演出・背景小物

考察の一例を列挙。

目次

暗喩的な演出

全般

  • 画面を飛ぶ星マーク
    • 演出意図は未詳。
    • 陽毬や苹果の少女キャラ、林檎や日記のアップ画面などに現れている。
    • モチーフの「銀河鉄道の夜」を意識した、宇宙空間のイメージの装飾演出か。
  • モブがピクトグラム
    • 「無関心な第三者」「無個性な記号としての群衆」をビジュアル的に強調しているとする説。
    • こどもブロイラー等の残酷描写を緩和するためとする説。
    • 作画の手抜き説。
      • ただし、インタビューによると、通常の背景人物よりピクトグラムの方がかえって動画の作成に手間が掛かるらしく、この説は当てはまらない可能性が高い。
    • なお、電車内や学校など比較的閉じられた空間では、通常の人間の姿でモブが描かれるケースが多い。
  • 背景に置かれたり人物が持っていたりする林檎
    • 9話の「こどもブロイラー」で男の子が女の子に渡した運命の果実、13話で眞悧たちが持参したケースの中身、ベッドに横たわる陽毬の足元、家宅捜索を受ける高倉家玄関(3個)、16話の電車イリュージョン空間のマリオなど。
    • 小学生の会話」と関連する、愛による死の象徴か。
    • 最終回で「ピングドラム」だと示された胸の赤い玉=運命の果実(林檎)らしき描写。
  • ペンギン1号の絆創膏、ペンギン3号の濃いピンクのリボン
    • 冠葉が実父の葬儀時に陽毬から貼ってもらった絆創膏、陽毬がトリプルH応募時にお揃いでするはずだった誓いのリボン・あるいは仔猫のSUNちゃんのリボンなど、それぞれパートナーの思い入れの品と対応している。
  • ペンギン2号の食欲
    • 1号のエロ、3号のお洒落・編み物に比べて、2号の暴食は晶馬との接点がよく分からないとされてきたが、最終回の「箱」の中でずっと飢えていた回想との関連を指摘する意見がある。
  • ペンギン2号がしょっちゅう殺虫剤でゴキブリ退治をしている
    • 潔癖な晶馬の性格を表現しているとする説。
    • 晶馬の焦り・不快感などを画面上で代理表現しているとする説。マイナス感情が強いと数が増え、苹果と親しくなった後はめっきりゴキブリの登場が減る。
    • 脚本にはペンギンの行動は指定がなく、作画スタッフに任せてあるとのことなので、純然たる映像のお遊び要素で、ストーリー上の意味はないとする説。
  • ペンギン2号を放置ぎみの晶馬
    • 陽毬・3ちゃんや真砂子・エスメラルダの女の子組のみならず、ぶっきらぼうそうな冠葉ですらわりと1号を構っているのに、2号がどれだけ周囲でつまみ食い等の悪戯をやらかしても晶馬が無関心なのは、自分自身をあまり好きではないことの表れではないかとの説がある。小説版の2号はもっと大人しめで晶馬との同調も多いが、その代わり地の文で自分の中で愛情が機能しているかどうか疑わしいといった記述がある。
  • プリンセス・オブ・ザ・クリスタルの衣裳
    • 上半身や白いハイレグはダブルHのコスチュームと、下半身のスカートは女児向け人形のミカちゃんと酷似している。また小説版では、生存戦略のイリュージョンはおびただしいレースとフリルの溢れる空間となっており、陽毬好みの「可愛いもの」を反映したビジュアルで出来上がっている様子が窺える。
  • クラスメートの山下は顔が映らない
    • 苹果にとってのガングロちゃん達とは異なり、心を開いていない「表面上の友人」という記号的存在なためか。
    • のちの黒幕ではないか、9話で林檎をくれた男の子ではないか、他の登場人物と似た顔立ちの血縁者ではないか、といった説もあったが、作中でそういう展開はなかったため、純粋に演出技法としての顔無しだったと思われる。
  • 荻野目母子のマンションや、ゆり・多蕗の新居のエントランスに桃の模様
    • 未だ桃果の思い出に縛られている人々の暗喩か。
  • たびたび背景に登場する東京タワー
    • 運命の乗り換えでダビデ像から変化したエピソードが出てくるのは15話だが、桃果の影響を暗示する小道具として、早くから様々な所にさりげなく描かれている。
      • 生存戦略バンクのピクトグラム、ED曲の絵で羅列される小物群、小説(上)表紙、ゆり・多蕗の新居からの夜景、16年前の事件でポケベルに号令が発せられるシーンなど。
  • 晶馬と苹果が地下鉄で座る位置
    • 座席の遠近が、二人の心理的距離の変化とシンクロしている。
  • 晶馬だけ両親との思い出回想が描かれない
    • 一人だけ血の繋がった実子なので、ことさら絆の裏付けとなるエピソードは必要ないからとの説。
    • よその子なのに引き取ってもらい、ちょっとした優しさでも嬉しく感じる陽毬・冠葉とは異なり、実子だけにKIGA活動に没頭する親の愛情不足をシビアに感じていたとする説。
  • 5週遅れのニコニコ生放送
    • 最速放映日の関西地域およびその翌日の関東地域に対し、ニコニコ動画が5週遅れで直前に放送するのは、下記のようにストーリーのリンクを意識した意図的なものではないかとの説がある。スポーツ中継の関係でTV放映が1週休みを挟んだ際、そのまま放送して4週差に縮まっても支障がないはずのニコニコ生放送でも、同じように1週休みをとって5週遅れを維持した。
      • 13話⇒18話 … 「高倉家の子供に特別な感情はない」と語った多蕗が、ずっと復讐の機会を窺っていたと判明
      • 16話⇒21話 … 「死なない男」のタイトルと、16年前の事件時に死んだはずの眞悧が存在し続けていること
      • 19話⇒24話 … 10年前の「運命の果実を一緒に食べよう」

