ランダムについて




 RANDOM(ランダム)とはノーツ(オブジェクト)が降ってくる位置をレーンごと無作為に入れ替えるオプションのことです。ノーツごとに配置を無作為に変えるS-RANDOMについてはS乱で。


 RANDOMというオプションがこんなに盛んに使われているという現象は、IIDXのシングルプレイ以外に見られません。そもそもランダムがないという機種もありますが、毎回降ってくる譜面が変わるという奇怪なオプションを多くの人が常備しているということについて、なぜそういうことが起こるのか、ランダムオプションとはなんのためにあるのか、ということを中心に議論していきます。




目次






beatmaniaIIDXと他機種のランダム



 まず、IIDXのSPにおいて日常的にRANDOMが使われうる背景について。IIDXの他にランダムオプションが存在する音ゲーはDDR、ドラムマニア、ポップン、リフレク(TOPオブジェクトのみ)ですが、いずれもIIDXほどランダムが盛んに使われているということはありません。これの理由を、それぞれの機種の特色に照らし合わせて見てみます。(少なからず無駄な議論なので文字が小さいところは飛ばしながら見てください。)


 DDRのシャッフル(中身はRANDOMと同じ)は、かけることによって左右の足での交互踏みが少なくなり、16分スライドが増えるという効果があります。これはもともと正規譜面に交互踏みが多く、制約の大きい足の操作という中でやりやすさを重視した譜面が作られていると言うことができます。このような条件のもとでのシャッフルの使用は、16分スライドの練習のためにあると言うことができ、IIDXで言うならばS-RANをかけて縦連の練習をする、あるいはALL SCRATCHで連皿の練習をする、という状況に近いです。

 ドラムマニアにおいては、スネア、ハイハット、シンバルといったそれぞれのボタンに固有の押し方があることや、正規譜面のノーツの配置全体としての意味が圧倒的に大きいので、ランダムを使うことはドラムマニアにとってとても重要である演奏感をほぼ全て失い、正規譜面には絶対に出てこないような叩き方を要求されることを意味します。このような状況においてランダムはネタプレイ以外の使い道は無いと言っていいでしょう。

 ポップンは全てのボタンがその位置以外の特徴において均一ですが、ボタンが置かれている範囲が広いため無理押しという配置が発生することがありえます。正規譜面はこの前提に立って無理押しを回避するように配置されている上に、多くの階段状の配置によって演奏感が増幅されています。ランダムをかけることは、わずかに存在する正規譜面上の無理押しへの対応の練習としての意義がありますが、正規譜面に無理押しがほとんど存在しないことや、正規譜面の演奏感を損なうことに鑑みて、ランダムをかけるとデメリットがやや大きく出ると言うことがいえます。

 リフレクのランダムはトップオブジェクトのみにかかります。というより、他のオブジェクトはすべてS-RANDOM状態になっていて、固定されているのはトップのみなので、トップにしかランダムをかける意味が無いという事情があります。リフレクのオブジェクトはトップ、ロング、チェーン、通常、の種別ごとにやや演奏感が異なるものの、それぞれの種別内では特に位置による演奏感の増幅などはありません。リフレクでトップにランダムをかける場合とは、正規の配置に癖がついてどうしても正しくとれなくなってしまった場合のみだと考えられます。

 ※ギタフリについては、資料不足により分析できていません。

 これらに対してIIDXでは、まず正規譜面におけるボタンの位置による演奏感の増幅は、少数である一部の階段譜面のみに限られます。またシングルプレイではランダムによる無理押しのような配置も存在しません。したがってランダムをかけることによるデメリットはほぼ無いということができます。以上の理由から、IIDXにおけるランダムの使用が積極的に排除される理由は無い(逆に言うとRANDOMを使うための消極的な理由はある)と言えるでしょう。





ランダムを使う動機付け



 それでは、IIDXではなぜ多くの人がRANDOMを積極的に使っているのでしょうか。これはIIDXにおける成長と深い関わりがあるから、と当wikiは結論付けます。

 具体的な説明に入る前に、IIDXでランダムをかけるとどのようなことが起こるかを分析します。一言で言うと、同時押しの組み合わせが"汚く"なるということが起きます。

 どういうことかというと、☆9までの譜面では、同時押しは同色の組み合わせ(つまり2つ同時押しであれば13,57,24,46など)が圧倒的多数です。しかし、☆10以上になると状況が変わってきます。




