セレニアの少女


「セレニアの少女」

吟遊詩人ファルチャーの代表作として有名な「ベルカン水路を望む家にて」を下敷きに
人気作家であるネーナ・ハルフォンが執筆した小説作品。全7巻。

「ベルカン水路を望む家にて」に登場する、エルフの少女イセリナと
その娘でありハーフエルフのエマを主役としており
彼女らの日常を「色彩主義」と呼ばれる独特の文体で書き上げている。

1巻はセレニアの森へと引っ越してきたイセリナが徐々に周囲に打ち解けていく姿を、
2巻から3巻ではイセリナの恋と少女時代の終焉を描いている。
4巻から6巻はエマが物語の主役となり、その成長と母の愛、そしてエマの恋と死までを描く。
最終巻である7巻はエマのいなくなったイセリナ家の穏やかな日々を描き、物語は終わる。

原作であるファルチャーの作品が「母より先に死なねばらならない娘の悲哀」を主軸とした悲劇であるため、
作品全体に悲しみと後悔がむせ返るほど溢れているのに対し、こちらは登場人物全員が生き生きとしており、
特にエマは最期の瞬間まで立ち止まろうとしない、生への活力に溢れている。

そのような作風であるが故に、登場人物たちの「死」はより印象的になっており、
エマの死やその後の穏やかな日常の中で静かに老いていくイセリナの姿は
生きることの尊さを強く読者に訴えかけてくる。

画像は5巻の中盤、エマが自らの初恋を動物達に相談するシーン。

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最終更新:2022年08月28日 23:19