燐火・旧市街


「燐火の下層部・旧市街」

ソレグレイユの統治下に置かれ、次元科学開発地区として発展した久平だったが、
その発展は幾つもの問題を孕んだ歪つなものであった。

その問題の一つ、スラム化の典型例がこの燐火(りんか)の町の下層部となった、旧市街の状態である。

元々の町の上に継ぎ足すように増設された新市街には、駐留するソレグレイユの軍人や科学者とその家族、
さらにサービス業に従事する人々や、莫大な税を払える上流階級の人々などが移り住み
経済的発展の恩恵を享受する日々を送っている。

一方、下層部となりまともに日も差さなくなった旧市街は、上の町からの排ガスや廃棄物により
生活状態が悪化し、さらに行政組織がそういった部分を徹底的に切り捨てる「ソレグレイユ式」の
スタイルに移行したことにより、治安も悪化。結果、スラム街となってしまったのである。


このような現象はソレグレイユ領となった旧久平のあちらこちらで見られ、
経済規模自体は拡大したものの、貧富の格差もまた広がってしまっている。

こういったスラム街に住む住人の多くは行き場を失った貧乏人だが、
その他にも、警察組織の目が届かないのをいいことに集まった裏社会の住人も数多く潜んでいる。

そうした者達の中には、未だ久平解放を夢見る者達や、こぼれ落ちる富を独占しようと企むマフィア、
さらには表の社会では売りさばけない違法な品を扱う商会など一癖も二癖もある連中が集まっており、
日々過激な勢力競争を繰り広げる群雄割拠の世界を築いている。

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最終更新:2022年08月30日 22:14