1話

  • 高倉家台所の換気扇
    • 冒頭、朝食シーンが始まる際に換気扇のアップから入っているが、のちに登場する「こどもブロイラー」で印象的な巨大換気扇を髣髴とさせ、団欒風景の中にも不穏さを秘めている。
  • 異様にカラフルな高倉家
    • 直接の原因は、陽毬を慰めるため兄達がお人形ハウス仕立てに外壁を塗ったり、病欠で手持ち無沙汰な陽毬が徐々にレース編み等の飾りを増やしていった(小説版)せいだが、視聴者の違和感を掻き立て、直感的に「おままごとのような作りものの家族ごっこ」の印象を醸成するのに寄与している。
  • 壁の写真で、三兄妹のうち冠葉だけがあまりはしゃいでいない
    • 最後に高倉家に引き取られたため、まだしっくり馴染んでいない様子が窺える。
  • 水族館でゴミ箱にひそんでいるペンギン1~3号
    • 1号⇒資源ゴミ、2号⇒燃えるゴミ、3号⇒燃えないゴミ。
    • 本日の標語「ゴミはゴミ箱へ」が掛かっているのはこの場面だと思われるが、三兄妹の分身のような役回りを果たすことになるペンギン達がゴミ箱に入っているのは、こどもブロイラーや餓死寸前の箱の中など高倉三兄妹がかつて「ゴミ=いらない子」だった伏線か。
      • 「ゴミはゴミ箱へ」のフレーズは、5話のトラック追いかけで冠葉の顔に張り付くポスター紙、17話でコーヒー紙パックのゴミ箱投函をミスった冠葉へ晶馬が掛けたセリフでも繰り返されている。
      • また、20話の罰当番をさせられている山下のセリフでも、分別用のゴミ箱がアップで映し出される。(赤箱⇒プラスチック、青箱⇒紙類、黄箱⇒ビン・缶。)
    • 最終回の三兄妹の顛末を暗示しているという説。
      • 冠葉⇒資源→ガラス片、晶馬⇒燃える→乗り換えの代償を引き受けて蠍の炎、陽毬⇒燃えない→生き残る。

2話

  • 高倉家へ電話する多蕗の机上ファイル
    • 双子の無断欠席を陽毬へ告げる際、多蕗の机上の本立てに「File 17」と書かれたファイルがある。17話で再び多蕗が陽毬と接触を図ることの伏線か。

