ふぁっきんくれいじーなはろうぃんぱーてぃ

2013年10月31日(木) 23:56-鈴生れい

ママー、今日はなんの話をしてくれるの?
そうね、じゃあ今日はこれにしようかしら。「かぼちゃ・パーティ」ね。ほら、しっかり布団かぶりなさい。
じゃあいいかな。始めるよ。

昔々、ジャックと言う好青年がある村に住んでおりました。ジャックは、それはそれは見目美しく、笑顔の素敵な男の子でした。
村の女の子たちはみんなジャックに想いを寄せておりました。・・・・・・想いを寄せる、って何かって? そうね、みんなジャックをかっこいいって思ってたってことよ。
しかしジャックは誰とも結婚しようとはしませんでした。理由は簡単で、ジャックの気に入る女の子がいなかったからです。
その有象無象の女の子の中に一人、サウィンという少し太り気味のふぁっきんな性格をしたクレイジーガールがいました。あら、なんか変な言葉が書いてあるわね。簡単にいえば、ちょっと変わった女の子がいたってことよ。
サウィンは人一倍彼を好きでした。しかし彼はそっけなく、彼女の想いに応えてはくれません。毎日毎日彼の家に通いつめては、結婚してくれとねだるサウィンを、いつしかジャックは疎ましく思うようになりました。まぁ、ストーカーみたいなものだしね。
これで1000回目の求婚を数えようかというとき、・・・・・・1000回!? あ、ごめんね。1000回目の求婚を数えようかというとき、ジャックはある決心をしました。サウィンを試そうと思ったのです。
ジャックは今にもドアをぶち壊そうかという勢いで叩きまくるサウィンを家へと招き入れました。初めてジャックの家の中に入ったサウィンは―――あ、ちょっと待ってこれだめだわ。・・・・・・えっと、サウィンはとても興奮しました。
そこで、ジャックはサウィンに言います。
「僕の好きなかぼちゃ料理を作ってくれ。それがおいしかったら、君との結婚を考えるよ」
その一言に、サウィンは大喜び。まるで結婚したみたいにはしゃぎまわり、ふぁっきんと叫びまわりました。
急ぎ料理にとりかかるサウィン。しかし実はサウィン、かぼちゃ料理などしたことがありません。結局、サウィンはかぼちゃを切ることすらできませんでした。懸命に包丁をかぼちゃへと突き立てるサウィンへ、ジャックは無情にも告げました。
「かぼちゃ料理が作れない人とは結婚できないよ」
その瞬間、サウィンは崩れ落ちて泣き伏せました。ジャックの家を追い出された後も、おいおいと泣き続け、あてもなくさまよっていると、何かに躓いて転んでしまいます。ふぁっきんと金切り声をあげた後、自分がかぼちゃ畑に入ってしまったことに気付きました。かぼちゃに躓いてしまったのです。
そのとき、彼女の胸にかぼちゃへの怒りと、自分の求婚を断ったジャックへの憎しみが湧いてきます。そしてふと、彼女はあることを思いついたのでした。

あくる日の朝、その日は村のみんなでパーティをやる予定でした。準備は無事に終わり、村長の長い長い演説の後に楽しいパーティタイムがやってきます。
ジャックも仲のいい女の子たちと一緒にパーティを楽しんでいました。年に一度のパーティでは、普段とても食べられない様なものがたくさんテーブルの上においてあります。ジャックは夢中になって食べていました。
一通り食べ終えた後、ジャックが休憩しようと自分の家に戻ろうとした時でした。ひゅっという音が鳴り、ぐちゃっという嫌な音が聞こえました。ジャックが振り返ると、なんとそこにはかぼちゃを頭にのっけた女の子の姿がありました。かぼちゃと肉体の繋ぎ目から、こんこんと血が湧いてきます。―――ちょ、ちょっと何このグロいの。・・・・・・あ、寝ちゃってるわ。良かった。続き気になるし、読んじゃお。
女の子は直立不動のまま動こうとしません。ジャックがかぼちゃを触ってみると、ころんとかぼちゃは転がって地面へと落ち、彼女の首から上には何もありません。彼女の体が力を失って地面へと倒れ始め、慌てたジャックがかぼちゃを拾い上げて彼女の首にセットすると、彼女の体は再び直立不動になりました。
ジャックが首を傾げていると、再びぐちゃっという音が聞こえました。振り返ると、同じように隣にいた女の子の頭がかぼちゃになっていました。
すると、辺りから突然ぐちゃぐちゃと肉をすりつぶした音が響き渡り始めました。ジャックがパーティ会場を振り返ると、なんとたくさんのかぼちゃが空を舞い、次々とパーティを楽しんでいる人たちへと突撃していました。元々あった頭はかぼちゃによって吹っ飛ばされ、辺り一面に転がっています。
それからしばらくジャックが呆然としていると、パーティ会場にいた人たちはあっという間にかぼちゃ人間になってしまいました。
「なんてふぁっきんな事態だ!」
ジャックが叫んだとき、ジャックの家の扉がきぃと音を立てて開き、中からサウィンが現れます。
彼女はカボチャを頭に被ったまま、ジャックに訊ねました。
「ねぇ、かぼちゃが好きなんでしょ。かぼちゃだらけにしてあげたわ、感謝して」
くりぬかれた目の部分から、ぎろりと鋭い眼光が除いています。それはまるで、怪しく輝くろうそくのようでした。
クレイジーなサウィンは、ジャックに詰め寄ります。もうこの場にジャックを助けてくれる人はいません。
そのとき、ジャックは両手を天に突き上げました。
「やった! なんてふぁっきんな日だ、クレイジーだぜ! サウィン、結婚してくれ!」
その後、二人はかぼちゃ人間たちとともに幸せにくらしましたとさ、ちゃんちゃん。

なんだか、すっかり夢中になって読んじゃったわ。あの子は・・・・・・もう夢の中ね。
あら、布団がずれちゃってるわ。人間の体は冷やすと良くないから、しっかりお布団かけましょうね。
おやすみ。いい夢をね・・・・・・。

 

 


間に合いはしたけど、やり足りない感。書き出したのが10/31の11時20分とハロウィン終了間際だったので、一回も見返せていません。おかしなところがあったらご指摘いただけると助かります。

本来予定していたのはもう少ししっかり考えたものだったのですが、時間的制約もあって別の機会になりました。そのうちお披露目できたらなぁと思います。

トリック・オア・トリート……

最終更新:2014年03月17日 19:48