空からの落し物


空からの落し物

これは私の祖父の、そのまた祖父の代から引き継がれている、とある出来事を記録したノートの記録、その断片である―――。

『今日の仕事を終え、海岸沿いに家へ向かっていると、空から何やら大きな音が聞こえてきた。
直後、何かが海に落ちる音がいくつも聞こえてくる。徐々に落ちてくる物、音も大きくなっていく。
夕日の逆光で見づらいが、よく目を凝らして見てみるとそれらは建築物のようで、
辛うじて原型を留めている建築物は、どれもここらのものとは異なる建築様式であった。
一際大きな塊で落ちてきた物は、海に落ちた衝撃で二つに割れた後、海の底に少しずつ沈んでいった。

気付かなかったが、その頃には街の奴らも同じように様子を見に来て、事の一部始終を眺めていた。
皆、怯えていた。誰もがこの世の終わりを予想しただろう。ここには、未だ国と言えるような組織は存在しない。
俺達はもう、こ』(ノートはここから解読不能なほどに劣化していた。)

私がこの過去の断片を父から引き継いだ時、頭の中には二つの疑念が湧いていた。
一つは、父の行動に対する疑念。そんな話聞いたことない、何かの冗談だ、と思った。
そしてもう一つは、死の間際に父がこんなことをする筈がない、という自分自身への疑念。

だから私は確かめに行った。それが本当にあったというなら、きっとその海にあると、そう思ったから。
疑念の正体はきっと、そこにあるのだ。

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最終更新:2022年08月30日 22:12
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