キャラドン Charadon


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彼は迷子でした。
突然そう自覚すると同時に、逃れようのない冷たい恐怖が彼を襲いました。
仲間の野営地がどこにあるのか、彼にはまったくわかりませんでした。
初めて狩りに参加した彼を、仲間たちは置き去りにしてしまったのです。
彼は必死に心を引きしめ、寒さと孤独に堪えました。
パニックを起こしたが最後、待っているのは死のみであるということを知っていたからです。

キャラドンは風の吹きすさぶ荒野をさまよい、数匹のウサギを捕らえて生のまま食らいました。
彼がその技を父親から習ったのはほんの数週間前でしたが、彼にはそれがはるか昔の出来事のように思えました。
やがて夜が訪れる頃、キャラドンはある丘のふもとにたどり着き、その斜面を登り始めました。

彼がオオカミたちの姿に気づいたのはそのときでした。
それは大きな群れで、雪や風をしのげる丘の影で夜を越そうとしていたのでした。
オオカミたちはキャラドンの姿にも匂いにも気づかないようでした。

それ以前の彼にとって、オオカミは夜中に聞こえるかすかな遠吠えや、かがり火の隅をすばやく駆け抜ける影程度の存在でしかありませんでした。
しかし初めて間近で見るオオカミたちの姿は精悍で威厳に満ちていました。
彼らは優雅に動きまわりつつも、常に油断なく一瞬で攻撃に移れる体勢を崩しませんでした。
体を覆うふさふさした灰色の毛は彼らを風や氷からしっかりと守っていました。
あごは力強く、鋭い牙はどんな敵でも簡単に噛み砕けそうでした。

それにつづく数週間、キャラドンはオオカミの群れを追いました。
常に安全な距離を保つよう注意しつつ、彼は子供ならではの純粋な好奇心で熱心にオオカミたちの観察をつづけたのでした。

特に彼の目を引きつけたのはオオカミたちの行動の残酷なまでの合理性でした。
彼らの行動は人とは違って同情や憐れみの念に縛られることがありませんでした。
怪我をしたり衰弱したりした仲間は容赦なく冷たい荒野に置き去りにされ、それがたまたま獲物の少ない時期であれば、仲間たちが喜んでその体を貪り食いました。

新しく生まれた子が病弱であったり体が不自由であったりした場合には、すぐにその首をへし折って壊れた槍のように投げ捨てるのが父親の役目でした。
狩りをして獲物が仕留められても、食糧は平等には分配されず、力の強い者のみが食べることを許されました。
若いオオカミも老いたオオカミも、雄のオオカミも雌のオオカミも、食糧を巡って死ぬまで争ったのです。

最初これらの事柄は若いキャラドンを恐れおののかせました。
しかし恐怖が賞賛の念に変わるのにそれほど時間はかかりませんでした。
オオカミたちはその合理性ゆえに大いに繁栄していました。
個々の弱さを排除することによって、集団としての生存能力が高まったのです。
この厳しい世界で生き抜くためには妥協なき冷酷さが必要だとキャラドンは悟ったのでした。

ある日群れを追いかけて斜面を登った彼は、地平線から立ち昇る煙に気づきました。
キャラドンはついに仲間の野営地を発見したのです。
喜んだ彼はすぐに煙の方角を目指しました。
野営地に近づくにつれ、ゆっくりと斜面を下るキャラドンの目に住人たちの姿が飛び込んできました。
それはオオカミたちの世界とは似ても似つかない光景でした。
老いた者には若い者が食事を運び、赤ん坊は母親の胸にしっかりと抱かれ、病人は薬草などを使って入念に手当てされていました。
それは驚くばかりの弱さに満ちた光景だったのです。
そのことを認識するにつれ、キャラドンの胸の奥底で何かが冷たく、そして暗くなっていきました。
彼は激しい恐怖と解放感に打ち震えつつ、何をすべきかを突然明確に悟ったのでした。

キャラドンは丘の斜面に立って仲間たちが殺戮されるさまを眺めました。
オオカミの群れは完全に人々の不意を突いたのです。
自分の母親がテントから引きずり出され、はらわたを貪り食われるのを見ても彼は無表情でした。
キャラドンの父親はオオカミを止めようとしましたが、群れのリーダーに体を引き裂かれて息絶えました。
やがて最も屈強な者たちが必死に戦ってオオカミを追い払うことに成功するまで、キャラドンは黙って待っていました。
生きる価値のある者だけが生き残ったのです。
彼は生存者と合流するためゆっくりと斜面を下りていきました。
彼は知っていました - 未来は彼らのものであるということを。
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