Creqrat Viorl


Creqrat Viorl(人間には発音不可能)

ありとあらゆる星系の知的生命体が滞在し、多次元宇宙全ての科学技術が集結する都市
人間レベルの思考形態を持つ生物の考えうる全ての科学技術が実用化されていると言われる。


そこは、まるで現実のようでありながらも、ありとあらゆる現象が計算機によって作り出された空間であった。
いわゆる仮想世界である。
そこは美化された模範的な『自然』だ。
不快感の無い、仮想の森。
清らかな水が流れ、汚れの無い木々がまばらに立ち並ぶ。
そこに人影のようなものが幾つか見える。

なにか話し声が聞こえる。
談笑しているようだ。
仮想世界でありながら言語を介すというのは如何なものかと思わないでもないが、
たしかにそれは『彼ら』の肉体のある世界でも使う言語であった。
幾つもの発音が同時に成されているそれは圧縮言語と呼ばれるものであり、
人類では発音は勿論、聞き取ることも不可能だろう。
暫くして話が終わる。
そして『彼』はそこからログアウトした。

『彼』は目覚めると、自らの部屋から外を眺める。
『彼』の部屋は高層の建物にあり、眼下に自らの住む街を眺めることが出来た。
天を突くような高さの高層建築物、眼下を埋め尽くす建物。
街は何処までも続いているように見える。

この街の名は《Creqrat Viorl》

ありとあらゆる星系の知的生命体が滞在し、多次元宇宙全ての科学技術が集結する都市。
人類と同等の思考形態を持つ生物の理解の及ばないような科学技術が存在する。

そして『彼』はこの街を創り出した種族の末裔であり、
幾星霜もの時を経て、数多くの知的生命と接触してもなお、
『彼ら』よりも知能の高い生物は居なかった。

少しの間街を眺め、『彼』は幾つかの作業を同時にこなす。
その時、『彼』の友人から連絡が届く。
なにやら、1つの案件に結論が出たようだ。

『《判定/ジャッジメント》をすることになった。』

それはとある生命体【人類】に関してだ。

つまり『彼ら』と【人類】が全面的に接触するべきか否かを判定しようということになる。
普段は、知的生命体との接触にそのような事は行わない。
なぜなら『彼ら』が接触するに価するとした知的生命体は、基本的には知能が高く、
争いが無益であることを末端の個体であっても理解しているからだ。
その為、接触をしても短い時間で『彼ら』と協調する事が出来る。

だが、【人類】は知的生命体として未熟であった。
『彼ら』の基準では、同じ種族で争うような生物は本来、知的生命体として扱わない。
そして、知的生命体でなければ、接触はしない。

ではなぜ『彼ら』が【人類】との接触について《判定/ジャッジメント》を行うのか。

それは【人類】の手にした〔次元科学〕の存在があった。
〔次元科学〕は知的生命体の知能指数を計る指標の1つでもある。
本来は、同じ種族内で争うような生物が扱えるような技術では無いはずであった。
じきに【人類】は『彼ら』に気が付くかもしれない。
〔次元科学〕を手にすれば、いずれ『彼ら』が存在する可能性に辿り着くだろう。

「〔次元科学〕を扱えるのは知的生命体だけであり、それ故に【人類】を知的生命体とみなすべきである」
「【人類】が〔次元科学〕を発明出来たのは何故か」
というような議論が起こった事もあった。

ちなみにこの街で、なんらかの"答え"を導き出す為に議論をする必要は無い。
なぜなら議論などせずとも『彼ら』の誇る究極の計算機〔Tegls Viorl Gjltd〕は、
ありとあらゆる事象の回答を出すことが出来るからだ。

誰もが納得するような、理論的で完璧な回答が出るだろう。
それでも『彼ら』は自ら考える。
なぜなら、模範解答を出す必要は無いからだ。
『彼ら』にとって、導き出した答えが[間違い]であっても、問題は生じない。
本当の[正解]を、捻じ曲げることができる程の科学技術を持っているのだから。

発展の時代はとうの昔に過ぎ去った。
これまでもこれからも繁栄し続けるだけ。

今の『彼ら』にとって自らの『生』は娯楽であり、全ての事象が楽しみだ。
自らが望む限りの無限の時を生きる事が出来る『彼ら』は、
まさしく【人類】の見る神の姿ではないだろうか。


そして『彼』の友人はこうも言った。
『【人類】に我らと共にある価値が無ければ、奴隷にでもしてしまえば良いさ』
『彼』は少し笑いながら『私達は、何時の間に彼らの神になったのか?』と返す。
すると『彼』の友人も笑いながら返した。

『彼らは創造主を神としたらしい。
 ならば我々は傲慢であっても、創り出しておきながら手助けもしないような彼らの神よりも、
 構ってやるだけ神らしいではないか』


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最終更新:2022年08月28日 22:46
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