3話

  • 陽毬は牛乳が嫌い
    • 20話の回想に出てくる、可愛がっていた仔猫をゴミ回収車へ捨てられたトラウマが影響しているのではという説アリ。

4話

5話

  • 帽子を持ち去るトラックが「GOOD-BYE運送」
    • GOOD-BYE運送のトラックは、8話でカレー型モンブランを持って多蕗の新居を訪ねる際も荻野目家のマンション前を通る。
  • トラックを追いかける冠葉が「なんて一日だ!」
    • KIGAの黒服たちと会い、何か一仕事済ませての帰宅中だったと思われる。

6話

  • 貝殻をカツカツ鳴らすラッコ、頭の皿を割るカッパ
    • 実際の夫婦喧嘩では、父親が食卓をバンバン叩いたり、母親が食器を投げ割ったり、烈しい応酬が行われていると思われる。
  • かえる公園の付近をうろつく黒猫
    • 仲良く並ぶ2匹の猫⇒1匹が去り、他方はひとりぼっち⇒別の1匹が近寄っていく。桃果を失って孤独な多蕗と、代わって接近してきた苹果を示すのか。
  • サブタイトル「Mでつながる私とあなた」
    • 以下のような、後に判明する設定も含めて、さまざまな意味を併せたものだとする考えがある。
      • 「プロジェクトM」がそれに必要な日記を標的として、一見無関係な各勢力が接点を持っている。
      • 19話のゆりのセリフから、「桃果(M)でつながるゆりと多蕗」。
      • 一つのマフラーを一緒にしていた20話の回想から、「マフラー(M)でつながる陽毬と晶馬」。

7話

  • レストランの乾杯でジュースとお酒
    • 大人二人に対し、後からおずおずとジュースを差し出す苹果は、まだ太刀打ちできないお子様だという立場を暗示したものか。

8話

9話

  • ガンディーの「七つの大罪」の碑
    • いずれの項目も、節度を欠いた利巧の追求に走る資本主義を戒めたもの。
    • 過剰な競争社会に対する剣山の批判演説や、財閥家を出奔した夏芽父など、KIGAの思想に通じる要素があり、具体的描写の少ない組織の方向性を視聴者に対して補完する役目を果たしていると思われる。一方、財閥の跡目を継いだ真砂子は、子供の頃こそ父を「美しい人」と敬愛していたものの、現在は実効性を欠き過激行動の口実と化したKIGAの主張には懐疑的で、資本主義的な世界に一定の是認を置いている様子が伺える。
  • 図書館カウンターの時計
    • 列に並んでいる段階と、陽毬の順番が来たときとで、壁にある「本日」「返却日」掲示の日付が異なっている。
    • 陽毬のときの返却日「3月20日(月)」と時計が指している「7時47分」は、地下鉄サリン事件の際、(水族館がある)池袋から丸ノ内線が出発した時刻と一致。
  • 下駄箱で会話する回想シーンに「いじめから子供を守ろう!」のポスター
    • 次の回想シーンで、陽毬が消しゴムを投げ付けられながら学校を去る展開への皮肉か。
  • こどもブロイラーから霊安室へ降りてくる陽毬が「あ…」
    • 遺体に寄り添う晶馬・冠葉を見下ろしながら、何か思い出したような表情をする。二人のうちどちらか(結果的には晶馬)が「運命の人」だと、視聴者に提示している。

10話

  • 真砂子の流していた音楽が「家路」
    • 「家へ帰る」よう促す、真砂子から冠葉へのメッセージが込められていたと思われる。 小説版では、夏芽邸にいる真砂子の部屋でもしばしば流れている。

11話

  • 苹果が晶馬の頭を打ちつける電柱に「暴力反対」の貼り紙
    • 晶馬の内心を表現した、作画スタッフのお遊びか。
  • イリュージョン空間突入で、ROCK OVER JAPANのバンクが無かった
    • 11~12話以外では全て省略なくFullバージョンのバンクなので、単に時間配分の都合で削ったり、シリアスな場面にそぐわないという理由だけでなく、既に「電池切れ」を起こしかけていて派手なイリュージョンを維持する余力が少なかったせいだと思われる。

12話

  • 天球儀の玉が赤くなる
    • 鷲塚医師の診察室に飾ってある天球儀の4つの白玉が、眞悧が現れて以降は赤く光るようになる。
    • 4人(誰々かは諸説あり)の献身の「蠍の炎」を象徴したものか。
  • プリンセス・オブ・ザ・クリスタルが寝転んでいたり、「よっこいしょ」とダルそうだったり、大儀そうにしている
    • 電池切れが迫って、もうあまり体力も残っていない。

