【旧人類の置き土産】
era1、人類は何も次元旅行を楽しんでいただけではない。
旧人類が獲得した技術は多岐に渡っていた。兵器、機械、医療etc・・・。
これらの技術の発展もあり人類はこれまで未開の地としてきた北極南極、海底の制覇、
宇宙での新惑星発見、そして次元科学の確立と、人類の進歩は目覚ましかった。
しかし、JD計画により核が各国都市部を常に狙い、生存圏が狭まる中、人口は100億を超えていた。
宇宙への新天地発見の希望は終ぞ叶わず、異世界への入口も先進国に独占され、世界の不安定化はさらに深刻化していた。
そして
審判の日は近いとされていた頃、先進国が秘密裏に協力開発を進めていた
『生物擬人化(L.T.P)』計画が最終段階を迎えようとしていた。
これは、現存する霊長類以外の大国領土内に生息する生物を、核に汚染された世界に適応しやすくするための研究である。
発見された異世界の中に、年中放射能が放出されている世界があった。
その世界の物質は全て、放射能を外気が触れる表面部分で反射していることが判明し、
現地へ派遣された調査隊が生息している微生物を発見したことで研究が始動する。
対象生物への微生物移植、遺伝子操作による次世代の擬人化といったプロセスで研究は進められた。
実験は順調に進行していき、対象生物の半分を擬人化させ終わった頃、
ジャッジメントデイは起こり、人類は一時の停滞を迎える。
彼ら旧人類にとっての誤算は、彼ら自身の同胞があまりにも生き残りすぎたこと。
500万もの
容姿も思想も変わらぬ者共が数百年後に栄華を極めること。
後に
魔人と称される彼らのそのほとんどが、二本足で歩く人型の生物として、
以前と変わらない日常を同じく数百年の間続けること。
研究者たちが思い描いた、人という醜悪な世界の寄生虫がいない未来への希望は実現することも、
誰にも知られることもなく核の炎と共に儚く潰えた。
最終更新:2022年08月31日 18:33