目占女


目占女(マラノメ)

嘗て……日本という国が成立する以前の話。
地方に存在した一つの小さな「クニ」には、ある小人の一族との交流があった。
そのクニは、小人魔法技術によって採掘される鉱物を精錬して武器と為し、
これを装備した兵によって外敵の侵入を打ち払っていた。

小人は、技術供与の見返りに安全と食料を得た。
クニは、強い武器と扱いやすい農具に支えられてますます繁栄していった。

そんな中、ある小人の男と人間の女が恋に落ちた。
二人は周りに祝福され、やがて結ばれ、一人の女児を成した。
それが、この目占女(マラノメ)だ。

彼女は、人と小人の両方の血を引いているからか、
神憑りとして『白鱗永身神(シラウロコノナガミノカミ)』という神と交信する能力と、
一族の得意とする大地に干渉する魔法を自在に操る才覚を併せ持っていた。
その力は当代に並ぶ者は無く、クニは彼女を長に盛りたて、崇め奉り、
いつしか彼女自身が一柱の『碧鉄打小背身神(アオガネウツサシロミノカミ)』という神として
高次の存在へと昇華していった。

そのクニは、日本を統一したヤマト王朝によって併合され、
彼女もその影響から矮小なものとして貶められたが、
存在そのものは人と神の間に揺れながらまだ何処かにあるという。


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最終更新:2022年08月31日 18:16
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