ファラマー Falamar


「今すぐ私を解放なさい、それとも鋼の味を思い知りたいの、この卑怯者!」

ファラマーは白々しい苦悩を浮かべながらロアンナを見つめました。
「我が君は、部屋のあつらえがお気に召さないようですね? もちろんいつでもお帰りになられて差し支えありませんよ。そして私は、貴女を客人としてお迎えできなかったことに心を傷めるわけです。」

「私には急ぎの用があって、あなたの悪ふざけに付き合ってる余裕なんてないのよ。」その女性は船長室をうろうろと歩き回り、一足ごとに鎧が金属音をたてました。
「私を船に戻して、これじゃ体の良い囚人じゃないの、」波を睨みつけながら、彼女はそう言いました。
「それとも、海の上を歩いて帰れっていうの?」

「そうそう、私はそのような方を見たことがありますよ。別にそれほど大したことじゃありません。」
ラヌーンの男は重厚な木製のテーブルに置かれた二つの酒杯の一つを取り、うやうやしく口を付けました。
「魔法の助けもいいでしょう。しかし本当の秘訣は、下を見ないことです。」

「いい加減に――」船が波に揺れたため、ロアンナは言葉を切って拳を強く握り締めました。
「海もあなたもドラゴンに食われればいいのよ! 話を逸らさないで! 私は自分の船で、予定の航路を進まなくちゃならないの。」

「ああ、それなんですが、近頃は腕利きの船乗りを抱えるのもなかなか難しくて。我々が貴女を船に――それとあの愉快な風の精霊使いもですが、迎えるや否や、彼らは水平線の彼方へと消えてしまいました。どこに向かうのか、私に伝えもせずにね! とはいえ、再び出会うこともあるでしょう。
あの船長は私の義理の兄弟なのです。」

「海には名誉というものがないの?」とヒッパスの女王は嘆き、ファラマーの正面にある椅子に座り込みました。

「葡萄酒はいかがです、可愛い方。私どもの157年秋物の逸品ですが、海の傷心を和らげてくれますよ。名誉についてですが、私とて陸者から喧嘩を売られれば、名誉を賭けて戦います……もちろん当面の客人とは別ですよ。波の上に生きる我々には我々なりの掟が、真実あるのです。」
ファラマーは立ち上がって船室の周りを歩き、彼の旗艦である「乙女の悦び号」の模型が中で組まれた大きな酒瓶を取り上げました。
「しかしその掟は、数々の確かな名誉から成り立っていることをご理解いただけると思いますよ。船長の言葉は船の上では絶対です。しかし船員たちはどこの港からでも自由に船を去ることができます。我らは港の数だけ妻を囲っても構いません。しかしこの大海原こそが我らの情婦なのです、永遠に。男達はみずからの両手で運命を切り拓き、しかし結局はみな酒に溺れる日々です。女性の貞節は依然として神聖にして侵すべからざるものですが、身に付けたすべての鎧を脱ぎ去ることを受け入れていただける場合もあるでしょう。潮風に痛んでしまいますからね。」

ロアンナは、鎧に隠された鞘から短剣を引き抜きました。
「魅力的な話ね。どうか教えて頂戴、海の掟では去勢された男に関してどう定めているのかしら?」

「ガレー船の奴隷漕ぎですね、普通は。海が貴女の心のすべてを奪ってしまったわけではないようで安心しました。強盗ついでに申し上げますが、貴女は陸に戻りたいのでしょう、違いますか?」

彼女はしばらくのあいだ彼を睨みつけ、やがて溜め息を吐いて言いました。
「いったい幾ら欲しいのかしら、海賊王さん。私はグリゴリの国境で仲間たちと合流しなくてはならないの。契約があって……再度交渉して、部下たちに知らせなければ、ヒッパスの名誉は本当に海の盗っ人どもと大差なくなってしまうわ。」

「ここに、ただ私たちがより親密になれるための契約書がいくつかあります……国同士の話ですよ、もちろん。貴女の署名をお待ちしています、愛しい方。」
ロアンナはそれらを見渡し、あまりの暴利に不平を呟きながらも捺印しました。

ファラマーは、ロアンナとその仲間たちが港から飛び出してゆく姿を、遠く離れた乙女の悦び号から見守りました。
彼女が務めへと向かう姿を。
「今度はどこへ向かいやすか、船長?」

「少し待ちなさい、シャーウィン。」彼はいつもの気難しい顔つきに不機嫌を浮かべながら、結局見守り続けました。彼女はほとんど視界の外へと消えました。彼は望遠鏡に手を伸ばしました。

ロアンナは町外れで船を減速させました。
まもなく船は動きを止め、彼女は心ならずも、ほとんどその意思に反して、振り返りました。
しばらくの間ラヌーンの船を見つめ、沖へと吹き付ける風は彼女の髪をなびかせていました。
やがて彼女は己の務めへと戻ってゆきました。

ファラマーは微笑みました。
「彼らはいつも振り返ります。いつもね。シャーウィン、バルセラフの領海へ向かいます! 奴らが貯め込んだ年代物の葡萄酒は、ちょうど今が飲み頃でしょう。」

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