道化師は月を弄ぶ

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道化師は月を弄ぶ

涙の雫を面【おもて】に描き、悲しき滑稽を演じる道化師は、夜毎に野の舞台へ姿を表す。

『さぁさ皆様お立ち会い。これより私めがお目に掛けますのは、世にも珍しき月を手玉に取る奇術。
種も仕掛けも御座いません。この不可思議をば、どうぞごゆるりとお楽しみ下さい』

哀れな愚者を装い、道化師は哄笑に身を晒す。
種も仕掛けも確かに無い、しかし誰にも分かる子供騙しを、
誰にも成せぬ奇跡であるかのように嬉々として披露する。
創られた喜劇は、繁栄故に傲慢に振舞う芥の幼稚な嗜虐心を満たし、己が矮小から眼を背ける理由を与える。
嗤う道化師が見せるのが、自らを鏡に写した姿であるとは、彼らは決して気付かない。

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