 これらの譜面を代表に☆10以上の正規譜面では、正規譜面の特徴である同色の組み合わせ以外の組み合わせが登場します。これは、徐々に譜面密度が上がり同時押しの数が増えるにつれて同色以外の組み合わせが登場せざるを得ない、という事情が介在しています。

 しかし、☆9以下の譜面であってもランダムをかけることによってこれらの組み合わせが必然的に登場してきます。これがランダムによって譜面が"汚くなる"ということです。


 以上のようなことが言えるため、RANDOMが効果的になってくるのは、☆10に挑み始める頃(段位で言えば六段)からです。
具体的な成長に即して言えば、
  • ☆10のmosaic(H)をクリアするために☆9以下にランダムを掛けて汚い譜面に慣れておく、
  • ☆11の同時押しの数が多く汚い譜面に対応するために、☆10ランダムの同時押しの数が少なくて汚い譜面を練習する、
などです。


 また、☆11以上になってくると譜面数も減ってきて同じ譜面を何回もプレイすることが多くなってきます。この時に正規譜面を繰り返して練習していると、少しであれ譜面を覚えてしまいます。多くの場合この記憶は正確ではありません。すなわち認識をせずに不正確な記憶を頼りに鍵盤を叩くという事になりますから、無意識にミスが出てしまい、またこれを正しく直すのにも時間がかかってしまいます。このような状態を癖が付いているといいます。また、正確に記憶できていた場合、その譜面は記憶を頼りに打つことになってしまいます。このばあいでもやはり認識をせずに打鍵することになり、認識力における成長が見込めません。

 以上から、全く同じ譜面を繰り返し練習することを避けるという点でもランダムは有用であるといえます。このような理屈から、IIDXにおいてランダムは積極的に多用されるオプションであり、それは☆10以上の譜面への対応という成長の目的を持っている、とひとまずは結論づけることができます。






一貫した正規主義者



 ここで、「一貫した正規主義者」というものを考えてみます。この人は正規以外の譜面をやらずに全曲をクリアし皆伝を取ることを目標にしています。彼はどのようにこれを達成するでしょうか。

 まず☆10のmosaicのような譜面は初見では絶対に押せません。それは☆10以下の正規譜面でこんなにたくさんの隣接同時押しが降ってくる譜面がなく、認識ができないからです。そこで彼はこの譜面を暗記して記憶を頼りに打鍵してクリアします。このようなことを繰り返すことによって☆11、☆12の汚い譜面もクリアしていきます。皆伝といえどもたかが4曲、すべて合わせても10分足らずの譜面なので暗記して記憶力を使ってクリアできるでしょう。

 このような一貫した正規主義者にはランダムを使ったほうがいいよ、ということはできません。彼は正規譜面に多く出てくるパターンは認識によって、それ以外は記憶力によってさばいているからです。正規以外のパターンにその場で対応する力をつけていなくとも、それを覚えてしまえば全てが解決します。






 しかし、これを読んでいる多くの人は、何かおかしいと感じることでしょう。それはおそらく、彼は本当に楽しんでいるのか、ということです。
 楽しさというパラメータは主観的で曖昧ですが、記憶力によるプレイと、初見の譜面をその都度認識するプレイでは、おそらくすべての人が後者のほうが楽しいと答えるでしょう。このように楽しさということを考えると、一貫した正規主義者は楽しいということから最も遠いところにいるように思えます。また、初見の譜面に対応するパターンを持っている方が、新しい譜面をいちいち記憶するより遥かに手間がかからないということは想像に難くないはずです。


 ここまでくるとかなりイデオロギー的ですが、次は正規とランダムについて、少し上達を離れて議論してみます。








上達以外の側面からの正規/ランダム


 立ち位置を変えて、正規譜面をやるべき理由を上達以外の側面から考えてみます。
 正規をやるべき理由として、上達に関わることを除くと以下の2つが挙げられます。

①正統性がある
②譜面内のばらつきがない

 ①については、正規譜面こそが譜面製作者が直接手を加えた唯一のものなので、それを正統なものとすることには一定程度の妥当性があると言えます。

 ②については、同じ曲の同じ難易度について正規譜面は必ず同じ譜面が降って来るので、正規譜面でのランプやスコアなどが全プレイヤーの正確な指標となり、またこれらは再現性があると言うことができます。



