待ち人来ず花開く
恋こがれ愛する人へ送る手紙、転居先不明で戻ってきたのを機会に送るをやめた。
どんなに年を重ね都市化しようと、貴女の落ち着ける場所でいたいと、出会い結ばれた日々のままに状態を維持してる家屋。
寂しいのは風が壁を叩く時、音が空っぽの心を壊していく。
毎年毎年咲かす桜。いつまでも一緒に見ようと約束したのは恋心のなせる業。恋が消えれば消える約束。そこに残るは華と孤独。
甘い陰鬱の中ひとり老いる中、現実は音を立てて変化していく。
しがみついたのは約束と願望、桜の美しさは真似ることなく枯れていく花。
なぜ桜が美しく咲けるのか?
それは潔いからである。
瑞々しさなどなく、ただ干涸びていく老体。腹の皺は木の年輪の如く、ただ時を刻んでいくのであった。
最終更新:2022年08月29日 18:49