13話

  • 心電図の数値がマイナスになる
    • 眞悧が現れて取引を持ちかけた際、心拍数を示す数値があり得ないマイナスに激しく下がる。眞悧の口車に乗ろうとする冠葉を危惧した、陽毬のネガティブな心情を表現したものか。
    • 同様の演出は、24話で死んでいるはずの陽毬が動き出すシーンでもなされる。
  • かえる公園の付近をうろつく黒猫
    • 1匹の猫の後から、3匹の子猫が現れる。桃果を失って一人ぼっちになった多蕗と、復讐の対象である高倉家の三兄妹を暗示するものか。

14話

  • ゆりが結城に対して別れ話を切り出すキッカケが、多蕗をバカにされた時
    • 多蕗に情が移っており、けなされて思わずカチンときたのではないか。
  • 卓球しながら「仮面夫婦なの」と言っている際のポスターが「真実の愛を求めて私は旅立つ!」
    • この回の主題である桃果への想いと、多蕗との関係の両方を暗示している?

15話

  • ノミやダビデ像
    • ゆりへの父親の虐待を性的虐待と解釈する立場、あるいは、そうでなくとも同性愛者になったキッカケに関して、ノミやダビデ像は陰茎や男性の力強さを象徴しており、このようなトラウマから男性へ恐怖・嫌悪感を持つようになったことを暗示しているとの説がある。
  • 眞悧がダブルHにマフラーを届けた結果
    • 陽毬を懐柔するためか、冠葉を焦らせて操りやすくするためか、超越的立場にある者の余裕からくる気まぐれか、いずれにせよ眞悧にとってさほど意味のある行為ではなかっただろうが、これによりダブルHから陽毬へお礼のCDが届き、そのタイトルが呪文のヒントとなって、ひいては眞悧の計画が失敗に終わる。友情の存在を信用しない眞悧が、マフラーで自分の“首を絞める”皮肉な結末となっている。

16話

  • 電車イリュージョン空間へ落下する真砂子と9話の陽毬
    • 黒紫色の背景・少女の小さな人影・追って落下する巨大な赤玉(林檎とKIGA弾)という遠近配置は、9話で陽毬がそらの孔からこどもブロイラーへ落下するシーンの構図と同じになっている。
    • 性格や暮らしぶりは対照的ながら、「冠葉の妹」「KIGA幹部の遺児(娘)」という二人の共通項を意識させる演出か。

17話

  • 治療費の出所に関し「心配するな」と答える冠葉の背景で、1号がタコの墨にまみれる
    • 言葉に反し、「黒い金」であることの暗喩か。最初は1匹の墨だけだが、会話が続くにつれどんどん真っ黒に汚れていく。
  • ゆりが新居で「寒いわ、この部屋」
    • 「カーテンが必要ね」と言ってはいるが、物理的な室温ではなく、精神的な満たされなさによる面が大きいと思われる。
    • 19話で多蕗が家を去った後、カーテンを設置してもなお同様のセリフを口にしている。
  • ゆり携帯電話で多蕗の名前登録が「旦那さま(ハートマーク」
    • 他人から覗き込まれた際に夫婦らしさを装う演出効果もあろうが、ゆり自身が多蕗に愛着を持っていることを示すものだと思われる。
  • 真砂子vsゆりの会話と、所持している日記
    • 以下のような各々の立場を表現しているのではないかとの説がある。
      • 前半のみ所持している真砂子⇒まだ生娘だから世界の半分しか見えない
      • 後半のみ所持しているゆり⇒もう若さは消費された

18話

  • 冠葉の宙吊りシーンで舞い散る赤いKIGAマーク
    • 腕から垂れた血飛沫を表現したものと思われる。
  • 多蕗の「偽の家族」発言で、ゆりが日記を手離して平手打ち
    • 何より大事なはずの桃果の遺品を地面に落としてまで利き手で思いきりぶったのは、それ以上に多蕗への思い入れが大きくなっていたことを示していると思われる。

19話

  • 両親の服や顔立ちが三年前の失踪時のまま、表情も不自然に堅くにこやか
    • 冠葉の見ている幻影である伏線として、視聴者が直感的に違和感を覚えるよう演出してあると推察される。

