クロネコ駅下道
階段を挟んだ日常と非日常の街。街の象徴たるクロネコは階段上からあまりにも違いすぎる光景を眺める。
第一次文明戦争以降、
久平領の30%が『
ソレグレイユ次元科学開発地区』となった。
ここはその中でも最も国境に近い前線の街『斗凛(とりん)』の駅下道。
焼け跡から再建された建築物はソレグレイユの建築様式に合わせて造られ、
軍人や学者の居住区、ソレグレイユの軍事施設が建ち並び、道路は常に兵士や戦車が行き来している。
未だ戦争の爪痕を残す
ユグドラシルに対し、わずか数年で各街の復興を成したソレグレイユの恩恵を受け、
久平時代より裕福な生活を得た街の住人達の中には、もはや久平独立の夢を、街からの離脱を掲げる者など皆無であった。
しかし彼らは、自分たちの置かれた状況がどれほど危険なものなのかを未だ把握しきれていないのである。
最終更新:2022年08月28日 23:12