※このページは横認識ができない、横認識に移行できないという方に向けたものです。
このページをスムーズに理解するには横認識/縦認識、腕押し/指押し、と言った前提知識が求められます。
それぞれのページでご確認ください→
横認識vs縦認識 腕押しと指押し
認識法と打鍵法
横認識という認識法を身につけることが上達の大きな一歩になることは認識法のページで説明したとおりですが、横認識の習得は多くのプレイヤーが躓くところであり、九段、十段取得以降の上達を鈍らせる大きな要因の一つとなっています。認識法とは目に見えない意識上のものであり、運指や譜面傾向の対策に比べて把握しにくいため、このwikiの構成においても「認識法」という別個の項目を設けて説明をしています。
しかし、一般的なbeatmaniaの上達経路において認識法は打鍵法や譜面と密接な関係があり、その関係こそが横認識の習得を難しくしている、とこのページでは考えます。以下では横認識を打鍵法、譜面、そしてbeatmaniaにおける一般的な上達の3つに関連付けた理論を説明していきます。
認識法と打鍵法の関係
まずは認識法と打鍵法の関連性について説明します。
(腕押し,横認識)
例えばColorful Cookie(H)のような譜面を叩いている時の様子を想像してください。Colorful Cookie(H)は8分で2,3個の同時押しが降ってきます。このような譜面に相対したとき、認識としては譜面を8分で横に区切った横認識、打鍵法としては8分で腕を振り下ろす腕押しをします。上の画像の譜面において16分で降ってくるノーツは存在しないので縦認識をすることはありえず、同じ理由で指押しをすることもありえません。つまりこのような8分の同時押し譜面という条件のもとでは、認識法としての横認識と打鍵法としての腕押しが強い親和性を持ち、両者はセットで用いられるような関係になります。
(指押し,縦認識)
次に、quasar(H)のような譜面を叩いている時の様子を想像してください。quasar(H)は16分で一重の乱打が降ってきます。先程の例と同様に考えてみると、このような譜面に相対したときには16分の一重乱打を縦に一本の線で繋ぐような縦認識をしながら、指を細かく動かす指押しをしています。一重乱打には同時押しがないので横認識をすることは通常ありえず、16分という速いスパンでノーツが降ってくるので腕押しも使えません。つまりこのような条件のもとでは、縦認識と指押しが強く結びつく事になります。
打鍵法と認識法の関係
以上を踏まえた上で、X軸方向に打鍵法(腕押しと指押し)、Y軸に認識法(横認識と縦認識)をとった2×2のマトリックスに表すと以下の様な図になります。
一つ目の例で示した
(腕押し,横認識)のセットが②の領域、2つ目の例で示した
(指押し,縦認識)のセットが③の領域にそれぞれ当てはまります。そしてこのページの目標である
横認識をした状態で指押し(16分の譜面)をするという状態は①の領域に該当します。目指しているこの状態を
16分横認識と名づけます。16分横認識においてどのような譜面が打てるようになるかというのは
横認識vs縦認識で解説しています(下図GOLDEN CROSS(A)のような譜面)。
さらに、16分横認識が未だ習得できていないということはどのようなことなのかを、この図の上で位置付けます。(指押し,横認識)ができない人は譜面に応じて、8分が中心のときは(腕押し,横認識)を、16分が中心の時は(指押し,縦認識)をつかっています。このような、(指押し,横認識)習得前夜のプレイヤーが②と③の打鍵/認識を使い分けている状態を打鍵認識の固定状態と名づけます。
※領域④の(腕押し,縦認識)は、通常のプレーではおよそ観念できるような打鍵認識ではなく、考慮の必要はないと考えます。あえて実際のプレーに位置づけるとすれば、beatmaniaを始めたばかりのレーンとボタンを一つ一つ確認しながら腕押しをするような場合でしょうか。
16分横認識への移行
固定状態から16分横認識への移行はどのように行われるのでしょうか。領域①に達する経路は②→①と行くルートaと③→①と行くルートbが考えられます。
ルートaは(腕押し,横認識)から(指押し,横認識)へと移行する方法です。具体的な練習方法として、例えばEDEN(A)のような8分同時押し譜面では通常では横認識をしながら腕押しをしています。そこで、8分のみで同時押しが降ってきているので認識法としては横認識以外はありえないことを利用して、BPM200の8分同時押しをBPM100の16分乱打として仮想しながら指押しをします。"タッタッタッタッタッタッタッタ"と8分で腕押しをするようなリズム把握をしているところを、"タ.カ.タ.カ./タ.カ.タ.カ./タ.カ.タ.カ./タ.カ.タ.カ."とゆっくりとした16分のリズムに乗せて把握し、自ら腕押しを禁じながら指押しをします。このように認識をそのままに打鍵法を変えることで(腕押し,横認識)という凝り固まった打鍵/認識セットから脱却し、横認識を維持したまま指押しをするという状態、すなわち16分横認識への移行が可能になります。
ルートbは(指押し,縦認識)から(指押し,横認識)へと移行する方法です。具体的な練習方法として、例えばBlue Rain(A)のような密度高めの16分乱打では、16分横認識ができない人であれば縦認識をしながら指押しをしています(縦認識で見きれるかどうかは別として)。16分の乱打を打つときには指押し以外はありえないことを利用して、BPM144であるBlue RainをBPM288というように仮想し、同時押し譜面かのように認識しようとします。このように手の動きはそのままに認識法を変えることで(指押し,縦認識)という凝り固まった打鍵/認識セットから脱却して16分横認識へ移行することができます。同じような原理の練習法として、高密度16分乱打譜面の速度を落とす事により横認識しやすくし、徐々に速度を元に戻していくという手法が考えられます。
なぜ二重乱打を縦認識してしまうのか?
