流離剣客伝見聞書(さすらいけんかくでん けんぶんがき)
era2中期、
久平領に実在したと云われるとある剣客。
各地に残されたその剣客に纏わる伝記や伝説を収集し、
era3に書籍としてまとめたのがこの「流離剣客伝見聞書」である。
砂漠の大陸以外の久平領には、大抵この剣客によって人々を脅かす魔物や悪人からの救済譚が語り継がれており、
当時の久平における治世の混乱期を垣間見ることもできる。
人里を襲う業火の猪(しし)退治や、首狩り武者との対決、
《白面鬼》 ツネヒサとの死闘に、
禍ツ風率いる獣人盗賊団の殲滅と、数々の話が挿絵付きで収録されている。
現代にまで伝わる話の大半では、刀を携えた中年男性という印象が根強いが、
地方によっては、女剣客として語り継がれているものもある。
知名度も伝承の数も圧倒的に前者の方が上だが、作者に限ってはそうではなかったらしい。
『世の中には数多くの偉人とそれに纏わる伝説が存在するが、
広く伝わっている伝承というものは、誇張され枝分かれし、正確に伝わらないことが多い。
しかし、一地方でひっそりと、されど寸分違わぬ表現で伝わるような伝承というのは、
どんな著名な歴史家が記す叙事詩よりも信頼に値する』
前述は作者の直筆によるあとがきの一文である。
明記こそされてはいないが、作者が後者の伝承を支持してこの書籍を刊行したことは、容易に察しが付こう。
最終更新:2022年08月28日 23:31