 このような点に対してランダムは、

③正統性は多少残っている
④譜面内のバラツキがある

 ③については、ランダムがレーンごと入れ替えるオプションであるため、大まかな譜面傾向は受け継がれますが、その正統性は正規譜面と比べるとかなり減じています。

 ④については、ランダムは毎回降ってくる譜面が異なるので、ハードできる譜面とできない譜面が出てくるということが考えられます。つまりランプやスコアの再現性は必ずしもあるとは言えません。また、プレイヤーの指標を取るとすれば、ハード率や平均BPなど複数回の結果を考慮しなければ正確性は担保されません。







正規と乱の「実力」


 それでは、このような点で異なる正規譜面とランダム譜面におけるランプやスコアによって、プレイヤーのどのような実力を測ることができるのかを考えて見ます。


 正規譜面では、プレイヤーは記憶と認識を用いて譜面を脳内に取り込み、それを打鍵によってアウトプットしてクリアしています。すなわち正規譜面によっては、その特定の譜面にだけ対応する力のみを測ることができると言えます。一方ランダムでは、認識のみによって譜面を脳内に取り込み、それを打鍵によってアウトプットしてクリアしています。すなわちランダム譜面によっては同傾向同レベルの譜面を初見でクリアする地力を測ることができます。例えて言うならば、学力試験における、一回きりのテストの点数(その特定のテストで高得点を取る力)か、その科目の理解度の上昇に裏付けられた点数かという差異があります。


 ここまで分析すると、なぜbeatmaniaのプレイヤーがランダムを積極的に選ぶのかが理由付けられます。

 つまり、その場限りの成果を出すためのスカスカの実力よりも、初見であらゆることに対応できる中身の詰まった実力を追い求めるのが、向上心のあるゲームのやり込み方なのではないでしょうか。これこそが先に述べた漠然とした楽しさの源ともなっているランダム主義者の動機だと結論づけます。










上達のために正規が役に立つ場面



 上達のためにはランダムう使うべきという前提のもとで、正規vsランダムの構図を離れて、ランダムを常備している人でも正規を使って意味のある場面があるのか、考えてみます。


 このような場合は、大きく分けて2つあると考えます。一つ目は、①正規譜面っぽい譜面の練習(2重階段、階段)、そして2つ目は、②正規でたくさん降ってくる配置の練習(1,2,3皿絡み、13皿のベチャ押し)です。



 まず①について説明します。主な練習曲は革命、fourleaf、FIREFIRE穴、DevilzStaircase穴で、これらの共通点は正規ならではの2重階段や長い階段があることです。2重階段や長い階段はランダムを常備しているとほとんど見かけることはなく、そのためにこれらの曲は練習曲として成立すると言えそうですが、そもそもランダムを常備していれば2重階段等に出くわすことはほとんどありません。そしてなにより、出てきたとしても同じ密度のランダム配置が叩けていれば、きれいな2重階段等が降ってきてもさほど問題はありません。強いてあげるならば、正規は認識が楽になることが多く、きれいな譜面に対して速く押さない練習と捉えることはできそうですが、ランダムを常備していてもこのような練習は日常的に行うことができるでしょう。


 続いて②について。主な練習曲はサヨナラヘヴン穴、FIREFIRE灰、fly you to the star穴で、これらの共通点は1,2,3に皿が絡んでくることや、13皿同時押しが頻繁に来ることです。②のパターンの練習は、ランダム常備で度々降ってくるこの組み合わせの打鍵について、これが苦手な人用の専用練習、換言すればベチャ押し固定とか、3:5半固定縛りのもう少し実践的な練習ということができます。このような譜面は正規ランダム問わず降ってくることがありますが、重要なのは、同じ密度のランダムをやっても1,2,3+皿または13皿が降ってこないと意味が無いところで、これはつまり鍵盤の位置に依存する練習であると言うことができます。これが正規鏡譜面の有効な使いどころでしょう。



最終更新:2014年05月16日 02:27
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