出鱈目詩人の備忘録

2004年12月13日(月) 16時19分-K

 Acrosstic

 アノコロハ、アア
 ククガイイニクク
 ロクロクノロノロ
 ズットススミエズ
 テストデデルッテ
 イライラ ヒイヒイ
 ツヅケテヤリツツ
 クロウシテヒャク


ひとつのアグラム もしくはひとつのナグラム

 I Live in a file of the evil life.
 If we lived as a devil's wife
 did God act like dog and cat?
 Mad hat had put on the mat.
 NowHe write odd songs called Hug.
 Don't you said they are Lewd Carols like a bug.


Limericks of metrics by metric

 There was an old man who called Mysterious Mr. Myst.
 He was the maestro of mystic mist.
 He mistook the mistral for mestizos
 a mistress for mistletoe.
 What a great mythologist!

 He entered entrance.
 But the enterance was an entranced entrance or an entrancing entrance?
 Ohcome on!
 Don't say it was an enteron!
 That's an exit not an entrance!


Palindrome syndrome

 今うかつに使うまい
 いまうかつにつかうまい

 旅のマリオと通り魔ノビタ
 たびのまりおととおりまのびた

 うそお、狐のうどん粉が陸海空で決まった!竜巻で浮く毬栗が近藤の寝つき襲う。
 うそおきつねのうどんこがりくかいくうできまつた!たつまきでうくいがぐりがこんどうのねつきおそう