ここで一つ疑問になるのは「最初に二重乱打を見たときに、なぜほとんどの人が縦認識をしてしまうか」ということです。上の記事の答えとしては「16分乱打で指押しだから、それとセットで縦認識」となります。これは一定の説得力がありますが、これから上達の役に立たない少し余計な議論をしてみたいと思います。結論は変わりません。
とりいれる考え方は、「譜面と行動(=認識+打鍵)の対応」というものです。上の議論をなぞると、打鍵認識の固定状態では、次のような二つの、譜面と行動の対応ができています
譜面 |
16分一重乱打 |
行動 |
打鍵:指押し |
認識:縦認識 |
譜面 |
8分同時押し |
行動 |
打鍵:腕押し |
認識:横認識 |
この状態で二重乱打、つまり、16分同時押しが降ってきたらどうなるでしょうか。考えられるのは全部で3つあります。
①.
譜面 |
16分同時押し |
|
↓16分 |
|
↓同時押し |
行動 |
打鍵:指押し |
←ミスマッチ→ |
認識:横認識 |
これが16分横認識なのですが、普通はこのようにすんなりいかないです。その理由は上の通り、指押しと横認識の対応が無いからです。
②.
譜面 |
16分同時押し |
|
↓16分 |
|
↑ミスマッチ↓ |
行動 |
打鍵:指押し |
→ |
認識:縦認識 |
普通はこのように、譜面から先に打鍵:指押しが決定される形になります。ここでは、「同時押しと縦認識のミスマッチが無視されている(=②のミスマッチ)」ことになります。
③.
譜面 |
16分同時押し |
|
↑ミスマッチ↓ |
|
↓同時押し |
行動 |
打鍵:腕押し |
← |
認識:横認識 |
逆にこのように、譜面から先に認識:横認識が決定される形にはならないのでしょうか。この場合は②と違って、16分同時押しは腕押しでは押せないため、この方法はすぐに崩壊します。一方②は、あんまり見えてないけどなんとなく押せてる状態であるため、②に落ち着きます。
このように消去法的にですが、②つまり16分乱打二重乱打で縦認識になってしまうことがわかります。
そしてさらにもう一つ、②番の譜面行動対応に落ち着く理由があります。それが、一重乱打と8分同時押しのレベルから二重乱打のレベルまでの譜面成長というものです。これが②のミスマッチを軽減していると考えます。
まずは、一重乱打と8分同時押しのレベルから二重乱打のレベルまで、譜面の難易度が上がっていくに連れて、どのような譜面成長過程を辿るかを考えます。
一つ目の譜面成長過程は、一重乱打から始めます。
- 「一重乱打=1111乱打→2111乱打→2121乱打→2221乱打→2222乱打=二重乱打」
となると考えられます。2121乱打とかが分からない方は、
16分乱打の型を見てみてください。ここで、
全過程で縦認識が保存されていて、同時押しがだんだん増えていってるのにそれを縦認識で認識することにならされている所に注目できます。このような譜面成長はとてもよくあり、たとえば
ということです。
二つ目の譜面成長過程は、8分同時押しから始めます。いくつか考えられますが、
- 「8分(2つ)同時押し→10分同時押し→12分同時押し→14分同時押し→16分同時押し=二重乱打」
というのを想像すると、横認識を保存した譜面成長に見えますが、このような10分や14分の譜面は存在しないため、この譜面成長はありません。
次に
- 「8分(2つ)同時押し→2020乱打→2120乱打→2121乱打→2221乱打→2222乱打=二重乱打」
を想像すると、2121乱打の時点で、一つ目の譜面成長過程に吸収されてしまいます。この程度の同時押しではまだ縦認識になってしまうことでしょう。
次に
- 「8分(2つ)同時押し→2020乱打→2120乱打→2220乱打→2221乱打→2222乱打=二重乱打」
を想像すると、横認識が保存される気配が若干ありますが、やはりこのような2120乱打や2220乱打はあまり存在しない傾向にあります。
以上より、一つ目の「一重乱打=1111乱打→2111乱打→2121乱打→2221乱打→2222乱打=二重乱打」という譜面成長過程により、同時押しがだんだん増えていくなかで縦認識をすることになり、結果的に②のミスマッチを軽減していると考えられます。これが②番目の譜面行動対応に落ち着くということを支えていると考えられます。
最終更新:2015年06月12日 03:09