オーリック・ウルヴィン

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&setpagename(オーリック・ウルヴィン Auric Ulvin) #image(auric.gif) } #mobile(){ #image(auric50.gif) } 幻視と夢のお告げに導かれ、オーリックは極寒の荒野へと辿り着きました。 旅の仲間たちはこれまでの途上で力尽き、あるいは生き別れ、それきりでした。彼は自分を悩ませた象牙のドラゴンのもとへ向かうべきか去るべきか、見定めることができませんでした。 そのドラゴンの咆哮は頭の中まで響き渡り、翼は地平の先へと伸びるほどでした。 ドラゴンに出会えば死は免れないでしょう。 このまま雪の中に倒れ込んで力尽きたほうがずっとましです。 しかし彼は進み続けました。 彼さえもが寒さに倒れるのでしょうか? 彼はぼろの囚人服に身を包み、何日も猛吹雪の中を歩きながら、寒さに蝕まれる様子もありませんでした。 ええ、狂気を除けばですが。 しかし寒さのあまり狂ってしまったのか、寒さから守られているのか、寒さから守られていると思い込んでいるだけなのか、彼にはどうでもいいことでした。 彼はひたすら歩き続けました。 後にその地は「荒涼たる死」(レートゥム・フリグス)と呼ばれます。 崩壊した山岳の周囲を、同心円状の氷が何マイルにも渡ってぐるりと取り囲み、まるで凍った波が中心から広がっているようでした。 山稜にはかつて数多くの洞窟が口を開け、今ではほとんどが崩れ落ちていましたが、奥深くまで瓦礫が続くいくつかは残っていました。 オーリックはこのような迷宮を見たことがなく、逸る心は彼を駆り立てました。 残された洞窟を何日も歩き回り、慎重に山の深部へと進み、行き止まりを何度も引き返しました。 彼は自分が見張られていることに気付いていました。 過ぎ去った時代の末裔、すでに神が去ったこの聖地に未だ留まり続ける、生ける亡霊たち。 彼が後にイリアンと呼ぶことになる人々です。 オーリックは自分より先にここに足を踏み入れ、イリアンに殺された者の骸さえ目にしました。 しかし彼らが攻撃してくることはありませんでした。 オーリックが山岳の中心部に辿り着くと、彼は屋外に立ち、中へと続く壊れたアーチ状の門を見渡しました。 イリアンたちでさえ敢えて部屋の中に入ろうとする者はいませんでした。 オーリックは神なる力や秘術にまつわる物が何かないかと、空っぽの部屋へ手を伸ばしました。 今に轟くいにしえの偉業、刀身に21の象形文字が刻まれた大いなる剣。 しかしそれは幻に過ぎず、現実には何もありませんでした。 危険はなく、この旅にも何も成果はなく、敷居を跨いで部屋に入る意味さえもありませんでした。 しかしいずれにせよ、彼はそこに足を踏み入れました。 3日の後、オーリック・ウルヴィンは部屋から姿を現しました。 彼はもはや、オースパイアのだらしない小僧でも、影の谷に囚われた少年でも、やもめとなった百姓の倅でもありませんでした。 かつての彼の面影はすっかり失われていました。 そしてオーリックは部屋の中でなにがあったのかを決して語らず、イリアンたちへと服従を命じました。 「かつて諸君らは最も偉大な学者であり、そして司祭であった。 すべての国々が諸君らに敬意を払っていた。 諸君らはそれが過去の栄光にすぎないと思い、諸君らの王が帰還することを夢見ている。 私が宣言しよう、もはや彼が戻ることはない。 余こそが諸君らの新たなる王である。 失ったもののことは忘れよ、これから得るもののことだけを考えるのだ。 余にひれ伏せ、余は諸君らの栄光を取り戻す者である。 世界を再び諸君らの手に!」 彼らはオーリックの呼びかけに聞き入り、そして従いました。
&setpagename(オーリック・ウルヴィン Auric Ulvin) #pc(){ #image(auric.gif) } #mobile(){ #image(auric50.gif) } 幻視と夢のお告げに導かれ、オーリックは極寒の荒野へと辿り着きました。 旅の仲間たちはこれまでの途上で力尽き、あるいは生き別れ、それきりでした。彼は自分を悩ませた象牙のドラゴンのもとへ向かうべきか去るべきか、見定めることができませんでした。 そのドラゴンの咆哮は頭の中まで響き渡り、翼は地平の先へと伸びるほどでした。 ドラゴンに出会えば死は免れないでしょう。 このまま雪の中に倒れ込んで力尽きたほうがずっとましです。 しかし彼は進み続けました。 彼さえもが寒さに倒れるのでしょうか? 彼はぼろの囚人服に身を包み、何日も猛吹雪の中を歩きながら、寒さに蝕まれる様子もありませんでした。 ええ、狂気を除けばですが。 しかし寒さのあまり狂ってしまったのか、寒さから守られているのか、寒さから守られていると思い込んでいるだけなのか、彼にはどうでもいいことでした。 彼はひたすら歩き続けました。 後にその地は「荒涼たる死」(レートゥム・フリグス)と呼ばれます。 崩壊した山岳の周囲を、同心円状の氷が何マイルにも渡ってぐるりと取り囲み、まるで凍った波が中心から広がっているようでした。 山稜にはかつて数多くの洞窟が口を開け、今ではほとんどが崩れ落ちていましたが、奥深くまで瓦礫が続くいくつかは残っていました。 オーリックはこのような迷宮を見たことがなく、逸る心は彼を駆り立てました。 残された洞窟を何日も歩き回り、慎重に山の深部へと進み、行き止まりを何度も引き返しました。 彼は自分が見張られていることに気付いていました。 過ぎ去った時代の末裔、すでに神が去ったこの聖地に未だ留まり続ける、生ける亡霊たち。 彼が後にイリアンと呼ぶことになる人々です。 オーリックは自分より先にここに足を踏み入れ、イリアンに殺された者の骸さえ目にしました。 しかし彼らが攻撃してくることはありませんでした。 オーリックが山岳の中心部に辿り着くと、彼は屋外に立ち、中へと続く壊れたアーチ状の門を見渡しました。 イリアンたちでさえ敢えて部屋の中に入ろうとする者はいませんでした。 オーリックは神なる力や秘術にまつわる物が何かないかと、空っぽの部屋へ手を伸ばしました。 今に轟くいにしえの偉業、刀身に21の象形文字が刻まれた大いなる剣。 しかしそれは幻に過ぎず、現実には何もありませんでした。 危険はなく、この旅にも何も成果はなく、敷居を跨いで部屋に入る意味さえもありませんでした。 しかしいずれにせよ、彼はそこに足を踏み入れました。 3日の後、オーリック・ウルヴィンは部屋から姿を現しました。 彼はもはや、オースパイアのだらしない小僧でも、影の谷に囚われた少年でも、やもめとなった百姓の倅でもありませんでした。 かつての彼の面影はすっかり失われていました。 そしてオーリックは部屋の中でなにがあったのかを決して語らず、イリアンたちへと服従を命じました。 「かつて諸君らは最も偉大な学者であり、そして司祭であった。 すべての国々が諸君らに敬意を払っていた。 諸君らはそれが過去の栄光にすぎないと思い、諸君らの王が帰還することを夢見ている。 私が宣言しよう、もはや彼が戻ることはない。 余こそが諸君らの新たなる王である。 失ったもののことは忘れよ、これから得るもののことだけを考えるのだ。 余にひれ伏せ、余は諸君らの栄光を取り戻す者である。 世界を再び諸君らの手に!」 彼らはオーリックの呼びかけに聞き入り、そして従いました。

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