 マルクスが乗っていない鉄のガス車。
 まるくすがのつていないてつのがすくるま


宇宙

 夜が来る 風が吹く

 虫は鳴く 蜥蜴が這う

 人は歩く 犬が寄り添う

 自転車は駆け抜ける 自動車が追い抜いてゆく

 バイクは鋭く曲がる 信号の色が変わる

 電車は人々を呑み込み吐き出す 人々が飲み込まれ吐き出される

 人々は家族の元へ帰る 家族がそれをやさしく迎える

 都市は動く 決して眠らない

 どこかで戦争が起これば 人が死ぬ

 テレビがニュースを伝える 時報が、今日も時間が流れていることを教えてくれる
 
 春が来る 夏が来る 秋が来る 冬が来る

 四季は通り過ぎてゆく 世界が少しずつ変わる

 天球は巡る 幾つもの星が流れる

 惑星は恒星の周りを回り 恒星は銀河と共に回転する

 星は生まれ、消える 光が行き交う

 中性子星は虚空に向けてパルスを放ち ブラックホールが全てを呑み込む

 宇宙は膨張する もしくは我々が小さくなる

 そしていつか消えてしまう みんな

 ぼくもか? たぶん、ぼくもだ


否定神学

 それを信じていないわけではないが、信じていると言い切れるわけでもない

 そんなものはないんじゃないかと思わないこともないのだが

 それでも、ないことはないんじゃないかと思わないわけでもないのだ

 実際のところはよくわからない


 世の中には、「Aではない」という言い方でしか表せないものがあるのかもしれない

 ないのかもしれない

 具体例を挙げろ、といわれてもうまく答えられない

 ただ、いろんな人がさまざまな言葉で言い表そうとしたが、誰もうまく表現できなかったもの

 「それ」をこの方法で言い表せないものかと少し思っただけ

 少しやってみない? いくよ

 それは「神様」じゃない、たぶん

 「真実」でもない、と思う

 まあ、そういう風に言っても悪くはないんだけど

 それは「道」でも「空」でも「無」でもない、んじゃないかな

 確実にいえることは、それが「にわとり」でも「ビッグベン」でも「うんこ」でも「お○んこ」でもないってことか

 でもよく考えると、確実って程じゃないかもしれない

 つづけようか? じゃ、やめよう

 言葉で世界を包も込もうなんて基地の外の奴らがやることだ

 やめといたほうがいいね

 でもあきらめたわけではない

 「それ」は言葉では表せないものか、と言われたら

 そうかもしれないと思わないこともないけど

 それじゃ何のために今苦労しているのか分からなくなってしまうじゃないか

 と、いう気がしないでもないようなこともなくはない

 言葉にできると信じているわけでもないんだが

 言葉にできると信じるほかに、やり方を知らない

 達成不可能な目標を立てるのも悪くない


 むかしむかし、パルメニデスは言いました

 「あるものはある、あらぬものはあらぬ」

 つまりこういうことです。

 「『無いもの』は存在しない。なぜなら『無いもの』が存在したら『無いものが有る』ことになり、これは矛盾だからだ」
 
 そしてこう続ける

 「物が動くためには、隙間が必要だ。しかし『隙間=無いもの』は存在しない。よって物は動かない」

 「この世界には、動くものはない。よって世界は不変不動である」

 実にわかりやすい 背理法による証明の見本みたいだ

 それでは僕の彼に見習って、背理法を使って、『無い物は有る』ことを証明してみよう

 「『無い物』は存在する。なぜなら『無いもの』が存在しなかったら、『無いもの』という『無いもの』が存在してしまうことになり、これは矛盾だからだ」

 「よって、すべてを貫く矛と何物にも貫かれない盾は存在する」

 「『無いものは存在する』からである」

 「全知全能の神の言う事も聞かない蓮っ葉女も存在する」

 「コンパスと定規による、角の三等分法も存在する」

 「無いものはすべて存在する、もちろん有るものもすべて存在する」

 「よってこの世界に『無いものは無い』」

 q.e.d.


 ここまで「ない」についた少し考えてきたわけだ

 成果がなかったわけではないと思いたいではないか

 実際あったと思わないこともないことはなさそうだってわけでもないんだが

 ところでドイツ語でノーはナインだが

 英語でナインは9を意味する

 日本語で言えば車は「きゅう」にとまれ「ない」

 結局何が言いたいのかはよくわからない
 


 (15点配分)
( )「全体として、面白かったかどうかの報告」
( )「どこまで読んだか、その確認」
( )「気になった部分への指摘」
( )「興味深い(面白い)と感じた部分の報告」
( )「技術的な長所と短所の指摘」
( )「読後に連想したものの報告」
( )「酷評(とても厳しい指摘)」
( )「好きなタイプの作品なのかどうか」

・特に重点的にチェック(指摘)してもらいたい部分。
(                 )

・読んで楽しんでもらいたいと考えている部分。
(                 )

・この作品で、いちばん書きたかった「もの/こと」
(                 )

詩です。信じてもらえないかもしれないけど。
acrosticとは、日本語で言う折句で行頭や行末だけを取り出すと別の文章になるものを言う。これには4つの「あくろすていつく」が折り込まれている。それがわかれば「acrosstic」というスペルの意味もわかると思う。しかし、アップすると表示がガタガタになるのには苦労した。カタカナになっているのはそっちのほうがましだったからで、6行目にスペースが入っているのは修正のためだから気にしなくてもよい。それにしても先に九九の話になるとわかっていたら9×9にしたものを。無念。
「ひとつのアグラム もしくはひとつのナグラム」というのはつまり「an agram or a nagram」すなわち「アナグラム」ということで、そんでもってアナグラムというのは綴り変えのこと。「高木ブー」が「かぶギター」になるようなものだ。「live」が「evil」、「life」が「file」などはわかるだろうから、説明が必要そうなのだけ説明すると「write odd songs called Hug」は「Charles lutwidge dodgson=ルイス・キャロル」のアナグラム。また「Lewd Carol」はアナグラムではなく「Lewis Carroll」の地口。意味は「淫らな遊戯」。なぜアナグラムでもないのにわざわざそんなもの入れたかというと、これがジェイムズ・ジョイスの『フィネガンズ・ウェイク』にあった言葉だから。つまりは、ミーハーだな。
limerickって言うのはaabbaと韻を踏む短詩の形式。一つ目では、a=ist b=ouと韻を踏んでいる。metrics=韻律法、metric=メートル法、言葉を計りながら詩を作っているみたいなんで、そうつけた。一つ目には、しつこいくらい頭韻も踏んでいるが、これはこの詩がそもそも「mist=霧」と「myst=秘密」の連想で作ったものなので仕方がない。それにしても二つ目のはなんて下品なんだ。まったく申し訳ない。言い訳させてもらうと、これは辞書が悪いんです。辞書じゃなかったら英語が悪いんですよ。だって「entrance」というスペルに「入り口」という意味と「恍惚とさせる」という意味があったら(ちなみに発音は違う)誰でも同じようなこと考えるはずですよ。しかも「enteron」で「腸」ですよ。これは私にあらぬことを考えさせるための罠ですよ。英語が私をおいでおいでしているのを、私がうぶなものですからうっかり引っかかって、後で後悔することになるのです。それにしても韻のaの部分がぜんぶentranceになってるのはどうにかできなかったのか。
palindromeというのは回文のこと。つまり上から読んでも下から読んでもおんなじになる文章のこと。一時期ほんとに症候群と呼びたくなるぐらい作ったが、これはその中の秀作。
残り二つのについては、「否定神学」のラストはもうちょっとましなものにならなかったのか、ということだけです。

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K 2004年
最終更新:2014年03月18日 13:39