火垂る霊


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火垂る霊(ほたるみたま)

盆の夜、草陰の闇に浮かぶ無数の蛍の光。
それは、生くる者の前に姿を表した、死者の魂であるという。
ふわりふわりと舞う灯は、唯生を遺す為の最期の命の明るさなのだろうか。
それとも、僅かの幻に乗って現し世へ姿を見せた、彼岸の住人の喜びなのだろうか。

私には、最早知り得ないことだ。



「ねぇ、ばあちゃん。じいちゃんは?」

「……爺ちゃんはねぇ。蛍になったんよ」

「ほたるに?」

「そう。あそこに飛んでる光のなかの、どれかが爺ちゃんなんよ」

「……そっか。あたま、ピカピカひかってたもんね」

「……そうねぇ。光ってたわねぇ」

「……じいちゃん、ひかってるね」

「……えぇ。光ってるわ」

「……」

「……」

―――ある夏の夜の幻


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