20話

  • 罰当番で掃除させられる山下のセリフ
    • 「あいつらのせいだ」「こっちは何もしてないのに」「たまたま一緒にいたからって」「連帯責任」などは、本来はKIGAとも高倉家とも無関係だったのに養子になったせいで罰が及んでいる陽毬の境遇と重なり、晶馬の厳しい表情とも相まって自分が陽毬を家族に引き込んだという負い目を表現しているものと思われる。
    • 次の21話では、陽毬に高倉家を出て叔父さん宅へ行くよう、別離を告げている。
  • 冠葉と両親の会話が噛み合ってない
    • 実際には両親はその場に存在しておらず、冠葉の独り語りである伏線か。
  • 食事風景でメニューに浅漬け
    • もともとは血の繋がっていない、仮ごしらえの擬似家族である皮肉か。
  • 食事風景での「晶馬の味噌汁はお母さんと同じ味だね」
    • 1話と同じ陽毬のセリフだが、晶馬の反応は「やめろよ」と冷淡な返答に変わっている。1話との対比で、家族ごっこの破綻が顕在化してきた演出か。
  • クマのぬいぐるみの腹上に置き手紙
    • 最終回で、クマのぬいぐるみの腹の中から兄たちが遺した手紙が出てくるのと重ねた演出か。

21話

  • 真砂子が陽毬に出した高級ティーセットの紅茶
    • 19話で高倉家を訪ねた真砂子へ、陽毬がぞうさんポットから急須でお茶を出した庶民っぽさと対比になっている。
    • 真砂子こだわりのティーセットは、11話や16話にも登場している。
  • 愛用の金髪カツラをエスメラルダ奪われて愕然とする3ちゃん
    • 「冠葉の最愛の妹」というお株を奪われた象徴か。
  • 神社で喧嘩した後、晶馬は光の中に残り、冠葉が闇へ歩んで行く
    • 現在~今後の二人の立ち位置を暗示していると思われる。
  • ルポライター抹殺現場へ晶馬が駆け付ける場面の看板
    • 曲がり角の一時停止ラインで止まり、脇の建物の看板に「You can choose as you (途中で切れているがlikeが続くと思われる)」の文字。直接には「お好きな品物を選べます」というその店の宣伝文句だが、現状に残るか冠葉の後を追うか、岐路に立たされた晶馬の立場を暗示していると思われる。
  • 陽毬が晶馬から「叔父さんの家に行け」と言われた際の水道の滴
    • 背中を向けて描かれている陽毬が、涙を一滴こぼした暗喩と思われる。
  • 高倉家室内の連続カット
    • 冠葉と陽毬が出て行き、晶馬一人になった高倉家の風景描写は、1話と全く同じアングルと順序。
      • 台所から見た玄関⇒冷蔵庫⇒歯ブラシ⇒ガスコンロの鍋⇒居間の制服⇒ぞうさんポット⇒背比べの柱⇒壁写真⇒写真立て。
    • 冠葉の制服と、陽毬の歯ブラシが無くなっている。

22話

  • エロ本を見せようとする3号を頑なに拒んで、真面目な本を読む1号
    • 陽毬が自分の許に来て「もういいよ」と抱きついた誘惑を振り払い、ミッション決行の決意を固める冠葉の心境とシンクロしていると思われる。
  • ガラス片をかぶって倒れる冠葉・1号
    • 最終回の冠葉の顛末を暗示しているとする説がある。
  • 銃撃で倒れ、運び去られる冠葉に掴まれた1号
    • 12話の陽毬の死で消えていく3号や、16話で真砂子と一緒に気絶して目覚めるエスメラルダなど、これまでパートナーのペンギンは持ち主の体の容態と連動している描写がなされてきたため、透明にならずしっかりと姿を保った1号の様子から、この時点では冠葉の命に別状がないことが判る。
  • 銃を構えてライトに照らされた真砂子の立ち姿
    • 前期OPに登場する真砂子のシーンと同じ構図になっている。

23話

  • 窓ガラスを突き破って投げ込まれる1号
    • 21話と同様、ガラス片の中に倒れる1号は、透明な破片になって消える最終回の冠葉の顛末を暗示しているとする説がある。
    • また、自身の分身である相棒のペンギンを道具にして乱暴な扱いをする冠葉は、すでに我が身の危険を顧みない、捨て身の行動に出ている状況を示しているとする説がある。

