衛星神社(もりぼしじんじゃ)
百有余年程前のこと。
己が役割を終えて、他のものより些か長く地を眺めていた彼は、
嘗て小高い丘であった場所の上へと重い腰を上げて降り立った。
彼の様な存在を知らぬ周りの民は、彼が現れたのを見て、神が御姿を顕されたと崇め奉った。
以来、彼はその実態をよく知られぬまま、
何の偶然か天より地を見守る神の遣いとしてこうして祀られている。
元来の使命を果たせないことを憂いているのか、
大切に護られていることを喜んでいるのかは定かではないが、
少なくとも、信じる者へ安堵を与えることを疎ましく思ってはいないようだ。
最終更新:2013年10月14日 08:09