止めが無くなってしまいますから。
その辺りの、ユーザーと権利者の間でなんとなく共存共栄が成り立ってた危ういバランスに、警察が土足で踏み込んで来かねない
そういう危険があるのではないかと指摘しておきます。別にゲームサントラに限った話でなく、割と緩く著作権が管理されてた
他の分野についても。
この点からもまた、特定の事業者(レコ協と言うより大手?)以外が音楽に関わることを考えていない立法と言えるかも知れない。

もちろん恣意的捜査の問題もあり。
親告罪と言っても、権利者の訴えが無くても先行捜査は可能なので、ネットに繋いでさえいれば見切り捜査を行ったり、別件捜査の口実にしたり出来る。

209 名前:名無したちの午後[sage] 投稿日:2012/10/02(火) 03:17:22.90 ID:E+CbNTwc0 [2/2]
207
法的にはみんな犯罪者だけど特に悪質な犯罪者しか取り締まりませんから安心してね、って
法を恣意的に運用するから心配するなと警察が呼びかける時点で終わっとる

オウムや反戦ビラが不法侵入で挙げられてるのと同じで今始まった話ではないが
さすがに「恣意的に法を使うから安心しろ」なんて説明は行われなかった

附則より→間違った著作権教育の推進

附則より、著作権教育を推進して行く事が定められた。のだがかなり怪しい。
例:文化庁の子供用Q&A
違法ダウンロードが罰則の対象となることについて知っておきたいこと(子ども用)
========
Q4 海賊版の音楽や映画をダウンロードしないように気をつけたいのですが、どう
すれば海賊版ではないと分かるのでしょうか?

海賊版ではない音楽や映画かどうかを知るには、音楽や映画がのっているホーム
ページに「エルマーク」というマークがついているかどうかを確認する方法があり
ます。「エルマーク」は次のようなマークです。ホームページに「エルマーク」が
ついていれば、安心してダウンロードできますので、参考にしてください。
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エルマーク無し≠違法サイト
という説明は一切無し。
これが、附則七条に則って学校で教え込まれるわけだ。
具体的にどんな学校教育がされるかはまだこれからの話になるが、このQ&Aを氷山の一角と見た場合どうなるか?

私見と言うか疑問というか、「侵害するな」以外の事は教えないのだろうか?
そもそも著作権法自体が、厳密には侵害に当たる行為を一定量容認し(とか言うと誤解を招きそうだが)、権利者保護をしつつも度を超えた保護によって利用者の利便性を損なわないようにバランスを取る思想の物なのだが、そういう事は教えないんだろうか。
アクセスコントロール回避規制の所為で、折角金払って買ったDVDでも自分好みのデバイスに放り込んで見る事はできなくなった……みたいな悪しき前例とか。

失敗例しかない、刑罰を導入した海外の例

資料室→資料(海外事情)参照。特にコレ。
第271回:欧米主要国におけるダウンロード違法化・犯罪化を巡る現状各国の情勢のまとめ。

永澤亜季子のパリ発・フランス知財戦略 第7回:フランス大統領選と違法DL取り締まり-HADOPIの終焉 (2012/5/24)
明確に刑罰化したドイツ。スリーストライク法なので刑罰化よりはかなりゆるいが、フランスで何が起こったか。
FTAで米の要求を丸呑みした韓国の現状についてもソースを発見し次第掲載。

CD売り上げは本当に回復するか

資料室→資料(海外事情)参照。3S法を導入したフランスの事情が特に参考に。
要約すると、3S法で違法ダウンロードの数は半分に減ったのに音楽産業全体の売り上げは微減
どんな作品が出たかや、その都市の景気によって売り上げは変わる物なので、違法ダウンロードが売り上げ増加に繋がるという証拠とまでは言えないが、もし違法ダウンロードのせいで売り上げが減っているという主張が事実なら、半減まで行ったのにろくな変動がないのはおかしいんじゃないだろうか
根本的な事を更に言うなら、「日本はCDもDLも音楽が高すぎる」「世界的潮流を見れば、もう安価な配信サービスでないと音楽はそう売れていない」「Jポップ(の大部分)に魅力が無くなっている」「ぶっちゃけ不景気」辺りが問題ではないのか。

対策として意味があるのかもまた疑問である。
現場の感覚としては、「海賊版対策で刑罰化をやるなら5年は前にやるべきだった」的なものらしい。

【違法ダウンロード刑事罰化】音楽業界の製作関係者の本音「意味が分からない」

当の本人である“音楽業界”のかたはどう思っているのでしょうか。

国内外の様々なアーティストのレコード・CD販売を手がけている中堅レコード会社のディレクターAさんにお話をうかがいました。
するとAさんは「この法改正に何の意味があるのか分からない。正直、レコード会社の人間はこの話題にそれほど関心が高くない。
“またワケわかんないことやってるよ”ってぐらいで」との感想。また刑事罰化に関しても、
「法律で罰したからといって違法ダウンロードを行う人数が減るとも思えないし、実際にこれで逮捕者が出るのかも疑問、
ましてや音楽業界やアーティストの収入が増えるとはとても思えない」(Aさん)との考えでした。

また、この会社のレーベルに所属する女性アーティストは「この法改正は、
アーティストの著作権が守られているという感じはしないです。むしろ、複製されていても、自分の音楽を聴いてくれるひとが広まってくれるのなら、それもありかな」と語ります。

前出のAさんも「違法ダウンロードが減ることよりも、音楽に触れる機会が減るかもしれないと考えるとちょっとこわいですね」と、
刑事罰化の危険性を指摘しました。
果たしてこの法改正は、本当に音楽業界の発展のためになるのでしょうか?


訴訟ビジネス勃興の可能性

海外、例えばアメリカや韓国では、違法ユーザー向けの民事訴訟が既にビジネスとなっている。
日本で罰則無し違法化がされていらい、そう言った民事訴訟は起こっていない。証拠集めだのが訴訟を起こす側の負担になるが、法定損害賠償制度がない日本では、訴訟を起こしたところで実損害に等しい分の金しか回収できないためだ。
が、今回の改正で訴訟までの証拠集めに公費と警察を使えるようになってしまった。
以下略。

ちょっと違う方面の話

Winnyの金子氏が夢見る次世代高速ネットの世界
winny裁判についての話がアリ。
クラウドの先駆け的な技術の勃興、日本がIT大国になれた可能性を京都府警の暴走が摘み取ってしまった話。
押収されたパソコンが今になってようやく帰ってきた、という点にも注目。
法的に、もしくは法運用的に『使いにくい』技術はイコール需要がないため、類似分野も含めた技術の進歩が停滞する。
アクセスコントロール回避規制なんかにも同じ事が言えるが。
最終更新:2013年02月16日 10:26