24話

  • 冠葉の背中から噴き出した赤いKIGAマークが林檎に変わる
    • 18話の描写から赤いKIGAマーク=血飛沫、24話中の描写から林檎=ピングドラム(=献身的な愛情など?)を表していると思われる。18話で多蕗が言っていた「愛は痛みだからね」の状況を視覚化した表現か。
  • 幼少期の冠葉が晶馬へ半分渡した林檎の切り口がハート型
    • 蜜の部分がハートのような形をしている。林檎(=ピングドラム)が心・愛・命などを象徴していることを表したものか。
  • 「命⇔蠍の炎」の表示で「蠍の炎」の側のみに炎が移り、列車の連結器が解かれる
    • 運命の乗り換えが完了し、代償を晶馬が引き受けて消滅・苹果が生き残ったという表現か。
  • 幕の影に消え去る桃果
    • 「列車(=また世の中に不満を持つ者が世界を壊そうとする時?)」の再来を待って呪縛に囚われたまま残る眞悧に対し、次の世代への引継ぎを果たした桃果は物語の表舞台を降りたという演出か。
  • 陽毬の額の傷
    • 電車内で倒れて発見された際、ガラスの破片(=冠葉の痕跡)がこすれて傷ができ、その後ダブルHのアルバムを探して髪を掻き上げた時にも傷跡が残っていた。「塵一つ残せず消えるだけ」という眞悧の言葉とは裏腹に、存在した証を遺している。
  • 高倉家室内の連続カット
    • 1話・21話とはやや順序が異なるが、ガスコンロの鍋⇒冷蔵庫⇒歯ブラシ⇒居間の洋服掛け⇒背比べの柱⇒台所から見た玄関⇒写真立てと、ほぼ同じ部分が映されている。
    • 1話→21話で出て行った冠葉・陽毬の身の回りの品だけが消えていたのとは違い、家の外壁、鍋の種類や換気扇・冷蔵庫・台所のれんの色模様、柱への背丈の書き込み、幼少時の写真など、15話で桃果が言っていたように、運命の乗り換えをしたことで「世界の風景が変わって」いる。前の世界で和菓子屋だった叔父さんは、ハンガーの服に「池部工務店」の文字が。
  • カレーを食べる苹果の手首に火傷の痕
    • 最終的には晶馬が身代わりで乗り換えの代償を引き受けたが、すべてが消えて忘れ去ったわけでなく、かつて存在した世界の痕跡は一部苹果の体にも残っている。おそらく、陽毬がぬいぐるみの中のメッセージを見て涙したように、苹果にも微かな記憶の名残はあるのではないか。
  • 芽が出た植木鉢
    • 乗り換え後の世界で3ちゃんが眺めている植木鉢は、模様は違うが、演出的に21話で蒔いていた種と繋がっていると思われる。「おしまいじゃない、始まりだ」という冠葉・晶馬の会話と合わさって、未来への希望を感じさせる。
  • 高倉家の前を歩く幼い冠葉と晶馬
    • 1話の小学生の会話と同じ話をしている。
      • よその家の双子に転生したとする説。
      • また、幼児になった件について、本来なら代償で消滅するはずのところを、二人で命を分け合ったからだとする説。
      • その後「どこに行く?」と言いながらペンギン達と宇宙空間のような背景を歩んでいるので、この世の存在ではないとする説。


