レンズ見て


レンズ見て

ユグドラシルでは、獣装術の技術を確立させるために当の魔人
―この頃には、既にケモミミという呼称も出始めていた―の生態調査が実施されている。
これには、当時魔人の各部族内でも高い知性を有する個体の出現が相次いでおり、
徐々に人との交流が可能に成り始めていたことも一因となっている。

era2に各国で発令された魔人討伐令によって、多くの魔人が虐殺という表現に足る被害を受けたが、
ユグドラシル圏においては、魔人も一種の崇拝対象であったため
被害の多い地域へは軍を派遣しできるだけ自衛に専念させ、巣の殲滅は最小限に留めるよう努めていた。

エルフというだけで迫害や畏怖の対象とされてきた過去をもつ彼らにとって、
対話を可能とする個体も存在する以上、無碍に扱うべきではないという世論が他国のような行いを自制させたからだ。

結果、地方の国民から保護が叫ばれた部族を含め、交渉を可能とした部族すべてを、
"種の保存"という名目の下、彼らの領域をそのまま保護区に指定、
要観察対象とした上で政府公認の保護生物とした。

また、魔人の力を魔術で再現する為の生態調査も兼ね、
巣に隣接する村の人々との交流を活発化させていった。


『「はぁ~い! みなさん、撮りますよって…ぉわあ!?」
 この地域が保護区になって10年。
 当時ここに派遣されたばかりの新米だったわたしも、今ではみんなに懇意にしてもらえている。
 調査開始直後からあった住民と学者たちのいざこざも解消され、
 こうしてお祝いの席で記念写真を撮れるまでになったことは、大変喜ばしいです。

「あぁ、スラビさん! カメラ返して下さい!」
「おらみんなこっち向け! 記念のピース!」
「「「「「ピース!!」」」」パシャッ

 これがなんのお祝いかと言いますと、保護区認定10周年と……
 恥ずかしながら、私の歓迎会も兼ねております。

 わたしはただ保護区認定の歓迎会とだけ聞いていたので、開会式の時はほんとに驚きました……。
 ともあれ、この後は会場や保護区内を巡って、みなさんの写真を撮って回りました。
 それにしても、ほんとみんないい顔して写ってるなぁ~ふふっ』

―――何も知らない新米職員の日記より

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最終更新:2022年08月31日 18:30
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