愛の形(2)

2013年12月16日(月) 22:19-K


愛との逃避行

  恋に恋する乙女でしかなかった彼女を決定的に変えたのは、男に捨てられた経験だった。男が愛したのは、彼女の愛だった。恋に恋する乙女であった彼女の愛は、それはそれは愛らしい愛だったと言う。男はその愛を愛し、愛もその本性に従って男を愛し、人間と概念の許されぬ愛に走った二人は、彼女を置いて駆け落ちしてしまった。最愛の男と、自分の愛を失った彼女は、残された自分の恋と恋人になるほかなかったが、すでに彼女は恋に恋はしていなかったのだった。

最終更新:2014年03月17日 19:53