パロディ・モチーフ

  • 1話冒頭でモブの少年たちの会話
    • 宮沢賢治「銀河鉄道の夜」。
  • 5話で苹果が父親と面会するレストランの絵画
    • クリムトの絵画「接吻」。
  • 9話で陽毬が探していた「カエル君 東京を救う」の本
    • 村上春樹の「かえるくん、東京を救う」。主人公らが人知れず奮闘し、東京の街を壊滅の危機から救う話。作中ではラストで3ちゃんがこのタイトルの本を抱えていたが、実際は「神の子どもたちはみな踊る」に収録されている短編作品で、「かえるくん~」では書名検索に引っ掛からない。
  • 9話で鯉の生き血を参考にした「はだしのゴン」の本
    • 中沢啓治の漫画「はだしのゲン」。画面に表示された章立ても、各話のサブタイトルのもじりになっている。
  • 9話などのこどもブロイラーの換気扇2つ
    • 小説「わたしを離さないで」の表紙に描かれているカセットテープの絵と似ているとの説がある。「わたしを離さないで」のフレーズは、22話のエンドカードのセリフでも使われている。
  • 9話のサブタイトル「氷の世界」
    • 井上陽水が作詞・作曲した歌に、同名のタイトルのものがある。歌詞中に、凍える吹雪の中で声をからしてリンゴ売りをしている人物が登場する。
  • 10話の、病院の屋上ではためく大量の洗濯シーツ
    • 映画「灰とダイヤモンド」のワンシーン。
  • 11話で真砂子が語る、氷壁から落とされるペンギンの逸話
    • リチャード・ドーキンス著「利己的な遺伝子」。
    • かつてドラマ「高校教師」でもこのエピソードが引用され、生物学に精通していない一般人へも広く知られた。ペンギンの生存戦略以外にも、婚約者がいる高校の生物教師、エスカレーターから突き落とされる女性、偏執的な芸術家の父から歪んだ愛情による虐待を受けて育った娘など、「高校教師」と共通する要素がいくつかある。
  • 12話などで語られる、16年前の事件
    • 1995年3月20日という日付・東京の地下鉄を舞台とした無差別テロ・カルト的な集団といった様相から、実在の「地下鉄サリン事件」がモデルと思われる。
  • 13話での、14話の次回予告セリフ
    • 寺山修司の戯曲「毛皮のマリー」に登場するセリフと酷似。「世界の表面はみんな嘘で出来ている…(略)…明日来る鬼だけが本当」。幾原監督は、寺山修司の舞台演出から受けた影響が大きい。物語の内容も、醜さへの嫌悪や、母親との衝突から子供に思い通りの改造を加える歪さなど、共通する部分がある。
      • 「毛皮のマリー」の二つ名を持つオカマの娼婦が、18歳の少年を座敷牢のように蝶を放した応接間で養育している話。少年は「時間がたつと汚くなる」といって羽化した蝶をピンで刺し殺し、美しいまま時間を止めて標本化している。かつて自分が男であることに悩んでいたマリーを、女として認めてくれた女性がいたが、マリーが自分より女らしく美しくなっていくことに嫉妬した彼女は、マリーを裏切った。傷心のマリーは復讐のために男たちをけしかけて彼女を強姦させ、女性は少年を生んで難産で死んだ。少年を引き取ったマリーは、外の汚い世界を見せぬよう幼装のまま閉じ込め、じっくり女へ変えていくべく育てる。外の世界の少女と知り合って一旦は家を出ようとした少年も、結局は絶望して戻ってくる。ラストでついに少年は、マリーの手でドレスを着せられ、化粧を施されて、蛹から羽化する蝶のごとく作り上げられていく。
  • 15話のゆりの父が作ったタワー
    • ミケランジェロ作のダビデ像。
  • 16話の死なない祖父
    • ガルシア・マルケス「エレンディラ」。
  • 16話の池で脚を突き出しているマリオ
    • 推理小説・映画「犬神家の一族」で、発見された殺人死体の特徴的なポーズ。祖父の名の「左兵衛」も、犬神家の佐兵衛がモチーフと思われる。
  • 17話のゆりvs真砂子のBGMが西部劇
    • サブタイトルの「許されざる者」は、同題の古いウェスタン映画がある。
  • 18話の多蕗の母の姿
    • モネの絵画「日傘を差す女」。
  • 18話など、こどもブロイラーでの「透明な存在」にする
    • 神戸連続児童殺傷事件(1997年)で酒鬼薔薇聖斗を名乗る犯人の少年が書いた声明文に、自身を「透明な存在」と言及してある。声明文中の「透明な存在」は、本来の自分の性質を表に出すことが許されず、画一的な教育や社会に押し込められて無個性に埋没した状態を指している模様。http://blog-imgs-33-origin.fc2.com/o/m/a/omasoku/2tyou1.jpg
    • 埼玉愛犬家連続殺人事件(1993年)の犯人供述、および事件をモチーフとした映画「冷たい熱帯魚」で、肉体の細断を伴う徹底した死体隠滅処分を指して「ボディを透明にする」と表現している。
  • 20話の晶馬と陽毬の会話で引用される物語
    • 「世界で最初の男と女~罰を受けた」は、旧約聖書の楽園追放のくだり。
    • 「暖炉で燃え残った錫の兵隊の心臓」は、アンデルセン童話「錫の兵隊」のラストシーン。
  • 21話のミカちゃんハウス
    • タカラ(現タカラトミー)のリカちゃんハウス。


