眼から産まれた狂想詩

2004年12月21日(火) 23時46分-穂永秋琴

 
階段から転げ落ちると天が砕け
透明な綿雲は駄菓子屋の飴細工を拉ぎ
月の匕首は濡れた新聞を切り開く

裂かれた新聞が流した血は
喫煙者の左手を銀色に染め
スペードのエースは狭い路地を歩いていく

そして僕は痛い腰を引きずりながら
湿気を含んだ寒風の腕を手繰り寄せ
闇の奥から聞こえる声を無視し続ける





-解説詩-

ふと思いついた杞憂という言葉
小説に出てきた菓子屋の風景
そこから連想された、店先の飴細工
手で軽くつまめば、すぐに壊れて。
仰ぎ見れば月のかたちは鋭利
うつむけばうち捨てられた新聞
降り止んだ雨に道は濡れ、新聞も濡れてた

ふと目に止まった「たばこ」の赤い看板
どこで傷を作ったか、左手の指についた血の痕
赤より青より、不思議な色は銀色
車二台がすれ違うのに苦労する道路
フリーセルで鍵を握るスペードのエース
雑然とした中から苦労して引き出す

重い鞄が腰を痛めつけ
帰り道を歩きながら密かに呻く僕
雨後の風は頬に冷たく、どこか心地よい場所へ僕を誘う
家に腰を下ろせば食事に呼ぶ声
無視して詩を書き綴る僕


詩なんて考えて書くもんじゃないですよ……と言ってみる。
一応、詩の意味について私に聞いても分かりませんので。

……などと言いながらも自作解説をつけてみる。
実は眼に止まったものと、それから連想したものを組み合わせて書いただけのものだったり。

最終更新:2014年03月18日 16:34