『シュニッツラー・ドラゴン』
主に
ミグラスト島に生息する、非常に成長速度の速い飛龍の一種。
幼生から飛べるようになるまで一週間、そこから成体になるまで一か月、
そして成体になってからはわずか二年ほどしか生きられない。
その異常に短い生涯の理由には諸説あるが、
一個体あたりの世代を短くすることで環境の変化に適応しやすくしたのではないかという説が有力。
その他の特徴的な性質に刷り込みがあり、幼生期に初めて顔を見た相手を親だと思いこみ命令に従ってしまう。
これらの性質から主に
ユグドラシル空軍では一般兵の搭乗用に飼育されている。
世代の短いこの種は、軍事利用に向けた品種改良を行うに当たって最適であり、
刷り込みの性質は言うまでもないからである。
もっとも純粋に龍としての戦闘力を見た場合、
ブレスを吐くことができないことや飛行速度の遅さなどいささか不安は残る。
そのためベテランの空軍兵は、他の戦闘力の高い龍種の搭乗を好んだという。
画像は、遭難の最中ミグラスト島に流れ着いた
ゴッヘルザッホが
生還に際して乗っていた個体の画像。
『例の遺跡で見つけた船は随分と素晴らしい物だったが、惜しむらくはコンパスが狂っていたことだろうか。
てっきり
久平諸島の一つだと思って近づいたのがあの悪名高い龍の島だと気づいた時には、
私は龍に襲われていた。
紆余曲折あってなんとかここまで生き延びることができたのは天佑としか言いようがない。
まったく、今回の旅は悪魔と天使に同時に取りつかれているようだ。
だが、その分収穫も増えたから良しとする。
収穫といえば、この新種の飛龍もその一つだ。まさかあの小さな龍がここまで大きくなるとは予想外だ。
可愛らしい幼生の姿から
彼女を思い出して気まぐれにつけた名だが、
こうも立派になっては知られた場合何を言われるかわかったものではない。
だがまあ、このシュニッツラーのおかげで生きて帰ることもできるのだ。
もっとも、このあたりの空を抜けるまで油断はできないが……』
―――探検家ゴッヘルザッホの手記より
最終更新:2022年08月29日 18:52