建造物

  • 高倉家の玄関脇の招き猫オブジェ
    • 荻窪周辺の街路に同様のオブジェが存在する。
  • 池袋駅前の人物2人が輪になっている像
    • 池袋駅東口に実在する、フランスの彫刻家ルイ・デルブレ作「大地」の像。
  • 野鳥観察で訪れた公園
    • 東高円寺の「蚕糸の森公園」がモデルと思われる。
  • デパート屋上の黄色いクネクネ
    • 荻窪タウンセブンの屋上に同様の遊具がある。
  • 杉並区かえる公園
    • 東高円寺駅の近くに同様のものが実在する。
      • 砂場の近くに、黒猫の絵が描かれた「ねこがきます! つかいおわったら、ネットをかけましょう」という立て看板あり。黒猫の演出は、ここからヒントを得たと思われる。
  • 中央図書館
    • 杉並区立中央図書館がモデルと思われる。
  • 「七つの大罪」の碑
    • 杉並区立中央図書館の庭に同様のものがある。
    • インド独立の父、マハトマ・ガンディーが 「20世紀資本主義が生んだ七つの大罪」として警鐘を鳴らした項目。汗なしに得た財産、良心を忘れた快楽、人格が不在の知識、道徳心を欠いた商売、人間性を尊ばない科学、自己犠牲をともなわない信心、原則なき政治。
  • 林檎を持った少年・少女と椅子の像
    • 杉並区役所の庭にある作:津田裕子のブロンズ像「お誕生日おめでとう」がモデルと思われる。
  • そらの孔分室
    • ストックホルム市立図書館のコンセプトCGがモデルと思われる。
  • 東鷗総合病院
    • フランスのパリにある総合文化施設「ポンピドゥー・センター」がモデルと思われる。
  • 病院屋上の管状スピーカー
    • 東鷗総合病院のモデルとされる「ポンピドゥー・センター」によく似たパイプ状の構造物がある。ただしスピーカーではない。
    • 場所や何の建物かは不詳だが、類似の構造物を指摘するtwitter発言がある。http://twitter.com/#!/kai_morikawa/status/114758160773951488/photo/1
@kai_morikawa
ピングドラム10話に出てくる病院建築は、むかし建築学生だった頃に巡礼したことがあるなー #penguindrum
http://pic.twitter.com/A7J77niU
  • 夏芽家の食堂
  • 荻窪の味 リナちゃん(ラーメン屋)
    • 荻窪に古くからある、昭和的な醤油ラーメンの「荻窪の味 三ちゃん」がモデル。
    • 店主は、アニメスタッフが取材に来たのは認識しているが、深夜放送のためアニメは見たことがないらしい。http://rocketnews24.com/2011/11/27/156998/
  • 白山神社
    • 白山(はくさん)神社は日本各地に存在するが、作中で描かれた境内風景や高倉家の近所という立地から、荻窪駅の北西、環八通りの沿道にある、荻窪白山神社がモデルと思われる。
  • 企鵝の会・KIGA
    • 宮沢賢治の劇「飢餓陣営」、およびそれを元ネタにした安部公房の小説「飢餓同盟」との類似を指摘する説がある。
    • 「飢餓陣営」は、飢えに堪えかねて大将の勲章を食べてしまった兵士たちが自己犠牲的に罪を引き受けようとする話。「飢餓同盟」は、雪にとざされた町で、大人たちが本気で社会革命を計画し、無残に敗れるという筋書き。とくに「飢餓同盟」は企鵝の会によく似ている。
  • KIGA地下アジトの廊下の電灯
    • 上下の黒い枠の間に多数の蛍光灯が縦並びした、独特なデザインの吊り下げ灯は、地下鉄御堂筋線の梅田駅ホームに設置されている電灯がモデルと思われる。


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最終更新:2013年10月08日 12:11
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