ねじれのくしゃみ(お題「くしゃみ」)

2013年04月07日(日) 15:58-鈴生れい


友人と揃ってくしゃみをした。ら、友人が僕に言った。
「くしゃみをするのって、誰かに噂されてるってことだよな」
そうか、僕は誰かに噂されてるのか。
「僕のあずかり知らぬところで、僕は誰かに何かを言われてるんだな」
「まあ、そういうのってよく言うよなって話なんだけど」
友人が少し気まずそうに言葉を濁している。どうやら僕が陰口をさされていることを知っているらしい。
「大丈夫だよ、僕は人になじられると興奮するから」
「そういうところがなければなじられないんだけどな」
僕の言動に呆れた目線を向ける友人。やめろよ興奮するだろう。
興奮しているとくしゃみが出た。同じタイミングで友人もくしゃみをしていた。
「鼻息荒くしてんじゃねぇ変態」
「変態と呼ばれると興奮する」
「んじゃどうすれば収まるんだよ」
「というか俺はどうして陰口をさされるんだ。人とちょっと性癖が違うってだけだろうに」
「そのちょっとがちょっと異常すぎるんだよ。少なくとも僕には理解できん」
「人に罵倒されるのって快感にならないかい?」
「不快にしかならん」
友人はどうやら心底理解できないようだ。これは残念なことだ。
「一つ言うなら」
友人が前置きして、ごほんと咳払いしようとして間違えてくしゃみを出していた。
「・・・・・・お前に直接悪口言ったってお前を興奮させるだけで意味ないからだろ、陰口さすのは」
なるほど、一理ある。
「だがこの性癖ほど便利なものはないよ。嫌なことしても快感にしかならないからな、とても合理的だ」
「人間効率的に生きようと思ったらお前みたいにならなきゃいけないのか、勘弁してくれ僕は変態にはなりたくない」
それを言うなら、と俺は反論してみた。
「君だって、人をなじって喜ぶ変態じゃないか」
「誰が変態だ誰が。ただ僕は人に嫌なことをさせるのが好きなだけだ」
この友人だって十分あれだ。むしろ他人に迷惑かけてる分なお性質が悪い。
「同じ変態なら効率的な俺の方がお得だな」
「だから僕は変態じゃない。それに人を思うままに操った方が自分の時間ができてお得だろう」
睨み合っていると、二人揃って同時にくしゃみがでた。それでふと正気に戻る。
「もっと睨んで」
「うるさい変態。頼まれると萎える」
「えー、やってくれないとか萎えるわ」
お互い萎えて興奮が収まったところで、改めて考えてみた。
「どっちがお得なんだ」
「あー、もう知らん。どうでもいいわ」
ここでまた揃ってくしゃみがでた。そこで妙案が思い浮かぶ。
「あ、分かった。両方の性癖持ってる方がお得だろう」
「そうかもな」
「よしそれじゃあ入れ替えてみようぜ、お互いの性癖」
「マジでか。どうやって」
「簡単さ。まず一回、揃ってくしゃみをする。そしたらまた一人称が入れ替わるから、最初からやり直せばいいよ」
 

 


文中で同時にくしゃみをするたびにお互いの一人称がひっくり返っています。ただ性癖は入れ替わっていないので、最後に言っていることは、最初から一人称をひっくり返しておけば性癖を入れ替えられるよってことです。
要するに何が書きたかったかっていうと、一人称で遊んでみたかっただけです。分かりづらかったらごめんなさい。

というか自分で書いてて意味わからないです、これ。

最終更新:2014年03月17日 19:31